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惨事便乗型構造改革ではなく暮らし優先の復旧・復興を ー 自治体問題研究所2012年度総会

2012-06-04 | 企画・行事
 6月3日(土)自治体問題研究所2012年度総会が浜松市で開かれた。

災害を構造改革に利用 消費税増税は被災3県で5,000億円の負担増

 冒頭、岡田知弘(京都大学)理事長はあいさつで、最近の情勢について触れた。
• 東日本大震災と福島原発事故で災害死、自殺が相次いでいる中で、野田政権は惨事便乗型構造改革にシフトし、被災者の暮らしや主要産業である水産加工の復旧を後回しにしてTPP、道州制、消費税増税を進めようとしている。消費税増税は被災地の3県にとって5,000億円の負担増になり、それを言い出したのが村井宮城県知事。被災地にとっては生存権が侵される問題だ。
• 大阪橋下知事は、公務員を全体の奉仕者から、自分への奉仕者に変えようとしている。これは憲法にも反する。

産業インフラ優先で暮らしの復旧遅れる
   新幹線、高速道路、空港は昨年7月に100%復旧
   水産業は一部の復旧、病院の入院の体制は目途立たず
石巻 広域合併で被害の把握、大幅に遅れる


 村瀬憲子(静岡大学)氏は、東日本大震災後の政府復興予算と自治体財政―宮城県内自治体の事例を中心にーについて報告した。
• 阪神大震災の例を引き、阪神大震災の時の被害額推計約9兆6000億円に対し、9兆2000億円の復興予算が組まれたが、港湾、高速道路、空港中心の公共投資で、個人住宅には仮設住宅などにわずかだった。今回も同様だ。
• ライフラインはほとんど復旧している。特に新幹線、高速道路、空港は昨年7月には100%復旧している。これを裏付けるように第一次補正予算4兆円のうち、産業インフラに1兆2000億円の一方で、応急仮設住宅には3500億円であった。第3次補正予算では約12兆円が組まれたが、公共事業に重点が置かれている。特に、宮城県震災復興計画は、地元調査もなし、地元の研究者の参加もなしに、野村総研や三菱総研のプランをトップダウンで進めている。地元市町村や地元業者との軋轢を深めている。
• 主な災害復旧国庫補助負担金の補助率は、公共土木施設が8~10割であるのに、公的医療機関には2/3しか出ず、その裏負担分については災害復旧特別交付税で措置するとなっているものの、いつまでなされるのか不明で、不安材料である。
• がれきの処理も、阪神大震災の時は1年後にはほとんど済んでいたが、今回はこれすら済んでいない。入院機能を失った病床数は岩手、宮城、福島の3県で2,066床。いまだに再開のめどが立っていない。
• 特に石巻市は住宅の7割以上が被災、水産地方卸売市場は全壊など。復旧も一部にとどまっている。2005年に1市6町が広域合併した弊害が出ている。旧牡鹿町では合併前に120名いた職員が、30人の支所となり半島全体を把握しきれないために、震災から数日間被害状況がつかめず、8日間食料が届かなかった。

最後に、
• 生活・生業再建に向けた本格的な公的財政支援の拡充
• 構造改革型ではなく、人間の暮らし優先の復旧・復興を
• 脱原発に向けた取り組みを
とまとめた。

なお、次年度は
・ 第54回自治体学校in浜松 7月21日~23日
・ 研究所創立50周年を迎え、記念式典を2013年度総会終了後に行う
・ 会員拡大と財政基金の強化
を確認した。(K)

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