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国会での質疑や政府案から見えてきた共謀罪の姿 「共謀罪法案の廃案を求める4.6大集会」から(K)

2017-04-14 | 共謀罪
治安問題に関する法律は必ず変質する そして、共謀罪は立憲主義をゆがめる
日本ペンクラブ 吉岡忍

 2つのことを言いたいと思います。治安問題に関わる法律は何年か経つと必ず変質すると言うことです。今政府は今回の共謀罪は内心の自由にも触れないし、一般の人には関わりがないと言うことを説明しています。過去のことを振り返ると今から100年前明治42年に公布された新聞紙法はどうだったでしょうか。時の政府は新聞・雑誌の発行条件を整えて整然とした発行体制を作るためだと説明しました。条文にあった「安寧秩序を乱し、風俗を乱す」、これを理由に内務大臣は政府批判、軍部批判の新聞や雑誌を発行禁止に追い込んできました。そして新聞雑誌の発行者、編集者、記者、筆者たちを逮捕してきました。結局この法律は敗戦の時まで続き36年間続き、戦前、戦中の言論を統制する役割をになった。
 治安維持法はこの法律はもともと朝鮮の政治犯罪を取り締まる、ここに源流がありました。日本には関係ないと説明されていました。ところが今から90年前、大正と昭和の2度にわたって改訂された結果、すべての社会活動を禁止する法律に変わっていました。そして違反者を死刑にするなど戦争が終わるまで猛威をふるう法律に化けていました。
 戦後はどうでしょうか。民主主義国家になった、そういう事はありえないと思っていないでしょうか。しかし国旗国歌法はどうでしょうか。平成11年に制定された国旗の掲揚や君が代の斉唱を強制するものでは無い、と当時の政府が説明していました。しかし、それから10年もたたないうちに学校では君が代斉唱、国旗掲揚が義務化され、そして今や先生や生徒は口パクでないか点検され、違反した教師たちは次々と職場を追われていきます。
 道徳教育と言うのはどうでしょうか。もともとこれは教育勅語に基づいて天皇制の教育を行う修身として戦前、戦中に行われてきたものを原型としています。昭和33年、あまりにも子どもたちがやんちゃだと言うので道徳と言う時間が作れました。公衆道徳を身につけると言うだけの話でした。今年、文科省は算数や国語の授業と同じように格上げし、ちゃんと日本人になっているかと言う点数までつけるものになりました。
 政府や権力者はこういう法律は一般市民を縛るものでは無いということを、そして、必ず社会の秩序ある発展と市民の安全、安心を図るものだと説明をします。けれどいつも、これらの法律をねじ曲げ、拡大解釈して市民の内心の自由、言論の自由に介入して、彼らが邪魔だと思う言論、思想を排除してきます。
 第2点、共謀罪は立憲主義をより歪めていくものだと言うことです。立憲主義は人権を保障し、三権分立を保障する憲法に基づいて、政府と国会、司法は律しられなければならないという民主主義の大原則です。あらゆる法律はこの原則に基づいて制定されています。しかし今度の共謀罪は、もう一つの全体を律するものを持ち込み、法律全体を運用しようとしています。これは憲法の原則を骨抜きにし、市民を監視し、内心の自由や言論の自由を踏みにじるものだと言わざるをえません。
内心の自由、表現の自由に関する法律はいつでも拡大解釈され、変質し悪用されます。それは歴史が証明し、今の政府の動きが証明しています。



