雨あがりのペイブメント

雨あがりのペイブメントに映る景色が好きです。四季折々に感じたことを、ジャンルにとらわれずに記録します。

ニュースの声(13)  安倍晋三「桜を見る会前夜祭」① 

2022-06-30 06:30:00 | ニュースの声

ニュースの声(13) 安倍晋三「桜を見る会前夜祭」  
    日曜版がスクープした、安倍晋三後援会主催の「桜を見る会前夜祭」にサントリーが無償の
      酒を提供した問題で、上脇博之教授(神戸学院大学)が安倍元首相や元公設第一秘書ら4人を、
     15日付けで刑事告発した。
     告発の内容は次の通り。
      酒の無償提供は寄付にあたるのに、
      政治資金収支報告書に記載したなかった政治資金規正法違反(不記載)の疑いです。

       「桜を見る会前夜祭」の疑惑を過去にさかのぼって調べてみた。

   ① 会費補てん問題

      安倍氏側、「桜を見る会」前夜祭(夕食会)に5年で916万円負担 
                      (朝日新聞デジタル2020.11.25)
          夕食会は、安倍氏の公設第1秘書が代表を務める「安倍晋三後援会」が主催。
          地元支援者らを招いて、13~19年に年1回、都内のホテルで1人5千円の会費制で開
          いた。
            安部氏側が2019年までの5年間に、費用の不足分として総額約916万円を負担
           していた。
           しかし、この不足分補てんの記載が政治資金収支報告書には記載されていない。
           これは明らかに政治資金規正法違反(不記載)にあたる。同法違反(不記載)罪の
           時効(5年)なので13年と14年時効を迎えているので、違反不記載が問われるの
           は19年までの5年間になる。
           公表されている5年間の政治資金政治報告書には、
           前夜祭(夕食会)の支出に関する記載はなかった。
            記載のないことを安倍氏は次のように国会などで説明している。
           「(夕食会の費用について)ホテル側が設定した額を参加者が支払った」と安倍
                       氏側の負担を否定。「事務所や後援会の収入、支出は一切ない」と述べ、収支
             報告書の記載も不要とした。明細書についてはホテルから発行がなかったと説
                                          明した。
                   それでは、次のような報道をどのように説明するのか。

    夕食会の費用総額と、会費・補塡(ほてん)額の内訳

            費用総額   会費     安倍氏側の補塡額

        2015年  427万円  270万円  157万円

         16年  407万円  229万円  177万円

         17年  427万円  241万円  186万円

         18年  448万円  304万円  145万円

         19年  634万円  384万円  251万円

          合計 2343万円 1428万円  916万円
   
会費・補てん問題を次のように締めくくる。(読売新聞2021.8.1)
  
   
この問題では、安倍氏の元公設第1秘書が後援会の政治資金収支報告書に、
  補てん額などの収支を記載しなかったという政治資金規正法違反で略式起訴され、
      100万円の罰金刑を受けている。
  一方、安倍氏は嫌疑不十分で不起訴になり、市民団体などが審査を申し立てていた。
  議決を受け、安倍氏は「当局の対応を静かに見守りたい」と述べた。
  今後の再捜査にも、全面的に協力することが不可欠だ。

   安倍氏は当初、国会で「事務所の関与はない」「補填はしていない」などと述べていた。
  事実と異なる答弁は、2019年11月から20年3月までに計118回に上ったという。
  安倍氏は昨年12月、答弁の誤りを認めて謝罪した。
        『会費・補てん問題』も発端は赤旗日曜のスクープ記事から始まった。

       『会費・補てん問題』は、安倍氏の二枚舌、三枚舌でなんとなくモヤモヤの五里霧中の
   永田町御殿の闇のなかに消えていきそうな気配である。
    冒頭で示したように、
    「桜を見る会前夜祭」の第二のスクープ「サントリーによる無償の酒の提供」について
    次回は具体的に述べてみたい。
                            (つづく)

   (ニュースの声№13)       (2022.6.29記)  

  

