つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

中毒ってください

2005-10-21 00:15:07 | 小説全般
さて、何度も読むのやめようと思ったの第325回は、

タイトル:恋愛中毒
著者:山本文緒
出版社:角川文庫

であります。

とあるホームページの掲示板でネタになっていたのを見て、どんなもんかと思って……何ヶ月経ったっけ?(笑)
まぁ、そんなわけでいい加減、なに読もうと悩んでて、それで話題になっていたのを思い出して手に取ってみた。

50~60ページくらい読んで、あぁ、やばい、と思った。
ホントに投げ出したくなるくらい、主人公がまったく受け付けないキャラだったから。

ストーリーは、主人公である水無月という女性の話で、とても深く描かれている。
最初は水無月が勤める会社の社員の一人称で始まる。
この社員には付き合っていた女性がいて、この女性がほとんどストーカー状態だったので、引っ越しをし、会社を辞めて、いまの会社に勤めるようになっていた。

まぁ、ある掲示板の話を見ていたので、このあたりでどういう話になるのか、想像がついた。

さておき、この社員、結局いまの職場をその女性に突き止められ、水無月とのいざこざなどがあり、社長の計らいで行った飲み屋で、この水無月の身の上話、と言う形でようやく主人公水無月の話となる。

ここからは、上にも書いたようにとにかくこの水無月と言う女性の姿が深く深く描かれている。
こういう人間を深く描く話、と言うのは好きなほう……のはずなんだけど……。

まぁ、とにかく話は夫と離婚し、弁当屋でアルバイトをしながら友人のコネで洋書の翻訳をしながら生活している、と言う状況から。
ここで構成作家、タレントを経て作家活動をしている創路功二郎が弁当屋に訪れたところから生活が変わっていく。

もう他人を愛しすぎないようにと心に誓っていながら、結局同じ轍を踏む姿が、これでもかとストレートに描かれていて、まぁ、確かに共感できるのならばとても共感できるのだろう、と思う。

しかし、いかんせん、野郎にはまったくわからん(笑)
つか、男が読む本じゃないな、これ。
何に共感するって、水無月と離婚した夫に共感するわ(笑)

まぁでも、物書き的には、ここまで深く人間を描いたところはすごいと思うし、キャラも、はっきり言ってどーでもいいが、こういうキャラはいままで書いたことがないので、参考にはなる。
このほか、途中で出てきた女性キャラも、キャラ造形と言う意味でとても参考になったと思う。

なんか、話っつーよりかは物書き的に収穫のあった本って感じだなぁ。
かなり読み方としては間違ってる気はしないでもないけど(笑)

後ろに立っちゃ駄目

2005-10-20 11:23:27 | 木曜漫画劇場(白組)
さて、漫画界で殺し屋と言えばこの方な第324回は、

タイトル:ゴルゴ13(1~138巻:以下続刊)
著者:さいとうたかを
文庫名:SPコミックス

であります。

扇:後ろに立つ奴を撃ったりしないけど、横の奴を殴ることはあるSENで→→す。

鈴:殴られる前に殴り返しているLINNで~~す。

扇:後ろで座ってるとか言うかと思ったが……踏むけど。

鈴:座るわけないじゃん。とりあえず、振り向く前に刺すけど。

扇:貴様とは一度決着をつけねばならんと思っていたぞ。

鈴:ふっ……、返り討ちにしてくれるわっ!

扇:還ってこいよ~♪

鈴:おまえがな(笑)

扇:せいぜい三度ぐらいしか逝ったことないけどな。

鈴:ほほぅ……、あるのか。
じゃぁ、1回目はゴルゴ13にやられて、2回目はゴルゴ14にやられて、3回目はゴルゴ松本にやられたんだな?

扇:お前が殺られたのはボルゴ西郷だろ?

鈴:誰だよ、そいつはっ!

扇:知らんのか? どっかの巡査部長の友人だ。
いい加減真面目にいくか……手遅れのような気もするが。

鈴:いや、もう、かなり、手遅れだぞ(笑)

扇:ストーリーは……。(思考停止)

鈴:サザエさん並に不老不死の主人公がばったばったと悪人を暗殺していく話だろ?

扇:いや、善悪問わないんだけどね。(笑)
標的も人じゃない時が結構あるし。

鈴:人じゃないって……。
宇宙人とか原人とか猿人とか……?

