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防災・エコ・福祉のまちづくり第7回研究会のお知らせ

2012-09-27 | 企画・行事
防災・エコ・福祉のまちづくり第7回研究会のお知らせ


 東日本大震災・原発事故を受けて、自治体のあるべき姿への提言を出そうと、標記の研究会が発足して1年が経ちました。県内の地域防災計画見直しの調査や、葛巻・住田町視察、福祉学習会などを行ってきました。残り1年、次の方向で研究を進めます。

• 研究会の提案は全体を網羅したものではなくポイントを絞ったものに
• 社会を変えたいとの要求に役立つもの
• 対象は行政の職員と住民
• そして、実践にあたっては、職員のやる気が基本であり、そこに向けて住民の側からの職員への働きかけが重要

 今回は、暮らし中心の自治体への変革は”職員のやる気”から、をテーマに研究会を持ちます。
下記の通り研究会を開きます。ぜひご参加ください。



 時  10月23日(火)午後6時30分より
 所  浦和コミュニティーセンター(パルコ10階)第13集会室
 報告 「職員のやる気と、住民の働きかけ方」(仮題)

* 誰でも参加できます

28年前、小児医療センターはこうして創られた(K)

2012-09-27 | 小児医療センター
 患者や地域の人たちの反対を押し切って、県立小児医療センターの移転計画が進められている。
 9月9日 小児医療センターの移転を考える患者の会主催の「小児医療センター移転問題を考えるシンポジウム」が伊奈町で開かれた。シンポジウムの模様は埼玉自治体問題研究所発行のそよ風No.17 2012年秋号に掲載されている。ここでは、小児医療センターの現在地、岩槻区の自治会の役員の方が会場で報告した、「28年前、小児医療センターはこうして創られた」の発言を掲載する。内容は建設当時発行された「小児医療センター建設の概要」から抜粋と言うが、28年前の畑革新県政の時代にどんな思いで小児医療センターが建設されたのか、その一端を知ることができる。以下は「概要」を紹介した発言の内容である。

 
 当時、埼玉県東部地区の乳幼児死亡率は他と比べて高く、東部地区に小児病院が必要だった。目指す病院は三次医療機関としての小児専門病院。患者、家族にとって利用者の便が良いこと。更に対象である子どもたちが「静かで明るく温かな雰囲気のなかで希望を持って療養生活が送れる」そのための周囲の環境が良好であること。三次医療機関としての機能を果たすための面積の確保が重要である。
 現在地では、16号、122号の幹線道路に加えて東北自動車道も利用できる。東武線、高崎線、東北線など公共交通機関も比較的近い。県内全域が診療圏であっても交通アクセスは極めてよい。加えてこの地域は将来にわたってビル化の心配もなく、広大な面積を少ない予算で確保できる。
 更に、患者である子どもたちは“治療に伴う苦痛に怯えやすい”少しでも苦痛を和らげるためには、この自然環境は最適といえる
 病院建設にあたっては、当時世界の先端を行くストックホルムのカロリンスカヤ病院、ロンドンの小児医療センターなども視察し工事は始まった。最新の医療設備を備える。優秀な医師を確保する。温かくサポートしてくれる看護師の確保等に関係者は奔走した。
 また建物と周辺環境との融和を大事に、親子のきずな、ふれあいを表現した院内の施設にも心を砕いている。病院の周辺は緑がいっぱい。にも関わらず院内に改めて小公園を創り、そこに四季それぞれに花を咲かせる植栽が。やすらぎ・ゆとり・思いやりを配慮して建物は低層に。壁の色、トイレや洗面所のタイル1枚にまで心配り、気配りがされた“患者のために”を徹底的に追及した病院らしくない病院。それが現在の県立小児医療センターである。


 移転が予定されているさいたま新都心への計画は、当時の思いと環境がいかにちがうことか



維新八策の問題点その5 外交・防衛 憲法 -安保に固執 世界は外交による平和的解決が主流に(K)

2012-09-22 | 橋下維新の会
維新八策の7、8です

7.外交・防衛~主権・平和・国益を守る万全の備えを~
・日米同盟を基軸とし、自由と民主主義を守る国々との連携を強化
・日本全体で沖縄負担の軽減を図るさらなるロードマップの作成
・国連PKOなどの国際平和活動への参加を強化

