つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

あれ?

2005-11-20 22:56:12 | マンガ(少女漫画)
さて、年齢ってのは……の第355回は、

タイトル:李朝・暗行記
著者:皇なつき
出版社:角川書店あすかコミックスDX

であります。

タイトルにあるとおり、李朝……過去の朝鮮王朝を舞台にした話が中心の短編集。
中心は、暗行御史(アメンオサ)と呼ばれる官吏で、身分を隠して国を回りながら悪政を糾弾し、不正を糾すことを職務としている。
そんな暗行御史が行く土地土地での物語が3話。

あとはおなじく昔の朝鮮を舞台にした少年の話がひとつ。
能などの面を作る面作師の娘姉妹の話で、原作付きがひとつ。
中性のヨーロッパだろうね。没落した貴族で、けっこう傍若無人な青年と、神の教えよりも腕力のほうが強いシスターの話がひとつで合計6話。

いまでこそ、韓国ブームだけど、この当時はこうした朝鮮を舞台にした話ってなかったので、ってのと、とにかく絵が綺麗! ってので当時、買ってみた。

久しぶりに読んだけど、やっぱりこのひと、絵が綺麗だわぁ……(笑)

話は……こんなもんだったっけな? って感じに……(爆)

いや、おもしろくない……とは言わないけど、なんかふつーの話というか何というか……。

暗行御史の話はまぁお約束だし、少年の話はなんかいまいち消化不良。
原作付きなので面作師の話はまぁまだいいんだけど、原作があるので、あんまり評価の対象にはならない。
ヨーロッパを舞台にしたのも、ふつーの話で、とりたてていいところがあるわけではない。

なんか、いま考えるとストーリーよりも、やっぱり絵だったんかなぁ。
カラーも綺麗だし、白黒も綺麗。
だいたい、これ見て、うわぁチマ・チョゴリっていいなぁと思ったけど、実際見てみると、絵って偉大だなぁ……と(爆)
とは言うものの、チマ・チョゴリってけっこうかわいいので衣装的には好きだったり(^^



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らしく書いたら?

2005-11-19 00:26:17 | ファンタジー(異世界)
さて、ファンタジーでしょ? の第354回は、

タイトル:孤狼と月 フェンネル大陸偽王伝
著者:高里椎奈
出版社:講談社NOVELS

であります。

主人公の少女フェンベルク……フェンは、ストライフという王国の王族の末子で、13歳にして、人間とおなじ形をしながら人間ではないとされるグールの軍隊、獣兵師団を率いる将軍だった。
国のため、元帥である兄のために、ひとに忌み嫌われるグールという存在で構成された軍隊を指揮し、戦場へ赴いていた。

戦場で勝利を得、帰国したフェンは罪人がその仲間たちの手引きによって脱走したことを知り、町の者の噂を頼りにその後を追う。
そこでその罪人に自らの置かれている立場を教えられ、そのことを知った敬慕する兄に、犯罪者として流刑されることとなる。

罪人の言葉がきっかけとは言え、信じていた国や王、兄たちに裏切られ、そのショックで心を閉ざしてしまったフェン。
けれど、その身分故に流刑先で人買いに売られ、競売にかけられる。
そして競り落とされた男に養われながら、ある事件に関わるようになり、自らの不明を知り、そして様々な国を旅することを決意する……。

何のひねりもなければ、奇を衒ったところもない、いかにもなファンタジーもの。
ストーリーの流れも、フェンのストライフ王国での仕事ぶりから始まり、信じていた者たちの裏切り、失意、そして様々なことを知り、成長していく物語で、お約束の塊。
とは言え、かなり安心して読めるのは読めるだろうね。

すごいおもしろい!
なんて口が裂けても言わないけど、ライトノベルとして軽く読むには、まぁ適していると言ってもいいかもしれない。
ただし、これで新書なんて、講談社、ぼりすぎやで。
どう考えても文庫で出すべき話と分量だよ。

