梅雨入りして既に一月が経過した。しとしとと降ったり止んだりの天候が続くのかと思えば、今年の梅雨は陽性で降る時はまとめて豪雨をもたらすタイプのようである。今日も夏空が広がっている。団地の所々に植えられた背丈のある夏芙蓉のピンクの大輪と背後の青空はいつもながらのよいコントラストだ。植えつけたばかりの西洋朝顔は添え木の棒に早くも蔓を巻きつけ始めている。ただしこの二週間の空模様はどうも空梅雨で終わるのかもしれない。おきまりの水不足が心配だ。二日間の連休は座間を脱出して気分転換を図ることにした。メダカの餌やり、庭の乾燥が心配なので、直植え野菜、ポットの植木類が乾かないようしっかりと水を補給してから多摩地方へのエスケープ行となる。
国立・富士見にある「大根の花」の刺身ランチをスタートに西国分寺、吉祥寺、青梅付近の7月らしい空気を吸い込むことにする。クルマ、電車、歩行などをミックスして馴染みのある小路を辿る気分だけは40代散策のつもりで廻る。吉祥寺等の町場では雑貨、衣料品、古書、その他を冷やかしながら休憩はお気に入りカフェを厳選する。そうしたビヘイビアは数十年来全く変化することがない。吉祥寺では1個140円のメンチカツを買う為に「旧伊勢丹」の方まで長蛇の列ができている。馬鹿馬鹿しい光景だが、その近くを歩いていたら、亡くなった地元の「サムタイム」や「ファンキー」を経営していた野口伊織さんの弟さんとばったりと出会う。兄貴はすばらしく華がある人だったが、弟さんはいつも影役に徹していて久しぶりに出会っても尊大や横柄とは遠い温和な人である。吉祥寺の街で10数軒の飲食ファミリイを担っているから、定時巡回している様子らしい。

これも縁の一つと思って「サムタイム」でしばらく涼をとることにする。「サムタイム」は平日・午後の半端タイムだ。ジャズのBGMが流れているだけの喫茶時間である。逆さに吊るした古いJBLのランサー101からダイナ・ワシントンみたいなアクセントの節回しが強く甲高い50年代中期風の黒人ボイスの歌が小音量に漂ってくる。「サムタイム」でこういうものがかかるのはやはり絵になる。総合的老舗力が作用しているのだな!と妙な感心をしてしまう。

町中にあるドラッグストアにも寄る。そこで皮膚の痒み防止薬も買い置きする。「ブックオフ」にも寄って在庫があった民俗書「金枝篇」で有名なフレイザーの「サイキス・タスク(俗信と社会制度)」岩波文庫、軽量で助かる永井荷風「断腸亭日乗」上巻(岩波文庫)なども抜き取って購入する。

用も涼も足りてからは青梅街道を西へ向かう。休日の癒し良薬としてふさわしい青梅市の山あいにある「コンブリオ」と青梅駅付近の旧市街散歩が目的である。瑞穂町、岩蔵街道と一般ルートの青梅街道から外れた田園地帯を横目で眺めるコースは最良だ。小曾木にある「コンブリオ」はお茶類は勿論、器具、庭木、花、オブジェ、内装木材の全てが水準を超えた田舎の一軒家カフェでその佇まいは出色だ。


石造製の天使が群れる背面の庭ではちょうど百合が綻び始めている。真紅の「なでしこ」も素晴らしい。付近の小曾木川沿いにある雑木林では「合歓」の木が微妙な花をまどろんだ風情で咲かせている。冬場に訪問して以来の「コンブリオ」だが、青梅らしい7月の濃い樹木の精に囲まれて、深煎り焙煎コーヒーを啜る時間はやはり至福の一つだと思う。
国立・富士見にある「大根の花」の刺身ランチをスタートに西国分寺、吉祥寺、青梅付近の7月らしい空気を吸い込むことにする。クルマ、電車、歩行などをミックスして馴染みのある小路を辿る気分だけは40代散策のつもりで廻る。吉祥寺等の町場では雑貨、衣料品、古書、その他を冷やかしながら休憩はお気に入りカフェを厳選する。そうしたビヘイビアは数十年来全く変化することがない。吉祥寺では1個140円のメンチカツを買う為に「旧伊勢丹」の方まで長蛇の列ができている。馬鹿馬鹿しい光景だが、その近くを歩いていたら、亡くなった地元の「サムタイム」や「ファンキー」を経営していた野口伊織さんの弟さんとばったりと出会う。兄貴はすばらしく華がある人だったが、弟さんはいつも影役に徹していて久しぶりに出会っても尊大や横柄とは遠い温和な人である。吉祥寺の街で10数軒の飲食ファミリイを担っているから、定時巡回している様子らしい。

これも縁の一つと思って「サムタイム」でしばらく涼をとることにする。「サムタイム」は平日・午後の半端タイムだ。ジャズのBGMが流れているだけの喫茶時間である。逆さに吊るした古いJBLのランサー101からダイナ・ワシントンみたいなアクセントの節回しが強く甲高い50年代中期風の黒人ボイスの歌が小音量に漂ってくる。「サムタイム」でこういうものがかかるのはやはり絵になる。総合的老舗力が作用しているのだな!と妙な感心をしてしまう。

町中にあるドラッグストアにも寄る。そこで皮膚の痒み防止薬も買い置きする。「ブックオフ」にも寄って在庫があった民俗書「金枝篇」で有名なフレイザーの「サイキス・タスク(俗信と社会制度)」岩波文庫、軽量で助かる永井荷風「断腸亭日乗」上巻(岩波文庫)なども抜き取って購入する。

用も涼も足りてからは青梅街道を西へ向かう。休日の癒し良薬としてふさわしい青梅市の山あいにある「コンブリオ」と青梅駅付近の旧市街散歩が目的である。瑞穂町、岩蔵街道と一般ルートの青梅街道から外れた田園地帯を横目で眺めるコースは最良だ。小曾木にある「コンブリオ」はお茶類は勿論、器具、庭木、花、オブジェ、内装木材の全てが水準を超えた田舎の一軒家カフェでその佇まいは出色だ。


石造製の天使が群れる背面の庭ではちょうど百合が綻び始めている。真紅の「なでしこ」も素晴らしい。付近の小曾木川沿いにある雑木林では「合歓」の木が微妙な花をまどろんだ風情で咲かせている。冬場に訪問して以来の「コンブリオ」だが、青梅らしい7月の濃い樹木の精に囲まれて、深煎り焙煎コーヒーを啜る時間はやはり至福の一つだと思う。