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秘密保護法案に対する国連人権高等弁務官事務所の特別報告者の発言を全文(原文と仮訳)紹介(K)

2013-11-28 | 特定秘密保護法
秘密保護法が衆院を通過した。今度は参議院で審議される。
24日に紹介した、国連人権高等弁務官事務所の特別報告者の発言を全文(原文と仮訳)を紹介する。仮訳は筆者のなので誤訳があればぜひ、指摘してほしい。国連関係者の視点で、何が懸念されているかがわかる。


GENEVA (22 November 2013) – Two United Nations independent human rights experts today expressed serious concern about the draft Special Secrets Bill, which establishes grounds and procedures for the classification of information held by the Japanese State.
The UN Special Rapporteurs on freedom of expression and on the right to health requested further information from the Japanese authorities on the draft law and voiced their concerns regarding its compliance with human rights standards.
ジュネーブ(2013年11月22日) - 二人の国連の独立人権専門家は本日、日本の国家が保有する機密情報の範囲と手続きを制定する特別秘密法草案に深刻な懸念を表明した。
表現の自由に、健康への権利に関する国連の特別報告者は、法案に対して日本の当局からの更なる情報を要求し、そして、人権基準の遵守に関する懸念を表明した。

“Transparency is a core requirement for democratic governance,” the Special Rapporteur on freedom of expression, Frank La Rue, said. “The draft bill not only appears to establish very broad and vague grounds for secrecy but also include serious threats to whistle-blowers and even journalists reporting on secrets.”
「透明性は民主的統治の中核的な要件である」と、表現の自由に関する特別報告者のフランク•ラ•ルーは言った。 「法案は秘密に対して非常に広範かつ曖昧な範囲の制定を表わしているだけでなく、内部告発者や秘密を報道するジャーナリストにさえも深刻な脅威を含んでいる。」

Mr. La Rue stressed that secrecy with regard to public affairs is only acceptable where there is a demonstrable risk of substantial harm and where that harm is greater than the overall public interest in having access to the information kept confidential.
ミスターラ•ルーは、公務に関しての秘密は、それが重大な被害を証明できるほどのリスクがあり、そしてその被害が秘密として保持されてきた情報にアクセスすることによる全体的な公共の利益よりも大きい場合にだけ、許容可能である、と強調した。

“Even in the exceptional cases where authorities might establish the need for confidentiality the review of their decision by an independent body is essential,” the human rights expert noted.
「当局が秘密の必要性を立証する例外的な場合でさえ、独立した機関による当局の決定の見直しは不可欠である」と人権の専門家は指摘する。

The Special Rapporteur drew special attention to the penalties established by the law for the release of information, stressing that “government officials who, in good faith, release confidential information on violations of the law, or wrongdoing by public bodies, should be protected against legal sanctions.”
特別報告者は、情報の公開に対しての、法律で制定する罰則に特別の注意を喚起し、 「法律違反あるいは公共機関による不正行為の秘密情報を、良識ある信念に基づいて、公表した国家公務員は、法律上の制裁から保護されるべきである。」と強調した。

“Other individuals, including journalists and civil society representatives, who receive or disseminate classified information because they believe it is in the public interest, should also not be liable to any sanction unless they put individuals in an imminent situation of serious harm,” he said.
「それが公共の利益になると考えて、機密情報を入手又は発信する、ジャーナリストや市民社会の代表などの一般の人々は、人々を深刻な危害への切迫した状況に置かない限り、制裁を受けるべきではない」と彼は言った。

The Special Rapporteur on the right to health, Anand Grover, who visited Japan last year and studied the response to the disaster in Fukushima, underlined the need for to always ensure full transparency in emergency contexts: “Particularly in calamities, it is essential to ensure that the public is provided with consistent and timely information enabling them to make informed decisions regarding their health.”
昨年日本を訪問し、福島の災害への対応を研究した、健康への権利の特別報告者のアナンドグローバー氏は、非常事態においては完全な透明性を常に確保することが必要だと強調した。 「特に災害では、公衆が一貫性のあるタイムリーな情報の提供を保証されることは不可欠で、その情報は、彼らが、自分の健康に関する、情報に基づいた意思決定を行えるようにする。」

