ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

ワインバーでのひととき ファースト(改訂) 23ページ目 若手天才ソムリエシュヴァリエ来日 

2011-12-31 15:45:41 | ワインバーでのひととき1改訂四話 完
【23ページ】


「私のテイスティングの番ではないので・・・・。」

「そうだったね!」

ルヴォル大使は、ラプリュイに目で合図しながら、

「和さんの答えのシャトー・ペトリュス1973年で正解かどうか、ワインの紙を

取り払ってみましょう。」

大使の専属ソムリエのラプリュイが紙を取り払い、ラベルを3人に見せた。

「和さんの正解です!次は、シュヴァリエのテイスティングの番ですが、先に、この

シャトー・ペトリュス1973年を皆で飲み干しましょう。」


 ラプリュイは、3人のグラスにシャトー・ペトリュスを注いだ。

「和さんから、ニューヨークの話が出たので、私のニューヨークの思い出話をしても

いいかな?」

「ぜひ、聞かせてください。」「ええ、私も。」和音とシュヴァリエが言った。

「私が、アメリカのフランス大使館員としての勤務が決まった時、友人の一人が

ニューヨークのガイドブックを持ち出してきたのです。」

大使は、シャトー・ペトリュスを飲み、一息つくと、話を続けた。

「彼は、ガイドブックに乗っているある品物を指さして、これを買って、

送ってほしいと私に頼んだのです。」

「ある品物とは?」和音が訊ねると、

「それは、この色巻きたばこなのです。」

ルヴォル大使は、ポケットから取り出し、二人に見せた。



ワインバーでのひととき ファースト(改訂) 22ページ目 若手天才ソムリエシュヴァリエ来日

2011-12-30 20:29:17 | ワインバーでのひととき1改訂四話 完
【22ページ】


 シュヴァリエは、和音がワイン名とヴィンテージの答えを出さないので、イラつきの

表情が浮かべた。

「おや!」和音は驚きの声をあげた。

「彼らのテーブルの上に、何て大きなワイングラスが置かれているのだろう。

そして、ソムリエは、それらのワイングラスに『ナミナミ』とワインを注いでいる。」


 和音は、目を開けて、ルヴォル大使を見つめた。ワイン名とヴィンテージの答えは、

これでどうですか?と言っているようだ。

「今までの和さんの話が、ワイン名とヴィンテージの答えだと?」

ルヴォル大使は、和音の話から、彼のワイン名とヴィンテージの答えを見抜いた。

「シュヴァリエ、それで異論はないかね?」

「異論はないかと言われても、和音さんは、何も答えていませんが?」

「ロックフェラー、ケネディ、オナシスなど大富豪や大政治家が愛飲して、上流階級の

ステータスシンボルにのぼりつめたワインの逸話を知っているよね?」

「ええ、その話は勿論!しかし和音さんがそのワインのことを言ったと仮定しても

 ヴィンテージは答えていませんよ!」

「和さん、シュヴァリエが納得するように答えてやってもらえないですか?

