君とともに生き、君とともに逝くのならば、僕は君の為に生きよう。

真城灯火の小説ブログです。
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『君がいる幸せ』 Artemisia編 一章「夢の在り処」 四話「予兆」

2012-08-27 02:53:33 | 『君がいる幸せ』Artemisia編 夢の在り処
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。
<人物>
ジョミー キースの警護をしていたが今は教育ステーションに在学中 ジュピターは宇宙の軍を動かせる権限を持っている
キース・アニアン ノアの首相 人類の評議会議長を兼任
ソルジャーズ 人類が作ったブルージョミーのクローン(タイプブルー)
シド ミュウの優秀なパイロット シャングリラのキャプテン。今はジョミーの専属。

   『君がいる幸せ』Artemisia編 一章「夢の在り処」四話「予兆」

  入学して二ヶ月程した頃。
 僕はやはり体力的に皆に付いていけないと思うようになった。
 運動のメニューを特別に作ってもらって、センターにあるジムに通う事にした。
 ここは学年や過程に関係ないので良い交流の場所になっていた。
 そのジムで、入学した時に知り合ったミアと再会をした。
 彼女は僕を見つけるとすぐに声をかけてきた。
「ジョミー。あなたもここに?」
 そう言って彼女は僕が運動の後に受けているヒーリングベッドの隣に寝転んだ。
「こんにちは。ミア」
「どうしたの?」
「体力作りをするように言われて」
「薬とかで何とかなるのに、そうしないの?」
「別に筋肉付けたい訳じゃないからね…」
「ミアはそうなの?」
「え?いいえ。ち、違うわよ」
「それじゃ、気になる対象は僕ですか?」
 僕は起き上がり、手を伸ばし彼女の腕を掴んだ。
「…ジョミー。や、やる事が大胆ね…それは、ダメよ」
「ミアにゆっくりと時間を割く必要が無いと思って。ね。そうじゃない?」
「な…」
「そうでしょ?」
「わかったわ。場所を変えましょうか?」
「了解」
 僕達はジムを出るとセンターにある談話室に向かった。
 彼女はわざと大きな部屋を選び、その隅に座った。
 この部屋と席の選び方を彼女は後で後悔する事になる。
 ジョミーは部屋全体を眺めてから、ミアの前の席に座った。
「気が付いていたの?」
「ええ、出会った場所がちょっと気になったし、今日も唐突でしたから…」
「じゃあ、正体がわかってた訳じゃないのね」
「軍ですか?」
「ええ」
「何故、こんな所に?」
「ちょっとね…」
「ここまで話して、もう止めるの?」
「軍事機密ってのもあって」
「そう?なら…」
 ジョミーは席を移動してミアの隣に座った。
「え?」
「ミアって、Cなの?もっと大きいと思うんだどな。Dでしょ?触っていい?…」
 もとより、良く透る声をしているジョミーが有る程度まで聴こえるように言ったのだから、堪らない。
 あわててミアはジョミーの口を塞いだ。
「ちょ…待って…な、何を」
「これで僕と君はステディの噂が立つね。二人で話しやすくなるよ」
「なんで?」
「二人きりになりたいから…もっと…君(の事)が知りたいんだ」
 これもまた少し大きめに言うジョミー。
「わ、私が困…」
「君も僕の事が知りたいのでしょ?」
 とにっこりジョミーは笑った。
「……ジョミー」
「なぁに、ミア。部屋を変える?」
「い、移動しましょ」
 ミアは真っ赤になり周囲の目に耐えながらそう言った。

