『BT'63』 池井戸潤

2012年09月01日 09時51分41秒 | 池井戸潤
連続で申し訳ないです。



「父が遺した謎の鍵を手にすると、大間木琢磨の視界に広がるのは、四十年前の風景だった。若き日の父・史郎が体験した運送会社での新事業開発、秘められた恋…。だが、凶暴な深い闇が史郎に迫っていた。心を病み妻に去られた琢磨は自らの再生をかけ、現代に残る父の足跡を調べる―。父と息子の感動長編。 」(BOOKデータベースより)(上)
「呪われたトラックBT21号の運転手四人が次々と殺され、史郎が精魂を注いだ新事業も立ち行かない。すべては闇の住人、成沢が仕掛けたことだった。愛する鏡子まで成沢の罠に陥り、史郎は苦悩の選択をする―。一方の琢磨は、現代に残っていたBT21号を手に入れる。「物語」のすべてがつまった圧倒的大作。 」(BOOKデータベースより)(下)


主人公は大間木琢磨。
父である大間木史郎を亡くし、また自身も病気により仕事や恋人、そしてここ数年の間の記憶を失っている。
そんな琢磨はある日夏服を押し入れから出すときに、濃紺に金のモールをあしらってある「相馬運送」の制服、父の昔の職場の制服を見つけたのであった。
その日の夜、あまりに寝付けなかった琢磨はふと思い立ってその制服を着てみることに。
しかし、その制服に袖を通した瞬間、耳にエンジンをかけているような音や「ちっきしょう!」「デコンプレバーを引け!」といった声が聞こえるようになった。
何が何だか分からなくなった琢磨は、そのままその世界に引き込まれていくのであった。

その世界とは40年前の若き日の史郎の物語である。

この40年前の物語をみた琢磨は、その物語を頼りに現実世界で相馬運送を探し出すことに。なぜか問われれば自分探しとしか言いようがない。
その中で出逢った当時のメインバンクであった三つ葉銀行の桜庭と面会する。

この小説は、これら40年前の史郎の物語、桜庭の記憶を頼りに、琢磨が現実世界で真実をみつける物語である。


この父の制服を着ること(のちにBT’21の鍵を手にすること)で過去の父の記憶が見えるという、池井戸潤にしては珍しい(?)SF的要素が多いこの物語。
BT’21とはボンネットトラック21号という意味だが、まあ表紙のようなトラックのことです。
このトラックが琢磨を呼んでいる。そんなお話。
なかなか時代背景が古かったり、難しい設定もあったかと思うけど、さすがは池井戸潤って感じで割と読みやすかったです。

★★★☆☆

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藤子・F・不二雄を「先生」と呼び、その作品を愛する父が失踪して5年。高校生の理帆子は、夏の図書館で「写真を撮らせてほしい」と言う一人の青年に出会う。戸惑いつつも、他とは違う内面を見せていく理帆子。そして同じ頃に始まった不思議な警告。皆が愛する素敵な“道具”が私たちを照らすとき―。 (BOOKデータベースより)

『トッカン 特別国税徴収官』 高殿円

2012年09月01日 09時33分08秒 | 読書
久しぶりの更新になってしまいました。



「税金滞納者を取り立てる皆の嫌われ者、徴収官。なかでも特に悪質な事案を扱うのが特別国税徴収官(略してトッカン)である。東京国税局京橋地区税務署に所属する新米徴収官ぐー子は、鬼上司・鏡特官の下、今日も滞納者の取り立てに奔走中。カフェの二重帳簿疑惑や銀座クラブの罠に立ち向かいつつ、人間の生活と欲望に直結した税金について学んでいく。仕事人たちに明日への希望の火を灯す税務署エンタメシリーズ第1弾。」(BOOKデータベースより)

主人公は「特別国税徴収官の鏡雅愛」付きの新人徴収官である鈴宮深樹。通称ぐー子。言いたいことを「ぐ」と飲み込んでしまうことが多々あるため、鏡にあだ名をつけられたのだった。
鏡は京橋の死神とよばれる(京橋は税務署のある地名)、何でもかんでも差し押さえする特別国税徴収官で、高級犬さえも差し押さえの対象に。
その他、さまざまな徴収官(お金を集める人)や調査官(脱税を調査する人)、そして滞納者たちが出てきます。

国税という仕事は一般住民にとってはよくわからないところであって、このトッカンの物語がどこまで本格的なのか我々には判断できない。
ただ、徴収官っていうのが基本的に悪者にされることはよくわかる。ないお金を取りに来られるからね。
ただ、そんな徴収官も悪いことばかりじゃなく。やっぱり一人の人間なのであって。
そこが物語になるんだよね。そんなアクション映画みたいに悪徳商店に拳銃持って押し寄せるような物語ではありません。
あくまで、徴収官と滞納者だったり、それぞれの人間関係の物語。
そしてぐー子の成長物語であったり。

一度国税の人に読んだ感想を教えていただきたいですね。
よろしくどこかの国税の方!

★★★☆☆

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父が遺した謎の鍵を手にすると、大間木琢磨の視界に広がるのは、四十年前の風景だった。若き日の父・史郎が体験した運送会社での新事業開発、秘められた恋…。だが、凶暴な深い闇が史郎に迫っていた。心を病み妻に去られた琢磨は自らの再生をかけ、現代に残る父の足跡を調べる―。父と息子の感動長編。 (BOOKデータベースより)