３本のコルトン・シャルルマーニュ７７ページ目

【７７ページ】


和音　　　右端の最初のワインのヴィンテージが１９９８年です。

　　　　　真中のワインは１９９７年です。

　　　　　最後に飲んだ左端のワインのラベルも１９９７年です。


会長は、テイスティング対決に勝ったと思った。


会長　　　それでは、ワインを包んでいる紙を取り払います。

　　　　　右端のワインのヴィンテージは１９９８年です。

　　　　　真中のワインは１９９７年です。

　　　　　おや？

和音　　　どうかされましたか？

会長　　　いや！

　　　　　左端のワインのヴィンテージも１９９７年です。

　　　　　３本共和さんの正解です。

和音　　　シャルマーニュ皇帝から、白ワインを造るように命じられ、最初の

　　　　　ワインを差し出した時の気持ちはどうだったのでしょうね？

会長　　　固唾を呑んで、見守ったのではないですか。

和音　　　そして、皇帝からすばらしいワインだとお褒めの言葉を頂き、それまで

　　　　　の苦労が報われたと喜び合ったでしょうね？

　　　　　今夜は、すばらしいブルゴーニュの赤ワインと白ワインでした。

　　　　　ありがとうございました。

会長は、和音を玄関まで見送った。


７８ページに続きます。

3本のコルトン・シャルルマーニュ７６ページ目

【７６ページ】


和音は、右端のワイングラスを手に取り、香りを嗅いだ。そして真中のグラス、左

端のグラスに対しても同じ動作をした。香りを嗅いだ後、右端のワインを一口飲ん

だ。


和音　　　このワインを飲むと、シャルルマーニュ皇帝が、赤ワインで赤く染まっ

　　　　　たひげを周りの人々に笑われて、悔しがっているシーンがまるで目に浮

　　　　　かぶようです。

会長　　　和さんのワインに対する表現は、直接的なワインの味覚に関するもので

　　　　　はなく、イメージ的なものなのですね？

和音　　　はい。


次に和音は、真中のワイングラスを手にとり、テイスティングを行なった。


和音　　このワインからは、別のイメージが湧いてきました。

会長　　違うヴィンテージということですね？

和音　　おそらく？

　　　　シャルルマーニュ皇帝から、赤ワインを造ることを禁じられた人々が、

　　　　苦難を乗り越えて、おいしい白ワインができたことを喜んでいるシーン

　　　　が目に浮かびます。


最後に左端のワインを手にとり、一口、口に含んだ。


和音　　真中のワインと同じイメージですね。

会長　　それでは、３本のヴィンテージを答えてください。

７７ページに続きます。

３本のコルトン・シャルルマーニュ７５ページ目

【７５ページ】


和音　　　ワインの場合は、さらに繊細で複雑さを増します。

　　　　　隣り合う畑でもまったく別物のワインになる。

会長　　　そして同じ畑でも、造り手によって別物になる！

　　　　　ところでこのワインはいかがですか？

和音　　　とてもおいしいワインですね。

　　　　　ボルドーでは、２０００年、２００３年、２００５年が当り年の

　　　　　ヴィンテージと言われていまが、ブルゴーニュの２００２年は

　　　　　当り年だと思います。

会長　　　同感だね。

　　　　　和さんとは、楽しくシャンベルタンを飲み、食事と会話も楽しみ

　　　　　ましたが、そろそろテイスティング対決に移ってもいいですか？

和音　　　ええ、いいですよ。

会長　　　こちらのテーブルに紙でラベルを隠した３本のコルトン・シャルルマー

　　　　　ニュを用意しています。

　　　　　これから３本のワインを３つのワイングラスに注ぎますので、それぞれ
　
　　　　　のヴィンテージを当ててください。

和音　　　ワイン名を教えても、このテイスティング対決に勝つと思っているので

　　　　　すね？

会長　　　いいえ、チャレンジです。



７６ページに続きます。　　　　

３本のコルトン・シャルルマーニュ７４ページ目

講談社の世界名酒事典２００８－２００９年版で調べてみると、シャンベルタンが

９種類、ジュヴレシャンベルタンが６８種類掲載されていました。

例えばボルドーのシャトー・マルゴーは一つしかありません。

ブルゴーニュのワインは、これだけ種類が多いといいワインも悪いワインも

あると思います。


【７４ページ】

和音　　　　　それに対してドメーヌは、栽培から瓶詰めまで行なっている

　　　　　　　生産者です。

会長　　　　　これらのことが判ってくると、ブルゴーニュのワイン選びも

　　　　　　　楽しくなってくるね？

和音　　　　　２本目のワインもすばらしいワインですね？

　　　　　　　今後の熟成が期待できるので、おみやげに頂きたいほどです。

会長　　　　　このワインのヴィンテージは２００３年だと思う。

　　　　　　　おみやげに２００３年を用意しているのですよ。

和音　　　　　催促したみたいで申し訳ございません。

会長　　　　　いいえ。

　　　　　　　２００３年のヴィンテージで合っている？

　　　　　　　３本目を開けてください！

専属ソムリエ　はい、２００３年です。

会長　　　　　ブルゴーニュの赤ワインのブドウ品種はピノ・ノワールで

　　　　　　　白ワインのブドウ品種はシャルドネだね？　

和音　　　　　そうです。

　　　　　　　しかし、単一のブドウ品種から生産されるのに、産地が違えば

　　　　　　　まったく別物になる！

会長　　　　　お米で考えればわかりやすいよね？

　　　　　　　同じこしひかりでも産地が違えば、味も違い、価格も違う。　　　　　　　　　　
　
７５ページに続きます。　　

３本のコルトン・シャルルマーニュ７３ページ目

【７３ページ】

会長　　　　　　ボルドーのワインはシャトー○○○○と言えば一つしかないのだ　　　　　　　　
　　　　　　　　が。

和音　　　　　　しかしブルゴーニュは、おいしいワインを探す楽しみもあるわけ

　　　　　　　　です。

　　　　　　　　このワインは、とてもおいしいですね？

会長　　　　　　ありがとうございます。

　　　　　　　　おや？これは２００１年のヴィンテージ？

　　　　　　　　和さんを試そうとしてもダメだよ！

専属ソムリエ　　申し訳ございません。

　　　　　　　　２００１年、２００２年、２００３年の連続したヴィンテージ

　　　　　　　　のシャンベルタンを味わっていただきたくて！


シャンベルタンと料理と会話を楽しんだ後、２本目のワインが抜栓された。


会長　　　　　　先ほどの話の続きになりますが、私は、ブルゴーニュワインの

　　　　　　　　生産者のドメーヌとネゴシアンの違いも判りませんでした。

和音　　　　　　ブルゴーニュワインの複雑さは、一つのブドウ畑の所有者が何人

　　　　　　　　もいるからですね。

会長　　　　　　小規模なところが多い！

和音　　　　　　彼らは、瓶詰めなどの設備を持っていない。

会長　　　　　　そこでネゴシアンというワイン商が活躍するわけだ！

　　　　　　　　彼らから、ワインを買い集め、瓶詰めにして、独自のブランド

　　　　　　　　で販売している。