安保に固執 世界は外交による平和的解決が主流に
 安保条約を基軸とし、PKOにも参加し、軍事による国際紛争解決の道を強化しようとしている。軍事による解決を強行したアフガニスタン、イラクでは多くの犠牲が出たにもかかわらず、現在も民主的選挙による安定政権ができていない。
 安保条約に固執するために沖縄の負担も国外ではなく、日本全体でという方向になっている。

 世界は、非同盟の国々やASEANなどにみられるように、軍事ブロックよりも外交による平和的解決という新しい紛争解決の努力を続けて、成果を挙げている。

*ASEANの創造的平和戦略
東南アジア友好協力条約(TAC。76年調印)の要点
①独立・主権 ②外国からの干渉拒否 ③相互不干渉 ④紛争平和解決 ⑤武力行使放棄
98年には52カ国が参加(中国、日本、北朝鮮、韓国、ロシア、EU、アメリカ・・・)
「対話が続く限り、紛争にエスカレートしない、コストパフォーマンスが良い・・・積極的安全保障」(講演「中国を含む東アジアの平和をどう創るか」川田忠明氏より2012.3.10)


8.憲法改正~決定できる統治機構の本格的再構築~
・憲法改正発議要件(96条)を3分の2から2分の1に
・首相公選制(再掲)
・首相公選制と親和性のある議院制=参議院の廃止も視野に入れた抜本的改革・衆議院の優位性の強化(再掲)
・地方の条例制定権の自立(上書き権)(「基本法」の範囲内で条例制定)憲法94条の改正
・憲法9条を変えるか否かの国民投票

憲法は簡単に変えるのではなく、国民の熟慮の保障こそ
解散・選挙を挟んで2度の国会あるいは連邦議会の議決の国も
 日本国憲法は改正要件が両議院の2/3以上を持って発議できるという改正しづらい硬性憲法である。硬性憲法は、人間の普遍的権利や価値が時の権力によって容易に侵されない、という長所がある。一方、時の民意を反映しにくいということもある。
 2007.05.10と、ちょっと古い記事ですが、All About(「よくわかる政治」旧ガイド)で辻雅之氏が主要国の憲法改正の手続きについてまとめていたので、要旨を紹介する。(出典は「世界の憲法改正手続き比較」


国会の過半数の議決のみ
 国会の過半数で議決(イギリス)
 連邦議会の過半数の議決のみ(スイス…国民が改正を発議できる。その時は国民投票も)

国会の過半数かつ国民投票
 国会または連邦議会の過半数かつ国民投票で過半数(フランス、オーストリア)
 連邦議会の過半数の議決後、州民投票で過半数の州で賛成かつ全選挙人の過半数(オーストラリア)
 連邦議会の過半数の議決後、州議会の2/3でかつ人口の過半数が承認(カナダ)

国会・連邦議会のおよそ2/3以上の賛成
 連邦議会の2/3以上の賛成(ドイツ)
 国会両院の3/5以上の賛成(スペイン…重要規定は2/3以上かつ解散選挙し再度2/3以上の議決かつ国民投票で過半数)

国会・連邦議会の2/3以上の賛成かつ国民投票・州議会の承認
 国会の2/3で議決後、国民投票で過半数(日本、韓国)
 連邦議会の2/3で議決後、州議会の3/4が承認(アメリカ)
 連邦議会上院の3/4、下院の2/3で議決後、州議会の2/3の承認(ロシア)

選挙を挟んで2度の国会あるいは連邦議会の議決。2度目は2/3以上の賛成が必要など
(デンマーク、スウェーデン、ベルギー、フィンランド、オランダ)

*共和制、議会制、王政、基本的人権など、憲法でも改正できない事項がある国もある


 国会や連邦議会での2/3以上の賛成が要件や、選挙を挟んでの2度の議決など、憲法改正に慎重な国が多い。
 国会等の過半数で改正できるとしている国でも、不文律や国民の発議権を保証、国民投票では全選挙人や人口を分母にしている、州の尊重又は選挙をまたいでの再議決、などで国民意思を反映しようとしている。
 主要な国々では国民の意思の反映を極めて重視していることがわかる。日本の改正要件は、厳しいというものではない。何のための軟性憲法か。簡単に変えられるようにするのではなく、国民が熟慮できることを保障することこそ大切だ。国民投票の分母を人口にしたり、国民の発議をつくることが民主主義にとって必要ではないのか。