引っかかるのはやっぱり文章かなぁ。
「とうとうここまで来てしまった」とかで使う、「とうとう」を「到頭」と書いたり、「しっかり」を「確り」だったり。
……あの、ジャンル把握して書いてます? と聞きたくなるね。

あと、そういうイメージなんだろうけど、こういう横文字メインのファンタジーで「蔀」とかさ、もっと単語は選んで使えよ、って言いたくなる。
あとがきを読むと勢いで書けたみたいな感じで書いてあったので、わからないでもないけど、違和感ないのかね。
当然、推敲するだろうに。

あと、気になるところと言えば、裏切られたあとのフェンかな。
仮にも軍属で、しかも最初のグールを率いた戦場で相手の将軍に対して、極めて冷静に首にナイフを突きつけて降伏を迫るキャラが、いきなり「考えるのも考えないのも疲れ」るほどに落ち込むか?
何日も何日も何もせず、杖なしでないと歩けなくなるほどになるか?
そりゃぁ、13歳の少女、と言う設定からすれば、無理もないよと言うひともいるだろうが、それまでのストーリーの流れからはとてもそうは思えないね。
そういうところに説得力を持たせたいなら、もっとそういうところを描くべきだね。
元帥の兄をとても慕っている、という場面を見せるのも一場面だけだし。

ファンタジーならファンタジーらしい書き方と、説得力をもっと持たせられるような描写とかがしっかりしてくれれば、「お約束な話だけど、読んでみても悪くないと思うよ」くらいには言えただろうにねぇ。
まー、続きも出てるみたいだし、読むものに困って古本屋にあったら買うかな。

新人さんなのに悪いけど

2005-11-18 20:40:49 | ファンタジー(異世界)
さて、久しぶりの新書だなぁの第353回は、

タイトル:光降る精霊の森
著者:藤原瑞記
出版社:中央公論新社 C★NOVELSファンタジア

であります。

第1回C★NOVELS大賞受賞作、と言うことで、とりあえず新人さんを試しに読んでみるか、と言うことで購入。

ある過去を背負って、ある森の森番をしていたエリは、いつもの巡回をしているとき、相棒の犬によって小型犬ほどもある不思議な猫に出会う。
さらに猫を追う犬を探して森の奥深くまで辿り着き、そこで小さな少女を拾うことになる。

行き倒れかと住処の小屋に連れて帰ったのはいいが、おなじ森番のひとりは少女が半分透けて見えると言う。
さらにそこへあの猫が訪れ、喋り出すとともに少女が半妖精であることを告げ、エリにある町までの同行を求める。

紆余曲折の末、喋る猫であるゼッテ、半妖精のファティとともに鷹の女王と呼ばれる者を訊ねる旅に向かうことになる。

……と、煽り文句まがいの中途半端なストーリー紹介はこれくらいにして。
まぁ、ストーリーの中心は主人公であるエリの過去の話かなぁ。
もともと王族の血を引く公爵家の子息で、優秀な、けれど血筋は劣る兄との確執を描いたもの。
もちろん、同行者であるファティ、ゼッテの旅の話もメインの話ではあるのだろうけど、なんか、どっちもどっちで中途半端って感じがする。

ファティ、ゼッテの話からエリの話に流れていくストーリーの流れはうまい具合に行ってるんだけど、その結果が「それかよ……」と突っ込みたくなるくらい、呆気ない……いや、味気ないっつーか……。
エリのキャラも、こういうライトノベル系の話にしては薄い。
元修道士という設定を差っ引いても、主人公としては影が薄すぎる。
感情の起伏が明快でかわいらしいファティと、横柄で口の悪いゼッテに完全にキャラ負けしている。
主人公なのに。

それもあってか、ラストのほうのエリと兄との対峙もクライマックスだと言う迫力に欠けるし、兄の行動も著者の苦し紛れって感じが否めない。
そのあとの兄の回想の部分も、理由をあとからこうなんだよと説明しているだけ。
もっとストーリーの中でもっと兄のそう言う部分を見せないと、読んでても「あ、そう」で終わりなだけ。