彼は若手天才ソムリエですが、まだ遊びのセンスが少し欠けているようです。」

「私の答えは、ボルドーでもっとも小さな地区、ポムロールのシャトー・ペトリュス

です。ヴィンテージは1973年です。」

「シュヴァリエも1973年のシャトー・ペトリュスと思いますか?」



ワインバーでのひととき ファースト(改訂) 21ページ目 若手天才ソムリエシュヴァリエ来日 

2011-12-29 22:46:48 | ワインバーでのひととき1改訂四話 完
【21ページ】


 ワインを受け取ったラプリュイは、それを抜栓し、3つのワイングラスに注いだ。

「和さん、テイスティングをお願いします。」

そして、ルヴォル大使は、シュヴァリエにも飲むよう勧めた。

「私もテイスティングですか?」

「いや、テイスティング対決用の3本は、とっておきのワインを用意したので、

我々もいただきましょう。」


 和音は、グラスを手に取って、一口含んだ。

シュヴァリエも一口飲み、ワイン名は判ったという顔をした。

和音は、さらに一口飲んだ。

「とてもおいしいワインですね?」

「ワイン名とヴィンテージは判りましたか?」

ルヴォル大使が聞くと、和音はそれには答えず、目を閉じ、一口飲んだ。

「ある光景が目に浮かんできました。クリスマスシーズンを迎えたニューヨークの

街並みは、イルミネーションに飾られてとても華やかだ!」


 和音は、目に浮かんだ情景を話しながら、さらに一口飲んだ。

「おお、あるレストランの前に次から次へと高級車が止まり、人が降りてくる。

彼らは、政治家風の人、実業家風の人、俳優や女優を思わせる人々だ!」


 和音は、また一口含んで、話を続けた。

「今度はレストランの中の光景が目に浮かんできました。テーブルには、数人

が座り、食事とワインを楽しんでいる。」

ワインバーでのひととき ファースト(改訂) 20ページ目 若手天才ソムリエシュヴァリエ来日

2011-12-28 23:14:21 | ワインバーでのひととき1改訂四話 完
【20ページ】


「それでは、テイスティング対決に移りましょうか?」

「ええ、いいですよ!」と和音が言えば、

「承知しました。」とシュヴァリエも答えた。


 それを聞いたルヴォル大使は、テイスティング対決の内容について説明を始めた。

「こちらにテイスティング対決用のワインを3本用意しています。」

ルヴォル大使は、和音とシュヴァリエに3本のワインを見せた。

もちろんラベルのワイン名とヴィンテージを隠すためにボトルを紙で覆っている。

「1本は、和さんがテイスティングをして、ワイン名とヴィンテージの答えを出します。

和音は、頷いた。

「別の1本は、シュヴァリエがテイスティングし、ワイン名とヴィンテージを答えて

もらいます。」

「承知しました。」

「3本目は、二人同時にテイスティングを行い、紙にワイン名とヴィンテージの答えを

書きます。」

ルヴォル大使は、3本のワインの中から1本を取り出し、二人に見せた。

「どちらから先にテイスティングをしますか?」

「私から、します!」和音は、シュヴァリエを見て、了解を求めた。

「和音さんからどうぞ!」

シュヴァリエにとっては、順番はどうでもよかった。


 ルヴォル大使は、専属ソムリエのラプリュイにワインを手渡した。

ワインバーでのひととき ファースト(改訂) 19ページ目 若手天才ソムリエシュヴァリエ来日

2011-12-27 20:33:43 | ワインバーでのひととき1改訂四話 完
【19ページ】


「ところで、和さん、神戸のフレンチレストランで、マリーナヴィレッジというお店

知っていますか?」

「私は、まだ行ったことがないですが、関西でNO1のフレンチレストランとうわさ

されているお店ですね?」

「先日、関西の財界の方々と懇談会の後、その店に行ったのです。」

「料理は、うわさ通りのおいしいお店でしたか?」和音は、ルヴォル大使に聞いた。

「ああ、とてもおいしかったよ!地元の最高の食材を使ったフレンチなので、パリ・

デュ・パリに匹敵するいい店だった!」

「ソムリエは、どうでしたか?」シュヴァリエは、料理よりもソムリエの方により

関心があった。

「ワインのサーブは、チーフソムリエに、サブとして新人の女性ソムリエがして

くれた。」

「サブは、新人のソムリエだったのですか?」

シュヴァリエは、驚きの声をあげた。

「ルヴォル大使に対して、失礼な対応ですね?」

「いや、フランス語ができるから選ばれたと言っていたが、とても優秀なソムリエ

だったので実力で選ばれたのだろうと思う。」

「ルヴォル大使から、優秀だと誉められた女性ソムリエを一度見てみたいものです。」


「さて、和さんもシュヴァリエも食事とワインを楽しんでくれました?」

「ええ、とても」二人は、同時に返事した。