ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

4 イタリアワインの勉強 ⑤ 108ページ目 

2010-06-28 23:30:20 | ワインバーでのひととき1~5アイデア集
【108ページ】


和音    マスター、良子さんが来たら、ワイングラスをプレゼントするので、この

      ワインを出してくれる?

マスター  承知しました。

      これは、青い色のスパークリングワインですね?

和音    飲んだことある?

マスター  いいえ。

和音    では、一緒に味見をしよう!


その時、良子が仕事を終えて、店にやってきた。


良子    マスター、こんばんは!

マスター  いらっしゃい!

良子    和さん、メール見たわ!

      素敵なプレゼントって何?

和音    これだよ!

良子    箱を開けてもいい?

和音    開けてみて!

良子    わー、素敵な切子のワイングラスだわ!

      ブルーのグラスに、描かれているのは、人魚とサンゴとブドウの葉?

和音    海の波に浮かブドウの葉だそうです。

      この葉からブドウの品種判る? 

良子    カベルネ・ソーヴィニヨンやピノ・ノワールやシャルドネではないですね?     
  

      

4 海の切子のワイングラス 107ページ目 

2010-06-24 21:02:19 | ワインバーでのひととき1~5アイデア集
【107ページ】


和音   今回は、とても迷いました!

     ひとつお聞きしてもいいですか?

社長   何でしょうか?

和音   今回もブドウの葉に気を彫り込めていたのですか?

社長   いいえ、今回は何も依頼していません。

     何も依頼しないことがトリックだったのです。

和音   そうか!                                     
     私自身が、前回のカベルネ・ソーヴィニヨンの幻影に惑わされていただけだった 
     のだ!

社長   私もひとつ聞いてもいいですか?

和音   どうぞ!

社長   そのような状況の中でどうしてブルーだと判ったのですか?

和音   何も考えない!

     何も感じない!

     頭も心も無の状態にリセットして、もう一度ワインを味見したのです。

     すると、人魚の「ブルー」という声が聞こえた気がしたのです。

社長   それでブルーと?

和音   はい。

     人魚の声を信じました。

社長   グラスの人魚が話しかけましたか?

     この海の切子のワイングラスは、和さんに持って帰ってほしいのでしょう。
      

        

4 海の切子のワイングラス 106ページ目 

2010-06-23 21:01:45 | ワインバーでのひととき1~5アイデア集
【106ページ】


社長   迷っているようですね?

     じっくり味見して、答えてもらっていいですよ!

 和音は、カベルネ・ソーヴィニヨンの切子のワイングラスに味覚を狂わされた時、良子と

朝までワインを飲んで、カベルネ・ソーヴィニヨンの気を消滅させたことを思いだしてい

た。


 和音はもう一度味見した。すると良子の声が聞こえた気がした。

「わー、とてもきれいなスパークリングワイン!

 ブルーの色が海のように見えるわ!」


和音   それでは、答えます。

     これは、カリフォルニアのスパークリングワインです!

     ブドウ品種は、シュナンブランとフレンチ・コロンバール

     これらは、白のスパークリングワインです。

社長   和さんの答えは白ワイン?

和音   いいえ。

     カリフォルニアワインの中に、海の切子のワイングラスに合うワインがある

     のです。

社長   それは?

和音   ブラン・ド・ブルー サムシング・ブルーというスパークリングワインです。

社長   そのワインの色は?

和音   ブルー!

社長   私の負けだ!     

4 海の切子のワイングラス 105ページ目 

2010-06-22 20:35:09 | ワインバーでのひととき1~5アイデア集
【105ページ】

和音は、グラスを口元に近づけた。

スパークリングワインの気泡が弾ける音が耳元で聞こえた。


和音   シャンパンではない気がします。

     シャンパンのブドウ品種は、シャルドネとピノ・ノワールで造られる場合が

     多いが、これは、シュナンブランとフレンチ・コロンバール?

     うーん・・・・。

社長   どうされました?

     白か赤を答えるだけですよ!

和音   前回のテイスティング対決では、ワイングラスに描かれたカベルネ・ソーヴィニ

     ヨンから強い気が発せられていました。

     しかしこのグラスの葉からは、シュナンブランとフレンチ・コロンバールの気を

     感じとることができない!

     なぜだ?

社長   何か難しく考えていますね?

     和さんの指を使ってもいいですよ。


社長は、和音を挑発した。それに対して、和音は心の中で呟いた。


和音   今回は、内向きに気を発しているのかもしれない!

     前回は、カベルネ・ソーヴィニヨンの気で私の舌を麻痺させたが、

     グラスより内向きの気で、ワイン自体の味覚を変えたのでは?

     50%の確率で白か赤と答えても、言葉のトリックでロゼという可能性も

     ある。



     

4 海の切子のワイングラス 104ページ目 

2010-06-21 20:41:00 | ワインバーでのひととき1~5アイデア集
【104ページ】


社長   国産ワインの育成の方法について話をしていると、時間の経つのを忘れる

     ほどです。

     和さん、テイスティング対決に移ってもよろしいですか?

和音   いつでもどうぞ!

社長   テイスティング対決に使うワイングラスは、最初に見て頂いた海の切子の

     ワイングラスです。

     和さん、海に浮かぶブドウの葉ですが、種類はわかりますか?

和音   カベルネ・ソーヴィニヨンやシャルドネの葉ではないですね?

社長   これは、カリフォルニアのスパークリングワインによく使われるシュナンブラン
    
     とフレンチ・コロンバールの葉です。

和音   すると人魚やサンゴもカリフォルニアの海をイメージしたものなのですね?

社長   そう聞いています。

     さてテイスティング対決のルールですが、とてもシンプルです。

     ワインはスパークリングワインを使用します。

     和さんは、目隠しをし、スパークリングワインの赤か白を当てるだけです。

     
和音は、目隠しをした。

スパークリングワインの栓がポンと弾ける音がした。

そして海の切子のワイングラスに注がれた。

海の中では、サンゴの周りを人魚が泳ぎ、海面ではブドウの葉が揺れているようだ! 


社長  さあ、どうぞ!