中心の話であるはずのエリのストーリーがこれじゃぁねぇ。
新人さんだし、きっとネットとかで検索して、見つけたらへこみそうだけど、ダメだね、これは、と言ってしまおう。

でも、悪いことばかり言うのも何なので、いいところも。
描写力はかなりよいと思う。
町や建物と言った構造物となると、自分の想像していることをうまく文章に出来ないのか、まったくダメ。
じっくりゆっくり読まないと形すら想像しづらいんじゃぁ、もっと書き方を工夫すべきだろう。

っていいとこのはずだったのに……(笑)
いや、ホントに描写はとてもいいのよ。
構造物以外は。
最初のほうの森の描写や、旅の道中の描写、キャラの表情の変化や動きと言った部分は申し分ない。
比喩も情景に合っているし、小難しくひねくり回してるわけじゃないから読みやすいしね。

でも、やっぱりストーリーがねぇ。
まず、オススメは出来ないな。

ゴゴゴゴゴ……無駄無駄無駄無駄無駄ァッ!

2005-11-17 14:41:46 | 木曜漫画劇場(白組)
さて、奇妙な世界へ御招待の第352回は、

タイトル:ジョジョの奇妙な冒険(全63巻)
著者:荒木飛呂彦
文庫名:ジャンプコミックス

であります。

扇:背後霊はいないけど、以前同居はしていたSENでーす。

鈴:近寄ってこれないらしいLINNで~す。

扇:そんなことでは、ウリィィィィィィィィと叫ぶことはできんぞ!

鈴:いや、そんな人外にはなりたくはないのでぜんぜんOKだ!

扇:え? 君は人間だったのか?

鈴:そりゃそうだろう。地球外生命体の君とは一緒にしないでくれたまへ。

扇:吸血鬼ごときが土星人に尊大な口をきくものだ。

鈴:ふっ、土星人と言えど噛まれれば僕になるのは変わらないんだがな。
試してみるか?

扇:トマトジュース野郎はほっといて。
一部に熱狂的なファンを持つ、異色の少年漫画です。
初めて読んだ時は、絵に拒否反応が出ました。

鈴:輪っか野郎もほっといて。
一部に熱狂的なファンを持つ、異色の少年漫画です。
初めて読んだ時は、絵に拒否反応が出ませんでした。

扇:ザマス野郎は無視して。
劇画調の絵はともかく、シリアスとギャグを巧みに織り交ぜたテンポのいい作品ですね。
初期の頃は、モロに宮○あ○らの色が残ってて笑えたりします。

鈴:カボス野郎は無視して。
そうねぇ。でも、初代はあまりにもまじめすぎたがね。
テンポのよさは2代目からいかんなく発揮されてるとは思うけどね。

扇:確かに、二代目の主人公、人気あったしねぇ。
だからか知らないけど、三代目のウリは冷静さと力技の使い分けだったな。
まぁその分、納得いかない戦闘も多々あったが……。

鈴:人気あったねぇ。つか、あの情けなさと勝ちっぷりはいい味を出していた。
使い分け……使い分けてたのかあいつ……(笑)
どう考えても、あいつのスタンド、力技LONELYだった気がするが……。

扇:困った時は退却する二代目、詰まった時はゴリ押しの三代目だからなぁ。
ところで、ロンリーって何よ?
三代目はチーム組んで敵を袋だたきにしてたろ?

鈴:まぁ、確かに主人公のクセに「逃げるが勝ち」って言ったからなぁ2代目。
あのせこさ加減がかなりいかしてたんだがな、それでも。
……え? ロンリー? オンリーと同義語ではないのか?(爆)

扇:真面目な話に戻って……。
吸血鬼及びそれに連なる者と戦うジョースターの愉快な方々の話。
二代目はのりぴー語を喋り、三代目はケンシロウも真っ青のイヂワルです。
初代は……真面目すぎたんで語るまい。

鈴:語らなくていいだろう。
にしても、初代、2代目は波紋というけっこう目新しいネタで吸血鬼との戦いなんつーのをやってたが、3代目から一気に毛色が変わったなぁ。
じじいになった2代目も波紋はどうした!? って感じになったし。

