ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

あべのハルカズBAR 134ページ目  神戸ワイン倒産 

2014-08-30 07:34:48 | あべのハルカズBAR1 四話 完
【134ページ】



「味覚オンチだと思われるのが怖い?」

「そうだ!

最初から米国の神戸牧場の最高の牛肉を食べに来ていた

というフリをしているのさ」


 大谷は、受付に行き、予約客であることを告げる。


「大谷様ですね?

PM6:00に4名様で個室を希望と承っております。」


 女性の店員に、個室に案内される途中で、アグネス ラムと綾瀬はるかに

そっくりな二人はセレブな客達の視線を浴びた。


「今通った女性、昔のアグネス ラムに似ていなかった?」

「アグネス ラムの娘かな?」

「もう一人は綾瀬はるかに違いない!」

「女優とモデルとの何かの打ち合わせに違いない!」


 セレブな客達はこんな会話を交わしていた。


 個室に案内されると、大谷は特選ロース10人前と生ビール4杯を注文した。

そしてワインは神戸ワインをボトルで注文する。


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神戸ワイン





「神戸フルーツ・フラワーパークを運営する神戸ワインが倒産したんだ。

神戸ワインが飲めなくなるかもしれないから、今日はしっかり飲んどけよ」

「ほんとうですか?

神戸フルーツ・フラワーパークには子供の頃行ったことありますよ!」




※2014年7月14日 兵庫県の(株)神戸ワインは7月1日に神戸地裁へ特別清算を申請し、

同日、同地裁より特別清算開始決定を受ける。


あべのハルカズBAR 133ページ目  焼肉10人前を食べに 

2014-08-29 20:11:50 | あべのハルカズBAR1 四話 完
【133ページ】



「神野々社長の家への落書きはいつ決行するんですか?」

「神野々社長の自宅は、御影にあり、神戸牛の神野々路も御影にある。

ここにある一万円札をすべて使って、神野々路で特選ロースの焼肉を10人前食べる。

その後、決行だ!

これから出発すれば、ちょうど夕飯の時間だ!」

「セレブご愛用の店で高級焼肉を食べまくるぞ!

アニキ、アグネス ラムはどうするんですか?」

「セレブの服を着せて同行する。

直樹にもセレブの彼女を出してやる。

この雑誌のどの子がいいかな?」

「表紙の子でいいです。」



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集英社






 大谷は、雑誌の表紙から、グラビアアイドルを呼び出した。

そしてファッション雑誌からドレスを2着取出した。


 神野々路に6時からの予約を入れ、四人はタクシーに乗り、御影の神野々路に向かった。

店内に入ると、客で賑わっているのに大谷達は驚いた。


「アルバイトの投稿事件で、客が少ないと思ったが、混んでいる」

「そうですね? アニキ、何ででしょうか?」

「セレブ達のプライドかな?

投稿事件後に、この店に行かなくなったら、自分達は神戸牛と米国牛も見分けられないと

思われてしまう。」

あべのハルカズBAR 132ページ目  神戸牛は神戸牛(かんべぎゅう)であった

2014-08-28 06:20:29 | あべのハルカズBAR1 四話 完
【132ページ】



 池山は、紙を受け取り、声を出して読んだ。

「神野々正一(こののしょういち)

神戸牛専門の焼肉・すき焼き・しゃぶしゃぶ店神野々路の社長

神戸市の芦屋、御影、岡本に3店舗展開。

アルバイト社員の投稿写真で、神戸牛が実は米国産牛だと判明。

神野々社長の記者会見で、メニューには国産の神戸牛だと表示

していない。アメリカの神戸牧場(かんべぼくじょう)から最高級の

神戸牛(かんべぎゅう)を輸入し、使用していると牛肉偽装を否定した。」


 池山は、紙を読み終えると、顔を上げて大谷を見た。


「今回もこの社長の家に落書きするんですか?」

「ああ、この前は平和新聞の社主の家に落書きした。

それは、妹が痴漢に襲われた時、助けに行かなかったコンビニ平和の

店長を懲らしめ、その経営者にも不快感を与えるためであった。

その時、悪いやつをやっつけるために落書きしたことで爽快な気分に

なったのだ。」


 大谷は、アグネス ラムの肩を抱き寄せた。


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(※雑誌の中身の一部を検索できるようになっていて、アグネス・ラムの写真を数枚見ることができました。)


池山は「あっ!」と声をあげた。


「心配するな! 

俺は式神をコントロールすることができるのだ。

俺達は、このパワーを得た落書きチームになり、正義のために

落書きをすることを決心した。」

あべのハルカズBAR 131ページ目  金は身を亡ぼす魔物 

2014-08-27 23:16:53 | あべのハルカズBAR1 四話 完
【131ページ】




「ア、アニキ、アグネス ラムをそっちに呼んでくださいよ」


 雑誌から飛び出した水着姿のアグネス ラムは池山に寄り添い、

誘っていた。


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「直樹、抱いてやれよ」

「翔一リーダー、冗談はやめてください!

アグネス ラムを抱くと、生気を奪われるから気をつけろと注意して

くれたばがりじゃないですか」

「グラビアアイドルのクイーンを拒むなんて、信じられないなあ。

直樹なら絶対抱くと思ったのだが・・・・・。

ああ、直樹のミイラ姿を見たかったのに・・・・・」


 大谷は、笑いながら、アグネス ラムに手招きをする。


「もうひとつの理由とは、金はセクシーな式神と同様に、身を滅ぼす

魔物であるということだ。

手に入れた金以上に欲望が生み出されるものだ。

果てしない欲望を満たそうと金を作り出していくと、俺のエネルギーが

消滅してしまうのだ。」

「アニキ、よく分かった!

欲望は落書きをすること一つに抑えます。」

「その落書きのことだが、今度の相手はこれだ!」


 大谷は、名前とプロフィールを書いた紙を手渡した。



あべのハルカズBAR 130ページ目  オークションで一日5万円稼ぐ 

2014-08-25 23:40:42 | あべのハルカズBAR1 四話 完
【130ページ】


 大谷 翔一がグラビアアイドルを雑誌から取り出すことができ、マジシャンゼロの

特番が放送された日から一ヶ月が経っていた。


 大谷は、落書き仲間の池山 直樹に、隠れ家用にワンルームマンションを借りさせ、

ヤフーのオークションで一日5万円前後稼いでいた。

テーブルの上には、大谷が呼び出した一万円札が数枚並べられていて、

その一枚を池山が手に取り、しげしげと眺めている。


「翔一リーダー、オークションで稼ぐより、一万円をそのまま使った方が

手っ取り早く、もっと儲かるのでは?」



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「今、オークションで販売している妖怪ウオッチ零式は、2週間存在させる

ことができるが、それが消えて、盗まれたと思っても警察に届けないだろう。」

「一個当たりの単価は高額ではないから?」

「そうだ。ところが、俺たちが一万札を大量に使って、それが消えたら、警察に届ける

者が何人も出るだろう?

すると警察の捜査が入り、買い物した店の防犯カメラに共通して俺らが

映っていて、怪しまれる。」

「でも消えてしまっているから証拠は何もないでしょう?」

「ああ、逮捕されて、罪に問われることはない!

しかし行動を監視されるので、俺らの楽しみの落書きができなくなる。」

「あっ、そういうことですか」

「それにもう一つ理由がある。」