“Most democracies, including Japan, clearly recognise the right to access information. As much as the protection of national security might require confidentiality in exceptional circumstances, human rights standards establish that the principle of maximum disclosure must always guide the conduct of public officials,” concluded the rapporteurs.
「日本を含む多くの民主主義国家では、情報にアクセスする権利を明確に認めている。 国家の安全保障を守るということは例外的な状況の中では秘密を必要とする、ということと同様に、人権基準は、最大に開示するという原則が公務員の行動を常に支配しなければならない、と制定している」と報告者は結論しました。

中国で「労働教養」制度廃止(K)

2013-11-25 | 特定秘密保護法
 今日のしんぶん赤旗に
中国で「労働教養」制度廃止 世論が党指導部動かす
という記事が載った。

「娘が複数の男性から暴行を受けた上、売春を強要された事件で、容疑者を厳しく罰し、腐敗した警官を処分するように当局に繰り返し陳情した唐慧さんに、逆に「社会の秩序を乱した」として、2012年8月労働教養処分が科された。
これに対しネット上で批判が噴出し、当局は処分を撤回。さらに、唐慧さんは損害賠償請求を起こし二審で勝訴した。これを通じて労教制度の残忍さが広まり、今月12日に閉幕した中国共産党第3回中央委員会総会は『労働教養制度』の廃止を決めた。
労働教養制度は1957年に制度化。50,60年代に『右派分子』のレッテルを貼り、拘束する手段に使われ、多いときには30万人以上が拘束されたといわれます。」

という記事です。


映画「無言歌」
 一昨年見た、「無言歌」という映画を思い出した。
    

1949年、毛沢東の革命は希望だった。
1956年、毛沢東は自由な批判を歓迎すると言った。
人々は未来を思い、はつらつと発言したものだ。
しかし、その数ヶ月後―
彼らを弾圧する「反右派闘争」が始まった。
彼らはだまされたのだろうか、彼ら自身の政府に。

1960年。日本は高度成長期だった。フランスはヌーヴェルヴァーグだった。そして中国では、世界の誰にも知られぬまま、人々が辺境で死に向かっていた。 中国西部、ゴビ砂漠の収容所。右派とされた人々が囚われている。轟々と鳴る砂と風。食料はほとんどなく、水のような粥をすすり、毎日の強制労働にただ泥のように疲れ果てて眠る。かつて百花のごとく咲き誇った言葉は失われ、感情さえ失いかけた男たち。そこにある日、上海から一人の女性がやってくる。愛する者に逢いたいと、ひたすらに願い、嗚咽する女の声が、いつしか男たち心に忘れかけていた生命のさざ波を広げていく………。

以上が映画を紹介した「物語」です。

 人々が幸せに暮らせる中国を夢見て、建設的に発言した学者や労働者が、強制労働を強いられた。ゴビ砂漠の土の下に作られた、石窟ならぬモグラのような土窟の部屋に収容され、いつ終わるとも知れず、生きることさえ支えられないほんのわずかな水のような粥だけで、無気力に生きるもの、生き抜けず死んでいくもの。
 どんな理由をつけようとも人間らしく生きることは最も大切にされなければならない。
 どんな理由であろうとも、良心的な発言は封じられてはならない。

 ようやく労働教養を強いられた名誉が回復される。民主化とは何かを考えさせられる記事だった。

国連、秘密保護法案に「重大な懸念」 人権高等弁務官事務所 の報道とツワネ原則(K)  