扇:パワードスーツ着た兵士はいたな、それと超人も。
本当に人外だと、神を名乗るプログラムとか、怪しい兵器なんかとも闘ってた。

鈴:……それを狙撃銃で倒してしまうヤツっていったい何者!?

扇:じゃあ、一応キャラ紹介を。
偽名デューク東郷、通称ゴルゴ13。
性別男(これだけは確実)、国籍不明。
利き腕右、左での射撃も可能。
ギランバレー症候群なる持病持ち、これが出るとピーンチ!
世界をまたにかける超A級スナイパー、仕事にイデオロギーは持ち込まない。
なお、最初の頃の饒舌な彼は黒歴史とされている。(笑)

鈴:じゃぁ、こちらもキャラ紹介と言うことで。
偽名デューク東郷、通称ゴルゴ13。
背後を取られることがとても嫌いなおちゃめなひと。
とりあえず、殺意がなければ銃はぶっ放されない……と思う。
あ、あと、あれがうまい、と言う特技がある。

扇:モデルは高倉健。(笑)

鈴:う~む、当人はどうなんだろうねぇ。
スナイパーって役どころはいいかもしれないけど、サザエさん現象付きだからなぁ。

扇:でも、実写映画はそのまんま高倉健だったぞ。
てことは、あのパソコンのCMはゴルゴ13だったのかっ。

鈴:つか、実写映画作ったのか、あのマンガで……。

扇:主役以外はオール外国人でな。(笑)
まぁ、あれだ……日本映画の黒歴史を漁るときりがないって事だな。

鈴:ほほぅ、主役以外オール外国人ねぇ。
確かに、高倉の健さんくらいしか張り合えるのはいないとは思うが……。
って、なんで日本映画の話題になってんだ!?

扇:それは置いといて。
アーマーライトM16の弾が届く範囲なら、物理法則すら無視して命中させてしまうとんでもないスナイパーの話、ってことで。
実のところ、M16は突撃銃であって、狙撃銃じゃないんだがね……。

鈴:なら、こやつに狙撃銃持たしたらどうなるのか……。
……そっかっ! 背後に近付いてきたヤツに対応できなくなるってわけだな!?

扇:てか、背後の敵には拳銃使うだろ。(素)
鬼平犯科帳みたいにポン刀使われても困るが。

鈴:いやー、いちおう見た目は東洋人だし、それはそれでも笑えていいんでないかえ?(笑)

扇:というわけで、時事ネタを盛り込んだ楽しい殺し屋物語です。(なんか違う)
ゴルゴ13がとにかくスゲェって事だけ知ってればどの巻からでも読めます。
では、さーよーなら。

鈴:読めるな。
つか、最新刊から読んでも、まったく問題ない作品っつーのもすごいとは思う。
時事ネタを基本ネタにしてるマンガの強みかもね。
ま、っつーことで、今回はこの辺で。
さ~よ~な~ら~~~~~~~~~~~~~~~~♪

刑事プリオはいない

2005-10-19 00:49:51 | その他
さて、映画はどーでも良かったと思う第323回は、

タイトル:タイタニック号の最期
著者:ウォルター・ロード
文庫名:ちくま文庫

であります。

20世紀最大の海難事故(実は1980年にもっと凄い事故が起きている)にして、機械文明の夢を打ち砕いた一大事件『タイタニック沈没』を扱った記録文学です。

なにぶん1955年刊行(日本版は1972年)なので、その後解った様々な事実が盛り込まれていません。
1985年に調査が行われたことで、沈没の原因は90mもの長さの損傷ではなく、いくつかの小さな穴だったことも判明しましたしね。
ただ、生存者の言葉などから当時の状況をまとめ、物語調に仕上げている点は評価できると思います、面白かったし。

終わっちゃいましたね……。

タイタニックを語るに当たって忘れてはならないのは、
沈む船の上で演奏してた楽団
でしょう!
どう考えても刑事プリオの三億倍ぐらいは格好良かった。

ベッタベタなラブモードを展開した上、
「助けてくれ!」
とヒロインに叫ぶ刑事プリオ。

をい

って、いつの間にか映画の話になってるので戻そう。
場面ごとに、乗船していた人々の会話が再現されているのは良いです。
当時の雰囲気もかなり伝わってくるので歴史に興味ある方にもオススメ。
非常に登場人物が多いのでちょっと混乱しますが、一人の視点で書かれている話よりも断然臨場感があります。

