雨あがりのペイブメント

雨あがりのペイブメントに映る景色が好きです。四季折々に感じたことを、ジャンルにとらわれずに記録します。

パラリンピック ④  忘れ得ぬ選手たち①

2021-10-23 06:30:00 | 昨日の風 今日の風

パラリンピック  ④   忘れ得ぬ選手たち①
   パラリンピックに出場したアスリートをシリーズで追ってきた。
   
パラリンピックが幕を閉じ、メディアの報道から、
   オリンピックやパラリンピックの記事が消えてから久しい。
   ブログ掲載するには、時期おくれであり、掲載を躊躇したのだが、
   やっぱり、今掲載しておかないとパラアスリートたちの活躍や
   障害に対する考え方を紹介するする機会がなくなってしまうので
   後数回にわたり掲載することにしました。

(写真諫山卓弥・朝日新聞)
エマニユエルニーテティ・オク(30歳) ガーナ
    パワーリフティング男子72㌔級(運動機能障害)に出場。
     1回目 160㌔
     2回目 失敗
     3回目 失敗
     三回目の試技が終わると、関係者が座る会場に向かって何度も頭を下げた。
     メダルには届かなかった。
     7位の成績は、彼にとっては『栄光』の7位だったのだろう。
     2020東京パラリンピックの栄光の舞台に参加できたことへの感謝の気持ちなのだろうか。
     
「力をすべて出した。ここで競うことが夢だった。たどり着けて光栄だ」
     持てる力をすべて出し切って勝ち取った7位。
     この大会に参加できたことが、オクにとっては最大の喜びであり、
     名誉の参加だったのでしょう。
        ※
足などに障がいのある選手が参加し、持ち上げたバーベルの重さを競う。
         専用の台にあおむけに
なって行うベンチプレスのみで競われる。
         3回の試技で最も重い重量が記録となる。

         
選手の入場からバーベルを構えるまでの時間は2分間と決められ、
         オーバーすると失格となる。
         2分間で選手は専用台にあがり、準備をしながら集中力を高めるが、
         声を出して気合いを入れたり、
         腕を上げたりと選手それぞれのルーティーンを見比べるのもおもしろい。
         そして、バーベルを胸まで下げて持ち上げるまでの時間は約3秒。
         このわずかな時間に選手はこれまで培ってきたトレーニングの成果を爆発させる。
                          (NHKの競技・パワーリフティングを要約)

    2013年、オクはガーナの町で城の警備の仕事をしていたとき、
 事故が起こり銃弾はオクの左足太ももを貫通し、傷は深く足は切断された。

 2016年のリオデジャネイロ大会をテレビで見たのが契機となり、
 パワーリフティングのアスリートをめざすようになった。

 2004年パラリンピックに初めてガーナから選手が出場したのがきっかけとなり、
 障害がある人への理解がすこしづつ芽生え始めた。
       ※ガーナの人口は約3042万人。そのうち、障害のある人は約500万人。先進国の割合よりも多く、
         差別や偏見が経済的な格差を生むみ、貧困の原因にもなっている。
     
 「ガーナでは障害がある人はまだ家や学校のクラスに閉じこもっていることが多い。
 活動にあまり参加したがらない。そんな人たちの気持ちを何とか変えたい」
 
 パワーリフティングのアスリートとして、自分が競技に参加することで、
 社会的な接触をさけ、内に閉じこもりがちな障害を持つ人の気持ちを変えたい。
 7位に終わった東京大会だったが、悔いの無い競技ができたことに、
 オクは大会へ参加できたことに感謝したのだろう。
 
 新しい動きがあった。
   東京大会の開会式と閉会式がサハラ砂漠以南の49の地域で無料で放映された。
 嬉しいことであり、特にアフリカ選手の活躍を52分間の特集で毎日放映されたことだ。
   しかも無料放映である。日本ではNHK以外は、無料放映が常識だが、
 これらの国や地域では原則有料放映である。
 番組制作の意図は、
 「アフリカに根強くある障害がある人への間違った認識を変えるための取り組み」と
 朝日新聞は伝えている。
 アフリカ全体で2億5千万人以上が視聴することになるとも。

 オクはこだわる。
 「パラリンピアんが話題になって、障害がある人への偏見をなくす闘いに大きく貢献すると思う。
  自分もその活動の一部になれたらいい」

 東京パラリンピックでの選手の活躍は、私たちに楽しさと勇気、感動を与えてくれました!
 更に依然として存在する障害と偏見、差別について深く考える機会を与えてくれました。
 2024年の開催都市のパリ大会に、再びエマニュエルニーテティ・オクの
 元気な姿を見せてくれることを期待しています。
                                  参考記事: 朝日新聞Why I´m here(だから私はここにいる) (NHK ウェブニュース)
                                  (つづく)
   (昨日の風 今日の風№125)      (2021.10.22記)

