☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。
<人物>
ジョミー ノア副首相に就任 ジュピターは宇宙の軍を動かせる権限を持っている
キース・アニアン ノアの首相 人類の評議会議長を兼任
ソルジャーズのブルー 人類が作ったブルーのクローン(タイプブルー)
ジョミー 本当はクローンではない(タイプイエロー)
シド ミュウの優秀なパイロット 今はジョミーの専属
『君がいる幸せ』 Artemisia編 二章「心の中は」 番外編「シド前編」
※「伝えたい言葉」の冒頭にありましたが、こちらの方が合うので二章の番外に持ってきました。
僕らは優しさで出来ているのかもしれない。
三年くらいまえ前、教育ステーションへ行くジョミーに合わせて僕は医療器材をシャトルに積んでもう何往復しただろう。
惑星アルテメシアまでは大型の輸送船で運び、積み込むだけの作業だったが精密機械の運搬には精神的な負担があった。
今良く使っているのはベルーガではなく、ミュウ用の医療用シャトル(救命用シャトル)を改良したものだが、これでジョミー所有のシャトルが二機となった。
ステーションで運び終えた機材を設置し、試運転をしていると、何の連絡もなしにクローンのジョミーが現れた。
「お久しぶり。シド」
彼に会うのは二ヶ月ぶりくらいだろうか?
「久しぶり。元気だったか?」
「試運転?」
「そうだよ。寝てみる?」
ミュウ用に作られた医療ベッドだ。クローン用にと人類が作っている医療器材よりどうしてもこっちを先に設置しておきたいのは仕方が無い事だろう。
「いいの?」
とジョミーが言った。
「いいよ」
さっき彼が顔を見せた時に顔色が悪そうに見えたからそう誘ってみたのだが、彼はこのベッドにそうなじみはないはずだった。
なので、これは精神的な安定と全体の調和を量り、ミュウの力をより安定させ早い回復を促すものだよと説明をして彼を寝かせた。
「そうなんだ…」
「君は僕らの所に来た頃に使っていたはずだが、スメールにはこれは無いからね…最初は弱いのから…」
と、スイッチを入れる。
淡い光が彼を包み流れてゆく。
「寝てもいいよ。短い時間でも夢がみれるはずだ」
目をつぶったジョミーを見て、タイマーを十分くらいにし、僕は他の作業を始めた。
しばらくすると、彼が誰かを呼んでいるのに気がついた。
夢を見ているのだろう。
苦しそうに眉間にしわをよせている。
「ジョミー。大丈夫かい?」
僕は彼を起こそうとした。
「…駄目だ。もう…」
「起きるんだ。君が見ているのは悪夢のようだ。そこから戻って来るんだ」
「…でも…僕は…」
身体をゆすっても、ジョミーはなかなか起きなかった。
どうして起きてくれないのか、僕にわからなかった。
考えられるのは、彼自身がその夢を見ていたいと思っているからだ。
「取り込まれてしまうよ。ジョミー」
やがて、タイマーが切れて、光が収まる。
それでも、起きなかった。
このまま起きなくても、身体に問題はない。
でも、安定をさせる為に作られたこのベッドで、悪夢を見るなんて…。
彼は、何を抱えているのだろうか?
