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デンマーク、スウェーデン視察報告第3日目 年金者住宅(K)

2014-07-26 | 企画・行事
国民学校の近くの高齢者センターを視察。同じkoge コミューンのAKTIVITETSHUSET i Borupです。

住宅に行く道で案内してくれた施設長さんからの話です。

部屋・庭の改造について
 自分の庭は例えば植木を置くのか、芝生だけにするのか住んでいる人が自分で決めることができます。芝生だけと決めたら芝刈りは私たちの方でやるが、それ以外の上の手入れは自分でやっていただくのが原則です。

庭の芝生以外の所は自分で改造した


 ここは2部屋の高齢者住宅ですが、つい最近引っ越してきたばかりの女性が住んでいます。入居したばかりの個人の住宅を見せてもらえることになった。引っ越してきたのは92才の老婦人。華やかできれいな身なりで、とても92歳とは思えない。

左がこの池の92才の主人カーンさんです。 チョコレートを振る舞ってくれた

 
部屋の中はきれいに飾られていた。家具もこぎれいなデザインだった

   
自分の意思で2部屋のうちの一部屋を2つに分けて3部屋になっている。上は一部屋を小さな食堂と寝室の2つに分けた部屋。

 部屋を分けたコンクリートの間仕切りも自分でやってもらった。ほんとはこの境はなかった。自分でやったか親戚の人がやったかはわからない。
 基本の家具は全部自分で持ち込んで。キッチンと食堂がこの並びにあります。高齢者住宅はデンマークではガスは使いません。全部電気です。バスルーム、デンマークのバスルームはノンバスタブです。シャワーです。ケアしてスタッフがいっしょに動ける広さです。大きさ最低いくらとデンマークの法律で決まっています。カーンさんはラッキーです。息子も孫も大工です。キッチンはもともとあって、バスルームはあの大きさです。洗濯機は自分で持ってきた。

 いろいろ条件があって条件を満たした人がこの高齢者住宅に入れる。所有しているのは市です。だから市から借りて賃貸で入っている。デンマークは国の決めた法律によって収入に応じて住宅手当が出る。家賃は6,000kr。住宅手当は最低でも3,000krは出る。自分で支払っているのは3,000krくらい。
 部屋の大きさは60㎡。

質問:条件を満たせば間違いなく入居できるのか?
答え:ここは年金者の住宅。待機者はいない。希望したら入れる。市に申し込んで市がOKと言えばOK。
 申し込みの順番に関係なく急に病気になった、病院を退院して2階の生活が続けられない、と言う人は最優先される。

質問:返す時は原状復帰か?
答え:庭の方は手入れしたそのままの状態で次の人に入ってもらうことができるという契約になっている。部屋の方は次に入る人が嫌だと言ったら取り除かなければならない。普通の個人の家で賃貸契約を結んではいるときも同じですが、ペンキとかを塗った状態で新しい人を迎える。


施設内のアクティブハウス(交流施設)
 住宅地の中央にあるアクティビティハウスに案内してくれました。それを囲むようにして高齢者や住宅がある。周りの高齢者住宅に住んでいる人以外、ちょっと離れたところに住んでいる人もここのアクティビティハウスを使える。ここにサポートグループと言う人たちがいるが、その人たちがここをきれいに内装を整えてくれて用意してくれた。直接お金を出してくれるのは何々ファンドとか、市の方が一部の予算を出してくれるとか、そのサポートグループが直接お金を出しているのではない。サポートグループはここを以前に利用していた家族とかでボランティアです。

 
 ここは社会交流の場みたいな感じです。お茶を飲みながら話をするだけ。そういったものに使われています。


 コンピュータールームです。9月から4月まで高齢者向けにコンピューターの授業をやっています。今は夏休みです。デンマークは法律が変わって、役所から送られてくる手紙は全部Eポストと言われる、コンピューターで送られてくるシステムに変わったのです。だから、今までコンピューターを使ったことのない70才、80才の人も自分の市から送られてくる手紙を読むのはコンピューターでシステムの変わった。将来、ほぼ100%実行に移されるので今からやっておかないとダメ。すごく楽しんで授業に参加しています。
 一人でやるのはダメです。何人かいて教えてくれるのが効率がいいです。