扇:捕捉しとくと、波紋というのは太陽エネルギーを相手に叩き込む対吸血鬼専用技です。
他にも使い道はあるんだけど、科学力より遥かに優れているかと言うと……うーむ。
一方、三代目から登場する幽波紋(スタンド)は一種の超能力で、平たく言っちゃうと何でもありになりました。

鈴:波紋はけっこう地味だったよなぁ。初代が使うと余計地味だったけど(笑)
そういう意味では、スタンドは少年マンガらしい派手さがあったけど、波紋のほうが味わいはあったねぇ。
ところで、キャラ紹介はどうするよ?

扇:いらないだろう、多すぎるからなぁ。
何か、これ――って思い入れのある人いる?

鈴:なに、ひとりだけいるぞ。
シュトロハイム。「ドイツの科学力は世界一ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!!!!」はこのマンガ中、最高の名言だと思うぞ(爆)

扇:ふぅむ、名言と言えば、二代目のアレだな。
「逃げるんだよォ~~~~~!!!!!」
ちなみに、ラスボスを前にしての発言。(笑)

鈴:よかったよなぁ、この台詞(笑)
逃げるせこさが2代目のいいところだ(笑)
しかも2代目のラスボスのカーズって倒してないし。

扇:追い出しただけだからな……地球から。
はて、本当は五部まであって、さらに別巻で第六部があるんだけど割愛。
戦闘シーンに関して言えば五部が一番好きだけど。
というわけで、今回はここまで~。サ・ヨ・ナ・ラ~♪

鈴:割愛って、全部書いたらどれだけ長くなるんだ、この木曜劇場(笑)
5部……未知の世界だ……(笑)
まぁでも、このひと、これで一時代は築いたよなぁ。個人的には「バオー来訪者」のほうが好きだったりするけど~(さらに笑)
と言うわけで、この辺で。さ~よぉ~な~らぁ~~~~~~~~~~~~~~~~~♪

ペンライトで変身

2005-11-16 19:27:01 | 映像関連
さて、再びこういうものを持ち出す第351回は、

タイトル:懐かしのヒーロー ウルトラマン99の謎
著者:青柳宇井朗・赤星正尚
文庫名:二見文庫

であります。

光の国の人達の謎本です。(笑)
さて、貴方はいくつ知っているでしょうか?
99個全部拾うわけにもいかないので気になったのをいくつか。

・ウルトラマンは当初、怪獣だった!?
 これは有名ですね。宇宙人なのは確かですが。

・『ウルトラマンレオ』にモロボシ・ダンが登場した裏事情。
 これは知らなかった……本当に偶然の産物だったようで。

・「ウルトラ」のネーミングの原点とは?
 ヒント、『ウルトラQ』に似ている当時流行った言葉。

・ハイテクSFXと墨汁流血シーン
 これも知らなかった。白黒TVだからこそできた荒技といったところ。

・なんと、ウルトラマンが口から火を吐いた!?
 最初は光線技という概念そのものがなかったというお話。

・『ウルトラマンセブン』ではなく『ウルトラセブン』の理由。
 ヒント、隊員の人数。由来はエイトマンとほぼ同じです。

等々、『ウルトラQ』から『ウルトラマンG』までのシリーズのちょっとしたこぼれ話を集めた本です。
『ウルトラQ』『ウルトラマン』についてはそれなりに知っていたのですが、それ以外のシリーズは詳しく知らなかったので割と楽しめました。

なんか最近懐古趣味が復活しつつあるかも……。(汗)

黄金のサーラ見参!