「ブルーを呼んでくるから…」
そう僕が言った時、ジョミーが僕の手を掴んだ。
「ダメ。呼ばないで」
「ジョミー」
「彼は…呼ばないで…」
半夢半醒状態だ。
「ジョミー。何がどうしたんだ」
「……シド…」
そう言ってジョミーは目を開けた。
目は開いていても夢の中にいるような感じだった。
「どうした?」
僕は用心深く聞いた。
「ジョミーの事が好き?」
「え?」
「まだ好きなの?」
「…ああ、まだ好きだよ」
「そう」
「言っただろ。僕はキースなんかよりずっと前から見ていたんだよ。早々、諦められる物じゃない」
「じゃあさ…」
その言い方に、本物を思い出させる雰囲気があった。
これは、魅惑…?と、そう思った時にはもう術中だった。
「ジョミー…」
「僕はどう思う?」
「君は彼のクローン…だ。それ以上でも以下でもない…」
「そ…冷たいなぁ…。僕を彼の代わりにしようとした事もあったのに…」
「代わりになんてして…いない。似ているとは思った…けれど…」
「僕になら言えるって…思ったでしょ?」
「…それはあった…でも…それだけ…」
「なら…キスしてよ。そして、僕ら慰め合おうよ」
「…ジョミー…」
続く
<人物>
ジョミー ノア副首相に就任 ジュピターは宇宙の軍を動かせる権限を持っている
キース・アニアン ノアの首相 人類の評議会議長を兼任
ソルジャーズのブルー 人類が作ったブルーのクローン(タイプブルー)
ジョミー 本当はクローンではない(タイプイエロー)
シド ミュウの優秀なパイロット 今はジョミーの専属
『君がいる幸せ』 Artemisia編 二章「心の中は」 番外編「シド前編」
※「伝えたい言葉」の冒頭にありましたが、こちらの方が合うので二章の番外に持ってきました。
僕らは優しさで出来ているのかもしれない。
三年くらいまえ前、教育ステーションへ行くジョミーに合わせて僕は医療器材をシャトルに積んでもう何往復しただろう。
惑星アルテメシアまでは大型の輸送船で運び、積み込むだけの作業だったが精密機械の運搬には精神的な負担があった。
今良く使っているのはベルーガではなく、ミュウ用の医療用シャトル(救命用シャトル)を改良したものだが、これでジョミー所有のシャトルが二機となった。
ステーションで運び終えた機材を設置し、試運転をしていると、何の連絡もなしにクローンのジョミーが現れた。
「お久しぶり。シド」
彼に会うのは二ヶ月ぶりくらいだろうか?
「久しぶり。元気だったか?」
「試運転?」
「そうだよ。寝てみる?」
ミュウ用に作られた医療ベッドだ。クローン用にと人類が作っている医療器材よりどうしてもこっちを先に設置しておきたいのは仕方が無い事だろう。
「いいの?」
とジョミーが言った。
「いいよ」
さっき彼が顔を見せた時に顔色が悪そうに見えたからそう誘ってみたのだが、彼はこのベッドにそうなじみはないはずだった。
なので、これは精神的な安定と全体の調和を量り、ミュウの力をより安定させ早い回復を促すものだよと説明をして彼を寝かせた。
「そうなんだ…」
「君は僕らの所に来た頃に使っていたはずだが、スメールにはこれは無いからね…最初は弱いのから…」
と、スイッチを入れる。
淡い光が彼を包み流れてゆく。
「寝てもいいよ。短い時間でも夢がみれるはずだ」
目をつぶったジョミーを見て、タイマーを十分くらいにし、僕は他の作業を始めた。
しばらくすると、彼が誰かを呼んでいるのに気がついた。
夢を見ているのだろう。
苦しそうに眉間にしわをよせている。
「ジョミー。大丈夫かい?」
僕は彼を起こそうとした。
「…駄目だ。もう…」
「起きるんだ。君が見ているのは悪夢のようだ。そこから戻って来るんだ」
「…でも…僕は…」
身体をゆすっても、ジョミーはなかなか起きなかった。
どうして起きてくれないのか、僕にわからなかった。
考えられるのは、彼自身がその夢を見ていたいと思っているからだ。
「取り込まれてしまうよ。ジョミー」
やがて、タイマーが切れて、光が収まる。
それでも、起きなかった。
このまま起きなくても、身体に問題はない。
でも、安定をさせる為に作られたこのベッドで、悪夢を見るなんて…。
彼は、何を抱えているのだろうか?
「ブルーを呼んでくるから…」
そう僕が言った時、ジョミーが僕の手を掴んだ。
「ダメ。呼ばないで」
「ジョミー」
「彼は…呼ばないで…」
半夢半醒状態だ。
「ジョミー。何がどうしたんだ」
「……シド…」
そう言ってジョミーは目を開けた。
目は開いていても夢の中にいるような感じだった。
「どうした?」
僕は用心深く聞いた。
「ジョミーの事が好き?」
「え?」
「まだ好きなの?」
「…ああ、まだ好きだよ」
「そう」
「言っただろ。僕はキースなんかよりずっと前から見ていたんだよ。早々、諦められる物じゃない」
「じゃあさ…」
その言い方に、本物を思い出させる雰囲気があった。
これは、魅惑…?と、そう思った時にはもう術中だった。
「ジョミー…」
「僕はどう思う?」
「君は彼のクローン…だ。それ以上でも以下でもない…」
「そ…冷たいなぁ…。僕を彼の代わりにしようとした事もあったのに…」
「代わりになんてして…いない。似ているとは思った…けれど…」
「僕になら言えるって…思ったでしょ?」
「…それはあった…でも…それだけ…」
「なら…キスしてよ。そして、僕ら慰め合おうよ」
「…ジョミー…」
続く
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