1978年に建った。その当時のままです。

施設での調理

厨房なんです。以前は住んでいる人のために作っていたんですが、市の方針が変わって、食事は100%外から買うことになったので、今は使われていない。
 サポートグループの人たちがここの人のために大きなパーティーを開く時にはここで作って食べる。ここを利用して食べている人はケータリングの会社の人たちが持ってきて、そこからここに運び込まれてここで販売される。ここに来て食べ物を買って楽しんでいる。高齢者住宅で自分でできる人は自分のキッチンでつくっている。それ以外の外で食べたいという人はここで食べることができるし、来たくない人は配達もしてくれる。
 配達の方法は1週間全部お願いしますというのであれば、週に2回温かいものを食べたいという注文であれば、週に2回冷たいものを持ってきて、食べるときにチンをしてあっためます。

介護品の提供について
 最近経費節約とかで、これまでだったら3輪の自動スクーターも簡単に出してくれたのが、最近は認定すらしてくれなくなって、もっと体が動かなくなったら出してやるが、どうしても使いたいというのなら自分で買えというくらい厳しい条件に変わってきている。

介護労働者の待遇について
 1年間に20万kr(約400万円)から30万kr(約600万円)くらい。どういう資格を持っているか、仕事をどういう状態でやっているかによって変わってくるが年収が20万krとして約400万円くらい、30万krだったら600万円くらい。それが本人が受け取る、ケアする人たちが受け取る給料のレベルです。サービスの提供は市の義務化で法律で決まっているので、お金のあるなしにかかわらず、やらなきゃいけない。


つい、労働者のこと、介護の保障のことなどを聞いてしまう。日本でコストばかり言われるのでクセになってしまっている。しかし、デンマークでも経費削減が忍び寄っている。
税金の話で出てきていたが、国民年金は約23万円、ここの家賃が12万円だが、半額補助が出るので6万円としても、17万円は残る。そして医療は無料。やはり、暮らしやすい。介護労働者の賃金も高い。

デンマーク、スウェーデン視察報告第3日目 デンマークの高賃金、高福祉社会はどのように生まれたか(K)

2014-07-25 | 企画・行事
移動中のバスでは、今のデンマークがどうして生まれたのか、宮下さんの説明は続きました。


農奴制の廃止で小規模経営農業
 1788年、それまで行われていた農奴制が廃止になり、農業を営む人たちが決まった土地に縛られ、移動できないという制度が終わりを告げた。それ以降、経済的に自立をしていく、余裕があれば自分の農用地を買い取ることができるという制度に変わった。それによって買い取った農用地に住み着く農業経営者が多くなる。デンマークは自分の所有している農用地の一角に必ず住まなければいけないという法律に変わったので、現在、昔あった集落としての状態は完全になくなった。デンマークは1800年代前半まで家族経営の小規模の耕作農家が中心でした。

新大陸からの輸入農産物に立ち行かなくなる家族経営農業 一方で大規模化
 1800年代後半に入るとアメリカ・カナダから安い穀物が大量に流れ込むことになり、小さな規模の農家、デンマークは抵抗できなくなります。
 小規模家族経営の農家を断念した人たちは農業をすべて売り払い当時工業化が進む大都市コペンハーゲンに上京して全く資格を持たない工場労働者として働くようになっています。
 お金がある農家は、その売りに出た小さな農家の農用地を買い取り、吸収合併しながら規模を拡大し、それまでの小規模耕作から酪農と畜産に生まれ変わります。現在のデンマークは酪農と畜産の農業です。おととし発表された数字によると農家一軒が平均所有している農用地の広さは65haを持っています。その一角に農家が一軒という様子になっている。また、延々と続く農用地の一角に農家が一軒、また広々と続く農用地の一角に農家が一軒という造りになります。