維新八策 その4 6.経済政策・雇用政策・税制 を読む(K)

2012-09-22 | 橋下維新の会
維新八策を読む 続き

6.経済政策・雇用政策・税制~未来への希望の再構築~
・国・自治体・都市の競争力強化
・競争力強化のためのインフラ整備
・イノベーション促進のための徹底した規制改革
・供給サイドの競争力強化による質的向上=額(量)だけでなく質の需給ギャップも埋める
・民民、官民人材の流動化の強化徹底した就労支援と解雇規制の緩和を含む労働市場の流動化(衰退産業から成長産業への人材移動を支援)
・正規雇用、非正規雇用の格差是正(=同一労働同一賃金の実現、非正規雇用の雇用保護、社会保障強化)
・外国人人材、女性労働力(→保育政策の充実へ)の活用

弱肉強食の国際競争へまっしぐら 解雇規制の緩和、正規化を進めず
 経済政策はすべてを国際競争に勝てる仕組みへと強化している。非正規の格差是正はいうが、正規化は言わない。逆に、解雇規制の緩和、競争に勝てる供給サイドの額、すなわち競争に勝てる賃金、をいう。そして、自治体も、女性労働力も、インフラもそのために動員され、徹底される。

全世代で減少する正規雇用 15~24歳は 就労できない人16.2%、非正規24.8%
「労働力人口+就職しようとする者」に占める割合
厚労省労働力調査(H22年平均)より作成

 
 非正規はアルバイト、契約社員、派遣労働者などのこと。いつ解雇になるかわからない。1年ごとの契約でも、定期昇給もない、有給休暇も増えない、退職金もない、一時金も少ない。

正規と非正規こんなにも違う賃金格差
H23年版 労働経済分析の概要より

○賃金構造について、正規雇用者と非正規雇用者に分けてみると、正規雇用者では年齢とともに上昇する賃金カーブを描くのに対し、非正規雇用者の賃金カーブではほとんど上昇がみられない。こうした賃金構造の違いには、非正規雇用者では、労働組合などを通じた賃金交渉力が弱いこと」
などを挙げている。

維新八策では、どこまで改善するのか明確でない。

TPP参加「農業」は一字もない 脱原発依存? 原発廃止ではないのか
・TPP参加、FTA拡大
・先進国をリードする脱原発依存体制の構築
・成長のための税制、消費、投資を促す税制
・超簡素な税制=フラットタックス化
・所得課税、消費課税、資産課税のバランス

 TPPに参加方針が明確である。しかし、農業は一字も出てこない。食の安全保障はどのように考えているのだろうか。
 税制もフラット化をさらに進め、大企業、高所得者優遇をさらに進めるものとなっている。
原発も「脱原発依存」で野田内閣と同じ。原発は依存しない範囲で稼働する可能性がある。いわゆるベストミックスに。
 「ワークライフバランスの実現」という文言が入っている。東日本大震災・福島原発事故での教訓は、経済の利益優先をやめ、人間のくらしを優先にすることであったと思う。しかし、圧倒的な自由競争の推進、経済の効率化の記述で、大企業利益優先、経済における弱肉強食の国づくりが明確になっている。
 経済は人が安全に安心して暮らせるためのものであったはず。経済が安全や健康、生きがいを奪ってはいけない。

つづく

橋下維新の会「維新八策」その3 教育改革 社会保障制度(K)

2012-09-22 | 橋下維新の会
橋下維新の会「維新八策」その3  前回からの続き

4.教育改革~世界水準の教育復活へ~
【理念・実現のための大きな枠組み】
・格差を世代間で固定化させないために、世界最高水準の教育を限りなく無償で提供する
・あしき平等・画一主義から脱却し、理解ができない子どもには徹底的にサポートし、理解できる子どもはぐんぐん伸ばす、個人の能力を真に伸ばす教育ヘ
・教育行政機関主導から生徒・保護者主導へ

 教育を無償にし、理解できるまで徹底的にサポートするという本人の意思を重視する教育理念であるならば、期待もできる。
 埼玉県の滑川町では学校給食費を保育園・幼稚園から中学校卒業まで無料にしている。学校給食は飽食の時代において、自分で選択できる能力を育てる実物教材と位置付けられている。人間は飢餓に対する適応力が備わっていても、飽食に対する適応力が備わっていないから生活習慣病が蔓延する。この考えが裏付けられ生活習慣病への健康指導としての食事指導は主要な項目である。この食習慣を現物によって身に着けようというのが学校給食の目的でもある。生活習慣病が少なくなれば医療費も激減する。