ぷすっ、と

2005-10-18 13:15:32 | 時代劇・歴史物
さて、昨日はテレビで今日は小説な第322回は、

タイトル:梅安影法師―仕掛人・藤枝梅安
著者:池波正太郎
文庫名:講談社文庫

であります。

昨日、必殺シリーズの副読本を紹介したので、今日は原作の方を。
梅安シリーズは全七作ありますがこれは六作目。
読み方としては邪道ですが、思いつきで買ってきてしまいました。

表の顔は医師、裏の顔は仕掛人。
二つの顔を持つ男、藤枝梅安は危機に陥っていた。
巨悪を倒したものの、それに連なる者達に狙われていたのである。

ほとぼりが冷めるまで江戸には戻らぬ方が良い。
元締めはそう勧めるが、梅安はそれでも戻らねばならなかった。
友人が病の床にあったのだ。

手を変え品を変え、梅安を狙う者達。
仕掛人同士の戦いはひそやかに展開される。
そして今日もまた、梅安の針が敵の急所を貫く!

解ってはいたのですが……非常に地味な作品です。
誰にも知られず、相手にも気付かせずに殺しを行うのが仕掛人の本道ですから、派手な殺陣など当然ありません。
表の面が割れても医者を続ける梅安も梅安ですが、それでも仕留められない相手方の仕掛人も仕掛人で……何だかなぁ。

かなり軽いので、読むのは苦労しないかも。
ただ、先週読んだ隆慶一郎と比べるとどうしても見劣りしてしまう。
ドラマは軽い方が好きなんですけどねぇ。

仕掛けて仕損じなし

2005-10-17 21:25:36 | 映像関連
さて、お馴染みのあのテーマでお送りする第321回は、

タイトル:必殺シリーズ完全殺し屋名鑑―荒野の果てに編
編者:必殺党
文庫名:ザテレビジョン文庫

であります。

チャララ~
タタタタタタタ
チャララ~♪

必殺です。
必殺ったら必殺なのです。
一話目でいきなり仕損じても仕損じなしなのです。(笑)

『必殺仕掛人』から『翔べ! 必殺うらごろし』までの十四作及び、劇場版『必殺』に登場した人々を紹介するキャラクターブックです。
実際のところ、これより詳しいサイトを探すのに苦労はしないと思うけど、アナログ人間の私にとっては有り難いアイテムと言えます。

メインキャラには顔写真と名台詞付き。
「あたしゃあ、理想とまずいメシは苦手でね」(梅安)
「あーちきしょーゾクゾクしてきやがった。
生きてるってのも満更じゃねぇな!」(鉄)
「これは先の長い、汚ねぇ仕事だ。
向こうがワルなら、俺達はその上を行くワルにならなきゃいけねぇ」(主水)
などなど、味のある台詞を楽しむのも一興。

やたらと作品が多いため、中には「これって駄洒落?」みたいなものもあったりしますが、主水が中心になって完全にパターン化した後期のシリーズよりこっちの前期シリーズの方が私は気に入ってたりします。

これとセガサターンの『必殺』はファンの必須アイテム……だと思う。
役者が違ってもやってることは同じだったりする奴等がちょろちょろいるので、「キャラ被ってるやん!」と吠えたくもなりますが、そこは愛で回避して下さい。
ゲームの方は鉄が波動拳撃ったり、大蛇が敵として出てきたり、やたら操作性悪かったりと粗の目立つ作品ですが――笑えます。

くだらないことこそおもしろい

2005-10-16 14:09:33 | その他
さて、確か「世界一受けたい授業」にも出てた気がするの第320回は、

タイトル:トンデモ一行知識の世界
著者:唐沢俊一
出版社:ちくま文庫

であります。

いまで言うと「トリビアの泉」が真っ先に思い付きそうな、いわゆる雑学本。
ただし、この著者はこの番組なんざ足許に及ばないくらい筋金入りのよう。
だいたいこの手の雑学を集め始めて25年以上。
これは文庫版だけど、もともとは1998年に大和書房というところから出版されたものの文庫化、と言うことだから、ムダ知識よりも映像のおもしろさを狙っている上記番組なんかよりはよっぽどかおもしろい。

