志太泉オフィシャルブログ

静岡県藤枝市の地酒の蔵元。志太泉酒造のブログ。違う角度から見た日本酒の現在とは

戯言 お酒編 2004年ごろ 1

2004-06-30 18:25:00 | アーカイブス
菊源氏
 4月末、旭化成大仁工場の日本酒生産が打ち切られるという事が発表された。今年の名古屋局鑑評会の結果に代表されるように、常に素晴らしい酒を鑑評会に出品してきた。鑑評会の利き酒会で何度となく旭化成の酒には感銘を受けている。
 大手である事が返って逆風となった面もあるかもしれないが、菊源氏の小室杜氏の技、技術陣の能力の高さはもっともっと評価されるべきであったと感じている。

強敵焼酎
 最近一ヶ月、芋焼酎を飲んでいる。そのまま、お湯割り、水割り、ロック、加水してお燗とほとんどフレーバーを加える以外のバリエーションは試してみたがそれぞれ楽しめるというのはなかなか日本酒にはない特徴だ。(個人的には加水してお燗がいちばんおいしいような気がする)
 また、開栓後の劣化も日本酒に比べるとはるかに少ない。
 でも酒に弱い人間として、対日本酒として一番脅威に感じたのはアルコール度が高いので、焼酎を少し飲んだらもう酔ってしまう事。寝る前にすこしずつ飲んでも720ML2本がなかなか終わらない。もし、一般消費者だったらこの一ヶ月間日本酒を買わなかったかもしれない。

おいしい酒って何?
 蔵元たるもの、ほとんどの蔵元は、おいしい酒を目指していると思う。ただ、おいしい酒ってなんだろうか?
誰にとっておいしい酒かという視点から思いつくまま列記すると
1.杜氏(蔵人)の嗜好を満足させる酒。
2.蔵元(経営者)の嗜好を満足させる酒。
3.酒販店の嗜好を満足させる酒。
4.飲み屋さんの嗜好を満足させる酒。
5.一般消費者の嗜好を満足させる酒。
6.評論家(マスコミ)の嗜好を満足させる酒。
7.専門家(鑑定官、各県の先生等)の嗜好を満足させる酒。
等々いくらでも思いつくが、もちろんそれぞれそれなりに意味深い事である。ただ3以降は、簡単にいえば多くの人がいろいろな意見を持っており、なかなか、なにがおいしい酒のファクターの決め手かを結論づけるのも難しいだろう。

但し2というのは、決めるのは他人の合意を得る必要がないと言う意味では簡単である。しかし、その蔵元の個々のグレードの酒に対してどのような酒にしたいのか極めて具体的な味のイメージを持つ事は容易ではない。
しかし、それよりも難しいのはそれに現実の酒を近づけていく事だ。妨げているのは技術的な問題ばかりではない。現実問題として自分の好きな感じの酒は売れないとか他の人がきらわれるから造らない(造れない)事もありうる事だ。

試飲会の後で
 複数の御蔵が参加する大きな試飲会の時は、試飲会後、蔵元同士懇親しましょうという場を主催者のご配慮設けていただく場合が多いです。こんな時には気の合う蔵元さんと話を出来るというのは自分にとってすごい有益な時間です。
 この時、どんな話をするかというと、まともに製造方法の各論を話す事もあれば販売について話す事もあります。原料米とかも貴重な情報が入る事も多いです。
 今年のある試飲会の後、話題は米作りの話になっていました。米造りへの関わりを持つ蔵元が増える中でも、(もちろん本業がある以上当たり前といえば当たり前ですが)本当に自らが相当時間を米作りにたずさわる時間を持つ蔵元は少数派です。米作りの実体験の中でたんぼの中に様々なゴミがすてられているという話を聞きました。そのたびに頭にくるんだけど、たまに自分の蔵の空瓶が捨てられていた時だけは飲んでくれる人がいるんだなとてもうれしくなるという話を聞きました。あんまりいい話っていうのは素直に聞けないのですが、この気持ちだけはすごくわかって自分の蔵の事のようにうれしかったです。
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