Rainy or Shiny 横濱ラジオ亭日乗

モダンジャズ、ボーカルを流しています。営業日水木金土祝の13時〜19時
横浜市中区麦田町1-5

2012 元旦の遊び

2012-01-01 12:21:03 | 
夕べは同じ伊勢原でも西端にある大住台にすむ妹夫婦の家で、年越し蕎麦を早めな時間にご馳走になる。施設の無聊生活をいつも嘆いている90の母をクルマで迎えに行き、新年にかけて妹宅で過ごさせるのが目的だ。途中、模様替えして勝手がわからなくなった「わくわく広場」に寄って母が食べたがっている林檎、焼き芋、餡団子等を買ってやる。ここの団子は在の和菓子屋が卸しているから、ヤマザキパンがコンビニに卸しているみたいなメリケン粉の団子ではなく、昔ながらの上新粉を使っている。母は繰言の多さではボケているが、視覚や味覚の言語変換はそこいらのオネーチャンにも負けていない現役だ。さりげなく歯ごたえの柔らかな潰し餡をまぶした串団子を褒め称えながら、施設生活しているとはみ出してしまう、こうした嗜好を束の間の外出で補いたいという意欲をまだ持っていて表現できることがすごい。施設にも不況感が流れていて、今年でた天麩羅蕎麦と去年のものを比較して、蒲鉾の数、天麩羅などの具が減少したり小さくなっていることを、つぶさに観察して我々に報告して笑いをとっている。

暮も押し迫ってからひいた風邪が治らないないから、自宅へ戻り早寝の大晦日になってしまった。つい数日前、初台へ出かけ元自営業時代に助けられたSさんご夫婦と我が知人の4人で談笑する。病気と不意打ちめいた窮乏に囲まれたここ二年だが、Sさんの品格は昔と変わらず明るく安堵する。故郷の福島、縁の深い宮城の震災後の生活を聞いていて思った。独居生活ながら、いつもなら少しは彩を添えた晴れやかな食材を買っていたが、全て今年の正月は無しにすることにした。切り餅を2キロだけ。雑煮に添える野菜類を多少、それだけで元日を迎える。買い置きしてあった蒲鉾とはんぺんを具にした雑煮だけの元旦、マスコミなどでルポされている被災地民と共有できる正月があるとすればそんなことくらいだろう。

今朝新聞で読んだ対談記事中の池澤夏樹、ドナルド・キーンの言葉には、いくつか涙を呼ぶフレーズがこめられていた。

「われわれは震災という一つの物差しをもらいました。震災後、僕は何をするにしても、見るにしても、その物差しを当てて入る気がします」(池澤)

我が食生活は豪奢など本来無縁だが、池澤の語る「物差し」は風化させたくないことを心に念じておきたいものだ。。

薄日がさして山里の新春はほんのりと暖かい。30日に来訪された二人組の置き土産を暇にまかせて元日の遊びとしてみる。近所の渓谷有料釣り場であげた虹鱒だ。これをスモークするという伊勢原スローライフ2012第一ステップだ。チップは林檎と桜を半々、カセットコンロの弱火で半干ししておいた鱒にオリーブオイルを塗って一時間で完成。これは最初の新年客にだしてあげたいつもりで焼いてみた。