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坂村真民の言葉(6) 大切なのは…

2022-06-20 06:30:00 | 読書案内

坂村真民の言葉(6) 大切なのは…            

坂村真民について (坂村真民記念館 プロフィールから抜粋)
  20歳から短歌に精進するが、41歳で詩に転じ、個人詩誌『詩国』を発行し続けた。
  仏教伝道文化賞、愛媛県功労賞、熊本県近代文化功労者賞受賞。
  一遍上人を敬愛し、午前零時に起床して夜明けに重信川のほとりで地球に祈りを捧げる生活。
  そこから生まれた人生の真理、宇宙の真理を紡ぐ言葉は、弱者に寄り添い、
  癒しと勇気を与えるもので、老若男女幅広いファン層を持つ。
  写真の本は「一日一言」と称し、真民が生きた日々の中で浮かんだ言葉の中から365を厳選、
  編集したものです。

  

 『今』

    大切なのは
    かつてでもなく
    これからでもない
    一呼吸
    一呼吸の
    今である

         真民さんにとって大切なことは、過去でもなければ未来でもない。
      『息をする』、その一呼吸が大切なのだと。
      真民さんは機会あるごとに今を生きる一瞬の大切さを説いている。
     「一途に生きる」ことがどんなに難しいことか、私たちは知っている。
     ときに妥協し、自分をなぐさめ、自分に嘘をつく……。
     筋の通った一本の道を歩ゆんでいきたい。
     でも、人生行路は平坦な道ではない、山あり谷あり、紆余曲折の変化に富んだ道を
     右により、左により、立ち止まり、時に後ろを振り返り、来し方道を眺める。
     
     「雨にも負けて、風にも負ける」人生の辛い時期に遭遇しても、
     遅い歩みではあるけれど、一歩を踏み出すことが次の一歩を繰り出すための
     貴重な経験となることを私たちは知っている。
     だから、「生きる」ということは、
     真民さんのように「決然と今を生きる」ことも大切だが、
     「ゆらりゆらりと揺れながら生きる」ことにも意味があるのではないかと思う。
     
     良寛さんのように、風に吹かれるまま、世間のしがらみを捨て、
     なかなか難しいことだが、気の向いた方向に歩いていくのも粋な生き方だと思う。

     愛弟子とも愛しい人とも言われた貞心尼との出会いは、良寛和尚70歳のときで、
     歳の差40歳といわれている。
     それから4年、良寛の遅い春は終わりを告げる。
     臨終の席に呼ばれた美貌の貞心尼に良寛は辞世の句を贈る。
     
     裏を見せ表を見せて散る紅葉
        私、良寛は貴女(貞心尼)の前で、風に散りゆくもみじのように裏も表てもなく、
                                すべての飾りを捨てて真心をつくすことができました。
        良寛の童子のような素直な心を散りゆくもみじに例えて貞心尼に贈った歌です。
         また、潔い人生訓の歌として現在も多くの人に愛されています。

   さて、本題の真民さんは自分の生き方を次のような詞で表現しています。
   『妥協』

     
決して妥協するな
     妥協したらもうおしまい
     一番恐ろしいのは
     自己との妥協だ
   
     つねに鞭うち
     つねに叱咤し
     つねに前進せよ

   私は求道者でもなければ、人生の達人者でもない。
  普通に生きて、悩んで、一歩進んで二歩下がる、
  曲がりくねった道を踏み外す場合だってある。
  幸せだとか、不幸せだとか考える時間もなく、
  時々、真民さんの詞に励まされながら、
  今日という時間を大切に生きてゆきたい。

  (読書案内№184)      (2020.6.19記)

 

 

 

 


      

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(ニュースの声12) 出生81万人 少子化加速 他

2022-06-12 06:30:00 | ニュースの声

(ニュースの声12) 出生81万人 少子化加速

(1) 出生81万人 少子化加速 (朝日新聞朝刊6/4) 関連記事(読売新聞6/10)
     国推計より6年早く到達
    人口が加速度的に増加し頂点に達すると、やがて人口の飽和状態が訪れる。
    人口の飽和状態はやがて、バケツの底に小さな穴が開くように人口の減少状態が続くようになる。
    減少状態が長く続くと社会は衰退していく。
     生物の増加は植物、魚族、人間を問わず飽和状態が続けば、増加から減少に転じ、
    種の保存を計ろうと自然淘汰されるのは自然の摂理だ。

