つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

とうとうここまで……

2006-04-14 22:22:50 | 伝奇小説
さて、どこもかしこもやなぁの第500回は、

タイトル:帝立愚連隊
著者:水城正太郎
出版社:竹書房 ゼータ文庫

であります。

とうとう竹書房までラノベを出す時代になったのねぇ、と妙な感慨で買ってしまった……。

時代は大正時代、欧米列強に追いつけ追い越せと植民地政策まっしぐらの日本……の時代なのだが、初っぱなはドイツから。
密命を受けた忍者集団、八瀬童子の八瀬藤治はドイツで不可思議な儀式でひとりの男が若返る場面に遭遇する。
自らを救世主と名乗るシリル・クロウリーと、その使徒のウォルフ・シュタイナーによって、日本を舞台に魔術戦を挑むことを、藤治の肉体をもってミカドへと送り届ける。

これにより、ミカド直轄の八瀬童子を擁する天文局に討伐隊が組織され、そこの一員となったのが、ミカドの義理の妹で主人公の柳原風音。
刃のない奇妙な形の刀を扱う剣技と、魔術体質という常人よりも強い体と力を持って生まれた風音と、その侍女(メイド)である鹿嶋瑠衣、ちゃらんぽらんだがお約束でいちばん強い赤木宗一郎、討伐隊に派遣された八瀬童子の八瀬柚奈、赤木の友人の真鳥丈吉の妹の美代、討伐隊のリーダーで日本で随一の西洋魔術研究者の酒井清乃の面々が、シリル、ウォルフとともに行動する北澤光輝と斬った張ったを繰り広げる、いかにもな伝奇アクション小説。

まずはこの作品を評するにこれほどふさわしい者はないだろう一言。

勢い

とにかく勢いがすべてであろう。
著者があとがきで「荒唐無稽な」と評しているが、まさにそのとおりで、陰陽道を操る忍者の八瀬童子だの、日本に攻めてくるウォルフに対抗するための6メートルはある鎧人形(ちなみに霊で動く)だの、なんじゃそりゃ、と言わんばかりのモノがたくさん出てくる。

だが、そんなことは気にしてはいけない。

また、わけのわからん理論だの解説だのが出てきて、なんだそりゃ、と思うところもないわけではないし、戦闘シーンなどほとんど情景が思い浮かべられない描写などがないわけではないのだが、これもまた気にしてはいけない。

勢いを止めてしまうから(笑)

もちろん、伝奇アクションなのだから当然戦闘シーンがメインになるだろうし、そこに勢いやスピード感などがなければ話にならない。
だが、伝奇アクションのあとに「コメディ」とつけてもいいくらいの風音と赤木、風音と瑠衣のやりとりなど、勢いが収まりがちな戦闘シーン以外でも勢いを持続させられているところはおもしろい。

……とは言え、勢いで読めるぶん、それだけ、とも言えなくもないが……。
まぁでも、伝奇小説らしく(?)派手にひとは死ぬし、死体まみれでどろどろぐちゃぐちゃだけど、ラノベらしい軽いノリもあり、伝奇小説はなんかいまいち……な感じだったので、これはこれでいままで読んだのとは毛色が違ってて楽しめたかな。

好みかどうか?
んなわけないじゃん(笑)

さて、いくらで売れるかな

2005-11-13 15:14:25 | 伝奇小説
さて、ついでなのでいろいろ持っていこうの第348回は、

タイトル:ヴァンパイヤー戦争11 地球霊ガイ・ムーの聖婚
著者:笠井潔
出版社:講談社文庫

であります。

あとがきがいちばんよかった。

以上。

……いや、だって、最後の最後だってのに、「あっ、そう」で終わりなんだもん。
ホント、10巻読んでどうすんのかと思ったけど、杞憂で終わってくれなかったし。

まぁ、いちおう、ストーリーの解説をすると、10巻後半の解説と同時に三種の神器を巡る日米ソの外交交渉があった。
その結果、部隊は宇宙と月面に移る。
ネヴセシブの復活に伴う地球の破滅と言う遠くない未来の出来事を打破するために、三種の神器を持つ日本、月面の重要拠点を押さえるアメリカ、ヴァーオゥの棺(身柄)を押さえているソ連が月面での会談を行う。

