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大飯原発3号機、4号機の再稼働は必要だったか 最近の猛暑を踏まえて(K)

2012-07-29 | 再生可能エネルギー社会
 関電の八木社長は大飯原発4号機の再稼働を受けて、関電は10%の節電を続けるものの、中国、四国、中部などは節電解除とした。各地の企業が、照明の個別化や、パソコン電源に蓄電池で夜間電力利用など無理のない工夫で、30%以上の節電を実現しているときに、水を差す方向だ。
 しかも、高浜原発も再稼働しようとしている。理由は電力不足ではなく、電力の安全保障という。ベストミックスや20%以上の原発が必要、という経済界の提案を先取りした形だ。そんなことで、大飯原発の再稼働をするなんて誰も聞いてはいなかった。

これまでも原発なしでも大丈夫だった
 関電管内の電力消費量と供給力との関係を見てみた。

*最低限必要とされている予備電力は3%と言われている
*供給力が少ない時は主に火力を減少
関西電力の過去の実績データより

 26日、27日は全国的に猛暑だったが、いずれも原発なしでも大丈夫の数字。供給力も、5月の政府の需給検証委員会では原発なしの時は2542万kwと言っていたが、7月26日には2792万kwを供給可能としている。これからも、よく見ておくといいと思う。

 しかし、原発を再稼働させたとたん、節電を緩め、他の電力会社には節電を解除するのは、許せない。どんどん使わせて、やっぱり原発を動かさないと需要に追い付かなかったという状況を作ろうとしているのではないか。

 節電は温暖化防止、生態系保全の意味でも必要なこと。省エネを緩めることなんて環境の視点からは考えられない選択肢。環境を考えない人に温暖化防止=環境のために原発が必要なんて言う資格はない。引き続き、節電の実行と運動をして、原発が現時点でも本当に必要ないことを証明したい。将来はもちろん再生可能エネルギーの拡大で脱原発の社会にすべきだが。

脱原発そして再生可能エネルギー社会へ 電力は独占ではない(K)

2012-07-26 | 再生可能エネルギー社会
 自治体学校2日目は、「脱原発、再生可能エネルギー社会へ」分科会に出た。再生可能エネルギー社会への具体像は?そのためのより多くの情報を期待して参加した。新しく気づいたところだけを掲載する。

掛川市・・・金融機機関の支援が特徴的
 創エネ、省エネ、節電部門で日本一になろう
 ごみを出すのが一番少ないことから、環境先進自治体にが出発点
 企業、NPOなど掛川ストップ温暖化パートナー協定で推進。
 金融機関が支援 低利の信用。掛川信用金庫。

太陽光発電
 「中部環境先進5市サミット」で太陽光、風力発電、まちの中でも省エネを推進したこと。
 太陽光発電:5年後を個人住宅目途に2割の設置を目標(21年度、6.6% 5800戸)
 「中部環境先進5市共同宣言」でさらに太陽光発電の普及でエネルギーの分散化、再生可能エネルギー普及を推進
 「太陽と風 市民企業の力プロジェクト」 企業は三菱電機。市内設置業者に国内のものを使って設置
掛川モデル
 3.98KW 130万円 34万円でできる。補助金出ると103万円でできる。余剰電力の売却で8年で回収。屋根が広いなどモデルの条件が厳しいので、モデルの見直し。

風力発電
 遠州掛川風力発電所(遠州灘の海岸線)1基あたり500万kwh(1200)現在8基9600世帯分。
 現在、NPOが市民発電で2000kwhを作ろうと進めている。市が協力。市内で制作から運転管理まで回るようにしたい。

飯田市・・・ラウンドアバウトそして、太陽光発電30%の目標への接近、環境がまちおこしに

飯田市は、環境がすべての行政より優先とすることを決めた。それは、あらゆる分野にも及ぶ。
その例として、信号がない5差路に「ラウンドアバウト」(写真)を導入した。

車は左折進行のみで目的の方向に行ける。信号待ちがない、信号ないので災害時にも使える。パリの凱旋門のロータリーと同じだ。

企業ISO14001研究会
 97年6社発足から、現在31社7000人と拡大

2005年平成のまほろば
 太陽光発電の市民出資。家庭用太陽光設置率30%にしよう。
 メガソーラーいいだ:飯田市と中部電力(株)が共同で建設、運転を開始。18,000m2の市有地に設置された太陽光パネルは4,704枚。出力は1メガワットで、想定年間発電量は一般家庭300世帯分の使用電力に相当。
 様々なメニューで10%を超えたところ。出資金の配当金は2%。出資金なので元本保証ではないが、できるだけ安定的に運用している。詳しくは飯田市のHPを。