農業者が工業労働者に流れ込み、最悪の労働条件でも働く
 農業を断念した人たちがコペンハーゲンに数多く集まっているわけですから、雇用者側としては働き盛りの人を安い賃金、最悪の労働条件で雇い入れます。こき使い、万が一体を壊したらすぐに解雇する、そういう状態が続きます。一家の大黒柱としての父親の収入だけでは食べていけないほど貧しい家庭ですから、当然母親も働きます。母親の労働条件はさらに悪く賃金もさらに低いという条件です。
 それでも食べていけないため貧しい労働者階級の子どもたちは、子どもも働いています。親たちよりもさらに悪い条件、賃金です。結構体力のある子どもたちが悪い条件で、安い賃金で働いてくれるようになると父親、母親は解雇されるという可能性もあります。

追い詰められた労働者が「無資格労働者の労働組合」を結成
 そういう風にしてもうこれ以上生きていくことはできない、そこまで追い詰められた労働者の人たちは目を向けたのが職人組合です。職人は昔から特殊技術を誇り自分たちの職域を守るため、一人一人の声は世間に届かない、組織にしてみんなでまとまれば世間は耳を傾けてくれる、そういう考えからギルドと呼ばれる職人組合をつくり、自分たちの職域を守り続けてきたという歴史をずうーと見て育ってきた人たちです。これ以上生きていくことすら難しい状況を改善するためには労働組合をつくるしかない。
 そして、1800年代末近くデンマーク国内で初めての、無資格労働者の労働組合が結成されます。それから20年ほどして無資格労働者の女性のための労働組合も結成されます。

企業サイドも国際競争時代を見据え、熟練労働者で勝つという戦略に 労働者優遇に方向転換
 その労働組合が活動を始めたころ、しばらくするとデンマークの企業サイドにも違った考え方が生まれてきます。こき使って使い捨てではなくて、これからは小さな国デンマーク国内だけの市場を見つめていたのでは大企業として成長しない。これからは他の国とも競争し、勝ち抜いていく必要がある。そうなれば一番企業にとって大切なのは仕事の内容を熟知している労働者と言うことになる。これからは労働者を優遇しようではないか、ということで労働者の生活を助けよう、雇用者の考え方が変わってきた時期に重なっています。

デンマークモデル=労働協定は国の法律並に扱われる
 デンマークは国が労働市場問題に口をはさむのではなく、労働市場パートナー同士、つまり労働組合と雇用者の組合が最もいい条件をお互いに作り出すために団体交渉をし、労働協定を結ぶ、そしてその労働協定は国が定めた法律に準じるというシステムを定めた。ヨーロッパの中でも特に珍しいデンマークモデルと言われている考え方です。

ゼネストにも国は口出ししないことが基本
 今でも国全体がゼネラルストライキに入って国民の命に危険が及ぶ、たとえば病院が機能しないとか消防署が機能しないとか、そういうことにでもならない限り、国は口出しをしないという基本的な考え方を貫いています。
 それ以降、資格取得目的の教育制度に1960年代から70年代に向け変わっていったデンマーク無資格労働者の労働組合以外にも各資格ごとの労働組合が結成され、交渉を持つようになってきています。


 デンマークも特別な国ではない。モラルの高い国でもなかった。むしろほかの国と同じように、非常に厳しい時代があった。そして、労働者がたたかった。デンマークについて情報発信しているケンジ・ステファン・スズキさんも、同じような指摘をしている。
 ただ、ほかの国と違うことは、労働者がたたかい、企業もそれに応じたことが、高い生産力と高福祉を実現した、ということだ。そして、今も高い労働組合の組織率が、厳しい国際競争の中でも高い福祉の水準を維持し、持続可能な社会の目標の実践の、基盤になっていることを感じた。謎が解けた思いだった。宮下さんに感謝です。

デンマーク、スウェーデン視察報告第3日目 新しい教育改革 外国語教育(K)

2014-07-25 | 企画・行事
国民学校への移動中のバスの中 ガイドの宮下さんのデンマーク紹介 その2

1年生から英語教育 世界に伸びるために
 新しい教育改革によって、いままでは4年生くらいから、実験的にある自治体では2年生から英語教育をスタートしたシステムだった。これからは1年生から英語教育が始まった。小さな国デンマークでは自国語だけにこだわっていたら、世界には伸びない。だから第1外国語としての英語を母国語と同じレベルで話せる若い世代をつくっていこうという意味です。
 第2外国語は5年生から導入します。今までは7年生から導入していた。第1外国語はどの学校も英語ですが、第2外国語はドイツ語かフランス語を選択できるという制度だった。文科系に進みむのか、理数系に進むのか。理数系だったらドイツ語が圧倒的に有利と言われている。
 希望に合わせて第3外国語も7年生から選ぶことができる。第3外国語の中には中国語、日本語、ロシア語など選択肢が多く含まれている。選択なので第3外国語を選ばなくでも構わない。

