★NPO法人三千里鉄道の副理事長であり作家の磯貝治良が、ある集会で「天皇制と3・1」という素晴らしい講演をなさった。レジュメ無し、全編これアドリブと結んだ語りの中に、胸を打たれた一節がある。
夢を語るには、それなりの覚悟がいる、と悟らされたような一節である。N
「これはなかなかおもしろいと、ぼくは思っています。一見、夢かロマンのような構想ですが、これって、考えてみたら、こわい話ですよね。南北の軍事分界線の非武装地帯に海外同胞の特区を作るというのですからね。そこで在日が養豚をしようという話ですからね。
あってはならないことですけれど、南北で戦争がはじまったら、そこはもう「人質」になる区域です。どちらを向いても盾になる。南を向いたら北の盾になるし、北を向いたら南の盾になる。そうなる危険性は否定できないわけですから、その構想は夢やロマンではすまない。朝鮮半島の平和と南北の統一のために、自分たちが盾になることも辞さず、そんな強い覚悟と意思が込められているのです。朝鮮戦争のとき、在日も本国にいる肉親を失ったり、対立を強いられたりして、すごい精神的被害を受けた。しかし、日本で暮らしていて直接、命を奪われたり、生活を破壊されることはなかった。ほんのひとにぎりの人とはいえ、「戦争特需」に乗ったと言えなくはない。海外同胞特区の構想には、在日も朝鮮半島の和解のために、汗を流すだけではなく、生命をはる決意をしよう、という意味が含意されていると思います。」
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