10巻まで来ていつもながらに謀略と戦闘を相変わらず続けてきただけに、ここでもそれは行われる。

そうした月での困難をくぐり抜け、そしてスペシネフとの戦いにも勝利するものの、現状を打破するはずのヴァーオゥは、棺の中ですでに白骨化していた。
為す術もなく絶望の中で、残された時間をただ恋人としてすごそうとしたラミアと鴻三郎によって、ガイ・ムーの聖婚はなされ、地球を滅ぼすはずのネヴセシブは再び深い眠りに入り、地球崩壊は免れる。

そいだけ。

盛り上がらなかったねぇ、ホント。
でも、盛り上がらない、と言うのもある意味、ストーリー的なところ以外にも、文章の書き方ってのもあるとは思うけどね。
まったく書き方が変わらない……クライマックスだと言っても説明的なところがずぅっと一緒だったしね。
これをもっと盛り上げるように書いていれば、まだラストが盛り上がったかもしれないけど。

それにしても、裏表紙の「光と闇の永劫の争闘についに決着の時が。壮大な神話、ここに完結!」って文句はいかがなものか……。
まぁ、これも読むほうの問題ってのもあるとは思うので何だけど、私としてはストーリーの部隊は確かに全世界から宇宙まで、ムー文明から現代までと相当幅広く扱ったものだから、「壮大な」というのもわからないでもないけど、光と闇の永劫の争闘とか、神話とか、そういうものかぁ? と言う気はかなりする。

でもこの話、あとがきを読むと、構想そのものはもともとマンガの原作、と言うものらしい。
確かに、青年誌あたりで、それなりに今時の売れそうな絵を描くマンガ家にでも書いてもらったらおもしろいかもしれない。
やはり戦闘シーンは絵があるほうがいいだろうしね。

また、おなじくあとがきに、著者と東浩紀の往復書簡の中で「ライトノベルの先駆的な存在」というのがあって、これで講談社文庫版を出すきっかけにもなったらしい。
確かに、序盤からかなーりライトノベル的な展開とかあって、納得はできる。
まぁ、いま巷に溢れているライトノベルを見てると、こっちのほうがよっぽどかマシだと思うけど。

……それにしても、終わってしまった、シリーズが……。
せっかく何も考えずにとりあえず選べる本があったと言うのに、これからまたいろいろと本屋で悩まないといけなくなってしまった。
まぁでも、最後に、11日分の記事の提供をありがとう、と言っとこう(笑)

カテゴリー変えようかな

2005-11-12 15:07:25 | 伝奇小説
さて、ようやくここまで来たの第347回は、

タイトル:ヴァンパイヤー戦争10 魔神ネヴセシブの覚醒
著者:笠井潔
出版社:講談社文庫

であります。

とうとう10巻。
あと1巻でおしまい……の割には、ぜんぜんペースが変わらないなぁ、この小説。
なんかクライマックスに向けてGO! ってのがあんまりしない。
相変わらず、主人公の鴻三郎は身近なピンチを解決してってるだけって感じがするんだよなぁ。
まー、ある意味、ここまで変わらないまま、10冊分書いたと思えば、すごいとは思うけど。

さて、10巻は概ね3つに分けられる、かな。
序盤は、9巻でKGBの本拠地に潜入し、そこでスペシネフと戦う話。
さらに9巻と同様、サイパワーだの心霊攻撃だのと、ヴァンパイヤー戦争じゃなくて超能力戦争? ってくらい、戦いが様変わり。

でもそのぶん、鴻三郎がだんだん情けなくなってきてるのが印象的かも(笑)
いちおう、人間相手の銃器だの格闘だのであればかなり強いんだけど、それとはまったく違う力が相手なのでほとんど役に立ってないし。

で、中盤はKGBに捕らえられたあと、脱出する話。
ここでは完全に人間相手なので、その能力をいかんなく発揮してくれる。
とは言うものの、派手にどんぱちやらかすわけではないので、盛り上がりはいまいち。

後半に至ってようやくタイトルどおりの話になる。
スペシネフが奉じる魔神ネヴセシブの覚醒が近付くことによって世界で同時に起きた大地震や、それによる被害、世界情勢などが解説される。
思いっきり解説なので、半分斜め読み。

……なんか、ホントにクライマックスに向けて、どかーんっと盛り上がって……くれないな、この巻……。
11巻、どうなるんだろってなんか心配になってきた……(^^;

白っ!