環境優先が起業に
 地元からの街灯の要求に、LEDを導入した。電気代が削減できることと、球切の回数が少なくなり経費節減になることで、導入しようとした。ところが、LED用の街灯は非常に高価だった。そこで、行政は考えた。市内の業者にLED用の街灯ができないかを相談した。それに応え、業者は安価なものを開発した。現在、市外からも注文があるほどだという。
 同様に、小水力発電機をモーターを使って開発したが、現在、効率のいい発電の実用化に向け検証中という。

助言者の問題提起・・・電力は独占という呪縛からの解放、エネルギーは地域分散型で、身近なモノの見直しで省エネ
1. 脱原発のための最大の問題「原発立地地域での雇用、原発補助金に頼らない地域経済の自立問題」に向かい合う必要性
2. 原発に頼らない、再生可能エネルギー型日本経済の構築
3. 省エネ社会への産業
にあったと思う。

1について
 一次産業→二次産業→三次産業への産業構造への発展への疑問⇒工業化のために農村を利用し尽くす(農業人口の労働者への追い出し、農地の工業地化、廃棄物処理場・原発などの押し付けなど)⇒生活が成り立たない農林業収入。水源・生態系保存地域としての山間地・農地の崩壊。こうしたことに都市部が農林業の再生に当面ファンドで支援すべき、との提案であった。そして、農林業の収入や山里の保全=生態系の保全で、その対価を支払う社会とすべき=都市と農村の共生を目指す、というものであったと思う。いわゆる農山村へのフェアトレードだ。

2、3について・・・産業の方向について
2について
 いつの間にか、国民自身が電力は電力会社が作り、価格を決めるものと、その独占体制に洗脳されていた。電力は自分でも作ることができる。デンマークでは自分たちで風力で発電している。電力は他の商品と同じで、作れるし、売買もできるものであったはず。
 また、大企業によるメガソーラーではやはり、農山村は自立できないままになる。地域の資源は地域に戻してこそ、農林業とエネルギー産業によって、農林業の正当な価格保証とともに、自立できる道が開ける。
3について
 「アルミサッシ」と「トリプルガラス」で、大量電気消費で熱伝導率のいいアルミを外気との接点で使うもので、「ムダ」の極み。大量のエネルギーを使うことしか考えない「ノー天気性」と特徴づけた。「トリプルガラス」の方がずっと、気密性が高い。
 また、スイスの自治体では年間の電力消費量を何年後までに1/3にすることを決めて、そこに向けて新たな仕組みや技術を開発しているという。
 脱原発と温暖化など環境問題の解決のために新たな産業構築が進められている。

視点の整理、新たな具体的進展 再生可能エネルギー社会への歩みが力強く進められている

生活保護率 諸外国に比べて低いというのが実態 自治体学校から(K)

2012-07-26 | 税と社会保障の一体改革
 第54回自治体学校が、7月21日から23日にかけて、浜松市で開かれた。3回に分けて報告したい。

生活保護の報告(第一日目のパネル討論会から)

 マスコミも動員された、生活保護バッシングの中で、生活保護費が削られようとしている。相次ぐ報道に、テレビの街頭インタビューで「2~3割くらい」と答えた人が多いという。報道されているような不正受給は一体どれくらいあるのか、生活保護の職場から実態が訴えられた。

