内部留保が可能だったわけ
2000年4月1日から施行された介護保険制度では、それまで介護度に応じて国の措置費として計上されていた経費が4%削減されると言われた。介護保険施行以前は介護職員も専門職として扱われボーナスも5ヶ月以上、5.2月という時期もあった。介護福祉士という専門職がいることが施設のステータスになって、施設の売りになっていた。
2000年4月から介護保険制度が施行されて職員のボーナスが3~2.5か月分に減らされた。さらに、介護には無資格者もできるとなって給料はさらに下がり、離職率も高くなり、介護力が下がった。
施設の側は給料を引き下げたために、お金が余ったので、国はさらに介護報酬を4%下げた。それでもまだ余裕があるというので今回の引き下げとなった。
今回の介護報酬引き下げの影響
施設の内部留保があるといわれて介護報酬が2.27%引き下げられた。たしかに、これまでは数年で4~5000万円貯められた。ストックが多くなると次の特養の建設のために土地の確保に乗り出す。それくらいメリットがあったので、介護に関係のない業種の人も介護事業に乗り出してきていた。
今回の引き下げによって年間で約2000万円ほど減る。事業者の中にはうまみがないからやめようかという所もある。
長くやってきたところはそれなりにストックがあるが、そうでないところはメンテなどでも多額の費用がかかり大変だ。運営的には例えば電力設定も安いメニューを使うなど工夫をして、赤字にはならない。だが、大事なことは、もっとしたい他のサービスができなくなったことだ。
介護職員の給料は本当に上がるか
これまで介護職員の給料を引き上げるために、処遇改善加算として介護報酬基本サービス費+加算・減算に2.5%分プラスされていた。その総額の10%が利用者の負担だった。
その処遇改善加算が、サービスの質に応じて3.3~5.9%に増える。金額にすると10000~12000円になる。したがって、利用者負担も増えることになるが、1日あたりの基本サービス費が減額になるので利用者負担は、ほぼ同じままということになる。従って、介護報酬の引き下げでも給料は必ず上がる。
給料改善による職員の定着度
昔は仕事に対する自覚があったが技術はなかった。今は離職率は他の会社と同じようだが、職場にとどまり続ける人が少なくなった。定着の要素には人間関係、達成感、つまり仕事へのモチベーションが大きいと思う。給料が30万円だからとどまってくれるとは限らない。しかし、資格を取ってステップアップした職員には、トータルで何年という経験が必要ということもあり、その時には30万円、40万円とあげたい。しかし、これは国が何とかしてくれなければ実現できない。
自治体が介護職員の給料に補助をしてくれると、もっと定着がよくなると思うのでやってほしい。
懇談でわかったこと
以上が施設長の説明でした。内部留保が介護職員の給料の大幅な減額によって蓄積されてきたこと、それを元に戻すためには、今回の処遇改善加算だけでは足りず、国が何とかしなければできないことがわかりました(下の「参考」を参照)。職員の給与の大幅な減額の上に支えられてきている介護サービスの実態はまだまだ改善されません。結婚して家庭を持っても働き続けられるようになるにはほど遠い状況です。
介護は経験によって質も向上するというサービスです。介護の質を確保するためにも、職員の待遇改善が必要です。命を守るために国が財源をキチンと保障すべきです。
また、今回の介護報酬削減によって、サービスが充実できなくなったことも明らかになりましたが、その具体的な内容についてもっと知る必要があります。今後の2園との懇談の中でさらに具体的に捉えていき、自治体がすべきことを明らかにしていきたいと思います。
2000年4月1日から施行された介護保険制度では、それまで介護度に応じて国の措置費として計上されていた経費が4%削減されると言われた。介護保険施行以前は介護職員も専門職として扱われボーナスも5ヶ月以上、5.2月という時期もあった。介護福祉士という専門職がいることが施設のステータスになって、施設の売りになっていた。
2000年4月から介護保険制度が施行されて職員のボーナスが3~2.5か月分に減らされた。さらに、介護には無資格者もできるとなって給料はさらに下がり、離職率も高くなり、介護力が下がった。
施設の側は給料を引き下げたために、お金が余ったので、国はさらに介護報酬を4%下げた。それでもまだ余裕があるというので今回の引き下げとなった。
今回の介護報酬引き下げの影響
施設の内部留保があるといわれて介護報酬が2.27%引き下げられた。たしかに、これまでは数年で4~5000万円貯められた。ストックが多くなると次の特養の建設のために土地の確保に乗り出す。それくらいメリットがあったので、介護に関係のない業種の人も介護事業に乗り出してきていた。
今回の引き下げによって年間で約2000万円ほど減る。事業者の中にはうまみがないからやめようかという所もある。
長くやってきたところはそれなりにストックがあるが、そうでないところはメンテなどでも多額の費用がかかり大変だ。運営的には例えば電力設定も安いメニューを使うなど工夫をして、赤字にはならない。だが、大事なことは、もっとしたい他のサービスができなくなったことだ。
介護職員の給料は本当に上がるか
これまで介護職員の給料を引き上げるために、処遇改善加算として介護報酬基本サービス費+加算・減算に2.5%分プラスされていた。その総額の10%が利用者の負担だった。
その処遇改善加算が、サービスの質に応じて3.3~5.9%に増える。金額にすると10000~12000円になる。したがって、利用者負担も増えることになるが、1日あたりの基本サービス費が減額になるので利用者負担は、ほぼ同じままということになる。従って、介護報酬の引き下げでも給料は必ず上がる。
給料改善による職員の定着度
昔は仕事に対する自覚があったが技術はなかった。今は離職率は他の会社と同じようだが、職場にとどまり続ける人が少なくなった。定着の要素には人間関係、達成感、つまり仕事へのモチベーションが大きいと思う。給料が30万円だからとどまってくれるとは限らない。しかし、資格を取ってステップアップした職員には、トータルで何年という経験が必要ということもあり、その時には30万円、40万円とあげたい。しかし、これは国が何とかしてくれなければ実現できない。
自治体が介護職員の給料に補助をしてくれると、もっと定着がよくなると思うのでやってほしい。
懇談でわかったこと
以上が施設長の説明でした。内部留保が介護職員の給料の大幅な減額によって蓄積されてきたこと、それを元に戻すためには、今回の処遇改善加算だけでは足りず、国が何とかしなければできないことがわかりました(下の「参考」を参照)。職員の給与の大幅な減額の上に支えられてきている介護サービスの実態はまだまだ改善されません。結婚して家庭を持っても働き続けられるようになるにはほど遠い状況です。
介護は経験によって質も向上するというサービスです。介護の質を確保するためにも、職員の待遇改善が必要です。命を守るために国が財源をキチンと保障すべきです。
また、今回の介護報酬削減によって、サービスが充実できなくなったことも明らかになりましたが、その具体的な内容についてもっと知る必要があります。今後の2園との懇談の中でさらに具体的に捉えていき、自治体がすべきことを明らかにしていきたいと思います。