雨あがりのペイブメント

雨あがりのペイブメントに映る景色が好きです。四季折々に感じたことを、ジャンルにとらわれずに記録します。

雨あがりのペイブメント

2008-11-30 23:01:19 | 季節の香り
雨あがりの道
濡れたペイプメントに映る
晩秋の空の色

水たまりにへばりつく
濡れた落ち葉

風もなく
穏やかな一日の
黄昏が
西の空からやって来る

犬を連れてウォーキングする人ひとり
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読書紹介「海鳴り」(その1) 藤沢周平著

2008-11-12 18:18:24 | 読書案内
 題名の由来は(上巻)の半ば過ぎになって明らかにされる。
 
 主人公新兵衛がまだ奉公人の時代。商用で旅に出た時の経験を、次のように述べている。

  海沿いに続く街道を急ぐ新兵衛。

  雨がやみ、風が出てきて、
  昼前だというのにまるで日暮れのように、
  四囲が暗くなった。

  生あたたかい風
  よろめきながら街道を急ぐ新兵衛

  黒い雲が頭上を飛び交う

 「あの音は何だろうね? こうこうって変な音がするだろうが……」
   聞かれた老人が答える
 「ありゃおまえさん、沖を大風が通るところだよ」
「大風が?」
 [そうだ]……

 今、新兵衛はあの時の海鳴りの音を思い出す。
 人の心を不安に誘う、遠く威嚇するようなその音が聞こえたような気がした。
 無論、実際に聞こえるはずのない海鳴りは、
 ひょっとしたら、新兵衛の胸に芽生えた
 不吉な予感がざわめきあう音だったかもしれない。

 不安、孤独、老年の寂寥感、妻や子供との葛藤、
一代で築いた紙問屋に忍び寄る同業者からの悪意のある嫌がらせ、
人妻「おこう」への抑えきれない思慕、密会・密通への罪の意識、
道行(みちゆき)への思いが逡巡する。

 物語はこうした新兵衛を取り巻く状況を押し流すように、
人生の幕引きを如何にすべきかと、新兵衛の苦悩へと進んでいきます。
                                 (つづく)

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