明治以来テロで殺害された人のほとんどが戦争に反対した人々、共謀罪は再びあの暗黒のテロ国家に
「安全保障関連法案に反対する学者の会」佐藤学さん

 4月1日、朝 新聞を見ておったまげました。閣議決定で教育勅語が容認される、学習指導要領に銃剣道。銃剣道と言うのは自衛隊がやっている訓練だけです。とんでもない時代を迎えています。教育勅語容認の言葉の中に憲法、教育基本法に反しない限り認める、という言葉が入っている。教育勅語は1948年に各院で排除と失効が決まっている。なぜ排除と執行が決まったのか。これは憲法と教育基本法とは全く相入れないと言うことで決まったわけです。この国会決議を閣議決定1つで覆してしまう、こんな首相は要りません。
 共謀罪、びっくりしました。テロ対策とんでもない。戦前の歴史を思い起こしてください。日本は世界有数のテロ国家でした。特に1930年代以降、特高警察を媒介にして何人の政治家が、何人の市民が、何人の知識人がテロの被害にあったでしょうか。この根幹をなすのは何でしょうか。治安維持法です。治安維持法がなければあんなテロ国家にはならなかったんです。私、今回、明治以来テロで殺害された人を調べてみました。ほとんどが戦争に反対した人々です。共謀罪がもし施行されたら日本は再びあの暗黒のテロ国家になってしまうのではないでしょうか。
 さらに今国会に議員立法として提案されている家庭教育支援法。国家のための人材育成になっているか、それを家庭でチェックすると言うのです。同じような通達が1930年に出ています。文部省から出されました。これは1942年に戦時家庭教育要項。これが出されたことによって隣組ができてしまった。みんなが監視役になって総動員で戦争に動員される体制、これを作り上げていくのが家庭教育支援法です。ここまで3点セット揃ったこの状態を一刻も早く抜け出しましょう。

今、起こっているのは「かこつけ」の政治
立憲デモクラシーの山口二郎さん

 今、起こっているのは「かこつけ」の政治です。安倍首相は南スーダンの平和にかこつけて自衛隊を出しました。安倍首相にとっては自衛隊を外に出し、武器を使う、それ自体が目的です。
 同じかこつけのポーズがそのまま共謀罪にも当てはまります。テロにかこつけて共謀罪。
 本来政策と言うのはみんなのため、きちんとした目的があってそれを実現するための手段であるはずです。しかし今、安倍政権が目指している政策は共謀罪にしてもことごとく政治家や官僚のやりたかったテーマを実現する。むしろ国民の生命や自由を抑圧するような、権力の肥大化を招くようなものばかりです。
 もう一つ私が感じるのは感情の堕落です。森友学園の問題の財務省のふざけた役人の態度、今や官僚は憲法で規定している全体の奉仕者、国民への公僕ではなくて、自民党政権の召使いに成り下がってしまった。このような役人たち、警察官僚や法務官僚が共謀罪と言う武器を手にしたら一体何が起こるのか、自民党に逆らうまっとうな神経まっとうな良識を持った市民をことごとく弾圧しにかかることはもう火を見るよりも明らかではないでしょうか。既にそのことは沖縄でもう起こっています。

テロの内容が書かれていない、準備行為の限定がない、殺人予備罪など現行法で取り締まれる
京都大学教授 高山佳奈子さん

 全く立法事実はない共謀罪法案をなぜ先に強行しようとするのか全く理解ができないのです。
 法案はテロ等準備罪と呼ばれていながら、テロ対策のための情報が条文には全く入っていないんです。脱税共謀罪と同じなんです。テロの内容が書かれていないんです。うその情報で国民をだまそうとする。これは民主主義に対する重大な攻撃だと思います。
 共謀罪の構成要件を限定したと言われていますが、処罰範囲が明確にされていない。組織的犯罪集団というのは既定の認定をしておりません。ある時点から捜査機関がそうだと言えばそうなってしまうわけです。「テロリズム集団」と言うのを無理矢理挿入したんだけれども、その後に「その他」って書いてあるので、どんな集団も該当してしまいます。
 準備行為が必要だと言われているけれども従来、予備罪や危険犯の処罰の時に必要とされていた実質的な危険が要件になっていないので、カレーを作る、お金をおろすといったような行為も含まれる、これも法案に、その他という言葉がありますので限定がない、と言うことになる。
 3月31日、自民党の法務調査会は党所属の国会議員宛に国民のための説明資料と言うのが出たんです。この中に嘘がいっぱい書いてあるんです。国連条約、これは2004年に出された立法概要の中で、もともと協約に処罰の規定のない国は導入する義務はなくて、それに匹敵するような対応すれば足りる、ということが明文に書いてあるんです。ブルガリアとノルウェー以外に共謀罪立法した国は知られていない。
 また自民党の文章の中には、現行法ではテロ組織は水道水に毒を混入することを計画し、実際に毒物を準備した場合にあってもこの時点で処罰することがありません、となっているんですが、こんなの殺人予備罪も成立するし、毒物劇物取締法違反でも処罰することができます。このようなあからさまな嘘を使って国民を騙そうとする。許すことができません。