     人間も増えすぎたのだろうか。
     増えすぎた人口を入れる社会という器に見合うように、
     社会の仕組みは人口の増加に見合うように、変化し成長していく。
     増えていく人口に比例するように経済の仕組みも拡大成長していく。
     消費社会は人口の増減に合わせ変容していく。
     大きくなりすぎた消費社会が、人口の減少とともにその規模を縮小せざるを得無くなると、
     仕組みのバランスが崩れ、社会保障や労働問題、教育等の仕組みなどにひずみが出てくる。
     だから、人口問題は政策の大切な課題であり、最重要課題なのだ。

   
 2021年に生まれた日本人の子ども(出生数)は81万1604人で、
   データがある1899年以降で最少となった。
   前年より2万9231人(3・5%)少なく、減少は6年連続。
   国の推計より6年早く81万人台前半に突入し、少子化の加速が鮮明になった。
                                  (朝日新聞6/4記事を引用)

 
  (朝日新聞デジタル記事より)
   政府は人口減少が1年間で81万人台の前半になるのは、2027年との想定だったが、
  それより5年も早く少子化が進んでいることになる。
  日本の総人口は2021年10月で、1億2550万2000人だが、このまま人口(出生数)減少が続いた場合、
 1億人を切るのは27年後の2049年と想定しているが、これも早まる見通しだ。
 
  自然増減数(出生数から死亡率を引いた数)は、
 マイナス62万8205人で過去最大の現象だ。
 62万人の人口減少をもう少し具体的に表現してみると、
 鳥取県の人口57万人や島根県の人口69万人ぐらいの県が消滅するに等しい数字だ。
 日本社会の危機が目前に迫っていることに気付きます。
  少子高齢社会という人口ピラミットが自然増減数の価を高くしていることや、
 コロナ感染者の死亡者数(1万6千756人)なども人口減少に拍車をかけているのでしょう。

(2
) 少子化 保育現場に危機 (朝日新聞朝刊6/4)
           定員割れ 収入減に悩む施設も 
           「待機児童解消」から一転
   少子化が子育て環境を一変させている。足りなかったはずの保育施設は定員を満たせず、
  存続が危ぶまれる自治体も出始めた。(ヘッドラインから引用)
   
   一例として、本州最北端、下北半島に位置する青森県〇〇村の「認定こども園」は
  人口6000人の小さな村の唯一の保育施設。
   2019年は200人を超える園児は、現在は3分の1ほど減って140人になっている。
  「10年経ったら、園の子どもたちは100人は切るでしょう」(園長談話)
   この村の国税調査による人口推移を見てみると、
  北の果てを襲う過疎化の波が深刻な問題として浮かび上がる。
    2005(平成17)年 8042人
    2010(平成22)年 7252人
    2015(平成27)年 6607人
    2022(令和4)年3月末 6006人  記載した2005年からの現在の17年間で25%の人口減は
                    危機的状況である。
                    それでもこの村が、村としての行政単位を維持していけるのは
                    東北電力の原発2基を抱えているための莫大な電源三法交付金
                    が村の財政を支えているからなのだろう。
     自治体が直面しているような人口減に関する課題は、
    今後20年のうちに全国の大半の地域が経験するとの見方がある。(引用)
    子どもが生まれなくなれば、保育施設、産科、小児科などの医療機関が消えていく。
   教育の仕組みも変えざるを得なくなり、学校の併合により地域から学校がなくなり、
   給食の仕組みも変わっていく。社会保障やインフラ整備など資金のかかる行政は機能しずらくなり、
   住民サービスは滞りがちになる。
   関西大学の山縣文治教授(子ども家庭福祉学)は、近未来の社会に警鐘を鳴らす。
    「若い世代の生活には医療、保育、教育のどれもが必要。それがなくなれば、
    住める地域を求めて移動するだろう。全国で住むのを諦めざるを得ない地域が
    出てくる時代が来るかも知れない」(引用)

   教授の発言はとても控えめな発言で、
  少子・高齢化の課題が論議されるようになった1990年頃から30数年が経過するが、
  政府の対策は後手に回り、逼迫する人口減の問題に歯止めがかからないのが現実である。
   人口10万人の市の人口をなんとしても維持したいと市長選に打って出たわが町の
  市長は公約を果たせず、市の人口は10万人を割ってしまった。最近では、市長の施政演説でも
  人口問題に触れることは無くなってしまった。
   格差社会ではなく、誰もが自由で溌剌と行ける社会の実現にには、人口問題は最重要課題である。

    (ニュースの声№12)       (2022.6.11記)

 

 

 

 

 

 

