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「天国でもないけど地獄でもない」明るくたくましく社会主義をめざす国・キューバ 2 (K)

2018-04-26 | 企画・行事
■全国統一の指導要領、教科書の中学校~歌と踊りで大歓迎

中学校では歌で歓迎されました

2日目は中学校訪問。学校では私たちのために歓迎などの準備をしてくれていて、入って早々、10人ほどの中学生による歌の歓迎を受けました。中学校の授業時間は1日8時間制で1時間は45分。指導要領、教科書などは全国統一という。1学級最高35人、平均30人で20人学級をめざしています。不登校させないために、心理学者など専門家の協力も得ています。校長先生や生徒代表などでつくる管理委員会があって、ズボンの丈の長さとかの指導をしているという。懇談後は生徒たちの研究発表を中庭で見せてくれました。麻薬の害、環境の問題など模型までつくっていました。帰りはダンスも一緒に踊ってお別れをしました。大歓迎してくれた先生や生徒に感謝しつつ、全国統一的な教育に驚いた視察でした。

■映画は国民の楽しみ~国営スーパーは品数が少ない

国営スーパーのショーウィンドウ

昔の大きな映写機が展示してあり、ガランとした国営映画製作所、日本映画のポスターもある。隣は映画館。キューバの人はよく映画を見ると言うが、入場料はとても安い。
国営スーパーも見ましたが、肉は塊に切って売り、同じ種類のお菓子や瓶詰などが積んであります。余りにも種類が少ないので棚はガラガラ、倉庫のように暗いが、それでも客は多く物価はとても安い。

■4段階の医療機関~1000人に1か所の家庭医

家庭医のミンディさん(左)と新藤通弘氏(右)

3日目は総合診療所訪問。キューバの医療体制は地域の約1000人に対して家庭医が一つある。そして、総合診療所がある。訪問した総合診療所は25000人をカバーしているという。そして、そこでも手に負えないときには総合病院があり、それでも手に負えないときには専門病院があるという。私たちは家庭医と総合診療所を訪ねました。
訪問した家庭医は女医で、1人と看護師1人で診療していました。とても朗らかで気さくなお母さん先生という感じで、自分のことをみんなは「ミンディー」と呼んでいると言っていました。待合室と問診室、奥に処置室があり、問診室には棚が壊れたと言って、カルテの入った引き出しが出されたまま使われていました。給料を聞かれて、少ないと正直に答え、それでも「お金で仕事をしているのではありません。人類愛で仕事をしています」と笑顔で明るく答えていました。医師や国家公務員、大学の教授なども国からの月収はようやく1500ペソ(キューバペソ。1ペソ=約4円)になったという。これでは半月でなくなってしまうが、残りは配給で食べていく。配給は米と黒豆と2週間に一回の鶏肉です。

■7.26総合診療所~キューバ革命を始めた7月26日を名前に

7.26総合診療所の中庭

この診療所は4.5㎢の27,000人を対象にしています。この地域の24の家庭医と連携をとっていて、救急医療、検査、処置室などを備え医師も常駐しています。それでも間に合わないときは総合病院に行く。それでも必要なときには専門病院となり、全部で4段階になっています。
キューバの人たちは医療は無料だが薬はわずかな金額だが有料となっています。病院の中で使う薬は無料です。映画シッコでマイケルムーアがアメリカの消防士がキューバに来て治療しても無料と言っていたが、あれは9.11への支援と言うことで無料だったということでした。通常は外国人は有料になっています。

つづく

「天国でもないけど地獄でもない」明るくたくましく社会主義をめざす国・キューバ 1 (K)

2018-04-26 | 企画・行事
 2018年3月26日から4月3日まで9日間のキューバ視察に行ってきました。

ハバナ市の旧市街

 2014年5月、埼玉自治体問題研究所では北欧の福祉・環境視察を行いました。そこでは、高福祉のために高負担がある、その高負担を賄うために高所得を追及していることがわかりました。
 キューバは医療の充実で有名ですが、GDPは、7,815ドル・年/人(86位)です。こんなに小さいのに教育も医療も無料は可能なのか、社会主義をめざしているからなのかという疑問がでてきました。また、アメリカとの経済交流によってこうした社会主義を崩してしまうのではないか、という漠然とした疑問もわいてきました。それでは行って現実を見るしかない。

