『完全黙秘ー警視庁公安部・青山望』 濱嘉之

2012年05月14日 19時13分08秒 | 読書
青山望は男です。



「財務大臣が刺殺された。犯人は完全黙秘。身元不明のまま起訴される。特命の極秘捜査にあたる警視庁公安部警部・青山望が突き当たったのは、政治家と暴力団、芸能界が絡み合う壮大な「戦後の闇」だった。捜査手法、情報戦の実態など公安出身者にしか書けない圧倒的なリアリティで描く、インテリジェンス警察小説の新シリーズ。」(BOOKデータベースより)


なんともスケールの大きなお話。

始まりは、福岡で起きた梅沢財務大臣刺殺事件(梅沢事件)。犯人は完全黙秘で身元も名前もわからないまま逮捕、起訴された。
青山は同様に完全黙秘のまま有罪判決が出され、刑期満了まで名前すらわからなかった事件との関連を考え、ひそかに捜査を始めていったのだが、そこには暴力団や政治家、宗教団体など、あらゆるところにまで波及していく。

濱嘉之さんにしか書けないような作品です。彼は警視庁公安部の中でもさらに全体を見渡せる公安総務課出身。内情もよく御存じなのでしょう。
書いてしまいますが、容疑者数は数十人、もしくは百人を超えるかもしれない大事件を見事に連結させる執筆力。
正直個々人の名前なんてわからなくなってきます(笑)でも、変な名前を付けるわけじゃないのでいやな感じもなくすらすら読めていきます。
いや、すらすらといったら語弊があるかもしれない。普通の本の二倍は読むのに時間がかかってます。油断すると話が抜けていきます。

誰かにお願いしたいのが、この作品の犯人たち、協力者たち、捜査員の相関図を作成してほしい。
たぶん、A3用紙には収まりきらない人数が出てくると思います。
それをもって再度読み返すと、さらに面白い事実が出てくるのかもしれませんね。

歌舞伎町のボン引きにはご注意をw

★★★★☆

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本書は、あなたに新しい興奮をもたらす。それは、第一章「闇一重」で幕を開ける。男が拳銃で撃たれて死亡する。犯人逮捕が間近となった矢先、司法解剖をした法医学者から連絡が入る。心臓に達していた銃弾は、一度止まってからまた動いたというのだ―。第二章 「蛍蜘蛛」で驚愕、第四章「罪時雨」で唖然、最終章「独静加」で…何を見る?―。 (BOOKデータベースより)