 


   

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ニュースの声(11) 「はやぶさ2」砂に生命の起源 他

2022-06-07 06:30:00 | ニュースの声

ニュースの声(11)    
   (1)  「はやぶさ2」砂に生命の起源
             (朝日新聞朝刊6/6)

                    地球に降った最初の雨 
          46億年~45億年前、原始惑星との巨大衝突をした直後の地球は、
         生物の存在しない死の世界だった。地球は灼熱のマグマに包まれていたという。
         マグマの海を覆う水蒸気。やがて水蒸気は雨となる。長い長い地球の「大降雨時代」
         の幕開けだ。
         雨がやんだのは約1000年後のことだという。原始の海の誕生である。
         地球は「青い星」になる成長の過程を歩み始める。
      生命の起源(地球に登場した最初の生命)
          母なる海をたたえた青々とした惑星へと成長した地球だが、青い海の時代は長くは
         続かなかった。40億~38億年前、再び地球は原始の海を襲う隕石に襲われる。
         この隕石の中に生命のもとになる物資含まれていたのではないか。
          生命の起源を探る科学の目は、宇宙へとむけられる。一方で、最初の生命は「海の
         中で誕生」したというのが、一般的な説になっている。しかし、詳しいことは難しく
         て理解できないが、生命を形づくるたんぱく質や核酸、アミノ酸などの物質は宇宙か
         らもたらされたとする説が近年脚光を浴びている。

         生物の根源が深い海の底に中に存在していたのではなく、宇宙の塵のなかにあったな
         んて、生命の根源を探る旅は、私たちの「故郷」を探る旅でもあるのだろう。
                                     (参考資料 地球46億年の旅4、5号)

     『20種以上のアミノ酸 小惑星リュウグウ 地球外で初確認』
                          (朝日新聞同日のサブタイトル)
      2014年12月、種子島宇宙センターから打ち上げ、
      2020年12月に豪州の砂漠地帯に帰還したはやぶさ2のカプセルには、
      小惑星リュウグウから採取した5.4㌘の砂や石が入っていた。
      この砂や石の中にたんぱく質の材料になるアミノ酸が、
      20種類以上確認されたと記事は伝え、
      生命のもととなる物質が宇宙からもたらせられたという研究の
      後押しをする結果となりそうだ。
      
       アミノ酸はもともと、
      46億年前に誕生したばかりの地球にもたくさんあったという見方もある。
      その後、地球はマグマに襲われた時期があり、いったん失われてしまった。
      地球が冷えた後に飛来した隕石がアミノ酸を改めてもたらしたのではないか
      とする説があり、今回の結果はその仮説を補強する結果となりそうだ。
                                                                                                               (記事引用)
        初代はやぶさが訪れた小惑星「イトカワ」や「月」からはアミノ酸は見つかっていなかった。

   (2) 北朝鮮、弾道ミサイル8発
       4カ所から同時発射 異例 (朝日新聞朝刊6/6)
       
       ロシアが4月24日にウクライナを侵攻開始してから、6日で104日を経過した。
      プーチン大統領によればこれは戦争ではなく、西側からの脅威からロシアを
      自衛するための特別軍事作戦」なのだと訳の分からない責任逃れの発言を繰り返している。
              この間、中国は高みにのぼり、欧米西側の動きを探り隙あらば、世界の大舞台に立ち虎視
      眈々と情勢の行く末を探っている。
       北朝鮮の動きも、穏やかではない。
      世界の批判なぞ、われ関せずと、国家を私物化し仮想敵国アメリカをけん制するように
      ミサイルの性能実験を繰り返す。
      A地点、B地点、C地点、D地点からミサイルを同一目標点Oに向けて同時発射。
      目標地点に一発のミサイル発射では、迎撃されてしまう。
      目標点を確実に破壊するには、四方向から同時に発射すれば、
      迎撃ミサイルに撃ち落とされずに、目標点に着弾させることができる。
      
      兵器の進化は、簡単に敵を殺せるし、建物を破壊することができる。
      方向を定め角度を合わせれば、ミサイルは勝手に飛んでいき、
      見えない敵ゃ建物を簡単にとらえてしまう。
      人の命や文化を破壊する罪悪感もなく、
      ボタン一つで目的を達成できる兵器の恐ろしさと、
      兵器を作ることの愚かしさを感じる。
      兵器のたどり着いた先に、核兵器があり、
      核兵器は、この危険な大量破壊兵器が、
      所有する側も所有しない側のどちらにとっても脅威の兵器だ。
      「核は抑止力の一つの手段だ」という言葉が、
      きれいごとで空しい理屈だということに気づく。

