志太泉オフィシャルブログ

静岡県藤枝市の地酒の蔵元。志太泉酒造のブログ。違う角度から見た日本酒の現在とは

来る酒 逝く酒 

2007-08-10 18:09:09 | 地酒
「歴史と伝統のある蔵元が新しい挑戦を始める。」

なんかどこで聞いた事のあるフレーズです。

ただこのフレーズならなんでもありえます。
「東京進出」「海外進出」「ネット販売開始」
「焼酎進出」「冠婚葬祭業参入」「直営居酒屋開業」
その他いろいろありえますが…

まず、いちばんお手ごろな挑戦は、新商品を造る事です。
幸か不幸か日本酒において新商品を造ること自体はわりと容易です。

火入の製品の火入をやめれば生酒
ろ過と加水をやめれば無濾過原酒
上槽時に中取りすれば中取り
米と精米歩合の組み合わせ
速醸、山廃、生もとも選べます。
容量だって1.8L900ML720ML500ML300ML180ML
これを組み合わせで無限といっていいほど
造れるには造れるのですが…

これは、蔵にとっては初期出荷はかせげるし
はじめはいいんですけど
努力が分散すると当然定番品がおろそかになります。
そのため最近は極力新製品は造らないと思うんですが
とはいってもやはり造ってしまう事もまたあります。
まあ新しく造るなら一つ既存の商品を減らせばいいんですが
実際はなかなか減らせない。
このあたりが地酒の蔵元のわりと共通したジレンマではないかと思います。

この度、志太泉純米500MLを終売し純米の中容量は720MLのみとします。
志太泉500ML純米は黄緑色のリターナブル瓶に詰めた酒です。
リターナブル瓶はいわば国策で普及させようとした瓶で
全国新酒鑑評会でこれが使われるのもそのためだと思われますが
名前に反して回収する事が非常に難しい瓶です。
田舎の酒屋さんなら一升瓶はだいたい店の近くの空き地に
P箱に入れて積み上げてあるので回収できますが
500MLの回収瓶をとっておく酒屋さんはまず皆無です。

お酒の市場からするとお酒があまり強くない私からすると
家庭用にも飲食店用にもけっこう使える容量のような
感じがしますが、実際はさっぱりです。

なかなか世の中難しいですね。