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奄美大島など南西諸島で進む自衛隊基地建設 その4(K)

2018-01-07 | 沖縄
太平洋戦争では基地ができ空襲された

 前回でも述べたように、奄美大島に日本軍の基地ができたのは1944年からです。次の図は奄美大島南部の瀬戸内町の日本軍の基地などの跡、戦跡です。


クリックすると拡大します。今回の学習会「そうだったのか!?奄美の自衛隊配備」の提供資料より

 小さな島にこんなにも多くの軍事施設がつくられました。軍と住民が同居しています。島全体が要塞となっているようです。これでは軍民混在戦も当然です。
 戦跡も見てきました。


 奄美本島瀬戸内町旧陸軍弾薬庫跡

 奄美本島瀬戸内町旧陸軍観測所跡

 瀬戸内町加計呂麻島兵舎跡

 瀬戸内町加計呂麻島特高船震洋格納庫跡

 奄美大島の建設現場と戦跡をみて、この島々は戦前の1944年と同じ道をたどっているように見えます。島の住民を巻き込む戦争の準備に正当性などありません。

おわり

奄美大島など南西諸島で進む自衛隊基地建設 その3(K)

2018-01-07 | 沖縄
反戦自衛官、小西誠氏の講演

 この視察ツアーでは小西氏の講演もありました。以下は講演の抜粋です。

◆ 小さな島は攻撃を防げない
小さな島は周囲を囲まれれば防ぎようがない。そこで、自衛隊が考えているのは占領された後の島の奪還作戦を考えている。すると、島の人はどうなるのか。沖縄戦のように軍民混在戦になる。
 基地がなければ爆撃されない。実際に戦闘になれば奄美大島全体で地上戦も空襲も行われる。これは防衛白書に出ている。
 現在、海の下では対潜水艦、空もレーダーとジェット機で封鎖されていて、緊急時にはスクランブルがかけられるようになっている。島は守られている。

◆ 原因はアメリカの戦略変更
 アメリカはソ連が崩壊し脅威がなくなった時、「平和の配当」として軍事費を25%削減した。日本も北海道の戦車を600両から300両に減らした。
 1997年、日米ガイドラインで脅威をソ連から中国に切り替えた。その分、南西諸島の島々に島嶼防衛と称してミサイルやオスプレイを配備することにし、日本は軍事費を増加してきた。

◆ 中国は脅威か 領空侵犯はロシア13回、中国1回。領海侵犯も月3日程度で同じペース。
 今、中国は経済でも軍事費でも、日本よりも大きくなっている。しかし、お金をかけて警戒しても中国は来ない。領空侵犯と言うがソ連が崩壊してからロシアは13回なのに対し中国は1回台湾も1回しか領空侵犯はしていない(防衛省「平成28年度の緊急発進実施状況について」)。

◆ アメリカ・日本が勝手に決めた防空識別圏で中国封じ込め
 防空識別圏というのは緊急発進するよと言うものだが、領空よりもはるかに遠い地域に勝手にアメリカが設置したもので国際法の規定にはない。日本も1959年代に勝手に決めている。中国は自由に航行すると言っている。中国が国力をつけてきても米国はこれは許さない。勝手に決めるのではなく外交で話し合うべき問題だ。

◆ 自衛隊は住民を守るのか
 島嶼防衛戦は自衛隊と住民の混在戦つまり軍民混在戦になる。法律では自衛隊は戦闘に余裕がある時に住民の避難を支援するとなっていて戦闘優先になっている。住民を守るのは自治体になるが自治体は戦闘から住民を守れるのか。

◆ 日本はアメリカ言いなりで高い装備を買う
 今はヘリコプターの中心はCH 47と後継機種に変更している。このヘリコプターの方が兵隊もオスプレイが24名なのに対し50名と多く乗せられる。最大積載量もヘリコプターの方が大きい。日本はアメリカ言いなりで800億円もするイージスアショアを買うことにしている。