つか、だいたいこの手の知識、著者本人怪しげだろうが後から嘘だとわかったとしても、そこがまたおもしろい、と語っている。
そりゃまぁそうだろう。
結局、すんごいムダな知識なのだから、それがあとで嘘だとわかっても実害はない。

弁護士が法律の条文を間違えて憶えていたら職業柄、印象はかなり悪くなるだろうが、こういうムダ知識はそうではないだろう。

しかし、この本、確かにまぁここまでよくも集めたものだと感心するくらい、それを知っているからと言ってどうした、と言われそうなネタがたくさんある。
構成としてはプロローグがあり、
第1章 モノと動物に関する一行知識
第2章 ココロとカラダに関する一行知識
第3章 伝説に関する一行知識
第4章 クスリと病に関する一行知識

また、ページごとの端々に一行知識がこれでもかと記載されている。

まー、中には「あ、そー」ってまったくおもしろみのないものもあるけど、これだけたくさんあれば仕方がない。
それでも十二分に笑える話が散りばめられているので気楽に肩の力を抜いて読むといいかもしれない。

ただ、これが単行本として出てたらどーかなぁ。
高くて買う気にはならない……かもしれない。

こういうのが欲しかったのよっ!

2005-10-15 12:43:42 | 学術書/新書
さて、資料的にかなり当たりを引いたの第319回は、

タイトル:印と真言の本
著者:藤巻一保、羽田守快、大宮司朗
出版社:学習研究社

であります。

まず、タイトル通りの本、と言える。
構成は、次のとおり。

巻頭:秘密仏教のシンボリズム
第1章:印明とは何か
第2章:密教の不思議な話
第3章:秘儀秘伝の世界
第4章:印と真言の事典
第5章:修験・神道・陰陽道の秘呪
巻末特集:秘伝・密教行法次第

第1章から第3章までは読み物。
それでも、印と真言の本であるので、そこかしこにどういう印を組むのか、どういう真言を唱えるのか、と言うことが書いてある。

でも、資料目的で買う、と言う時点で3章までのはおまけのようなもの。
第4章からは、とにかくそのタイトルに違わない充実の本。
とは言うものの、どうやらひとつの仏に対していくつもの印があったり、真言があったりするので、基本的に一仏一印一真言なので、必要十分、と言うわけではない。

それでも資料としては十分。
密教が主体というのは、まぁ、仕方がないが、第5章でそれ以外のもぼちぼちある。
そこがまた資料としてはいい。

もっとも、この手の話はけっこう好きなので、資料として買ったわりにはふつーに読んで、ほー、とか、へー、とか言ってたりするけど(笑)

ちなみに、密教占星術では私の守護仏は文殊菩薩。
なので、とりあえずそういうのもきっちり載っていたのだけでも、OKだったりして(笑)

第2部?

2005-10-14 20:00:57 | 伝奇小説
さて、毎週1回の恒例になっているの第318回は、

タイトル:ヴァンパイヤー戦争6 秘境アフリカの女王
著者:笠井潔
出版社:講談社文庫

であります。

なんか、こうシリーズもので全部出てるのだと、買う本考えなくてすむから楽だなぁ……なんて思ってたり(笑)
解説?
1巻の斜め読み以来、1行たりとも読んでない(爆)

さて、5巻で古牟礼(コムレ)一族の宿敵礼部一族を壊滅させ、三種の神器のうち、ふたつを持って日本を脱出した主人公九鬼鴻三郎。
日本はアメリカとソ連に攻め込まれて分割統治、正当な日本政府は北京で活動している、なんてぶっ飛び加減で終わっていた。

6巻はうってかわって1巻の最初のほうなみに自堕落街道まっしぐらな鴻三郎。
だが、馴染み(?)の裏の商売人である<道具屋>ピエールが、謎の黒人美女とともに場末の酒場から一緒に出て行くのを見てから、いつものストーリーに戻る。

副題にもあるようにパリ、日本とヨーロッパ、アジアと来て、今度はアフリカ。
つか、ムー大陸の一族がアフリカにもいるんだという話は、まぁ読んでて笑ってしまうくらい惘れた。
いや、まぁ、いままでもそういうところは多々あったので、いまさらではあるけど。

