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風力発電を断っている政府と電力業界 葛巻視察から(K)

2012-05-17 | 震災と原発
 いま、マスコミと政府は大飯原発再稼働の大キャンペーン中である。
 政府や電力業界は再生可能エネルギーの体制ができていないとか、できない理由を挙げている。自然エネルギーのまちづくりで有名な、葛巻町を5月14日に視察した。詳細は別の機会にするとして、原発再稼働の世論操作が行われていることを改めて確信した。

 葛巻町の風力発電量は年間5,600万kwh、16,000世帯分だ。葛巻町は約2,900世帯しかない。葛巻町内で消費される全電力も3,412万kwhで、その160%を風力で発電していることになる。そして、2003年に12基が稼働し、全部で15基稼働になって以降も建設を申請しているが、認可が下りていない。「RPS法」で枠が決まっているという。

グリーンパワーくずまき風力発電所 上外川高原(2003.12稼働)

説明を聞く視察団



1750kwの風力発電。これが12基ある。
発電機までの高さは60m 羽の長さは33m
合わせて93mになる


 RPS法とは、2002年6月に公布された「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」(RPS法)のことで、電気事業者に 対して、一定量以上の新エネルギー等を利用して得られる電気の利用を義務付けることにより、新エネルギー等の利用を 推進していくものです(資源エネルギー庁)、と説明されている。この法律により、義務の量を1.6%とか4%とか国の法律で割り当てている。電力会社はこの義務量は受け入れていかなければならない。ところが現実には、すべての電力発電会社はこの義務量はクリアしているので、これ以上は法律上の義務はないとして、受け入れない根拠にしている。義務付けている量が上限になってしまっている、というのが現状だという。

 自然エネルギーは不安定電源といわれているが、現在、風力はデンマークの国内電力消費量の約10%を担うエネルギー源にまで成長し、2030年までにこれを50%まで高める計画が進められている。日本の風力発電容量は244万kwで、全発電容量の約1.2%である。発電量での比較となると、0.5%くらいになる。

 東北電力では、これまで年間10万kwhくらい風力発電を買いますとなっていた。募集がされていた。葛巻でやっている企業とかが手をあげて申請をしているが、応募の量が多くて、実際、導入する量の10倍以上の申し出がある。風力発電をしたいという量が多いが電力会社の受け入れない、という。


 なんと! 再生エネルギーの体制ができていないのではなく、風力についてはすぐにでも実用可能な技術と財力が十分にあるのだ。4月21日のこのブログでも紹介した環境省調査再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査報告書H22年度版でも日本の全発電能力の約10倍の実用可能なエネルギーが風力にはある。原発よりももっと風力に力を注ぐべきだ。(K)

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1 コメント

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RPS法からFIT法へ転換中 (大塚 博)
2012-05-22 21:37:58
再生可能エネルギー発電設備への新規投資を促し、再生可能エネルギー の利用を促進するため、2011年8月26日に成立した、「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(FIT法)」の施行(2012年7月1日)に向け、制度の主要論点について経済産業省は現在パブリックコメントを実施しています。
このFIT法律の施工に伴いRPS法は廃止され、電気事業者は、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスを用いて発電された電気を、一定期間「固定価格」で全量買い取る義務を負います。
再生エネの枠組みを政府が決めてきたRPS法制度からFIT法制度へ転換しますので、普及は進むと思われます。
私が聞いた範囲では日本の地震国である特殊事情として、風力発電施設のタワーの耐震強度の基準が厳しく、コストがかかることから採算が取れないということもあるとのことです。
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