『模倣犯(三)』 宮部みゆき

2010年04月20日 20時43分28秒 | 宮部みゆき

群馬県の山道から練馬ナンバーの車が転落炎上。二人の若い男が死亡し、トランクから変死体が見つかった。死亡したのは、栗橋浩美と高井和明。二人は幼なじみだった。この若者たちが真犯人なのか、全国の注目が集まった。家宅捜索の結果、栗橋の部屋から右腕の欠けた遺骨が発見され、臨時ニュースは「容疑者判明」を伝えた――。だが、本当に「犯人」はこの二人で、事件は終結したのだろうか?(新潮文庫より)

東野圭吾の「名探偵の掟」という小説に、こう書かれている。

「これは犯人当て小説である。では読者がメモを片手に読めば犯人が分かるのかというと必ずしもそうではなく、小説中の手掛かりだけでは、どう逆立ちしても真相を解明することなど不可能というのが、この種の小説の実態でもある。実はそれでもいいのだ。というのは、小説中の探偵のように論理的に犯人を当てようとする読者など、皆無に等しいからである。」

かつての推理小説といえば、巧妙なトリックを明かす名探偵が主人公であった。現在であってもそういった小説は多くある。

ただ、この模倣犯はそういった小説ではなく、犯人は分かっている。手口も分かっている。
そういった中で繰り広げられていくストーリー。

よっぽどうまくまとめない限り、こういった小説には面白みがない。そこに挑戦してくる作者には期待が高まるばかり。

このあとの2冊でどう話を運んでくるのか。細部に隠された伏線を探り当てながら、これからを楽しんでいこうと思う。

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