2005-11-11 20:50:44 | 伝奇小説
さて、マンガのほうの単行本完結記念(?)の第346回は、

タイトル:陰陽師
著者:夢枕獏
出版社:文春文庫

であります。

言わずと知れた岡野玲子のマンガで有名な「陰陽師」の原作。
……つっても、マンガのほうは持ってないんだけど、読んだことはあるんだけど、この原作のほうはこれっぽっちも見向きもしなかったんだよね。
まぁ、ちょうどこの作家の小説って1冊も読んだことがなかったし、どんなもんかと思ってお買い上げ。

いやー、ものの見事にページが白いね(笑)
ここまで白いのは、かの○かほり○とる氏以来だと思うよ、絶対。
まるでマンガの1コマを1段落で書いたような感じだし、つながりや場面転換が唐突すぎるところも多々あるし。
この時代だからかもしれないけど、ホント、文章下手だね。

まぁ、逆に文章が軽いので読み進めるのには苦労しない。
場面転換のぶち切れ加減とか、これでもかってくらいの描写のなさを許せるなら、昨今のライトノベルも真っ青の軽さなので読みやすいほうなのかもしれない。
私の場合は、マンガのほうを知ってるので何とかついていけた感じかなぁ。

さて、この最初の巻は、短編集で6つの物語が入っている。
基本線は、主人公である陰陽師の阿部晴明に、親友の源博雅が京で起きる怪異を相談しに来る、と言うところから始まって、ふたり(?)で解決する、というもの。

各話は、

「玄象といふ琵琶鬼のために盗らるること」
今昔物語に題材を取った話で、琵琶の名器である玄象が羅生門の鬼に盗まれ、それを取り戻すと同時にその鬼を退治する話。

「梔子の女」
出家した僧侶のもとへ夜な夜な現れる口のない女の怪異を収める話。

「黒川主」
博雅の遠縁の鵜飼いの娘が化生に見初められた怪異を収める話。

「蟇」
応天門に出た蟇の顔をした少年の化け物を、異界へ行って事情を知り、退治する話。

「鬼のみちゆき」
ある高貴な貴族と一度きりの関係を持った女が鬼となって、その貴族のもとへ会いに行こうとするところを成仏させる話。

「白比丘尼」
不老不死の比丘尼に身体に溜まって化生となったものを退治する話。

いやぁ、やっぱりこの晴明と博雅の関係っていいね、やっぱり。
文章はどうあれ、マンガを読んでると実直で単純な博雅の顔が、岡野玲子さんの絵で浮かんでくるから余計おもしろい。
やっぱりこれは先に1冊でもマンガを読むべきだね。
読んでからでないと、あまりの文章の薄さにきつくなるから(笑)

復活

2005-11-06 17:02:58 | 伝奇小説
さて、おまたせしましたになるんかなの第341回は、

タイトル:ヴァンパイヤー戦争9 ルビヤンカ監獄大襲撃
著者:笠井潔
出版社:講談社文庫

であります。

アフリカ編に入ってから、ぜんっぜん出番のなかったヒロインのラミアがようやく復活(笑)
6巻以来のお目見え……と言いたいところだけど、序章と終章以外にほとんど出番がないので、ラミア萌えのひとには不満たらたらだろうなぁ、と思ったり。

さておき、ストーリーはきっちりと前半後半で分けられている。
前半はブドゥール王国に住む、ムー時代から生きるヴァンパイヤーのマヌーキ……メリッサと主人公の鴻三郎との話が中心。
ここで敵であるスペシネフが奉じる神と、その神と敵対……とまではいかないけど、封印した地球そのものの霊との関わりなどが解説されている。