◆ 南西諸島が戦争に巻き込まれないための小西氏の提案
 1922年のワシントン会議の四カ国条約で、アメリカ・イギリス・フランス・日本が太平洋域の領土・権益保全と、島嶼部の非軍事基地化を約束した。実際にサイパン、グアム、テニアン、琉球、奄美、台湾などが非軍事基地化(=無防備地域)となった。無防備地域への攻撃は国際法で禁止されている。ところが1930年日本がワシントン体制から離脱し1944年には日本軍が沖縄に基地を建設した。そして奄美大島や沖縄が戦場となった。
 改めて無防備地域宣言をすることが再び沖縄や奄美大島を戦争に巻き込まないことになると思う。

◇【視察参加のメンバーからの情報提供】
 中国公船の領海侵入は左表のように、過去2年間で規則的に月2~3回となっている。
*月3回計10程度の意味(『高野孟のTHE JOURNAL2017.4.4より』)
 高野孟氏が知り合いの中国人ジャーナリストに中国側から事情を探って貰うと次の事実がわかってきた。
 中国の海警局には、北海と東海と南海の3分局があり、尖閣は東海分局の担当。その下に上海、浙江、福建の3総隊があってそのそれぞれが月に1回、出て行くことになっているから「月3回」となる。1回当たりは3隻が標準ユニットで、たまに都合で2隻になったり4隻になったりもする。目的は、中国が尖閣の領有権を主張していることを継続的にデモンストレーションすることなので、これで十分だ。余計なトラブルにならないよう、1回につき日本の主張する領海内に入るのは1時間半と決めていて、しかも15年冬以降は事前に日本の海保に「明日行きますから」と事前通告するようにしている。
──それは、中国側が一方的にルール化しているのか?
「その通りで、海保も暗黙の内にそれを受け入れている」


*接続水域とは、国家が通関、財政、出入国管理、衛生に関する法令の違反について防止や処罰を目的とした措置をとることができる水域。ただし国家の安全に対する侵害行為に対する規制は接続水域制度の対象には含まれていない。沿岸から24カイリの範囲で沿岸国が設定できる。領海は12カイリ。
**2016年8月1日を以て禁漁期が終わったので、翌2日に中国漁船が一斉に東海に出漁し、その一部が暫定措置水域を超えて尖閣領域に進入する可能性があったので、海警船70隻が出動し、そのうち15隻が3日から9日にかけて尖閣海域に入って漁船を管理・指導した(つまり暫定措置水域へと押し戻した)。大半の漁船に指導が行き渡ったので、10日に海警船は現場から引き揚げた。



奄美大島など南西諸島で進む自衛隊基地建設 その2(K)

2018-01-04 | 沖縄
奄美大島の自衛隊基地建設

 奄美大島には2つの自衛隊基地建設が進んでいました。大熊地区と節子地区です。
その広さに驚かされました。配置される隊員は全部で550人。警備部隊とミサイル部隊です(下図)。

ミサイル部隊は地対空、地対艦です。警備部隊は「災害を含む各種事態発生時に迅速に対処する」(防衛白書H28年度防衛白書)ものです。各種事態への対処とは、島嶼部に対する攻撃があった時に、機動的に展開・集中させ侵攻を阻止・排除することです(地元説明会への回答集)。
 基地建設費について、奄美大島単独では出ていませんが、H27年度~H30年度の防衛省の予算を見ると、1454億円であり、今後、石垣島の庁舎等の整備が加わります。ちなみにオスプレイ3機分342億円で認可保育園(90人定員)285園分ですから、この基地の予算を使えば、いかに社会保障が賄えるかがわかります。

防衛省の奄美・宮古の用地建基地設費と石垣の用地費への予算:4年間計1454億円
H27年度、32億円(奄美大島の用地取得費)
H28年度、195億円(警備隊等の配置に関連する奄美大島の造成工事等及び宮古島の用地取得)
H29年度予算、707億円(警備隊等の配置に関連する奄美大島及び宮古島の庁舎等の整備)
H30年度要求、552億円(警備部隊等の配置に関連する奄美大島及び宮古島の庁舎等の整備、石垣島の用地取得経費等)


