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スウェーデンに見る税と社会保障 その3(K)

2013-09-13 | 税と社会保障の一体改革

もう一度、国や自治体の歳入・歳出を見ます。あわせてその原資である歳入も見ます。

スウェーデンやデンマークが社会保障や教育の充実があるのは、歳入の規模が日本よりもはるかに大きいということです。

歳入のうち、主なものは税収です。ではどれくらいになるのか、を見ます。

 

 

上記の表からデンマーク、日本、スウェーデンを抜き出してグラフにしてみました。

デンマークは社会保障費もわけて取るのではなく、所得税として一括して取っています。スウェーデンは税も高く、特に所得税と付加価値税も高い。

社会保障負担については、負担割合にも大きな違いがある。日本は雇用者と雇用主が5:5だが、スウェーデンは2.8:8.6である。その他に企業にはGDPの4%の給与税もある。これも加えると、12.6%になる。これで国民生活は、企業は成り立つのか、逃げ出さないのか。

次回はそれぞれについて考えてみます。


公務員の自衛隊体験入隊は公務員に必要な資質と正反対(K)

2013-09-06 | 事務局のつぶやき・研究所では

日本各地で公務員の自衛隊体験入隊が相次いでいる。

自治体の仕事は住民の声を聞き実現すること
 自治体は、「住民の福祉の増進を図ることを基本」としています。福祉とは「安定した生活環境」という意味です。従って、仕事を実施するにあたっては、法律・国や県の指針、場合によっては近隣の状況という条件もありますが、何よりも福祉の目標である住民の声に耳を傾けなければなりません。それを踏まえて、住民の声に基づき、実施する方法や時期を決める、というのが原点です。

公務員に求められる資質は、住民の声を聞き、考えること
 住民は主権者です。住民にとっては住民の意見を聞いてくれるのか、まじめに考えてくれるのかが大切なのです。いわゆる民主主義であり、住民主権や自治の前提です。主権者の意見を理解し、ともに考えることこそ公務員としての大前提と思います。

 たびたび、上司の指示をそのまま執行することが公務員のようにも言われます。それは、住民の意思である首長が決め、議会が承認し、それを上司が指示しているのだから、上司の指示=住民の意思になる、という論理です。
 しかし、案の段階では、担当者は当然、住民の声を聞かなければなりません。首長が多くの住民の意見を直接聞くことは不可能ですから、担当の職員が住民との対話を行うことになります。住民の声がどれだけ反映されるかが、住民にとっての自治体の良し悪しになるように思えます。

自衛隊に求められるのは考えることではなく無条件に従うこと
 自衛隊はどうでしょうか。自衛隊にとっては規律がなによりも重要です。アメリカの元海兵隊員ダグラス・ラミス氏は、以前に行った講演の中で、軍隊の訓練は「上官の命令に疑問があっても従う、むしろ疑問を持たずに忠実に従うことが求められます。考えずに従うことが訓練の目的」と言っていました。自衛隊でも戦うことを目的としている以上、考えることよりも従うことが最も大事というのは当然でしょう。

自衛隊と公務員は正反対
 住民の意見を聞いて考え、住民の立場で仕事を進める公務員と、考えずに上官の命令に従うことを資質とする自衛隊とは正反対です。一体何のための体験入隊なのでしょうか。

 災害時の訓練を目的とするなら、災害救助やそれを目的とする消防の方が適しているのではないでしょうか。アメリカの9・11の消防の活動を見て消防職員になった人もいます。

 自衛隊への公務員の体験には、自民党の改憲草案の国防軍化への地ならし、露払いではないのか。最近の動きにきな臭さを感じます。


スウェーデンに見る税と社会保障 その2(K)

2013-09-05 | 税と社会保障の一体改革
 前回の出典によると、
 2010年には、スウェーデンの高齢者ケアの総費用は959億クローネ(14.0億USD、10.7億EUR)であったが、コストの3%だけが、患者の費用によって賄われました。高齢者自身が支払った医療費は、指定された「割合のスケジュール」に基づいて助成されています。
とあります。

*スウェーデンの2010年のGDPはOECDの統計によると33,375.31億クローネ。従って,高齢者ケアの総額のGDPに占める割合は2.87%ということになる。
一方、日本の介護費用:日本の2011(平成23)年度の介護費用総費用は8.3兆円( H24年度厚生労働白書)。一方、H23年度のGDPは473.3兆円(内閣府2011年度国民経済計算)。従って、GDPに占める介護費用総額は1.75%。(筆者 記)


さらに上記の出典によると

 各自治体は高齢者介護に対する料金を決めている。経費は提供される支援の程度や形態及びその人の所得によって決まってくる。ホームヘルプ、日中の運動、その他の介護の最高額は2011年1月1日以来、月額1,760クローネ(26,400円)に設定されている。

移動サービス
 高齢者や障害者はタクシーや特別仕様の車での移動サービスを受ける資格がある。この選択は通常の公共交通では移動できない人たちが利用できる。2010年に、国内で1100万回このような移動が利用された。対象者の34%であった。

