半沢直樹の生き方
TBS系連続ドラマ「半沢直樹」が、第10話の最終回を迎え、
関東地区では42.2%を記録、関西地区で45.5%をたたき出した。
関東・関西地区とも初回視聴率を19.4%、20.6%でスタートして以降、一度も数字を落とさず、
右肩上がりに数字が上がっていった。
瞬間視聴率の最高は関東46.7%、関西50.4%、どちらも午後10時17分に記録。
最終盤、放送時間にして約20分間、取締役会に乗り込み、
壮絶な言葉の応酬と駆け引きの末、
最大の敵である大和田常務の不正を暴き、「100倍返し」の土下座を強要する半沢次長。
大和田は体を震わせ、うめき声を上げながら、
プライドと屈辱のせめぎあいの中で半沢の足元にひれ伏す。
昇格人事を期待して受け取った東京中央本部・営業第2部半沢次長への辞令は、
「東京セントラル証券への出向を命ず」という子会社への「左遷通告」だった。
アップになった半沢の目が驚きとともに怒りに変わっていく。ドラマの最終シーンである。
見せどころの多いドラマである。上司に対して歯に衣着せぬ物言い、
理不尽なことや不正に関する事柄は徹底的に戦いを挑む。
対立の関係にも臆せず、
「やられたら やり返す」「倍返しだ」といって公然と戦いを挑む。
どんなことがあっても、どんなに窮地に追い込まれても決してあきらめない。
正義感が強い分だけ、敵も多いし、職場環境からも浮いてしまうことが多々ある。
それでも、一歩も引かず、不正を暴き、理不尽を克服していく営業第2部半沢課長。
以上が半沢の生き方の基本姿勢である。
弱者に対する優しさや、誠実さも彼の生き方の基本姿勢です。
しかし、私たちの職場の中では絶対に嫌われるタイプの人間なのだろう。
調和を保つことができない。曖昧さを嫌い、徹底した追求の手を緩めない。
上司にとっては非常に扱い憎い部下の一人だ。
功労者半沢への「左遷通告」は、企業の中で妥協をしない半沢への
痛烈な警鐘と、企業という非情に徹した組織の在り方を暗示していて面白い。
理不尽なことや、不正に対して、孤高の戦いを挑めない多くの人たちは、
黙って見て見ぬふりをするか、自分の職場に誇りを持てず、愚痴の多い人生を歩むか、
どうにも我慢できなくて「内部告発」をするか……
これが大方の生き方なのかもしれない。
だからこそ、現実にはあり得ない、半沢の生き方に共鳴し、
緊張感みなぎるドラマの視聴率も回を重ねるごとにアップし、
最終回の驚異的な数字を叩き出したのだ。
続編の予感がする「半沢直樹」の最終回である。