昨日の風 今日の風(7)
参院選・各党の「原発に関する公約」
エネルギー問題は、国の政策 決定の最重要な課題である。
経済界を含め、国民の生活の基盤をなし、過った選択をすれば、その社会は混乱し、崩壊してしまうからだ。
参院選は、原発依存に戻るか、脱原発を進めるのかの分かれ道になる選挙であった。
今月8日には原発の新規制基準がスタートし、原発を巡る環境は新たな段階に入った。
現在、北海道、関西、四国、九州の4電力、計6原発12基を再稼働させるための審査を
原子力規制委員会に申請している。
自民党が圧勝した参議院選だったが、各党は「原発問題」をどう捉(とら)え、
公約として明記したのかをふり返ってみよう。
原発再稼働を進め、規制委が安全と認めた原発の再稼働は
「地元自治体の理解が得られるよう最大限努力する」と、自民党は原発再稼働へ向けて大きく舵を切った。
また、成長戦略にも「原発の活用」をあげ、原発回帰に一層の拍車がかかりそうだ。
他の党は脱原発や脱原発依存を打ち出している。
公明党は「可能な限り速やかに原発ゼロを目指す」。
同様に日本維新の会も「30年代までにフェードアウト(徐々にやめる)」。
民主党「30年代に原発稼働ゼロ」を掲げる。
また、この三党は原発稼働を否定していない。
みんなの党は「20年代の原発ゼロ」とし、再稼働にも否定的である。
共産党「即時原発ゼロ、再稼働認めない」、
生活の党「2022までに廃止、再稼働認めず」、
社民党「原発稼働は認めず」、
みどりの党「2023年までに完全廃炉に着手」、
新党大地「原発ゼロ(具体的な年代は明記されていない)」。
こうして掲げてみると、自民党以外は、エネルギーの選択に原発を入れることに否定的である。
自民党議員連盟や経済界などの声に押され、原発依存社会は継続していくようである。
野党の全部が「脱原発」を表明する状況の下、
福島第一原発事故の全容が全く把握できていないこの時期に、
再稼働の推進は早すぎるのではないだろうか。