2005-11-15 20:44:19 | マンガ(少女漫画)
さて、記念すべき(?)第350回は、

タイトル:サラディナーサ(全九巻)
著者:河惣益己
文庫名:花とゆめコミックス

であります。

少女漫画界のゴルゴ13とも言える『ツーリング・エクスプレス』の著者・河惣益己の手になる大河歴史ロマンです。
個人的に今の『玄椿』はイマイチなので(あの二人がサラとレオンに見えるのは私だけか?)……思い出すようにここに戻ってきてしまいました。



時は16世紀後半、舞台はレパントの海戦勝利に沸き返るスペイン。
隻眼の提督を父にフェリペ二世の従妹姫を母に持つ少女サラディナーサはスペイン領シチリア島メッシーナに来ていた。
首尾良く凱旋する一団を見つけ高所から飛び降りたものの、彼女を受け止めたのは父レオンではなく、総司令官ドン・ファンだった……。

後日、ドン・ファンは15も年下のサーラに求婚する。
彼はかつてサーラの母に恋していたのだ。
サーラは一つの条件を出した、「貴方がレオンよりも強ければ結婚してもいいわ」

6年後……スペイン海軍旗艦の甲板に見事な金髪をなびかせた少女の姿があった。
黄金のサーラと呼ばれる彼女は卓越した指揮能力で次々と海賊を打ち破っていく。
率いるは、地中海最強の海戦力を保持する海の一族フロンテーラ!



少女漫画です……一応。
腕っ節、頭脳、覇気、三拍子揃った河惣イズム(何それ?)全開な方々が暴れ回る話ですが、少女漫画です……多分。
男ならドン・ファン、女ならソラヤ様が一押しキャラかな……って、やっぱり河惣イズムな方々かっ。(爆)

虚実交えつつ、マクロなドラマとミクロなドラマを同時進行させていく構成は見事の一言に尽きます、サーラとレオンが架空の人物とは思えないぐらい。
マクロな方でいくと、レパントの海戦、ドン・ファンのネーデルランド総督就任、イギリス対スペインの対立、ネーデルランド独立戦争等々。
ミクロな方でいくと、サーラの出生疑惑、レオンとフェリペ二世の因縁、ドン・ファンの苦悩、ドレイクの息子マシューの葛藤等々。

ちなみにスペインと契約している海の一族フロンテーラは史実には存在しません。
ついでに言えば、フロンテーラ=無敵艦隊(アルマダ)でもないです。
後半、ある事件をきっかけにサーラはスペインと対決する道を選びます。

ゲスト出演といった感じで歴史上の有名人が出たりもしますが、モノローグでかなりフォロー入れてくれてるので歴史好きじゃない方でも楽しめます、オススメ。



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もうぐちゃぐちゃ

2005-11-14 02:12:17 | ミステリ
さて、かなり吠えたくなった第349回は、

タイトル:夢幻万華鏡
著者:冴木忍
文庫名:富士見ミステリー文庫

であります。

推理のすの字もないミステリーです。
二時間ドラマにするには良いかも知れません、主役もかなり間抜けだし。

時は明治後期。
悪事が露見し探偵屋を首になった主人公は、見知らぬ少年にある首吊り事件の調査を依頼される。
どこから来て、どこへ帰るのかも解らない少年に不審の念を抱きつつも、高額の謝礼に釣られて調査を始めるのだが……。

糞ミステリーのお手本ですね。
場当たり的なエピソードを並べ、ラスト近くで強引に総括して解決。
実はこの人とこの人は知人で、この人とこの人も知人で、過去にこれこれこういうことがあって、実はすべてつながってました~。

はいはい、好きにして

この時代のことはよく調べるてるなと思いますけど、情緒は全くありません。
ガラスを硝子と表記したり、人力車乗れば雰囲気出ると思ってるんでしょうか?
文字で描かれた世界は、そこに住む人間が感じるからこそ生きてくるものです。
性格破綻者と記号人間しか出てこないのでは、舞台も所詮紙細工です。

はっきり言っちゃうと、初対面で主人公に銃向けて容疑者呼ばわりしたくせに、ちょっと話しただけであっさり君は犯人じゃないと言い切ってしまう頭のネジが飛んでる少年が相方って時点でかなり萎えました。(おまけにこいつの正体バレバレ)