実態は
 大田区役所生活保護面接員の渡辺氏は次のように語った。
 「2010年度の統計によると、「不正」受給額の合計は総額の0.38%。この中には高校生のアルバイトは申告しなくていいとの誤解からのものも多い。悪いことと知っていてやっている人はごく少数。根拠のない生活保護バッシングを口実とした生活保護切り捨ては、全国で問題となっている餓死・孤立死・自殺・心中事件を広げる恐れがある。」
と警鐘を鳴らした。
 そして、生活保護を受ける人が多過ぎるというような印象を与えるマスコミ報道が多いが、日本の生活保護受給額・率は先進諸国の中でも異常に低い、と数字をあげて言った。

メモが間に合わなかったので、私は具体的に調べてみた。以下のような数字だった。

公的扶助支出額のGDP比は、日本0.3%、イギリス4.1%、フランス2.0%、ドイツ2.0%、イタリア3.3%、アメリカ3.7%、カナダ2.5%。(表1参照)

しかも、年々下がっているのは日本だけ。(表2参照)

また、公的扶助を受けている人数の人口比(1992年)は、日本0.7%(今は205万人なので1.6%になっている。)、イギリス15.9%、フランス2.3%、ドイツ5.2%、イタリア4.6%、アメリカ10.0%、カナダ15.0%。

以上、「公的扶助制度の国際比較―OECD 24カ国のなかの日本の位置―」(海外社会保障研究1999年 埋橋 孝文)
 この数字は各国の定義が異なるので差があり、調査時点も古いが、これ以降の調査の数字は見当たらない。それにしてもあまりにも少ない日本の扶助額だ。これを見る限り、生活保護費が財政を圧迫するとは言えない。

渡辺氏は
 生活保護率は年々増えている原因について、
• 終身雇用制度の崩壊=非正規の拡大による、失業者の拡大。
• 低水準の年金制度
が最大の問題と指摘していた。

大田区の実例も紹介された
 「非正規で簡単に首を切られて雇用保険を受けられず、仕事も見つけられなくてうつ病になってしまう人が非常に多い。相談に来る人には新しい業種も。具体的にはマスコミ関係、番組スタッフ、週刊誌の専属カメラマン、音楽家としてバンドまで持っていた人。
 マスコミでは安易に来る人が強調されているが、生活保護でない方法はあるか、と最初に聞いてくる。しかし、実際に話を聞くと公共料金が数十万円、家賃も3か月6か月たまっていて、引っ越し費用もない、ホームレスになるのではという危機感から相談に来ている。貸し付けも返済能力がないと社会福祉協議会も貸さない。
 本人は生活保護になりたくない、と言うが、所持金がなくては生活もできないでしょうと説得して申請してもらうのが実態だ。」

札幌市白石区の姉妹「病死・餓死」事件はどのように起こったか
 白石区の事件についても触れた。
 「今年1月、白石区のアパートの一室で40代姉妹の遺体が発見された。42歳の姉は昨年末に病死、知的障害のある40歳の妹は姉の死後に凍死したと見られる。アパートは若い人の居住者が多いと思われるモダンな建物。そのアパートのすぐそばには病院があった。失業中の姉は3回も白石区の福祉事務所に相談に行っては追い返され、最後の相談の半年後に遺体で発見された。本当の絆が地域・行政にあればと思う」と。
 最後に自分で作詞作曲した、「傷名」(きずな)を歌って、必死に生きてきた2人がなぜ死ななければならなかったのか、会場の参加者に問いかけた。

たかが電気のために、なんで命を危険にさらさなければいけないのか 7.16集会より(K)

2012-07-20 | 震災と原発
 集会への参加は、政府や電力業界への抗議と意思表示でもあるし、これからの国民の運動の決起の場でもあり、一大勢力の結成の場でもある。広瀬隆氏は「10万人集まったということは最大の経済勢力になった」と言った。
 同時に、事故究明も終わっていない、大飯原発下の活断層の存在も明らかになり地震の想定も違っていた、原発を再稼働したとたんに火力発電所を停止した、などで原発再稼働の根拠が崩れても、住民の反対の声を押し切って再稼働を強行するという理不尽な政府の行動を、どう止めさせるのか、私をはじめ、この答えも期待して集会に参加した人も多いと思う。