「もう。最初から個室にすれば良かったわ」
「そうだね。自分と相手の事をもっとちゃんと見ないと守る機密も何もないよ」
 と言いながらジョミーは、この部屋の監視システムパネルを使いそれを一時ダウンさせた。
「ど、どうやったの?」
「機密って答えてもいい?」
「ご、ごめんなさい」
「僕の情報はある程度、君の耳に入っているはずだ。最近、君以外にも来ているよね?」
「ええ」
「ならば、そうもゆっくり僕の事を探っている時間は無いんだろ?だったら、君が知っている情報を疑うな。初動で間違うぞ」
「わかったわ」
「僕はジュピターだ。それに嘘はない。それと、僕にはここの中に仲間がいてある程度の操作が出来る。これもそれさ」
 とシステムパネルを指さした。
「やっぱり、ジュピターなの?じゃあ、本物のジョミーなのね」
 ミアはジョミーの左手首に付いている白いブレスを触った。
「ミュウの力はほとんど無いけどね。本物だよ」
「これが人類で最高と言われる権力の証なの?」
「今の僕には過ぎた物だ…。ミア。これ、気をつけないとここら辺一帯が吹き飛んじゃうよ」
 と、笑った。
 ミアは慌ててジョミーの手を離した。
「嘘だよ」
「……」
「さてと。本題に入るけど、君はあのクローンの二人を見張る為にここに居るのか?」
「ええ、あ、はい。そうです」
「僕をただの一年生と扱って欲しい。でないと問題が起きる」
「はい。わかりました。でも、あの…」
「ああ、ただの…ではないか…。君とはもうステディだったね」
 ドアの前に立ったまま話していたジョミーがミアの方に近づいてゆく、ミアは慌てた。
「扱います。一年生として扱いますから!」
「OK。それでいい」
 ジュピターって優しくて大人しいって言う事だったのに。
 聞いていた情報と違うじゃない。と思うミアだった。
 そんな彼女の心を見透かすようにジョミーが優しく微笑んだ。
 その後、何度か情報の交換が行われた。
 彼女からは「軍」の人間が何人派遣されているのか?
 それは何を警戒していて何を防ごうとしているのか?だった。
 ジョミーからは、短時間であるがシドの協力を得てシステムを手中に収める方法。
 彼女の本来の目的であるクローンの二人に正式に紹介する事だった。
 軍はここが何者かに狙われているという情報を得て動き出していた。
 ここに居る最重要人物はジョミー達だが、そこは今は絡んでいないようだった。
「僕達が狙いでは無いなら…一体何を…」
 ジョミーが考えながら呟く。
「情報が足りないな…」
「私は軍事には疎いから情報が違っていたら…ごめんなさい」
「いいよ。知り得た物をそのまま教えてくれてもいい。解析はシドがしてくれる」
「それって、私が信用できないって事?」
 ミアがちょっとむくれた顔をした。
「信用している。していない訳がないじゃないか?それに違っていたらと言ったのは自分だろう?」
「そうね」
 ミアのそんな言動や行動は、こんな所に一人送り込まれて不安だった気持ちから来るものだろうと思えた。
 ミュウであり、その上、得体の知れないクローンの彼ら。
 彼らが「誰」のクローンであるかは解っていても、その本人が謎に包まれていては悩みの解決にはならない。

「シド。今夜、ブルー達と会えるようにして欲しい」
「了解。でもまだ何が起きるのかわかっていないけどいいですか?」
「確かに情報が足らないね…。ミアだけじゃ無理かなぁ」
「彼女は監視員だから無理ないですよねぇ…」
「うん。頑張ってくれてるとは思っているよ」
「ジョミー。ところで…」
「何?」
「彼女ってジョミーが気になってきてるよね?」
「はあ?」
「そう思わないですか?」
「…思わないけど…」
「そうですか?」
「彼女は僕みたいな子供より大人の男が好みみたいだよ」
「へええ…」
 僕を子供と見ているか、大人と見ているのか。
 そんな事は今はどうでもいい。
「シド…、セルジュを探してくれないか?」
「了解」
 今はまだそこまでの危機感は無い。
 でもそれは、僕の能力が無いから予知出来ないだけの事なのかもしれない。
 なら、その不安が消えるまで…調べるしかなかった。



  続く







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