まー、前半はけっこうだれだれかなぁ。
ほとんどが説明のために費やされてるって感じだしね。
当然、このふたつの神の存在とかがラストに向けた話に不可欠なのはわかるけど、説明ばっかりされるとどんどん斜め読みに近くなってくる。
だいたいの要所を押さえとけば、話はわかるから、さしてじっくり読もうなんて気にならないね。

あとは、鴻三郎が求めてやまない女性……最終的にそれがラミアであることを自覚するところあたり、ラミア再登場と同時にようやくヒロインらしい位置に来たかなぁ、ってところはあるけど。

後半は、スペシネフに捕らえられたとされるラミアと、奪われたヴァーオゥの棺を取り戻すために、鴻三郎と1巻から登場していたトランシルバニアのヴァンパイヤーであるミルチャふたりでKGBの本拠地を襲撃する、と言う話。

いちおう、戦闘シーンは前半にもあるんだけど、こちらはマヌーキの霊力であっさりと勝利。
後半もミルチャというヴァンパイヤーがいるおかげで、かなーり大味。
戦闘に関しては、この巻、すごいピンチとか、そういうのに乏しいのでいまいち盛り上がりに欠ける。

しかも前半のマヌーキの霊力や、スペシネフの弟子とされる超能力者の能力とか、とりあえず、これまではヴァンパイヤーの能力だけが突出していて、あとは人間対人間の戦闘だったのに、ここに来てそんなん出してもらったら、なんかいまいち……。

伝奇ものだから、ありだと言えばありだろうけど、アメリカ軍の歩兵師団やソ連のヘリ部隊をあっという間に倒してしまう力とか、ヴァンパイヤーであるミルチャの力と拮抗するサイコキネシスの使い手とか、最初っからそういうのを出してくれてたほうがいいんじゃないかなぁ、とは思う。

ま、別にいいけどね、そこまで期待してないし。
……その割には読んでるじゃねぇか、と言う突っ込みは受け付けないのであしからず(笑)
(まだ言い訳するか、オレ(爆))

YES!!

2005-10-29 13:46:25 | 伝奇小説
さて、別段不吉ではないの第333回は、

タイトル:ヴァンパイヤー戦争8 ブドゥールの黒人王国
著者:笠井潔
出版社:講談社文庫

であります。

7巻で、長年の相棒ムラキたちとともにブドゥールを目指すことになった鴻三郎一行。
人跡未踏の秘境を目指す何とか探検隊……なんてことは、当たり前だが、ない(笑)

ストーリー上の展開は、前半がブドゥールに至るまでの道中。
トゥトゥインガ族の助けを借りつつ、ブドゥールに至る砂漠を渡るところがほとんどかな。
たいていは、戦闘とかで絶体絶命! なんてことがほとんどだけど、ここでは砂漠という敵とは呼べない自然が相手の絶体絶命。

いやぁ、もう戦ってナンボってのがあるので、こういうので大ピンチを作られるとおもしろいね(笑)

もっとも、ラストに殺すならいざ知らず、主人公たちにこんなところで死んでもらうわけにはいかないので、何とか砂漠を突破する。

突破して、ブドゥールの国に入ってからが後半。
政治を司る王と宗教を司る女王が統べるブドゥール。
長く二重統治が続いてきたこの国で、王位を簒奪したテグ・クゥという王が自らの王の正当性を証明するために、女王側の人間を妃に据えるための策略を展開する。

女王側のほうは当然、傍若無人な振る舞いを続けるテグ・クゥに、正統な王であることを認めさせるわけにはいかず、鴻三郎やムラキたちとともに、それを阻止しようとする。
紆余曲折の末、テグ・クゥ側と戦うことになってしまい、鴻三郎たちは槍や盾のみで武装した原始的な集団戦を行い、テグ・クゥを撃破、そしてケビゼ、ネクラーソフを倒す。