理不尽な原発再稼働 
 呼びかけ人の視点は、あらたな確信をもたらしてくれた。
「たかが電気のために、なんで命を危険にさらさなければいけないのか。・・・お金より命。経済より生命。子どもを守りましょう。日本の国土を守りましょう。」(坂本龍一)(以下、敬称略)
「関西電力の電力不足は全部ウソ。日本は自動車を大量に生産しています。自動車はエンジンで走る。去年と今年の1年半で日本ではエンジン発電機を原発10基分生産された。これをすべての企業が買った。これを、電力不足になる日中の2~3時間動かせば電力不足は起こらないことはわかっている。
動かす理由は、若狭湾の11基を廃炉にすると関西電力の純資産のうち半分がなくなることをわかっているから。つまり、彼らは経営破たんを避けようとするために、強行してフル稼働をしている。」(広瀬隆)

これからの運動
「”Keeping silent after HUKUSHIMA is barbaric”(福島の後に沈黙していることは野蛮だ)というのが私の信条。」(坂本龍一)
「福島の悲劇に学ぼうとしない政治家を2度と再び国会に送ってはなりません。それこそが私たちの子供や孫、未来への最低限の責任だと思います。そのことを深く胸に刻んで、高い志を持って掲げつづけたい。」(内橋克人)
「原発を廃炉にするために値上げする、国民と関電が直接交渉をする、そういう提案をしたい。」(広瀬隆)

再稼働をやめるまで反対し続ける 官邸前にも行く
 大江健三郎は言った。(再稼働に屈服して)侮辱の中で生きていくほかないのか、(強行されたまま)次の原発事故で死んでいくほかないのか。(どちらも)あってはならない。これを打ち倒さなければならない。原発の恐怖と侮辱の外に出て、自由に生きていくことができるだろう」それは可能だ、と。

中央ステージ



パレードはまるでお祭りだ 
原発反対、子どもを守る、の心を一つにして


広がれ!安全な未来を、の仲間たち



歩道橋からもエール

東電 刈羽原発再稼働を要請 住民の命よりも自社と金融機関の利益を優先(K)

2012-07-15 | 震災と原発
 東京電力の下河辺和彦会長と広瀬直己社長は13日、就任あいさつとして、泉田裕彦知事、柏崎市の会田洋市長と刈羽村の品田宏夫村長をそれぞれ訪れた。

 東京電力の下河辺和彦会長と広瀬直己社長は13日、泉田裕彦知事と県庁で会談した。席上、泉田知事は柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働問題について「(東電福島第1原発の)事故原因の究明が何より先で、それより先に再稼働の議論が出てくるのはあり得ない」と述べ、徹底した事故原因の究明が必要だとの認識を示した。(時事ドットコム7月13日)
 また、柏崎市の会田市長は「福島第1原発事故の一日も早い収束と、避難者の生活再建への対応、事故原因の究明やリスク管理の充実強化などを行い、信頼回復に努力してほしい」と注文をつけた。
 一方、刈羽村の品田村長は「(村の)パートナーとして難局を乗り切ってほしいとの思いでいっぱいだ。応援したい」とエールを送った。(毎日新聞7月14日地方版)

なぜ、東電は刈羽原発を再稼働しようとしているのか。

 東京電力の下河辺和彦会長と広瀬直己社長は27日の株主総会後の取締役会で就任し、今後10年間の収支見通しを含む再建策を示した「総合特別事業計画」は、柏崎刈羽原発を2013年4月から順次再稼働させることが前提になっている。下河辺会長は「再稼働のタイミングが大きく先延ばしになる場合は、悪い方向でのインパクトがあるのは客観的事実。事故発生直後に無担保で緊急融資してくれた金融機関の基本的な理解を頂ける内容でなければ、総合特別事業計画は計画たり得ない」と指摘。再稼働が「進まないと大変厳しい状況になる」と述べた。さらに同会長は、「経営の立場になった場合、5─10年後の時間軸で原発に頼らないで安定供給を果たすことは考えにくい」と、否定的な姿勢を示した。(6月28日のロイターニュース)

 「悪い方向」とは緊急融資してくれた金融機関が協力してくれなくなること、そのために、再稼働が必要ということだ。住民や子供たちの命よりも金融機関と東電の利益を優先するという東電のこれまでの方針を続けることを、明らかに示している。