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情報の公開をもっと早く 利根水系の水道水にホルムアルデヒド(K)

2012-05-20 | 防災対策
 5月18日から水道水にホルムアルデヒドが含まれたことがマスコミでも報道され、埼玉県内の利根川水系の住民は不安な日々を送った。具体的にどれくらい検出されたのか埼玉県のホームページを19日に何度も見たが何も出ていない。意見欄に投稿し、急いで公表するよう求めた。県内でも市町村に問い合わせの電話が殺到したようだ。
 ようやく20日になって測定値も含めて公開された。測定の最終時刻が20日1時となっていたので、それ以降の公開である。
 この間、18日夜から19日、スーパー、ホームセンターでは飲料水のペットボトルが飛ぶように売れた、と店員は言う。

 福島の原発事故以来、国民は公的機関が「安全」「健康に影響ない」と言っても信用しなくなった。自分で判断するしかないと考えるようになった。しかし、そのためには客観的なデータが必要である。そこで、マスコミが言わない数値を求めてHPを見る。しかし、それさえ出ていないのでは住民は不安になるだけである。
 千葉県は5月19日にホルムアルデヒドに関する第一報を公開し、測定値と断水の可能性もあることを県民に知らせた。以降、同日中に第7報まで公開した。

 埼玉県内の自治体は東日本大震災以後、地域防災計画の見直しを進めている。1年後でも見直しが終わったのは県だけという遅さだが、その中でも災害直後、情報をいかに早く住民に伝えるかを課題としている自治体が多い。必要な情報が必要な時に、必要な情報手段で発せられるように、早期に改善を求めたい。(K)

埼玉自治体問題研究所が県内自治体の地域防災計画の見直し状況調査結果を発表

2012-05-12 | 防災対策
2月15日から29日までに県内自治体の地域防災計画の見直し状況を各自治体にアンケート調査した。調査結果は表の通り。
(クリックすると図が拡大します)


 新聞にも掲載されました。(毎日新聞 2012年5月10日付)
(クリックすると図が拡大します)
この事実を多くの人に知ってもらいたいと思い、記者発表をしました。

研究所のコメント(要旨)

回答内容の特徴
(1)遅すぎる見直し作業
 日本が地震の活動期に入り、人口・巨大構造物・経済機能などが高度に集積する首都圏を襲う大地震がいつ起きてもおかしくないと予測されている下で県下自治体の見直し作業はあまりにも遅い。なぜ遅いのか?防災対策における自治が機能していないと言わざるを得ない。阪神大震災・東日本大震災の教訓などを学び、国・県待ちの姿勢をあらため自治体の地形・地質、人口集積、都市構造、産業構造などの地域特性や住民意識に沿った予防対策と応急対策の二つを柱とした“自治体防災計画”としての検討を急ぐべきである。

(2)新たな課題を検討
 東日本大震災・福島原発事故による被災状況から、帰宅困難者対策(帰宅抑制、一時滞在施設、企業・学校等分野別帰宅困難者対策、帰宅困難者の水・食料確保等)、放射能汚染対策(放射線量の測定体制、汚染物質の処理対策等)、備蓄対策(石油燃料、乳児・高齢者・女性に配慮した物資の備蓄等)、避難所運営対策(要援護者対策、プライバシー保護対策、ペット対策、運営マニュアル作成等)、災害対策本部対策(初動体制、職員配置体制等)、災害時の情報・通信体制などが共通して取り上げられている。いくつかの自治体でその自治体の地域特性に沿った対策も検討されている(松伏町の津波対策、戸田市の液状化対策、飯能市の木造仮設住宅の検討など)。しかし、災害予防対策(ハード・ソフト)、被災者補償対応対策、復旧・復興対策、実効性ある防災訓練等についての検討は皆無である。

見直しへの課題
(3)住民参加で計画見直しを
 地域防災計画見直しにあたって、住民参加がほとんど触れられていない。大地震の場合などは、行政防災体制が直ちに機能しない場合が多く、地域・住民の力が被害の大きさを左右することは東日本大震災でも明らかである。地域住民が東日本大震災を経験し、大きな関心を持っている今、住民参加の地域防災対策を検討すべきである。地域住民の参加のない防災計画は絵にかいたモチになる可能性が高い。

(4)広域的課題にも自治体から提案を
 停電対策(緊急時エネルギー供給対策)や広域ネットワーク体制(行政体制、医療、福祉等)等について自治体側から広域防災計画への要請や提言が求められていると考える。

 最後に、日常的な行政運営や地域づくりの水準(職員配置、消防体制、福祉・保健・医療体制、地域コミュニティ形成等)が防災力の源泉であることを付け加えたい。