 基地づくりは奄美大島だけではありません。奄美の北の馬毛島から琉球列島の南端の与那国島まで自衛隊の基地づくりが進んでいます。


【奄美大島 大熊地区 奄美カントリー】


隊員が勤務する庁舎や、独身の隊員が生活する隊舎、整備工場、射撃場等が整備される予定です。この他に体育館やグランドなども予定されています。


【奄美大島 節子地区】
 節子地区は、山間部の国道58号線を挟んでA地区とB地区に分かれています。国道58号線にはトンネルを掘った新しい直線的なバイパスができ、地元の人はバイパスを通るようになりました。旧58号線を利用するのはほとんど自衛隊。旧道は事実上の自衛隊専用道路となりました。基地づくりが人の目に触れることは少ないのです。
 バイパスのトンネルの開通は2015年で、自衛隊の基地作りが始まったのは2016年。基地を作るためにバイパスが建設されたのではないかと思えると地元の基地反対の人たちは言っています。

▲瀬戸内A地区

地元住民団体作成

地元住民団体作成
 
▲瀬戸内B地区

地元住民団体作成

2番目の写真の境界の構造物はクロウサギの侵入を防ぐ柵です。

 山の伐採は基地作りだけでなく、辺野古の埋め立て用に山が削られ、切り出された石が道路に山積みにされていました。
 基地用地とアマミノクロウサギの生息地とを重ね合わせたのが下の図です。クロウサギの生息地に基地が作られています。

地元住民団体作成

奄美大島など南西諸島で進む自衛隊基地建設 1(K)

2018-01-03 | 沖縄
埼玉自治体問題研究所の所報「そよ風」2018年冬号に掲載したものです。

11.1~11.7 奄美大島現地視察レポート
奄美大島など南西諸島で進む自衛隊基地建設

 11月2日から5日まで奄美大島への自衛隊配備についての現地視察ツアー・アクション(主催 奄美の基地問題を考える会)に参加しました。本土のマスコミでは全く報道されていませんが、聞いて、見て、びっくり。知らない間に大変なことが起こっていました。読者の皆さんにぜひ知ってもらいたいとの思いで、今回は紙面を割いていただきました。

世界自然遺産の登録をめざす奄美大島
 奄美大島は鹿児島本土と沖縄本島のほぼ中間の洋上に位置する、沖縄本島の約8割ほどの面積を持つ島です。特徴的なのは島の多くの部分が森であると言うことです。山間部の自然は多様性と希少性を併せ持ち、世界に誇る豊かさを持っています。日本で2番目に広いマングローブ林や、アマミノクロウサギに代表される絶滅が危惧される固有種。そうした豊かな森が育む海洋部には美しいサンゴ礁が広がっています(奄美大島観光案内のHPより)。



 奄美大島の海は透明で4、5メートルの深さはある海底まできれいに見えます。少し先の海の色はサンゴ礁でエメラルドグリーン、アマミブルーです。島の85%を占める山々は昔のままの亜熱帯原生林です。多雨なので水も豊かで、足下の沢に冷たい水が流れ、周囲には木質のシダ(ヒカゲヘゴ)が4、5メートルの高さまで伸び、その緑の間をアゲハよりも大きな白いチョウ、ツマベニチョウや、羽先が透けた青色のリュウキュウアサギマダラが舞っています。気が付くと私たち一行(4人)の足元に10センチ位の黒い、足の長いクモ(日本で最大のクモ、オオハシリグモらしい)がいたので、大騒ぎになりました。入口だけでもこれだけの種類がいました。原生林は恐竜の時代の森を思い起こさせます。島の成り立ちと、残された原生林は世界有数の固有種の多い島となっています。そしていま、奄美市は世界自然遺産の登録を目指しています。

奄美空港から名瀬港に向かう途中の海辺で

名瀬港から西に向かっての港で

金作原原生林の入り口で。木生シダのヒカゲヘゴが中生代のように木よりも高く生えている

原生林にいた、多分日本最大のクモのオオハシリグモ

ピンボケですがリュウキュウハグロトンボ。そのほか、ツマベニチョウ、リュウキュウアサギマダラ、ツマムラサキマダラ、ヘリグロヒメトカゲも見ました。

住用町の日本最大(ではありませんでした。お詫びして訂正します。)のマングローブ林

加計呂麻島の南西にある「フーテンの寅さん」のロケ地にもなった徳浜