少なくとも、この作者のファン以外は読むべきじゃないと思います。
間違ってミステリファンが手に取ったりすると、死ねます。

さて、いくらで売れるかな

2005-11-13 15:14:25 | 伝奇小説
さて、ついでなのでいろいろ持っていこうの第348回は、

タイトル:ヴァンパイヤー戦争11 地球霊ガイ・ムーの聖婚
著者:笠井潔
出版社:講談社文庫

であります。

あとがきがいちばんよかった。

以上。

……いや、だって、最後の最後だってのに、「あっ、そう」で終わりなんだもん。
ホント、10巻読んでどうすんのかと思ったけど、杞憂で終わってくれなかったし。

まぁ、いちおう、ストーリーの解説をすると、10巻後半の解説と同時に三種の神器を巡る日米ソの外交交渉があった。
その結果、部隊は宇宙と月面に移る。
ネヴセシブの復活に伴う地球の破滅と言う遠くない未来の出来事を打破するために、三種の神器を持つ日本、月面の重要拠点を押さえるアメリカ、ヴァーオゥの棺(身柄)を押さえているソ連が月面での会談を行う。

10巻まで来ていつもながらに謀略と戦闘を相変わらず続けてきただけに、ここでもそれは行われる。

そうした月での困難をくぐり抜け、そしてスペシネフとの戦いにも勝利するものの、現状を打破するはずのヴァーオゥは、棺の中ですでに白骨化していた。
為す術もなく絶望の中で、残された時間をただ恋人としてすごそうとしたラミアと鴻三郎によって、ガイ・ムーの聖婚はなされ、地球を滅ぼすはずのネヴセシブは再び深い眠りに入り、地球崩壊は免れる。

そいだけ。

盛り上がらなかったねぇ、ホント。
でも、盛り上がらない、と言うのもある意味、ストーリー的なところ以外にも、文章の書き方ってのもあるとは思うけどね。
まったく書き方が変わらない……クライマックスだと言っても説明的なところがずぅっと一緒だったしね。
これをもっと盛り上げるように書いていれば、まだラストが盛り上がったかもしれないけど。

それにしても、裏表紙の「光と闇の永劫の争闘についに決着の時が。壮大な神話、ここに完結!」って文句はいかがなものか……。
まぁ、これも読むほうの問題ってのもあるとは思うので何だけど、私としてはストーリーの部隊は確かに全世界から宇宙まで、ムー文明から現代までと相当幅広く扱ったものだから、「壮大な」というのもわからないでもないけど、光と闇の永劫の争闘とか、神話とか、そういうものかぁ? と言う気はかなりする。

でもこの話、あとがきを読むと、構想そのものはもともとマンガの原作、と言うものらしい。
確かに、青年誌あたりで、それなりに今時の売れそうな絵を描くマンガ家にでも書いてもらったらおもしろいかもしれない。
やはり戦闘シーンは絵があるほうがいいだろうしね。

また、おなじくあとがきに、著者と東浩紀の往復書簡の中で「ライトノベルの先駆的な存在」というのがあって、これで講談社文庫版を出すきっかけにもなったらしい。
確かに、序盤からかなーりライトノベル的な展開とかあって、納得はできる。
まぁ、いま巷に溢れているライトノベルを見てると、こっちのほうがよっぽどかマシだと思うけど。

……それにしても、終わってしまった、シリーズが……。
せっかく何も考えずにとりあえず選べる本があったと言うのに、これからまたいろいろと本屋で悩まないといけなくなってしまった。
まぁでも、最後に、11日分の記事の提供をありがとう、と言っとこう(笑)

カテゴリー変えようかな

2005-11-12 15:07:25 | 伝奇小説
さて、ようやくここまで来たの第347回は、

タイトル:ヴァンパイヤー戦争10 魔神ネヴセシブの覚醒
著者:笠井潔
出版社:講談社文庫

であります。

とうとう10巻。
あと1巻でおしまい……の割には、ぜんぜんペースが変わらないなぁ、この小説。
なんかクライマックスに向けてGO! ってのがあんまりしない。
相変わらず、主人公の鴻三郎は身近なピンチを解決してってるだけって感じがするんだよなぁ。
まー、ある意味、ここまで変わらないまま、10冊分書いたと思えば、すごいとは思うけど。