 大阪市の「施策・事業の見直し (試案)」(平成24年4月)では、■見直しに当たっての基準 として、
「指定都市(横浜市・名古屋市・京都市・神戸市)の標準的な水準に合わせる。」としている。この基準と、本当の教育の無料とどちらを優先するのか、明記されていない。

学校が「全面的発達の場」から「人材育成産業」へ
・教育委員会制度の廃止(首長に権限と責任を持たせ、第三者機関で監視)、教育行政制度について自治体の選択制
・生徒・保護者による公公間、公私間学校選択の保障
・公立学校長の権限の拡大・強化、校長公募など、学校マネジメントの確立
・学校を、学長・校長を長とする普通の組織にする
・校長・教頭等の人材確保のための適正な給与、教諭の定期昇給は一定在職年数まで
・大阪府・市の教育関連条例をさらに発展、法制化

 長期的展望に立った教育の目的が、時の首長の考えに左右されることになる、全面的発達ではなく、「学校選択」による時の経済界の要求を実現する学校への集中、トップダウン式の人材育成産業への変質と校長・教頭への給与の優遇によるその促進。
 一人一人の能力が尊重され、活かされ、開花してこそ、「あしき平等・画一主義から脱却」し、「世界水準の教育復活」ができるのではないか

5.社会保障制度改革~真の弱者支援に徹し持続可能な制度へ~
・真の弱者を徹底的に支援
・自立する個人を増やすことにより支える側を増やす
・個人のチャレンジを促進し、切磋琢磨をサポートする社会保障

 自立の名のもとにどれだけ生活保護申請が事実上拒否され、人間の尊厳を無視され、餓死者や孤立死、自殺者、無理心中を出してきたか。
 湯浅誠氏は「どんとこい貧困」の中で、世の中をイスとりゲームに例え、その原因を探す。
 座れたという人から見ると「努力が足りなかった」と考える。完璧な人なんていないから欠点は必ず探すことができる。そして、「自己責任論」と言って反論をできないようにする。
 しかし、座れなかった人から見ると、どんなに「すごい人たち」でも、最終的に座れるのは一人。だとすれば、イスに座れなかったのは、必ずしも「本人の努力が足りなかったから」ではなく、「イスの数が足りなかった」からということになる。「イスの数」を問題にするべきではないのか、と著者の湯浅氏は問題提起をしている。これを「構造的な見方」と言い、「構造的」というのは、社会の仕組みの問題である、と。

自立支援から貧民救済への生活保護の変質
・生活保護世帯と低所得世帯の不公平の是正
・(1)努力に応じた、(2)現物支給中心の、最低生活保障制度を創設
・所得と資産の合算で最低生活保障
・現物支給中心の生活保護費
・支給基準の見直し
・現役世代は就労支援を含む自立支援策の実践の義務化
・有期制(一定期間で再審査)
・医療扶助の自己負担制の導入
・被保護者を担当する登録医制度

 「・生活保護世帯と低所得世帯の不公平の是正」は「・(1)努力に応じた」とは、 (2)現物支給中心の、最低生活保障制度を創設
とは、「努力した」「低所得世帯」の収入に合わせるということ?
 現物支給とは、アメリカのフードスタンプ?就職のための交通費や服装、電話代、冠婚葬祭のための最低の費用などは?保護期間も有期制に。医療扶助はなくなり、自己負担に。しかも、被保護者は登録された医師にしか受診できない。治療は医師と患者の共同作業で行われるもの。患者は自分が信頼関係を築ける医師を選んでいる。医師が選べなくなることは治療にマイナスである。
 自立のための金も、職員も減らされ、自立はできるのか。生活保護費は自立のための生活支援ではなかったのか。

差別医療の導入
・公的保険の範囲を見直し混合診療を完全解禁
・公的医療保険給付の重症患者への重点化(軽症患者の自己負担増)

 医療費も混合医療の完全解禁やかぜなどの軽症患者は自己負担に。金が生存権まで保障されない。

さらにつづく