    過去ログ のパラリンピック・アスリート関連記事
   2021.08.29記事「はじまりの日 パラリンピックを観て」
            オリパラリンの意味ゃ スポーツの意味を探るための答えを考えてみた。
     2021.09.08記事「難民選手団①栄光のスリーアギスト・大会旗」 
                               「スリーアギトス」と呼ばれている、パラリンピックのシンボルマークに込められた
                                 意味について考えてみました。
         2021.09.12記事「難民選手団②多くの困難を乗り越えて」
                             「国を超え、障害を乗り越え、単にスポーツ技術だけでなく、スポーツを生きる希望
                              として切磋琢磨する者」を紹介。
         2012.09.27記事「③プロパラアスリート 山本(38歳)」
               プロとして活躍するアスリートの生き方から、たくましく生きる山本の姿を紹介。

 

 

 

 

      

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皆で担いだ「菅義偉神輿」を落とした責任

2021-10-16 06:30:00 | 昨日の風 今日の風

皆で担いだ「菅義偉神輿」を落とした責任

   「菅義偉神輿」を落とし「新しい神輿を担ごう」と
   若手自民党議員から声が上がった。と一般的に言われているが、
    そのたてた声を操ったフィクサーは誰だ。

 
 10月に入ってから政権交代があり、
  タイミングよくコロナの感染も徐々にではあるが終息に向けて舵を切ってきたようだ。
  14日には衆院解散、19日公示、31日投開票と慌ただしい日々が続いていくだろう。

  岸田政権が発足したが、組閣人事を見ても、公約に基づく所信表明を見ても、
  かわり映えがしない。
  「モリカケ問題」を霧の中に葬り、
  コロナ禍を放り投げるような形で退いた、安倍長期政権の後、
  コロナ禍の真っ最中、
  その苦労をそっくり受け継ぐように貧乏くじを引き、
  開催反対のオリパラを無観客で強行開催。
  答弁や記者会見などの稚拙さの実を取り上げて、
  メディアや野党のあげ足取りの論調に火をつけたのは、
  実は自民党ではなかったのか。


  「コロナ禍対策に専念したい」というような菅義偉前総理の取って付けたような理由を
  真に受けたわけでもないのに、菅政権のもとでは衆院選は勝利できないと、
  皆で担いだ菅義偉神輿を、今度は神輿の担ぎ棒を皆で放り投げてしまう。
  皆で担ぎあげた菅神輿なら、祭り(政)を維持し成功させるのも、担ぎ手の責任と思うのだが、
  担いだ時の「説明責任」も果たさずに、全ての責任を菅義偉氏に押し付け、
  自己保身の選挙運動に走る姿は、
  まさに魑魅魍魎(ちみもうりょう)が跋扈(ばっこ)する永田町の住人たちの
    おぞましさと浅ましさを見る思いである。

  「俺たちが担ぎ上げた菅義偉神輿」なんだから、
  「担ぎ上げた者として、沈みかけた神輿をもう一度力を合わせて担ぎ上げようではないか」と
  声を大にして叫ぶ者はひとりもいなかったのかと、非常に残念に思う。

  菅政権の足跡をたどれば
      
① ワクチン接種率世界トップクラスの水準へ 
     ②    2050年脱炭素社会を実現
               
③ 安全保障上重要な土地の利用を制限する法律成立 
               ④ 最低賃金過去最高の引き上げ
      
⑤ アメリカによる福島県産の米や牛肉など日本産食品の輸入規制を全面廃棄

                ほかにもある。
携帯電話料金の大幅値下げ 、 不妊治療の保険適用へ、デジタル庁発足   
                福島第一原発処理水問題に結論(突然の結論で、特に漁業関係者からの反対も多いが、
    安倍政権が避けていた問題の糸口に方向付けをした点で評価したい) 。
    日本 学術会議の会員候補者6人を任命しなかったことも、
    日本学術会議という組織の意義について一石を投じたと思われますが、
    説明責任が不足していたという欠点はあります。

    菅政権の成り行きをもう少し、温かい目で見守り、「守り、育てる」という姿勢があれば、
    菅政権の行方も、
              もう少し評価されるような政策の展開を予測することも出来たのではないかと
    少し残念な気がしています。