      『毒を持って毒を制する』という方法が、
      破滅へ向かうことを歴史は証明しているのだが、
      それを制止することができない人間の愚かさが浮かんでくる。

      同時多発的な8発ものミサイルの発射は前例がない。
      韓国軍が4日夜、4年7ヵ月ぶりに米原子力空母が参加する米国との
      合同軍事演習の実施を発表しており、
      北朝鮮はこの動きを強く牽制したとみられている。
                                (記事引用)

      岸田文雄首相は、「断じて許すことはできない」と強い口調でコメントするが、
      かつて、「だからどうするのだ」という大切な部分に降れる発言を聞いたことがない。
      犬の遠吠えに似た威嚇は、何の効力も発揮しないことを知り、
      北朝鮮の指導者のほくそ笑む顔が想像できる。
      
       (ニュースの目№11)       (2022.6.6記)

                          

 

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季節の移ろい 矢車草と麦秋

2022-06-01 06:30:00 | 季節の香り

 はじめに

ブログ休載のお知らせをしてから、45日が過ぎました。2~3週間の休載予定でしたが、ずいぶんと時間のたつは早いものです。
 休載中に行なう仕事の予定の半分をこなしただけですが、とりあえずブログを再会することにしました。
 「心に思うよしなしごと」を綴っていきたいと思います。

季節の移ろい 矢車草と麦秋
 移ろいやすい季節の中で、春の時間は特に短く感じます。
 3月、春を待ちかねたように花が咲き始めます。
 福寿草がやわらかい光を浴びて、金色に輝きます。
 梅が咲く時期はかすかな香りが、
 まだ冬の眠りから覚めない樹々の間を縫って漂ってきます。
 そして、
 春は、桜の開花を待って爛漫の季節を迎え
 風にまいちる花吹雪のクライマックスを頂点に、一気に初夏への扉を開きます。
 

 秒速5㌢で落ちる花の舞は、春の風との共演で人の心を詩人にする。
 惜春ということばが美しい響きを持って思い浮かべることができます。
 また、晩春という言葉もこの時期を表す言葉ですね。

 初夏は、思春期を過ぎた娘たちが大人への扉を開く期待と不安が入り混じった季節です。
 農作業が一気に進む季節でもある。
 田植えの時期と収穫の時期は、農家の人たちの顔が一番輝く時期でもあります。
   植えた苗が田んぼに張られた水の中で根をのばし、成長し始めるころ、
 季節は梅雨前の6月初めになります。
 
 いねの苗が風にそよぎ、水面に注ぐ光が幾分強くなります。
 この時期、黄金色に色づいた麦のあぜ道に矢車草が咲いている時があります。

黄金色の麦と鮮やかなブルーのコントラストがなんとも心を和ませてくれる。
石川啄木はこの花を次のように歌っています。

凾館の青柳町こそかなしけれ友の恋歌矢ぐるまの花
 「清楚」という花言葉を持つこの花には、恋のイメージがよく似合う。
 母が好きでこの時期、小さな庭の片隅に、
「藍芙蓉」とも呼ばれる青紫色のこの清楚な花が好きだ。

矢車草亡母の知らざる齢(よわい)過ぐ   水井千鶴子
 母は79歳で逝った。
 最後まで意識のはっきりしていた母の小さな命に、臨終の幕は静かに降りた。
 春夏秋冬、ありふれた花ではあったが母は庭に花を絶やさなかった。
 来年は私も母の年齢に近づく。

麦秋(ばくしゅう)の季節は初夏の終わりと梅雨前のほんの少しの小さな季節です。
春の終わりは落花の舞で終焉し、惜春というすこし寂しい雰囲気があります。
麦秋には初夏の終わりを告げる枯れ草の匂いがあります。
梅雨入り前の、刈り入れを待つ麦の穂がさやかに揺れる。
晩春や惜春の季節ほどポピュラーではないが、
私はこの「麦の秋」といわれる「麦秋」のひとときが好きだ。

 (季節の香り№37)      (2022.5.31記)

 

 

 

 

 

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