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原発再稼働と投票 新潟県知事選を参院選と比較する。

2016-10-20 | 震災と原発
 新潟県知事選は原発再稼動反対、TPP反対の知事が誕生しました。参院選では自民党は1人区で前回よりも9議席減らし、前回の参院選よりも10名近く減らしました。しかし、安倍首相はその後も川内原発に続く伊方原発の再稼動やTPP推進、社会保障の切捨てを進めています。今回の選挙は、原発立地県であり、農漁業の生産県でもあり、原発再稼動とTPP推進は県民生活の直結する選挙でした。県民はこの課題に「ノー」を審判しました。
 今年7月の参院選は戦争法が争点でした。今回は原発、TPPです。新潟県民の審判はどう違うのか。特に、電源立地交付金などにどう審判を下したのでしょうか。参院選との比較で考えます。

全般的比較
 まず、与党と野党の得票を参院選と比較します。参院選では野党が2000票の僅差で勝利しましたが、今回の知事選では62,000票の大差となりました。
 参院選に比べて投票総数は13万票ほど減っています。3か月の間に関心が薄れたということはないと思いますが、原発は雇用か命かの二者択一ととらえられていることもあり、審判しにくいという人もいて棄権が増えたのかもしれません。それは、野党は約32000票減、自公は93000票減という形で表れました。野党の32000票減は、民進党を支援する連合の中には原発推進の労働組合もあり、一方で自公には原発やTPPが争点となって、戦争法とは違った投票行動あるいは棄権に出たのかもしれません。

都市規模別比較
 投票行動の変化はどう表れたでしょうか。都市規模別、地域別に見てみます。
 自公は政令市、その他の市での落ち込みが目立ちます。一方、野党は政令市での減少は小さく、その他の市でも減少幅は自公よりも小さい。町村でも自公は減少しています。有権者数の違いもありますが、都市での変化が大きく影響しました。

政令市の新潟市内の変化
 得票率では、市全域で野党が大きく伸ばしています。参院選は平均で野党が下回っていましたが、今回は自公が減らし、野党が増えたのがはっきりとしています。


電源立地交付金は自公に有利だったか
 原発で恩恵を受けているのは立地自治体と周辺自治体です。資源エネルギー庁が発表した、県内主な自治体ごとの平成26年度電源立地地域対策交付金を活用した事業費は、柏崎市21億8246万円、刈羽村10億4422万円、上越市5億7358万円、長岡市1億4437万円、出雲崎町7030万円、阿賀町5799万円、湯沢町5707万円、魚沼市4602万円などです。さらに、原子力発電施設周辺地域の住民および企業に対し、原子力発電施設などの運転終了まで、給付金の交付が行われています。
 これが投票にどういう影響を及ぼしているのか。投票結果を見てみます。左からほぼ交付金の多い順です。

 交付金が最も多い柏崎市、刈羽村は自公が今回伸びました。長岡市も前市長が立候補したこともあり、自公が伸びています。阿賀町も伸びています。出雲崎町、阿賀町、糸魚川市、聖籠町、妙高市、佐渡市は若干の伸びにとどまっています。
 自公が伸びなかったか、多少減少したが自公が優勢の自治体は、津南町、村上市、胎内市です。このうち津南町の減少は目立ちます。
 与野党が逆転したところは湯沢町、魚沼市、十日町市、南魚沼市、三条市です。それぞれ野党の伸びが大きく、勢いがあります。
 引き続き野党優勢のところは上越市、新発田市、五泉市です。

 ほとんどの自治体は交付金をもらっていますが、それでも今回は逆転したところも多くありました。
これを地図上で色分けしたのが次の図です。

得票数、8区域で野党は増、自公票は大きく減。自公は4区域で増、野党減
 得票数は、交付金が多い柏崎市、刈羽村は自公の票が参院選、知事選とも野党を超え、今回は原発再稼働が争点となったためか、得票数も伸びています。自公の候補者は前長岡市長だったことも要因となって7000票あまり増えています。交付金の効果が見える一方、周辺地域では影響が少ないことも見えます。
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野党への期待の流れ広がるか、これからが本番
 見てきたように、特に自公は都市部で大きく減らしたことが、安倍政治への不信が広がったことが今回の自公の敗因ではないでしょうか。しかし、全体として投票数は減っています。県民の期待はまだ道半ば。これからも野党が信頼を広げられるのか、これからが本番です。