リアルタイムの生の情報で、それぞれが根拠のしっかりした貴重な発言でした。このことを多くの人に知ってもらいたいです。

国会での質疑や政府案から見えてきた共謀罪の姿 「共謀罪法案の廃案を求める4.6大集会」から

2017-04-12 | 共謀罪
国会での質疑や政府案から見えてきた共謀罪の姿
4月6日「共謀罪法案の廃案を求める4.6大集会」に参加して

4月6日に共謀罪法案が、安倍政権から国会に提出されました。その日の午後6時半から日比谷野外音楽堂で共謀罪に反対する総がかり行動実行委員会の抗議集会が開かれ、3700名が参加しました。そこに参加した政党や団体からの発言は共謀罪の問題点がよくわかるものでした。紹介します。

共謀罪は関係のない人も一網打尽 わかりやすい言葉で世論を高めよう
民進党 有田芳生議員

 NHKやフジテレビがテロ等準備罪と盛んに言っていますが、与党からの指摘もあって「テロリズム集団」と言う言葉が入りましたが、テロと言う定義はこの法律には入っていない。
 安倍首相は共謀罪の例えとしてオウム真理教の例を引き合いに出した。地下鉄サリン事件があった時オウム真理教の信者は在家信者も含めて国内に10,000人、ロシアには50,000人の信者がいる。全く事件に関係のないこのような人たちまで一網打尽に全部捕まえると言うのがこの共謀罪の本質です。
 近頃、実行準備行為等とこれまでの共謀罪とは違うと言い始めました。しかし国会の質問の中でカレーの中に毒物を入れる計画をしたときにカレーを作る事は実行準備行為なのかと質問したことに対し、金田法務大臣は答えられない。他の野党議員も質問したけれども40項目の質問に答えられない。
 1950年代に警職法(警察官職務執行法)反対のたたかいがあった。その時週刊誌が、「デートもできない警職法」と言う特集を組んだ。それがスローガンとなって全国各地に広がっていった。今度の共謀罪は「LINEもできない共謀罪」「カレーも作れない共謀罪」、野党も一緒になって全国に広めていきましょう。国会の会期末は6月18日まで、今日から数えて土日を除けば50日の戦いです。世論を高めてがんばりましょう。

国際条約はマフィア対策。オリンピックのテロ対策、警察白書では「世界との連携」
日本共産党 田村智子議員

 政府の説明ではオリンピックを開くためには国際条約が必要と説明してきましたが、この条約はマフィアを規制するもので、そもそも政府はこの条約を提案するときテロは条約の対象とはすべきではないと説明してきました。オリンピックの開催を決める時ドーピングは議題になったけれどもテロは議題にはならなかった。  2013年から政府はオリンピックに向けて、世界一安全なプロジェクトと言うのを積み重ねてきた。その作業工程表を見てもテロ対策のために新たな法律が必要と言う言葉は一切も出てきませんでした。
 平成28年度版警察白書、その特集はテロ対策。ここで挙げられているのは水際作戦のために世界の国々ともっと連携をとっていくと言うことと、他国の言語や文化や宗教をもっと理解した人の養成が必要だということが挙げられているだけで共謀罪と言うのは一切出ていません。
 テロ対策と言うのならばあの中東地域でこれだけ不安を引き起こしたイラク戦争そして入国禁止令まで出したアメリカの特定の宗教や国を敵対視する、このことを辞めさせて世界と強調してテロをなくすための運動をやることです。
 テロ対策を口実にして国民の思想に踏み込む、国民の集会の自由に踏み込むこんな危険な法案を絶対に許すことができない。国会周辺を歩いているのが花見なのか組織犯罪のための下見なのかそんなことがどうしてわかるのでしょうか。国民総監視で盗聴や尾行を繰り返し、そうやって組織犯罪を作り上げていくことがこの法律の目的ではないでしょうか。