ともあれ、ストーリーはアフリカの小さなブダーと言う国の話題を中心に進んでいく。
フランスに外遊に来たブダー大統領ケビゼを狙う組織。
アフリカにいまも秘境として残るヴァンパイヤーの住まう土地。
相変わらずのKGBやCIAと言ったスパイ組織との戦闘。
三種の神器の最後のひとつである月のマジックミラーの行方など。

ラミアは別行動でバカンス街道まっしぐらなので4巻5巻と続いた活躍を楽しみにしていたひとには残念なところかも。

あと要所要所で出てきてはいたけれど、影の薄かった相棒のムラキが今度は参戦してくる。
参戦と言っても私怨でブダー大統領ケビゼの後ろ盾になっているソ連のネクラーソフという人物を殺すためなのだけど。

にしても、なんかこう、ぴんと来ない話だったんだよね。
5巻で一区切りして、第2部みたいな感じだし、基本的には序盤って感じだからかもしれないけど。

ぼくタマって……猫ちゃうで

2005-10-13 21:18:43 | 木曜漫画劇場(紅組)
さて、次世代編なんて出てたんだと驚いているの第317回は、

タイトル:ぼくの地球を守って(全21巻)
著者:日渡早紀
出版社:白泉社花とゆめコミックス

であります。

鈴:つい先日、ボーリングで○○年ぶりに自己記録を更新したLINNで~す。

扇:地球の中心まであと何メートル? って尋ねてみるSENでーす。

鈴:188キロメートルだ(爆)
さて、検索したら前世ものブームの火付け役なんとか書かれていた通称「ぼくタマ」であります。
確かに前世ものだけど、何となく地球人でないのが前世ってどうよ? と言う気がしないでもなかったりするけど。

扇:えらいちっちゃい地球やな。
人類皆兄弟と言うではないか。
まぁ、誰かさんの記憶にはどう考えても人外な奴も出てきたけどな。

鈴:まー、宇宙人だし。
で、ストーリーはませたお子様キャラが高校生のヒロインをたぶらかして婚約してしまうお話であります。

扇:危険な発言をするなっ!

鈴:え? 危険なのか!?
だって、前世ものって言うか、少年×高校生くらいの年の差コンビの走りではないのか!?

扇:ぢゃなくて、輪廻転生の話だってば!

鈴:あぁっ! そうだった!(笑)
……ともあれ、前世の恋愛模様を現世にそのまんま持ち込んで、結局収まるところに収まった話であります。

扇:収まるまでの道のりが長かったけどな。
サイキック・ウォーズみたいな話もあったし。

鈴:あー、そういやあったなぁ。つか、そのまんま超能力戦争やらかしてたなぁ。
……なんか、このまま進むととんでもないことになりそうなので、キャラ紹介に逃げるか(笑)
と言うことで、最初はやはりこれと言うことで、坂口亜梨子=木蓮。
前世、現代ともに天然街道まっしぐらで、植物と会話できると言う世の発明家を震撼させるチャネラー。
前世ではいわゆる巫女さんみたいな立場の特殊階級の人間だが、現代の亜梨子はいちおう天然入ってるけど、ふつうの女の子キャラにはなっている、はず。
ヒロインの割に、他の女性キャラ(転生前、後ともに)のほうが濃ゆいので、相対的に影が薄かった。

扇:では、影の主役ということで小林輪=紫苑。
身体は小学生、中身は大人などっかの少年探偵みたいな子供。
前世を知る者達の中で最も多くの記憶を持っており、なおかつ強大な超能力まで引き継いでいる結構危険なキャラ。
亜梨子=木蓮であることを知っており、過去の恋を成就させるとともに、忌まわしき記憶の残る月基地を破壊しようと画策する。
前世では戦災孤児であり、生まれ変わっても愛に飢えている辺り、報われん方である。

鈴:じゃぁ、次は小椋迅八=玉蘭。
前世、現代ともに木蓮=亜梨子に惚れ、なおかつものの見事に紫苑=輪にヒロインをかっさらわれる不幸なキャラ。
ただし、さして同情できない程度に薄いキャラだったが、最終巻でロリに走ったかと言われるところまで行ってしまったことで、いちおう、少しは同情できそうな気がする。あくまで気がするだけだが。

扇:では、錦織一成=槐。
前世、現代ともに小椋迅八=玉蘭に惚れている、報われない方。
現世では男になってしまったため、余計に報われないキャラとなった。
前世で女性だったから……ではなく本質的に泣き虫体質な迷惑男。
報われん者同士気があったのか、それとも前世で仲良かった因縁か、最後は桜と婚約する。
……うまくやったな、一成……。

鈴:……さて、だいぶもういい加減、キャラ紹介も飽きてきたな。
なんか、いまになってみると、なんであのころ、これがすごいおもしろいと思ってたのか、理解できない。
つか、どいつもこいつもキャラ薄すぎっ!