    さて、「岸田政権」。
    「新しい資本主義」とか、「成長と分配の好循環」などと、
    ちょっと意味の解らない言葉が目立ちすぎます。
    「(岸田)首相、最大争点はコロナ対策」(朝日新聞10/15一面サブタイトル)を謳い、
    「この夏の2倍程度の感染力に対応可能な医療体制を作っていく」と言っているが、
    それはそれで結構なことではあるが、
    現在「コロナウイルス」は急激にその勢いを失くしています。
    重点政策には違いないが、経済の立て直しを第一に挙げてもよいのではないか。
    
    ここはまず、「成長の果実が幅広く行き渡る『成長と配分の好循環』を実現する」という
    『未来選択選挙』の成り行きを見守りたい。

    (昨日の風 今日の風№124)        (2021.10.15記)

 

            

 

       

 


  

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坂村真民の言葉(3) 声

2021-10-02 06:30:00 | 読書案内

坂村真民の言葉(3) 声

坂村真民について (坂村真民記念館 プロフィールから抜粋)
  20歳から短歌に精進するが、41歳で詩に転じ、個人詩誌『詩国』を発行し続けた。
  仏教伝道文化賞、愛媛県功労賞、熊本県近代文化功労者賞受賞。
  一遍上人を敬愛し、午前零時に起床して夜明けに重信川のほとりで地球に祈りを捧げる生活。
  そこから生まれた人生の真理、宇宙の真理を紡ぐ言葉は、弱者に寄り添い、
  癒しと勇気を与えるもので、老若男女幅広いファン層を持つ。
  写真の本は「一日一言」と称し、真民が生きた日々の中で浮かんだ言葉の中から365を厳選、
  編集したものです。

『声』

 生きていることは
  すばらしいぞ
  そういっている
  石がある
  木がある
  川辺に立つと
  水も
  そういって
  流れていく

           〈生きていることは すばらしいぞ〉と私に語りかける。
   自然の中で黙って生きている、「石」であり「木」の声が私に語りかけてくる。
   〈生きていることは すばらしいぞ〉と。
   さらに耳をすませば、流れていく水さえも〈すばらしいぞ〉と囁きかけてくる。
   
   牧村真民(しんみん)さんに語りかけてくるのは、
   自然に宿る精霊の声なのかもしれない。
   午前零時に起床して夜明けに重信川のほとりで地球に祈りを捧げる生活を送る
   真民さんには、森羅万象に宿っていると言われる精霊たちの、
   いのちの声が聞こえるのかもしれない。
   真民さんの言葉を反芻しながら、今を生きる真民さんがたどり着いた
   妥協を許さない孤高の精神修養のことを思った。

             そういえば、十数年前に御世話になっていた若い気功師が言っていた。
             週五日、患者さんと向き合い気功の施術を行うと、心身ともに疲労して
             くる。休診日の日には人気のない森に入り、大樹にしがみついて、
             大樹から「気」もらってくると、心身が癒されると。
             若い気功師はこれを、「大樹と語る」と言っていた。

             もう一人、こちらは高齢の気功師で、ジーパンにTシャツというラフな服装
             で施術にあたる。
             前者の若い気功師が50分5,000円の施術料に対して、後者は5分で5,000円。
             どちらも、人気の気功師だが、前者は撫でるように、もむように施術す
             る。対して後者は、患者の体に手をかざすだけで触れもしない。
             しかも手をかざしながら世間話をする。あるとき私は、高齢の施術師に言
             った。「先生、私は車で一時間以上かけて此処にきています。5分ではなく
             もう少し長く施術(やって)いただけますか」と。先生いわく「私の施術は5分
             間で十分で、それ以上は必要なく、時間をかけても効果は同じなのです」
             その先生が、最近診療をやめた。
             年を重ねるにしたがって、体内から発する「気」の量が薄くなり、患者が
             望む効果が希薄になって来たのが、原因という。

             気功もまた、特定の人間に備わった特殊な能力なのだろう。

  森羅万象、生きとし生けるものすべては、留まることを知らず、
  流れていく。
  「方丈記」の鴨長明は、川面を流れる泡沫を人の世のさだめと考え〈行く河の流れは絶えずし   
  て……ひさしくとどまりたる例なし〉と無常観を表し、
  「平家物語」では、琵琶の音にのせて諸行無常の響き奏で、どんなに権勢をふるい得意の絶頂にあ
  ってもそれは一瞬のことで〈ただ春の夢のごとし……ひとへに風の前の塵におなじ〉と、
  人生の儚さを謳いあげる。 

   だからこそ、真民さんは今の一瞬を精一杯生きろと教えている。
   凡人には難しい生き方かもしれないが……。

                   ックデーター
                      「坂村真民 一日一言 人生の詩、一念の言葉」
                        致知出版社 2006(平成18)年12月刊 第一刷
     (読書案内№181)      (2021.10.01記)

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