Rainy or Shiny 横濱ラジオ亭日乗

モダンジャズ、ボーカルを流しています。営業日水木金土祝の13時〜19時
横浜市中区麦田町1-5

冬夜の温もり

2012-01-18 19:54:15 | JAZZ
厳寒の戸外で肉体労働を二日続けて今日は休み、ゴム長靴の先を伝わってくる地面の冷気のせいで右足の薬指にシモヤケができて痒くて痛い。あれだけ恐れていた腕の筋肉痛は繰り返す鍬による土剥がし作業で馴れてしまったようだ。傷みらしき自覚もない。初老期から壮年期の腕力を二ヶ月で取り戻したようで最後の拠り所は肉体しかないと思っている今後に微かな曙光をもたらしている。他人へは粋がって「有償筋トレ」などと称していたけどまさしく「筋トレ」にちがいない。朝の寝床で東の方の山の際から顔を出す太陽の光りを眺めていたら、休みを申告してしまったことが悔やまれていつもの休日より早めに起き上がる。
先日どんど焼きをした広場から眺める日向の山すそに広がる棚田の景色は一面の枯野だ。それでも雑木林を掠めてくる太陽光には春の諧調が含まれているような気がする。借家の敷地内の蝋梅がねっとりと重い香りを放っている。年が変わって綻んだ蕾がゆっくりと地味に開花する模様は枯れ景色の中の救いである。水仙、菜の花、梅と続いていく春への兆しを最初に伝える嬉しい花がいつもの蝋梅だ。
オフ日といっても安閑としていられない。ネット販売の機材をパソコンでだらだらとアップしていたら弱い冬の陽はすでに山の方に隠れている。ロールパン、珈琲、キウイとりんごのヨーグルト和え、丸大食品の不味な茹でウインナを二本という遅い昼食を摂っていたらすでに夕暮れになっている。町田か横浜市内への散歩も目論んでいたが、けっきょく時間切れになって外出は控えることに。
暮色が立ち込めて冷気が強まってきた。でかい音で暖をとるしかないと思って最近入手したCDをいつものフィッシャーKX-200真空管プリメインアンプとデッカのスピーカーで鳴らす。
TONI SORA&IGNASI TERRAZA TRIO NIGHT SOUND スペインの若手ジャズメンによるワンホーンアルバムだ。ブルーノートにはスタンレイ・タレンタインがまったりとブルースを吹くBLUE HUOR という名盤があるが、さしずめこのNIGHT SOUNDはBLUE HOURの現代ジャズバージョンみたいなもの。ピアニストのIGNASI TERRAZA この人のピアノがよい錘を作っていて同じスペインのピアニストで若き日に相当聞いたテテ・モントリュー的流儀を持っているのにおしゃべりピアノでないところが素晴らしい。TONI SORAのテナーサックスはグラント・スチュアートやハリー・アレンに通じるジャズの伝統保守主義の良き芯を体得している若手だが、この二人が醸しだすコンビネーションは涙ものだ。
スタンダードの「You've Changed」クインシー・ジョーンズの作った沈鬱な名曲「Quintessence」冬の夜半に温もってくるペーソスに溢れたこの二曲を何度も何度も聞き返していたら時計は早10時を廻ってしまっている。