ざっと言えばこんな感じかなぁ。

今回の見どころは、単行本史上初の鴻三郎、フラレるっ!(爆)

……いや、いちばん印象に残ってるの、ここだもん(さらに爆)

ともあれ、この女王側のほうの一族はヴァンパイヤー一族に連なる一族。
ストーリー上、鴻三郎がとにかく惹かれてしまうのが、このヴァンパイヤー一族の女性で、ここは鴻三郎が持つ血や役割と言ったものが関係している。
ヴァンパイヤー一族の女性のほうも、そういった事情から鴻三郎にほぼ確実に好意を寄せる。
だから、ここでも女王側……つか、女王とか、その妹とか、惚れられるのだが、鴻三郎が狙っていた女王オンサは、自分の立場や妹との関係から、自制する。

挙げ句の果てには、テグ・クゥとの戦いのあとの、ケビゼ、ネクラーソフとの戦いの途中で命を落としてしまう。

まー、惚れられていたとは言え、結果的に拒絶されてしまったところは、う~む、このあたりでもういいよ、ってとこで、こういうのを持ってくるあたり、おぬしも悪よのぅ、と悪代官やってしまいそうだ(笑)

……にしても、いったいラミアはどうしたんだろうねぇ。
確か、本編で重要な存在であるはずのヴァーオゥを復活させる鍵であり、ヒロインのはずだと思ってたけど、6巻で出て以来、さっぱりだなぁ。
完結まであと3冊、どうすんだろ?

そろそろきつくなってきた

2005-10-23 16:24:53 | 伝奇小説
さて、第327回は、

タイトル:ヴァンパイヤー戦争7 蛮族トゥトゥインガ族の逆襲
著者:笠井潔
出版社:講談社文庫

であります。

ようやく7巻……。
あと4冊で終わり~。

さて、アフリカ編の2冊目。
主人公の鴻三郎、そしてムラキはそれぞれ目的は違うものの、アフリカのブダーという国へ潜入する。

未だ部族単位での慣習が残る国で独裁を貫く大統領のケビゼ。
そうした大統領の反対派と協力して、ケビゼを倒すとともに、ムラキは敵であるネクラーソフというロシア人を狙う。
自分の問題だからと言うことで鴻三郎の協力を拒否するムラキだが、様々な事情が絡み合い、ともにケビゼを暗殺するために王宮へと向かう。

これが前半。

後半は反対派に負けて、ケビゼ、ネクラーソフはアフリカのヴァンパイヤー一族がいるブドゥールへ向かう。
ここで月のマジックミラーの関係でCIAも同様にブドゥールへ。
鴻三郎たちも一路ブドゥールを目指すが、ここでCIAとの戦いがある。
絶体絶命のピンチも相変わらずで、前半では王宮での戦い、後半はこのCIAとの戦いが、戦闘シーンの見せ場だろう。

以上。

……いや、まぁ……(^^;

最近、この作品のレビュー書くのがかなーりめんどくさいんだよね。
ホント、そのまんま少年マンガ的なノリと展開だから、こう進むんだよ、って書いたらそれ以上書きようがないし(爆)

……いや、ホントにおもしろいと思ってんのか? って言う突っ込みはなしよん。
ほら、少年マンガってけっこう読んで、笑って、あーおもしろかった、で2回目はまず読む気にならないのと一緒で、とりあえずは読めるので(^^;

第2部?

2005-10-14 20:00:57 | 伝奇小説
さて、毎週1回の恒例になっているの第318回は、

タイトル:ヴァンパイヤー戦争6 秘境アフリカの女王
著者:笠井潔
出版社:講談社文庫

であります。

なんか、こうシリーズもので全部出てるのだと、買う本考えなくてすむから楽だなぁ……なんて思ってたり(笑)
解説?
1巻の斜め読み以来、1行たりとも読んでない(爆)

さて、5巻で古牟礼(コムレ)一族の宿敵礼部一族を壊滅させ、三種の神器のうち、ふたつを持って日本を脱出した主人公九鬼鴻三郎。
日本はアメリカとソ連に攻め込まれて分割統治、正当な日本政府は北京で活動している、なんてぶっ飛び加減で終わっていた。