277の治安維持法が出来るようなもの 犯罪の前の段階で処罰、捜査手法が一変する
社民党 福島瑞穂議員

 テロ等の「等」について質問書を出しました。するとその答えはテロ以外の全ての犯罪と言うことでした。 犯罪は既遂でなくては処罰されません。未遂、予備は例外です。刑法の予備罪は7つしかありません。全く手前の段階で何も公益侵害が起きていない、その段階から一網打尽に処罰しようとしています。277の治安維持法が出来るようなものだと思います。
 LINEも一斉メールも共謀罪が成立します。どうやってLINEやメールの共謀と認定するのでしょうか。金田法務大臣はメールやLINEも共謀の対象であり将来、盗聴法の対象も検討し得る、と言った。共謀罪ができたら捜査も一変します。
 共謀している集団があるんじゃないか、何かやってるんじゃないか。捜査手法が全く変わってしまいます。社会を変える共謀罪なんです。

相談の内容を日常的にチェック 公安調査庁は生協などもマークしてきた
自由党 山本太郎議員

 なぜ今共謀罪が審議入りしたか。理由は2つあります。1つは共謀罪を早く成立させたい。もう一つは森友問題、加計問題。これを封殺するためにそれよりももっと大きな問題を出す、それが共謀罪なんじゃないですか。彼らこそ共謀の中心にいる人間じゃないですか。ありえないです。共謀罪があっても、森友、加計問題は追求しようではありませんか。
 共謀罪と言うのは相談しただけでアウトだ。どんな相談をしていたのかチェックしなければならない、どんな準備をしていたのかチェックしなければ証明できない。日常的にチェックし続けなければいけない。という事は全員が犯罪者扱いです。この国にいる人を監視し続ける、そのためには盗聴するしかない。尾行するしかない。
 政府は一般の方々には関係のないことですと言っている。では一般の方はだとはどういう人たちのことなのか。1996年頃、公安調査庁の内部資料が流出した。公安調査庁というのは、外務省の外局で暴力的破壊行為を行うものをチェックし続けている。流出した内部資料を見てみると公安調査庁がマークし続けたのは、日本ペンクラブ、生活協同組合、原水協、アムネスティーインターナショナル、全国郊外患者の会。暴力的な企業活動によって傷ついた人々が声を上げるそんな団体がマークされる、そういうことが続いていた。政府が考える普通じゃない人たちとは、当たり前の声を当たり前のようにあげる人たちです。人々の生活を良くしようと言う人たちをマークし続けている。そういう人は全員アウトです。
 そうならないためにはどうするか。大きな声で、みんなにわかる言葉で。小学生にもわかる言葉でどんどん騒ぐことです。

共謀罪は国民運動を潰そうとするもの 73年前の沖縄を戦場にしたことが行われるのでは
沖縄の風 伊波議員

 共謀罪は戦争のできる国になるための法案だと思う。国の言うことを聞かないやつは捕まえてしまい、黙らせてしまえと言うことだ。軽微な犯罪で何度にもわたって逮捕され、山城博治さんは5ヶ月も拘留された。戦争ができる国になるためにはGDP 1%じゃダメなんです。2%必要なんです。だから今アメリカはNATOに2%出せと言っているんです。いずれは日本にも自己責任で2%出せと言ってくるでしょう。あと5~6兆円は防衛費に入れなくてはならない。その他には教育も福祉もあちこちカットしなければいけない。そういったことに反対する国民を黙らせる仕組みが必要だ。
 沖縄でも宮古島石垣島など南西諸島にはそのための自衛隊基地が着々と進められようとしています。
日本は戦争できる国に近づこうとしている。中国との戦争に日本をアメリカの盾にしていく。そう言う考え方なんです。そういったことに反対をしていく国民の運動をつぶしていく。そういうことにこの共謀罪があるんだろうと思っている。そういうふうに沖縄からは見えます。
 沖縄で自衛隊の基地作りが進んでいけば行くほど、かつて73年前の沖縄を戦場にしたことが行われるんじゃないかという懸念を持って、毎日100名、200名、多い時は400名、沖縄の人たちが辺野古に早朝から座り込みをしているわけです。

次回は市民運動の方の発言です。