さて、10巻は概ね3つに分けられる、かな。
序盤は、9巻でKGBの本拠地に潜入し、そこでスペシネフと戦う話。
さらに9巻と同様、サイパワーだの心霊攻撃だのと、ヴァンパイヤー戦争じゃなくて超能力戦争? ってくらい、戦いが様変わり。

でもそのぶん、鴻三郎がだんだん情けなくなってきてるのが印象的かも(笑)
いちおう、人間相手の銃器だの格闘だのであればかなり強いんだけど、それとはまったく違う力が相手なのでほとんど役に立ってないし。

で、中盤はKGBに捕らえられたあと、脱出する話。
ここでは完全に人間相手なので、その能力をいかんなく発揮してくれる。
とは言うものの、派手にどんぱちやらかすわけではないので、盛り上がりはいまいち。

後半に至ってようやくタイトルどおりの話になる。
スペシネフが奉じる魔神ネヴセシブの覚醒が近付くことによって世界で同時に起きた大地震や、それによる被害、世界情勢などが解説される。
思いっきり解説なので、半分斜め読み。

……なんか、ホントにクライマックスに向けて、どかーんっと盛り上がって……くれないな、この巻……。
11巻、どうなるんだろってなんか心配になってきた……(^^;

白っ!

2005-11-11 20:50:44 | 伝奇小説
さて、マンガのほうの単行本完結記念(?)の第346回は、

タイトル:陰陽師
著者:夢枕獏
出版社:文春文庫

であります。

言わずと知れた岡野玲子のマンガで有名な「陰陽師」の原作。
……つっても、マンガのほうは持ってないんだけど、読んだことはあるんだけど、この原作のほうはこれっぽっちも見向きもしなかったんだよね。
まぁ、ちょうどこの作家の小説って1冊も読んだことがなかったし、どんなもんかと思ってお買い上げ。

いやー、ものの見事にページが白いね(笑)
ここまで白いのは、かの○かほり○とる氏以来だと思うよ、絶対。
まるでマンガの1コマを1段落で書いたような感じだし、つながりや場面転換が唐突すぎるところも多々あるし。
この時代だからかもしれないけど、ホント、文章下手だね。

まぁ、逆に文章が軽いので読み進めるのには苦労しない。
場面転換のぶち切れ加減とか、これでもかってくらいの描写のなさを許せるなら、昨今のライトノベルも真っ青の軽さなので読みやすいほうなのかもしれない。
私の場合は、マンガのほうを知ってるので何とかついていけた感じかなぁ。

さて、この最初の巻は、短編集で6つの物語が入っている。
基本線は、主人公である陰陽師の阿部晴明に、親友の源博雅が京で起きる怪異を相談しに来る、と言うところから始まって、ふたり(?)で解決する、というもの。

各話は、

「玄象といふ琵琶鬼のために盗らるること」
今昔物語に題材を取った話で、琵琶の名器である玄象が羅生門の鬼に盗まれ、それを取り戻すと同時にその鬼を退治する話。

「梔子の女」
出家した僧侶のもとへ夜な夜な現れる口のない女の怪異を収める話。

「黒川主」
博雅の遠縁の鵜飼いの娘が化生に見初められた怪異を収める話。

「蟇」
応天門に出た蟇の顔をした少年の化け物を、異界へ行って事情を知り、退治する話。

「鬼のみちゆき」
ある高貴な貴族と一度きりの関係を持った女が鬼となって、その貴族のもとへ会いに行こうとするところを成仏させる話。

「白比丘尼」
不老不死の比丘尼に身体に溜まって化生となったものを退治する話。

いやぁ、やっぱりこの晴明と博雅の関係っていいね、やっぱり。
文章はどうあれ、マンガを読んでると実直で単純な博雅の顔が、岡野玲子さんの絵で浮かんでくるから余計おもしろい。
やっぱりこれは先に1冊でもマンガを読むべきだね。
読んでからでないと、あまりの文章の薄さにきつくなるから(笑)