扇:すまん、元々好きじゃなかった、これ。
キャラ薄いし、ストーリーのろいし、紫苑もなぁ……復讐心の塊みたいな奴だったのに、最後はなんかうやむやになっちゃったのはどうかと。
『アクマ君シリーズ』は主人公のアクマ君のキャラが立ってて楽しかったんだがなぁ。

鈴:『アクマ君シリーズ』ってまたさらに古いものを出してきたな。さすがにこれは知らん。
まー、この話のあとの「未来のうてな」もそのうち、買うのをやめたし、結局こやつのマンガはほんとうはおもしろくなかったんだろうなぁ。
ここまでまったくもってノリの悪い木曜劇場は初めてだ。

扇:超危険な発言をするなっ!

柳生家の人々

2005-10-12 23:25:20 | 時代劇・歴史物
さて、小説の方読むのは初めてな第316回は、

タイトル:柳生非情剣
著者:隆慶一郎
文庫名:講談社文庫

であります。

柳生の方々の話を集めた短編集。
本来は別々に書かれたものですが、血族同士の絡みがあるので連作っぽくなっています。
例によって一作ずつ感想を書いていきます。

慶安御前試合(柳生連也斎)……尾張柳生の開祖兵庫助利厳の三男兵助、後の連也斎の話。家光の面前で江戸柳生の総帥柳生宗冬と戦うことになった兵助。しかし、江戸柳生の刺客が――。宗冬の無念を察する兵助の心情、家光が御前試合を仕組んだ経緯等が非情に丁寧に書かれている。

柳枝の剣〈柳生友矩〉……柳生宗矩の次男でありながら、家光に見初められた柳生友矩の生涯。気性の荒い長男十兵衛、剣を嫌う三男又十郎の間にあって、数奇な運命をたどった天才剣士、という感じの作品に仕上がっている。三人の兄弟の書き分けが非常に上手い。

ぼうふらの剣〈柳生宗冬〉……柳生宗矩の三男にして、後に慶安御前試合で柳生連也斎と戦うことになる又十郎の話。宗矩の不興を買い、侍に嫌気がさした又十郎は能楽の道を選ぼうとするが――。辛い境遇にありながら、くよくよしない又十郎のキャラクターが良い。

柳生の鬼〈柳生十兵衛)……御存知、柳生の有名人十兵衛の話。家光の相手に嫌気がさした十兵衛は大和柳生の圧に戻るが――。破れた十兵衛が自分の剣を見つめ直し、奥義を会得するに至るまでの成長物語。ラストシーンの十兵衛の素直な台詞、最初は冷たかった柳生の故老がもらす台詞、どちらも素敵である。

跛行の剣〈柳生新次郎〉……柳生石舟斎の嫡男でありながら、戦場で負傷し、足が不自由になってしまった柳生新次郎厳勝の物語。男性機能を失い、石舟斎に妻を寝取られても、生まれた子供に剣を托す新次郎。飽くまで涼やかなそのキャクラターは美しい。

逆風の太刀〈柳生五郎右衛門〉……柳生石舟斎の四男、五郎右衛門の話。関ヶ原の戦いで大勢を決した小早川秀秋に仕えた後、流浪の身となった五郎右衛門の数奇な運命を描く。どこか情けないイメージが付きまとう秀秋だが、本作では二つの勢力に挟まれた身にありながらそれでも反骨精神を失わない魅力的な若者として描かれている。

一言で言うと、はみ出し者達の話。(笑)
しかし、どの人物も人間味溢れるキャラクターとして描かれています。
従来のイメージと違う(特に十兵衛)、という意見もあるかも知れませんが、私はこの短編集に出てくる柳生の人々は好きですね。

時代劇好きなら、絶対のオススメ。
心理描写、殺陣の描写、どちらも一級品です、この人本当に上手い。