ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

3 ピアニストの音符 126ページ目 

2009-12-31 10:40:58 | ワインバーでのひととき1~5アイデア集
【126ページ】


ピアニスト  社長が、和さんを見送っていた間、考えていたのですが・・・。

社長     何を?

ピアニスト  和さんのイメージの中で、私が彼女の足を踏みそうになったと言っ

       たでしょう?

社長     そうでしたね。

ピアニスト  私がワルツの演奏中に、「音符買えました?」という声が聞こえた

       気がしたのです。

       それで、一瞬戸惑って、間違いそうになったのです。

社長     私は、まったく気づきませんでした。

ピアニスト  たぶん音楽の評論家でも気づかなかったと思います。

社長     それを和さんは、気づいていたと?

ピアニスト  はい。

       それを、私が彼女の足を踏みそうになったと表現したのです。 

社長     なるほど!

       さすが和さんだね?

3 ピアニストの音符 125ページ目

2009-12-31 07:24:32 | ワインバーでのひととき1~5アイデア集
 今年も、今日一日で終りですね。

 『ワインバーでのひととき』のシリーズ1から3まで継続して、読んでいただき

ありがとうございました。


【125ページ】


社長    どうかされましたか?

和音    川辺さんが、令嬢の足を危うく踏みそうになったのですよ。

社長    それが、ラベルに書かれた曲名と関係あるのですか?

和音    いいえ。

      私の答えを言いましょう。

      川辺さんはノクターンと答えて正解でした。

      残りは、ポロネーズとワルツの二つです。

      このワインを飲むと、ワルツを踊っているイメージが浮かびました。

社長    答えはワルツ?

和音    そうですね。


社長は、包み紙をとって確認した。


社長    ワルツです。

      和さんも正解です。

      二人は、どちらもすばらしい!

      同じシャトー・クリネの同じヴィンテージ2000年の違いを

      見分けることができるなんて!

和音    今夜は、本当に楽しいワイン会でした!


社長は、和音を玄関まで見送った。


社長    先生、すばらしい対決でしたね?

      お陰で和さんと互角の勝負ができました。




     
 

3 ピアニストの音符 124ページ目 

2009-12-30 20:05:57 | ワインバーでのひととき1~5アイデア集
【124ページ】


ピアニスト  このワインを一口含むと、口の中に音符が弾けるようだ!


そして川辺は、ノクターンの旋律を口ずさみ始めた。


社長     ラベルには、ノクターンと書かれているということですね?

ピアニスト  はい!


社長は、ワインを覆っている紙を取り払った。


社長     ノクターンです。

       先生の正解です。

       次は和さんの番ですよ!


社長の専属ソムリエは、和音の選んだシャトー・クリネ2000年を抜栓し、グラ

スに注いだ。

和音     とてもおしいワインですね?

       このワインを口に含むと音符が弾けるようですね?

社長     本当ですか?

和音     冗談です。

       私には、川辺さんのように音符を感じることができない!


和音は、目を閉じてさらに一口飲んだ!


和音     こうして目を閉じていると、川辺さんと令嬢がワルツを踊って

       いるシーンが浮かんでくる!

       軽やかに、楽しそうに踊っていますね。

       おや?
       

3 ピアニストの音符 123ページ目

2009-12-28 23:52:49 | ワインバーでのひととき1~5アイデア集
【123ページ】


 川辺は、一瞬戸惑ったように見えたが、その後何事もなかったように演奏を続け

た。そしてすばらしい演奏が終わった。


社長    すばらしい演奏でした!

      今夜は、和さんと共にシャトー・クリネを楽しみ、先生の失恋の

      話で盛り上がりましたが、和さん、そろそろテイスティング対決を

      お願いしてもよろしいでしょうか?

和音    ええ、いいですよ。

社長    先生に、ノクターン、ポロネーズ、ワルツを演奏していただきまし

      た。

      こちらのシャトー・クリネ2000年の3本が、演奏の時、それぞれ

      ピアノの上に置かれていたワインです。

和音    そうでしたね。

社長    これらのワインは、紙に覆われていますが、ラベルには演奏に合わせ

      て、ノクターン、ポロネーズ、ワルツと書いています。

      和さんと先生、3本の中から1本選んでください!


ピアニスト 和さんからどうぞ。


和音と川辺は1本づつ選んだ。


社長    それでは、先生からテイスティングをお願いします。

      そしてラベルに書かれた曲名を当ててください!


社長の専属ソムリエは、川辺の選んだワインを抜栓し、グラスに注いだ。 
 



3 ピアニストの音符 122ページ目

2009-12-27 07:04:19 | ワインバーでのひととき1~5アイデア集
【122ページ】


ピアニスト  ああ! 私の不用意なひと言がいまだに彼女を苦しめているのか?

       彼女に会えますか?

       会って詫びたい!


社長     彼女の父親からも頼まれているのです。

       私が後援しているピアニストの川辺さんが娘の想い続けている

       人のようなので、付き合っている人がいるか聞いてほしいと。

       もしいないようだったら、もう一度娘と会う機会を作ってほしい

       そうです。

ピアニスト  ぜひお願いします。

社長     すぐ連絡を入れましょう。


社長は、携帯電話で、彼女の父親に連絡を取った。


社長     彼女は、父親の仕事の手伝いをしているので、休みはいつでも

       取れるそうです。

       日時は、お任せするとのことです。

ピアニスト  ありがとうございます。

       それでは、最後の曲ワルツの代表作第一番変イ長調を弾かせて

       頂きます。


和音は、目を閉じると二人がワルツを踊っているシーンが浮かんだ。そして

彼女は、微笑みながら彼の耳元で「音符買えました?」とささやいた。


和音     音符買えました?