■キューバ・ラテンアメリカ研究家、新藤通弘氏との出会い
 今回企画・案内をしていただいた新藤通弘先生との出会いは、富士国際旅行社の学習会でした。新藤氏は、キューバは革命で産業を国営化したものの予測した生産量に達せず、民営化が進んでいる、そして生産力が実際に上がっている、と話していました。また、議会議員の選挙もあり共産党員以外でも立候補して議員になっているなど日本ではあまり知られていない現実を客観的なデータを基に話しました。ますます、興味がわいてきて、視察するなら新藤氏の同行は欠かせないと思いました。そして、今回のキューバ視察は新藤通弘氏同行の視察となりました。氏の熱意が講義の数にも表れ、ハードな日程で苦闘でもありました。貴重な視察でしたので、中身などは報告集としてまとめる予定です。

■キューバ・カリブ海諸国・ラテンアメリカとアメリカ~経済主権かアメリカの勢力圏か
 最初に、キューバの置かれている状況を非常に大雑把に紹介しておきます。
 ラテンアメリカ、カリブ海諸国は1492年のコロンブス上陸以来、スペインに征服されて、先住民は追いやられ、強制労働で酷使され、キューバでは先住民は絶滅しています。その労働力を補うために多くのアフリカ人がキューバに連れてこられました。キューバ人はスペインとアフリカの人たちです。
ラテンアメリカではスペインの征服に対して先住民の独立運動があり、1800年代初め、シモン・ボリバルによってスペインからの解放と統一が成し遂げられました。しかし、内紛によって分裂していきます。
 アメリカは1823年のモンロードクトリン(当時のモンロー大統領の基本原則)以降、アメリカの西半球はアメリカの勢力圏とみなすようになり、米州機構を作って勢力を拡大しました。アメリカはアメリカ資本によって収益をアメリカ国内に持っていき、ラテンアメリカの国々では貧困が増えるという時代になります。キューバは1959年親米の政権を革命で倒し、国民が暮らせる国をめざしています。ラテンアメリカの国々も、自国の国内資源の利益は自国民のためにという社会変革が起こり、選挙で政権を確立するところも出てきました。
 これに対しアメリカは自国の勢力圏を確保するために、金融や経済界、軍事協力、マスコミ、資金援助を使って左派政権に圧力を強め、転覆させようという反動攻勢を行っています。ブラジル、ベネズエラで起こっていることの背景です。

次号から次のタイトルの順で掲載していきます。なお、このシリーズはあくまで感想ですが、6月ごろ末ごろまでには記録に基づいた報告集をまとめる予定です。その後、このブログに掲載する予定です。記事に関するお問い合わせは研究所までお寄せください。

■全国統一の指導要領、教科書の中学校~歌と踊りで大歓迎
■映画は国民の楽しみ~国営スーパーは品数が少ない
■4段階の医療機関~1000人に1か所の家庭医
■7.26総合診療所~キューバ革命を始めた7月26日を名前に
■国営高齢者ホーム~朝食から夕方の軽食まで。大半が80~90才
■ラテンアメリカ医学校~国が貧しいのに、外国学生のために学費も寄宿費無料
■広大な革命広場
■カバーニャ要塞とモロ要塞~内部に革命の展示
■トロピカーナ~革命政府の柔軟な解決策でキャバレーがナイトシアターに
■コヒーマル~ヘミングウェイが愛したキューバの家
■油田開発よりも環境優先
■バラデロ キューバの主要な産業、観光産業のリゾートを体験して
■富豪デュポンの別荘~革命による富裕層の豪邸の接収の実態
■「誤りを隠してはいけない、誤りを認めて初めて改革ができる」~キューバの改革
■キューバは天国ではない。そうかといって地獄でもない