高等教育を受けている若い世代は3か国語はペラペラ
 母国語であるデンマーク語、文法的に見るとよく似ている英語、その他にドイツ語かフランス語か中国語・日本語をペラペラに喋るという若い人も結構いる。外国語の習得能力が非常に優れているデンマーク人です。世界的に見てスカンジナビアの地域は第1外国語を母国語とほぼ同じレベルでしゃべれるとして世界的に知られている。デンマークだけではなく北欧全体でそうです。

デンマーク、スウェーデン視察報告第3日目 地方分権が進んでいるデンマーク(K)

2014-07-25 | 企画・行事
国民学校への移動中のバスの中でもガイドの宮下さんはデンマークを紹介した

デンマークの地方分権 国が決めた最低基準を守れば、予算は独自に決められる
 各自治体ごとに教育にどれだけ予算を使うか決めることができます。最低基準として国が決めた法律があり、その最低基準を守りながら自治体同士が競争し、より魅力的な、住みたくなるような自治体づくりを目指します。どういう人たちにたくさん住んでもらいたいのか、それによって国が決めたサービス以上のものを上乗せしてめざします。働き盛りの若い夫婦、子供を育てている、そういう人たちに住みたくなる自治体づくりを目指していけば当然学校教育にはより多くの予算を使います。産業振興、環境問題にもお金を使います。
 逆にある程度の財産を持ち、余生をゆったりと過ごしたい、そういう人たちに住んでもらいたい、そういう自治体であれば高齢者福祉を手厚くする。そういう風に自治体ごとに国が決めた最低+エクストラのサービスの自由は自治体ごとに決定していくシステムになっている。

財源となる税率は自治体ごとに決められる
 そのために必要な予算として、各自治体は税率を定めていきます。ですから当然、自治体ごとに税率も変わってきます。
 デンマークはヨーロッパでも地方分権がかなり進んでいる国と言われている。その一番大きい理由は国の顔色を見ることなく独自に徴収する税収入その他事業収益だけで年間必要な予算は98コミューンの平均をすると70数%を賄うことができる。裕福な自治体では年間予算の100%以上を自分たちの収入だけで賄うことができる自治体もある。最低でも60数%の予算を賄っている。

人口に比例して、国からの地方への交付金「ブロック補助金」と、自治体間の「自治体間寄付格差均等上納金制度」がある
 国の方から人口に比例して自治体に交付される地方交付金があり、デンマークでは「ブロック補助金」という。その他、自治体の経費の一部を国が還元してくれるものもあります。だから、国からもらうお金はいくらかはある。
 ただ、裕福な自治体は自治体間の格差を均等にするために国に上納金を納め、国は全部集めておいて、お金の足りない貧しい自治体に分配していくという「自治体間寄付格差均等上納金制度」と言うのがあり、納める上納金の方が国から受け取るお金よりも多いという自治体も実際にはある。ということなので、経済的自立は100%を超えている自治体もある。

 宮下さんのレクチャーで見たように、ブロック補助金も国の予算の25%くらいある。さらに、自治体間格差是正の制度もあることは興味がある。分権の徹底と言いつつも、最低ラインを保証しているように見える。


デンマーク、スウェーデン視察報告第3日目 国民学校 学童保育、設備と目的にびっくり(K)

2014-07-25 | 企画・行事
3日目午前は国民学校訪問です。

 デンマークでは一人一人の到達を重視し、教師も労働時間も守られて、そして民主主義を実践する社会の元となる教育はどのように行われているのだろうか。


のびのびと遊ぶ子どもたち
 私たちが訪問したのは、コペンハーゲンからバスで南へ1時間くらい行ったところ。 Køge コミューンにあるSkovboskolenという国民学校です。
学校につくと、子どもたちが2階の窓から手を振って迎えてくれた。授業中ではないのだろうかと思いながらもこちらも手を振った。
 バスを降りると、早速、校庭に案内された。ちょうど休憩時間に訪問を当ててくれたので子どもたちが校庭で遊んでいた。校庭は子どもたちの専用の遊ぶところ。体育の授業のためのグランドなどは別にある。休憩時間には教室にカギをかけて入れないようにする学校もあるとか。
 