年金について
 スウェーデンの年金を構成しているいくつかの異なる原資がある。スウェーデンで働き、住んでいる人は払ってきた税金の収入を基にした国家退職年金を受けることができる。国家退職年金は年金・特別年金・保証年金収入からなっている。
2012年の国家退職年金の平均は月に11428クローネ(約171,420円)。国家退職年金に加えて、スウェーデンで雇われたほとんどの人はまた、雇用主の負担に基づく職業年金を受け取る。
 全体で年金受給者の合計収入の65%は公的年金システムから由来する。追加的保証として、多くの人たちは個人の年金貯金からの退職給付による補給を選択している。

そこで、日本の予算の使い方と比較してみました。

         OECD.Stat Extracts より
* 社会的保護、教育が北欧よりも極端に低いのがわかります。一般行政も少なくなっています。

【用語の定義】
IMF“Government Finance Statistics: Compilation Guide for Developing Countries”(September 2011)付録Table A1.4より


一般行政サービス( General public services)
 行政・立法機関、金融・会計業務、外交、外国への経済援助、統計、全体計画、基礎的研究、公的債務取引など
防衛(Defense)
 軍事援助・研究など
公共の秩序と安全(Public order and safety)
 警察・消防・裁判所・刑務所、公共の秩序と安全の研究開発など
経済(Economic affairs)
 一般的な経済、商業、労働、農業、林業、漁業と狩猟、燃料とエネルギー、鉱業、製造業及び建設業、運輸、通信、流通売買・旅行・ホテルとレストラン・多目的開発計画、経済の研究開発など
環境保護(Environmental protection)
 廃棄物管理、下水管理、汚染物管理、生物多様性と景観の保護、環境保護の研究開発など
住宅とコミュニティー施設(Housing and community amenities)
 住宅開発、コミュニティー開発、給水、街路の照明、住宅とコミュニティー施設の研究開発など
健康(Health)
 医療製品・器具・および機材、外来・入院などの医療サービス、公衆衛生サービス、健康についての研究開発など
レクリエーション、文化、および宗教(Recreation, culture, and religion)
教育(Education)
 就学前と初等教育、中等教育、高等教育、教育の研究開発など
社会的保護(Social protection)
 病気や障害、高齢・年金を含む、遺族、家庭と子ども、失業、住宅、分類に属さない社会的排除、社会的保護の研究開発など

対DGP比では

行政全般についても少ないことがわかります。小さな政府は社会的保護も教育も低下しているのです。

次はその原資、財源の出所・税の在り方について です。

スウェーデンに見る税と社会保障(K)

2013-09-02 | 税と社会保障の一体改革
 「税と社会保障の一体改革」が政府によって進められている。福祉の充実とはどんなことを言うのか。目標は何か。そのための費用はどれくらいかかるのか。その原資は。
 そこで、少子高齢化を理由に一体改革が叫ばれているので、福祉先進国と言われているスウェーデンの特に高齢者福祉と税についてインターネットを使って調べた。

スウェーデンの高齢者福祉

 2012年1月20日に作成され、現在もHPに同じ内容で更新されているスウェーデン政府によると次のように記されている。

「高齢者介護の目標と優先順位」出典はこちら
 高齢者政策の目標は、高齢者が積極的な生活を営み、社会や自らの日常生活に影響を持って、安心できる環境で年を重ね、自立を維持できること、そして敬われる存在となり、質の高い医療と社会的介護サービスを受け取ることができることである。
参加、幸福と選択の自由は、高齢者への配慮の発展のための政府のキャッチワードです。すべての高齢者が尊厳をもって年をとる権利を持っています。彼らは、安全で、コミュニティの一員であり、一般的に社会に包含されていると感じられるべきです。

そして、次のことが行われています。
スウェーデンの高齢者福祉(出典はこちら)
 スウェーデンでは、多くの高齢者は健康であり、積極的な生活を送っている。ほとんどの高齢者は選択して自分の家で暮らしている。そして必要なときに自宅への食事配達、クリーニングやショッピング、移動そして医療への援助という公的支援の恩恵を受けることができます。自分の健康は年齢とともに悪化した場合、昼夜の介護をする特別な住宅があります。
スウェーデンの人口の5%以上は80歳以上で、これは他のEU加盟国に比べて大きな割合です。この年齢層でより多くの市民が健康であるため、彼らの介護の要求は、1980年代以降減少している。ほとんどの高齢者介護は、市税や政府の補助金によって賄われている。高齢者自身が支払った医療費は助成されます。
 高齢者の健康と社会的ケアは、スウェーデンの福祉政策の重要な一部を構成している。スウェーデンの960万人の住民のうち、18%が年金受給者である。この数値は、一つには1940年代のベビーブームにより、2030年までに23%に上昇すると予測されている。
 スウェーデンは世界の他のどの国よりも、その高齢者の介護にGDPの多くを投資しています。すべてのスウェーデンの住民は、スウェーデンの標準退職年齢である65歳から、国家融資最低保証年金を受けることができます。

次回は費用について