『定年ゴジラ』重松清

2010年09月19日 21時28分44秒 | 重松清
久しぶりにかく気になりました。

『開発から30年、年老いたニュータウンで迎えた定年。途方に暮れる山崎さんに散歩仲間ができた。「ジャージは禁物ですぞ。腰を痛めます。腹も出ます」先輩の町内会長、単身赴任で浦島太郎状態のノムさん、新天地に旅立つフーさん。自分の居場所を探す四人組の日々の哀歓を暖かく描く連作。「帰ってきた定年ゴジラ」収録の完成版』(講談社文庫より引用)


本の感想としてよく使われるのが「次が気になって仕方ない」、「ページをめくる手が止まらない」といった表現がまま見られますね。このブログの読者の皆さんはよくご存じでしょう。自分も使います。


この本の感想としては、


「次を読みたくない」


があったんです。


次に進みたくない。




何でかって言うと…


「今読んでるこの文章が心地よすぎて、終わらせたくない」

から。

「この文章にずっと浸っていたい。」

から。


それだけの文章力、構成力、観察力。さすがといったところ。


定年になったサラリーマンが、老後にすることがなくて退屈で、活力がなくなった定年ゴジラたちが、どう生き甲斐を見つけていくかと言うストーリーです。けしてアドベンチャーみたいなスリリングでエキサイティングな展開がある訳じゃなく、ミステリーみたいにあっと驚くトリックがある訳じゃなく(ただ、最近のミステリーはただただトリックだけで話を進めるんじゃなくて、物語性だったり、人間らしさが求められていたりするんだけど)、ラブストーリーみたいに最高の愛がある訳じゃなく、ただただ定年のおっさんたちの物語。だけども、そこにこれだけの魅力を書き込み、読ませる技術はさすがです。


おすすめですね。

☆☆☆☆★

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