 
 


子どもたちが歓迎
 子どもたちも最初は誰?と言う感じだったがすぐに私たちの回りに人だかりができた。子どもたちに囲まれながらもなかなか言葉が通じない。持って行った駒や折り紙で交流が始まった。
 


1学級26人が定員
 デンマークでは学年は6歳の0年生から始まり9年生の10年間が国民学校。国民学校ではこれまでは専門の1~2教科しか教えていなかった。しかし、もっと多くの強化を教えるようになってきた。若い先生の中では増えている、資格を取って5教科くらい教えている。資格を取るのも年数がかかると言われている。
 1クラスの子供の数は法律で最高26人までとなっているが、例外的に28人まで認められているところもあるようです。この学校には通常の24クラスがあり、生徒数は280名ほど。42名の教師+16名のペタゴー(学童担当の教育者と言う感じ)がいる。

校長先生の話 ほとんどが学校で独自に決められる

右奥のハンサムな男性が校長先生

学校予算は年間約8億4000万円。人件費や内装も含むが。すべて学校で決められる
 2つの学校は市立なので予算が出ます。2つ合わせて、だいたい4200万kr(約8億4000万円)。これで給料も払うし、内装、教材すべて払うということ。予算をもらった後の使い方は全部私たちが決めることができます。例えば、教師の数を増やしたい、教材を充実させたいとか決めることができます。

教師の給料は初任で約56万円、勤続12年で約76万円
 教師の給料と言うのは教師組合と市が話し合いをしているので基礎給料と言うのは決まっています。その上にいろんな役割をお願いしてその手当を私が配ることになる。学校の教師の給料と言うのはいい手当てがいっぱいついている教師と、あまり手当がつかない新米の教師との差は10,000kr/月くらいです。
 教師の資格とペタゴーの資格は違いますから、組合も違うので最低給料も違うので、ペタゴーの給料は別システムです。ただ、基本給と言うのは12年勤続でほぼ全員同じになります。後は私が上乗せする手当の差が給料の差になります。
 月々払う給料のほかに年金を学校の方で積み立てて払っています。それも込めての収入で1か月でスタート一番新米は28,000kr(約56万円)、それに勤続12年の人はプラス10,000krなので、38,000kr(約76万円)。給料の17%が年金として積み立てられているお金です。受け取るお金はこれよりも17%引いた後、それから税金を引いてと言うことになります。

学習をどこまでやるかは国で決まっているが、教材や方法は学校ごとに決める。教材の検定もない
 国が決めた、例えば1年生から3年生までの間にどれだけのことを学習しなければいけないか、6年生まで、9年生までどれだけ、と国が決めた法律を守りながら、そのための授業をここで提供をしている。だから、3年生、6年生、9年生までにどれだけやらなければならないことは全国一律です。学校の教師と、ペタゴーと私と協力をして、この目標を達成するためにどういう教材を使って、どういう教育方法でというのは全部学校ごとで決まっています。使っている教材も検定がないということ。
 1年間、同じ学年で同じ教科を教えるという先生は一つのチームを組んでチームの年間プランと言うのを建てます。生徒と先生との面談、年に2回から3回行われています。というのも、1クラスの中でも生徒によって教え方が変わる。

教材のデジタル化が進んでいる
 学力向上を目指してデジタル化が進んでいる。一人につき3つまで機器を持ち込むことができる。学校全体でWiFiが使えるようになっている。子どもたちが自分で持ってきたスマートフォン、WiFiに接続できる。子どもが持っていないこともあるので学校で用意していてトータルで400~500のデジタル機器を学校で持っている。

