Rainy or Shiny 横濱ラジオ亭日乗

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横浜市中区麦田町1-5

カメラ本に刺激されて

2013-10-07 18:18:05 | その他

ライカ通で名高い写真家田中長徳さんの本を暇にまかせて読む。「カメラは詩的な遊びなのだ」(アスキー新書)というタイトルがいい。ブックオフの105円コーナーではなく300円というのは古書の新書にしては高いが、まだ発売3年未満の売れ筋本だから仕方がない。写真の技術論のことなら興味をもてないが、デジカメの日常的で詩的で粋なつかいこなしの心得がたくさん盛り込まれている。またミラーレス一眼で撮った北欧ヘルシンキの町やスナップのカラー写真事例集がこれまた詩的視覚とはどういうものか?ということへの豊饒なる模範解答になっているようでうれしい本である。

ちょうどこの本が出たころミラーレス一眼のオリンパスPENが世に出て、長徳さんはこれをアナログカメラのライカ等と同等に使い分けている。このミラーレスはマイクロフォーサーズという別称があるらしい。カメラ女子という呼称は山ガールと並ぶ近年のトレンド言葉のようだが、そのPEN以降のマイクロフォーサーズマーケットの活性に、女子パワーが一役買っている様子だ。そういえば先月のMM21エリアを散歩していて途中で少し会話した20代の女子二人連れを思い出す。一人はPEN E-2でもう一人は古色溢れるニコンのアナログカメラEMをぶら下げていた。横浜港の岸辺の雑草を接写していた。長徳さんの周りにもその類の女子がたくさんいるらしい。PENに嵌めた交換レンズにマニアライクなコンタックス用を使っていたものだから苦言を呈したという(120ぺージ)エピソード等も面白い。パンケーキというニックネームのついた17ミリのZUIKOレンズの方が粋なんだよ。ということをその女子に諭したとある。

 

オーディオでもマルチウエイで屋上屋を重ねて粋がっている人へ小さな口径のフルレンジのLE8T、755Eの奥深さを、音楽再生で黙って知らしめるような粋人を昔は見かけたものだが、最近は段々と見かけなくなってしまった。ヨドバシやビックカメラのマイクロフォーサーズエリアはデジカメをオシャレに持つことの喜びを見出したカメラ女子のニーズにも応えられるべく、各社共落ち着きを湛えたビンテージデザインで競い合っているようだ。長徳さんによれば、カメラ女子はカメラを持つことで「ライフスタイルを再構築」し始めているとのことである。以下この本の名言をピックアップしてみよう。

 

「つまんない毎日に気に入ったデジタルカメラが一台投下されることで、見慣れた風景や、路傍の花や、ペットや、お子さんや、何でもいいんだけれどさ、、自分の心の琴線に触れるものを写すことができる。カメラがなければ何気なく素通りしてしまう一瞬をすくいとることができるんです。。。。」

「日常性に浮いてきている“非日常的な象徴化“みたいなものが、我々の思考を直撃することがあって、それをそのまま拾い上げる、写真の奥義。。」「視神経につまずいたときがシャッターチャンス。。。」

こうした言葉の数々に発奮して雨が上がった工場の長閑な休日に点在している秋のシーニュでも拾っておこうという気分になってきた。自分のデジカメはマイクロフォーサーズよりも更に下流なレンズだけが明るいコンデジでこれを使い潰してやろうと意気込んでいるところだ。


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