３本のコルトン・シャルルマーニュ７２ページ目

【７２ページ】


会長　　　　　見事な出来栄えだ！

　　　　　　　この３本のコルトン・シャルルマーニュを、和さんとのテイスティ
　　　
　　　　　　　ング対決に使用する。


二ヶ月後、会長のプライベートワイン会が開催された。


和音　　　　　会長、お久しぶりです。

　　　　　　　今夜は、ブルゴーニュのもっとも有名な赤ワインを飲ませて

　　　　　　　頂けるのですね？

会長　　　　　ブルゴーニュの赤ワインの当り年と言われている、１９９９年、

　　　　　　　２００２年、２００３年のシャンベルタンを用意しています。

和音　　　　　それは、楽しみです。

会長　　　　　料理の用意もできましたので、ナポレオンが愛したワインを

　　　　　　　開けましょう。


会長の専属ソムリエによって、シャンベルタンが抜栓された。


会長　　　　　ワインに興味を持ち始めた頃は、シャンベルタンとジュヴレ・シャ

　　　　　　　ンベルタンとの違いも判りませんでした。

和音　　　　　シャンベルタンは特級畑名のワインで、ジュヴレ・シャンベルタン

　　　　　　　は村名ワインですね？

会長　　　　　そして、シャンベルタンのように同じワイン名でも生産者が何人

　　　　　　　もいて、まったく別物ということも知れませんでした。

和音　　　　　ブルゴーニュのワインはボルドーのワインに比べて難しいですね？

３本のコルトン・シャルルマーニュ７１ページ目

【７１ページ】

会長　　　　　おっと、話がそれたが、２本目のヴィンテージは１９９７年だと

　　　　　　　確信する。

専属ソムリエ　これも正解です。

　　　　　　　３本目を試してください！

会長　　　　　コルトン・シャルルマーニュの誕生には、おもしろい逸話があるの

　　　　　　　だが。

専属ソムリエ　赤ワインを飲んだ時、シャルルマーニュ皇帝のひげが赤く染まり、

　　　　　　　それを周りの人々がはやし立てたのですね？

会長　　　　　怒った皇帝は、赤ワインを造るのを禁止したのだ。

　　　　　　　しかし皇帝のひげをはやし立てる勇気のある人は実際いたのかね？

専属ソムリエ　それは、難しいですよね。

会長　　　　　おや？　　３本目も１９９７年？　　

専属ソムリエ　いえ、１９９６年です。

会長　　　　　１９９７年とそっくりだ！

　　　　　　　どうしたら、このようなワインになるの？

専属ソムリエ　会長が間違うほどですから、完璧なワインと言えますね？

　　　　　　　実は、低温倉庫で熟成させたのです。

　　　　　　　１９９７年と１９９６年を何度も飲み比べし、その都度温度を

　　　　　　　微調整させ２年間熟成させました。

　　
　　　　　

３本のコルトン・シャルルマーニュ７０ページ目

【お知らせ】


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【７０ページ】


会長　　　　　ソムリエとして当然だよ！

　　　　　　　それらは、ブルゴーニュを代表する白ワインというより、世界最高

　　　　　　　峰の白ワインだからね。

　　　　　　　ソムリエは、それらすべてに精通する必要がある！
　
専属ソムリエ　会長、１本目のコルトン・シャルルマーニュを注ぎます。

　　　　　　　ヴィンテージを当ててください！

会長　　　　　コルトン・シャルルマーニュは、本当にうまい！

　　　　　　　このワインを口に含むと、テイスティングしてヴィンテージを

　　　　　　　当てようと思わなくても、自然と判ってしまう。

　　　　　　　これは、１９９８年のヴィンテージでしょう。

専属ソムリエ　さすが会長！

　　　　　　　２本目を開けますよ。

　　　　　　　会長は、なぜコルトン・シャルルマーニュがお気に入りなのですか

　　　　　　　？

会長　　　　　私がこのワインを愛する訳は、西ローマ帝国の皇帝が誕生させた

　　　　　　　ワインだからです。

　　　　　　　少年から青年にかけて、西洋史に非常に興味をもっていて、カール

　　　　　　　大帝は、私のヒーローだったのです。

専属ソムリエ　カール大帝のフランス語読みが、シャルルマーニュですよね？

会長　　　　　そうだ！


７１ページに続きます。

３本のコルトン・シャルルマーニュ６９ページ目

【６９ページ】


専属ゾムリエ　　自信作がやっとできました！

会長　　　　　　それでは、さっそくテイスティングさせてもらおう。

専属ソムリエ　　こちらの３本の内、１本がそのワインです。

　　　　　　　　会長のお気に入りのコルトン・シャルルマーニュのヴィンテージ

　　　　　　　　を当ててください。

会長　　　　　　私は、ずっとコルトン・シャルルマーニュを愛飲しているのだ

　　　　　　　　よ。ヴィンテージを当てるのは、トップクラスのソムリエ以上に

　　　　　　　　自信がある！

専属ソムリエ　　会長のプライベートワイン会に和音さんを招待し、テイスティン

　　　　　　　　グ対決を挑むのですよね？

会長　　　　　　そうだ！

専属ソムリエ　　テイスティング対決にかけては、ソムリエも敵わないとうわさの

　　　　　　　　彼に勝つには、会長の味覚を狂わすほどの出来栄えでないと！

　　　　　　　　１本目のワインを開けます。

会長　　　　　　ブルゴーニュには、白ワインも有名なグラン・ヴァンが数多く

　　　　　　　　あるよね？

専属ソムリエ　　はい。

会長　　　　　　それらの中でもコルトン・シャルルマーニュが一番好きだ！

専属ソムリエ　　私は、モンラッシェやムルソーやシャブリも好きで、会長の

　　　　　　　　ように絞りきれません。


７０ページに続きます。

おいしいワインとは？６８ページ目

【６８ページ】


和音　　　　田辺さんの最初の質問に戻りますが、一番の問題点は、販売者がおい

　　　　　　しいワインを売っているという錯覚があります。

マスター　　田辺さん、このワイン飲んでみて！

田辺　　　　いただきます。

　　　　　　おいしいと評価されたワインを売っているのでしょう？

和音　　　　そうです。

　　　　　　ワインを飲み慣れていない人々にとっては、それらは渋くて、酸味が

　　　　　　強いと感じる場合が多いのです。

田辺　　　　和さんなら、どうしますか？

和音　　　　これは、田辺さんが考えたほうがいいでしょう。

田辺　　　　そうね。

　　　　　　ソムリエとしても、彼らにどのようなワインを奨めたらいいのか

　　　　　　知らないといけないですね？

　　　　　　マスター、このワインとてもおいしいわ！

　　　　　　シャトー・マルゴー２０００年？

マスター　　そうです。

　　　　　　もう一杯サービス！


６９ページに続きます。

和音の新しいテイスティング対決が始まります。