教育方法 true north(北欧?)
 教育方法については、true north(北欧?)という方針があるそうです。ジョンヘスと言う方が教育を唱えていて、実証された正しい方法を取り入れるという考えです。ここの教師は全部研修に行っています。子どもたちと言うのは自分の年齢プラス10分間、それが集中できる時間です。10歳の子は20分くらいが最高。あとは意識が他の方に行ってしまう。また意識を戻して、ぱっとフレッシングする必要性が出てくる。途切れてしまった集中心を取り戻すために、ちょっとダンスをしたり、膝を叩いたり、みんなでヤーということをやってまた集中する。

わからなくても手を挙げることを褒める
 先生が質問をする、答えがわかっているいないにかかわらず全員が手を挙げる。当てられたら困るという子はいないのかと聞いたらそんなのは関係ない、ともかくほめるというのが教育法です。間違った答えをいった時には「残念。でもよく手を挙げてくれたね」とほめる。手を挙げる直前に不確かな様子が見えるようだったら、隣の人とちょっと話をする時間をあげて、それから手を挙げてとやることもある。集中力が途切れたときに全員が手を挙げるというのもそれが集中力を取り戻すことにもなる。だけど、先生に「違ってるじゃない」と言われると絶対に手を挙げなくなる。手を挙げなくなった時点で頭の回転が止まっている、集中が止まっているということになる。そういう恐怖感を抱くようなことは教育の場には取り入れない。
 授業の一時間単位と言うのは45分だが、それを45分とみるのか90分で区切るのかはそのスケジュールによって違う。45分、90分を全部集中するというのは無理なので、間、間に先生がちょっと休憩を入れたり、何かゲームをちょっとだけやったり、子どもの集中力。授業の長さがどれだけ勉強したかではなく、どれだけ集中できたかがどれだけ学習できたかにつながる。

子どもに恐怖心を抱かせてはいけない
 先生は絶対に子どもに対して苦情・文句を言ったりしない。自分の気分次第でいきなり態度も変わったりともならない。子ども達が恐怖心を持ったら学習は止まってしまう。子どもたちは常に教室内では笑っていられる楽しい環境、それを私は先生に要求している。
 これから授業参観でクラスに入ってもらいますが、先生が常ににこにこしているか、子どもたちが嬉しそうにやっているか必ず観察してください。

以上が校長先生の話です。

PISAの影響 進む教育改革
 しかし、PISAの結果がよくなかったということでデンマークでは教育改革が進んでいる。この学校でも職員室が今までは主に休憩室となっていたものが、日本式に一人一人に机が与えられて教材もそこに備えるという準備がされていた。デンマークの教育が競争第一主義にならないことを願う。
 
1年生の授業風景

 
教科書などは学校に置いておく。教科書は学校のもので10年くらい使うという。名前は書く。


2年生の時間割表 8:05~12:50 となっている。他の学年も13時には終わるという。国語の時間も多い。キリスト教の時間もある。

 
2年生の授業風景 後の2枚はみんなで授業の中間に頭・肩・膝・ポンをやってこれから集中を高めようとする“true north”。 

日本とは別格の学童保育
 独特なのはこのペタゴーという教育者の資格をもっている人。このペタゴーが学童保育を担当していて、学童保育は学校に併設されていて、午後2時から5時まで子どもの発達と余暇の時間を担当している。しかし、その役割は教師と一緒になって子どもの授業を見るともに、午後は自主性を見守りながら、発達に貢献すると責任を持っている。従って、学童の設備もパソコン室、木工室、スタジオとエレキギター、フリークライミング、ビリヤードまである。日本の子どもたちが見たら飛び上がるに違いない。きっと、この自由な時間の中から自分を発見するに違いない。
 
 
 
 
 
 
 

これ全部学童の部屋です。学童は自分で好きなことをやり、将来の自分探しにもつながる。

学童の目標についてこの学校は次のように掲載しています。
 「私たちの一般的な目標は、SFO(学童保育)が子供の運動と社会的技術を発達するのに役立つということです。友だち関係が確立され、強化される場所です。子供が自分の社会的ネットワークを形成できるということは、学校生活を特に学童保育を通してを行われます。」人間関係や社会へ出るための技術を身に着けるためには欠かせない所と位置付けているようです。だから、こんなにも整えているようです。

みんな感嘆して、文字通り目を真ん丸にしていました。