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石破大臣の地方創生発言(K)

2014-12-11 | 地方創生
 埼玉自治体問題研究所では12月23日から3回にわたって、地方自治フォーラム「県民公開講座」を開催します。政府は「人口急減・超高齢化という我が国が直面する大きな課題に対し、各地域がそれぞれの特徴を活かした自律的で持続的な社会を創生」するとしています。そのイメージをとらえるために、この12月の総選挙の中で、消費税に関連して地方創生について演説した石破地方創生担当大臣の発言を紹介します。(文責 K)

 これから超高齢化社会を迎える。医療・介護費用は天から降ってこない、地からも出てこない。金持ちから取れ、所得法人税から取れというが、医療・年金・介護費用を先送りできない、次の子には選挙権がない。

 株を持っている人は10人に一人だからうちは関係ない、給料上がったと言っても大企業のみ。みんな値上がりの時代なのに、恩恵が国民に及んでいないので暮らしは大変だ。そこで、政府は消費税を1年半先送りして、地方、中小企業を応援して消費税を上げる環境を作りたい。

 地方・中小企業をどうするか。昭和40~50年代、地方が元気だった時代があった。公共事業、企業誘致の時代だった。いま、その頃の広大な企業用地が遊休地となり、失業が広がっている。企業は客が外国人だから近くで作った方がいいと海外に出て、円安でも企業は戻らない。国には1000兆円の借金がある上に、建設後50年経過し耐用年数に至った施設は更新しなければならないので、支援はできない。

 地方創生とは地方でなければできないことをやること。竹下総理のときのふるさと創生事業。1億円で地方が何をするかを任せるというのをやった。何をやるか、これで地方の力が分かる。
今回、地方創生を失敗すると日本がつぶれる。埼玉県でさえ人口が減っている。鳥取・岡山県境、島根・広島県境には人がいない、村が消えている。2040年、20~30才代の女の人が8~9割減る村がいっぱいできて市町村が激減する。いま介護関連企業に働く人も多いが、団塊の世代がいなくなる時代には働く場所もなくなる。東京一極集中でも東京の人口は減る。

 地方創生は日本復活。日本は土と光と水の温暖な国なのに、この国後で継者がいない。海に囲まれた漁業、木を切らない林業を関税でガードしているが、これで資源は大丈夫か。
観光も魅力なし。ワースト1が茨城、以下栃木、群馬、埼玉。売る気がなくっちゃダメ。目いっぱいアピールしなきゃダメ。宇都宮ではサルがおしぼりを持ってくる居酒屋がある。世界から観光客が来ている。今だけ、ここだけ、あなただけ、そういったものを持った街に人が集まる。島根県大田市に中村ブレイスという個人個人に合わせた義肢装具を作る会社がある。一人で興した会社で世界中から注文が殺到している。仕事が殺到し職員は土日も働いているが誇りを持っている。

 円高でも、円安でも工夫しないと日本がつぶれる。金さえ出せば何でもできたが、これからは食料もエネルギーも日本でつくるべきだ。
次の時代に何ができるか。地域のことは地域で考える。永田町、霞が関ではできない。5年間でわが町をどうするかを考える。平成28年3月までにわが町はこうなるという計画を作る。地方創生である。人・モノが出入りしてこうなる、というのを作る。子どもも女性も全員参加、それを国が応援する。知恵を出すのは市町村、それを国が応援する。地方創生とはそういうもの。日本は自分さえよければいいという時代ではダメだ。自助・共助・公助の時代だ。そして、自民党でなければ食料、エネルギー、社会保障解決できない。

 なんであの時野党になったか。それは自民党が国民にありがとうと言うのを忘れていたからだ。その反省に立って今度は国民の皆さんのやる気を支えていく。(2014年11月30日幸手市にて)

 アベノミクスの効果が個人や地方に表れていないことを認め、国民の感情に寄り添うポーズを見せて、効果が表れるという期待を持たせつつ、地方に経済の責任を転嫁しようとしている。そして、地方が失敗をすれば日本がつぶれるとまで責任の重さを強調する。しかも、その地方も自助、共助、公助であって、自分さえよければいいという時代ではダメと言いつつ全員参加で責任を負え、というもので、国はあくまでもサポート役で責任を逃れている。
地方が地域の実情の応じて裁量権を発揮できるとすれば望ましいが、石破大臣の言うように、地方がその独自性を活かすために、独自の制度は保障されるのか、財政的裏付けはされるのだろうか。地域主権と言われつつ従うべき基準とかを作って結局独自性を奪っている実態、財政面で地方交付税・臨時財政対策債が削られてきた経験から地方が本当に主役になれるのか、甘い言葉には警戒しなければならないと思う。