6巻はうってかわって1巻の最初のほうなみに自堕落街道まっしぐらな鴻三郎。
だが、馴染み(?)の裏の商売人である<道具屋>ピエールが、謎の黒人美女とともに場末の酒場から一緒に出て行くのを見てから、いつものストーリーに戻る。

副題にもあるようにパリ、日本とヨーロッパ、アジアと来て、今度はアフリカ。
つか、ムー大陸の一族がアフリカにもいるんだという話は、まぁ読んでて笑ってしまうくらい惘れた。
いや、まぁ、いままでもそういうところは多々あったので、いまさらではあるけど。

ともあれ、ストーリーはアフリカの小さなブダーと言う国の話題を中心に進んでいく。
フランスに外遊に来たブダー大統領ケビゼを狙う組織。
アフリカにいまも秘境として残るヴァンパイヤーの住まう土地。
相変わらずのKGBやCIAと言ったスパイ組織との戦闘。
三種の神器の最後のひとつである月のマジックミラーの行方など。

ラミアは別行動でバカンス街道まっしぐらなので4巻5巻と続いた活躍を楽しみにしていたひとには残念なところかも。

あと要所要所で出てきてはいたけれど、影の薄かった相棒のムラキが今度は参戦してくる。
参戦と言っても私怨でブダー大統領ケビゼの後ろ盾になっているソ連のネクラーソフという人物を殺すためなのだけど。

にしても、なんかこう、ぴんと来ない話だったんだよね。
5巻で一区切りして、第2部みたいな感じだし、基本的には序盤って感じだからかもしれないけど。

折り返し地点

2005-10-08 00:26:35 | 伝奇小説
さて、ヒロイン大活躍の巻の第312回は、

タイトル:ヴァンパイヤー戦争5 謀略の礼部クーデタ
著者:笠井潔
出版社:講談社文庫

であります。

とりあえず、ここで2巻から続いていた日本編は終了。
日本のヴァンパイヤー一族である古牟礼(コムレ)の民と、遙か過去から対立してきた礼部一族との一大決戦が勃発。
さらに、スペシネフの過去、魔獣ドゥゴンが登場。
こうしたミクロなネタに、三種の神器……亜空間通信装置を巡るアメリカとソ連が様々な口実で日本へ武力侵攻を企てると言う比較的マクロなネタを散りばめつつ、ストーリーは進んでいく。

いやー、すごいね。
アメリカとソ連が、いかなる理由があろうと日本に武力侵攻なんて、思いも寄らなかったよ(笑)
それに、ミクロ方面では「あのー、あなたがそういう立場のひとだったんかえ?」と思わせられる展開もあるんだけど、いくら何でもそれは唐突すぎでないかい? と言うところもある。

また、前作に引き続き、主人公である鴻三郎はそれなりに活躍するが、人外担当のラミア……愛称キキの活躍が目立つ。
2作続けてキキってのは、まー、萌えるひとにはいいかもしれないけど、ずっと鴻三郎で続けてきたところで大した活躍の場もなく進んでくれるのは、ちとどうよ? と言うところがないわけではない。

まぁ、こういうところは好みだし、別にキキが活躍して悪い、と言うことではないし、ヒロイン兼ヴァンパイヤーらしいところも随所に見られて、ようやくヒロインらしくなってきたと言う感じはある。

……にしても、引っかかったのは、鴻三郎の回想。
はっきり言って、この巻の回想の文章を読むだけで4巻まで読まなくてもいいよ、と言ってしまえるくらいの説明文ってなに?
比較的、短い間隔で読み進めているほうとしては、そんなんいらねぇ、と言えるくらいだったのが欠点かなぁ。

しかし、相変わらずほいほいキャラが死ぬこと死ぬこと。
このあっさりさ加減は、読むひとによっては感じ方も違うんだろうけど、状況描写が主体なので、個人的に入っていけない。

