雨あがりのペイブメント

雨あがりのペイブメントに映る景色が好きです。四季折々に感じたことを、ジャンルにとらわれずに記録します。

映画「さまよう刃」を観て(4の(6) 「さまよう刃」とは (最終回)

2010-11-15 22:41:23 | 映画
 「さまよう刃」のタイトルの意味するものは何か?
 
 警察はそれ(長峰が追いつめた殺人少年犯を殺すこと)を阻止しなければならない。
 そのために長峰が死んでも仕方がない
 というのが警察の見解である。

 悪を戒め、正義を守るための警察権力。

 だが、自分たちが正義の刃と信じているものは、
 本当に正しい方向に向いているのだろうか。
 若い刑事・織部の苦悩である。

 警察権力と少年法の矛盾の中で
 揺れ動く正義の「刃」、ということなのだろう。

 また、
 「長峰の持つ猟銃には弾丸が装填されていなかった」。
 これをどう解釈すればいいのか。

 ここに、もう一つのタイトルの意味するところがあると思う。

 殺人少年犯を追いつめ、
 復讐を遂げようとする長峰の揺れ動く気持ちをイメージしているのではないか。

 狂気にも近い殺意が徐々に変化し、
 やがて、(4)の(5)で示したように「死の恐怖」を与えることに変わっていく。
 
 同時に、未来に絶望しか見いだせなかった長峰の心に光を灯し、
 支えになったペンションの女も見逃せない。

 頑(かたく)なに心を閉ざし、復讐の鬼と化す長峰が、
 人の情けを受け入れ、人を信じることによって、
 未来にかすかな希望を見出していく過程が、
 「さまよう刃」の意味するところではないか。

      (終)

    最初、2~3回のシリーズで終わる予定だったが、
    9回と長くなってしまいました。
     テーマの内容が重く、映画や原作の小説を読ん
    でいない閲覧者にも理解しやすいように書くうち
    に、だんだん長くなってしまいました。
     続けて閲覧していただいた皆さんに感謝です。
    とりあえず、最終回ということですが、日を改めて
    テーマに沿った関連本の紹介を「番外編」として
    一月から始めたいと思います。

 

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