ほとんど諦めて読んでるので別にいいんだけど、物足りなさは残る。

まぁでも、ひとつの区切りの中でのクライマックスがあって、読み応えはそれなりにある。
すんごいおもしろい! とまでは言わないけど、こういうのが好きなひとにはいいんだろうなぁ……と。

あ、あと最後に、タイトルにAmazonのリンクを張ろうとしてレビューを見たけど、ドゥゴンってクトゥルーの匂いがするらしいのね。
クトゥルーってほとんど知らないから、そんな感じすらなかったんだけど、知ってるひとから見ればそうなんだろうねぇ。
まぁ、有名な作品だし、影響があるのは仕方がないのかもね。

それにしても、表紙のラミアの巫女さん姿に扇子持って舞ってるイラストは、いままでになく狙ってる? と思ったのは私だけではあるまい(笑)

ちょろっとくらい

2005-09-30 21:29:44 | 伝奇小説
さて、ネタバレもいいよねの第304回は、

タイトル:ヴァンパイヤー戦争4 魔獣ドゥゴンの跳梁
著者:笠井潔
出版社:講談社文庫

であります。

なんか、続き物だからちょっとでもネタバレにならないように3巻分。
……とは言うものの、とてもレビューにはならないので、少々のネタバレはやむなし、と言うことで、いまから読み始めたいひとには向かないかも。

さて、4巻。
1巻ではヒロインのラミアがヴァンパイヤー一族のとても重要な位置を占める存在であり、宇宙で大戦争を繰り広げる種族ラルーサ人のひとりであるヴァーオゥ……ムー大陸の文明を創始した不死人を甦らせる唯一の存在であることが語られていた。

2巻はラミアを掲げるトランシルヴァニアのヴァンパイヤー一族から日本のヴァンパイヤー一族……ヴァーオゥの不死の力を与えられた一族との話。
日本に伝わる三種の神器が、ラルーサ人と敵対する種族であるガゴール人が残した通信装置で、これを狙うアメリカ、ソ連の2大国、そして日本を影から操り、日本のヴァンパイヤー一族と長年に渡る敵対関係にあった礼部一族……。

そうした2大国の諜報組織CIAやKGB、礼部一族に加え、3巻ではソ連の権力中枢の奥深くまで入り込み、謀略を企てるスペシネフという黒幕が現れ、三種の神器を巡る争いが混迷を増す……。

……と、いままでのネタバレかましといて4巻。

副題の魔獣ドゥゴン……スペシネフが語る真の神の僕である魔獣……なんだけど、副題になっている割には登場シーンはちょろっとだけ。
まぁ、3巻でそのまんま鬼のような化け物が出てきて、今度はさらにわけのわからない化け物まで出てきて、さらに伝奇らしく……。

そして人体改造で創られた人間兵士であるゾンビ・コマンドなる存在まで出てきてさらにさらにらしく……。

……って、いままでも戦ってばっかだったけど、ここでも主人公の鴻三郎は戦い、そして幾度となく窮地に追い込まれていく。
よくもまぁ、次から次へと窮地を用意できるもんだと思えるくらい。

けれど、ここからちょっと違うのは、とうとうヒロインであるラミアの活躍が出始める。
最も濃い不死の血を持つヴァンパイヤーであるラミア。
その能力はかなりのもの……だけど、1巻の最後で鴻三郎を救って以来、さしたる活躍の場がなかったけど、この4巻でその場が与えられている。

またいつもの説明台詞では前半でゾンビ・コマンドとの戦いで絶体絶命の窮地に陥った鴻三郎を救った組織との会話の中で、鴻三郎の出生の秘密がいくらかあかされている。

でも、読後感としてはやや物足りない。
ラミアの活躍なんかは見どころになるとは思うけど、1巻2巻ではけっこういろんなことが明らかにされたりしてたけど、いままでと較べると謎を深める感じで終わっているし、どうも鴻三郎も負けっ放しですっきりしない。

まぁ、そのぶん、逆に続きが気になるところもあり、1巻2巻のような活躍も期待したい気もする。
もっとも、ここまで読んでしまったので、いまさらやめるわけにもいかなかったり……(笑)