2013-11-24 | 特定秘密保護法
秘密保護法に関する国連人権高等弁務官委事務所の発表が日経新聞に掲載されていました。以下は引用です。

国連、秘密保護法案に「重大な懸念」 人権高等弁務官事務所
                                2013/11/23 0:56 日経WEB
【ジュネーブ=原克彦】国連人権高等弁務官事務所は22日、言論の自由と健康の権利を担当する2人の特別報告者が日本の特定秘密保護法案に「重大な懸念」を表明したと発表した。特別報告者は日本政府に法案についての詳しい情報を提供するよう求めたという。

 言論の自由を担当するラルー特別報告者は「法案は秘密の対象をとても幅広くて曖昧なものにするだけでなく、告発者や秘密について報道するジャーナリストへの脅威も含んでいる」と指摘。特に情報漏洩への罰則に関しては、政府など公的機関の不正や不法行為の告発は法的措置の対象外にすべきだと主張している。

ツワネ原則
『国家安全保障と情報への権利に関する国際原則(ツワネ原則)』というのがあります。Peace Philosophy Centreが和約しているので紹介します。以下はPeace Philosophy Centreの引用です。

 『国家安全保障と情報への権利に関する国際原則(ツワネ原則)』の15の要約点を和訳付きで紹介します(和訳は Peace Philosophy Centre が独自に行ったもので公式なものではありません。また、翻訳はより正確を期すために修正することがあります。)。この原則は70カ国以上にわたる国の500人以上の専門家の助言を得て、Open Society Justice Initiative の企画により世界中で開催された14回において、22の団体や学術機関により起草され、今年6月12日に発表されたものです。このプロセスが南アフリカの首都、ツワネで開かれた会合で完結したことから、「ツワネ原則」と呼ばれるようになっています。(Open Society Foundation より)

元の文書は Open Society Foundation のウェブサイトにあるものです。リンクは以下です。
http://www.opensocietyfoundations.org/fact-sheets/tshwane-principles-national-security-and-right-information-overview-15-points

『ツワネ原則』の全文はここにあります。
http://www.opensocietyfoundations.org/sites/default/files/global-principles-national-security-10232013.pdf

以下、和訳です。

The Tshwane Principles on National Security and the Right to Information address the question of how to ensure public access to government information without jeopardizing legitimate efforts to protect people from national security threats.
『国家安全保障と情報への権利に関するツワネ原則』は国家安全保障への脅威から人々を守るための合法的な努力を危険にさらすことはなしにどうやって政府の情報への公的アクセスを保証するかの問題を扱います。

These Principles are based on international and national law and practices. They were developed in order to provide guidance to those engaged in drafting, revising, or implementing relevant laws or policies.
これらの原則は国際法、国内法とその運用に基づくものです。この分野に関連する法律や政策の起草、改正、施行に関わる人々に指針を提供するために作られました。

Based on more than two years of consultation around the world with government actors, the security sector and civil society, they set out in unprecedented detail guidelines on the appropriate limits of secrecy, the role of whistleblowers, and other issues.
これらの原則は二年間にわたる政府関係者、安全保障分野、市民社会から助言を得た末、秘密保持の適正な限度、内部告発者の役割や、他の関連事項について今までに例のないほど詳細にわたるガイドラインを立案したものです。

Here is a 15-point overview:
以下が15の要約点です。

The public has a right of access to government information, including information from private entities that perform public functions or receive public funds. (Principle 1) 公衆は政府の情報にアクセスする権利を有する。それは、公的な機能を果たす、或いは公的な資金を受け取る私的機関も含まれる。(原則1)


It is up to the government to prove the necessity of restrictions on the right to information. (Principle 4) 知る権利への制限の必要性を証明するのは政府の責務である。(原則4)


Governments may legitimately withhold information in narrowly defined areas, such as defence plans, weapons development, and the operations and sources used by intelligence services. Also, they may withhold confidential information supplied by foreign governments that is linked to national security matters. (Principle 9)政府は防衛計画、兵器開発、諜報機関によって使われる情報源など狭義の分野で合法的に情報を制限することができる。また、国家安全保障に関連する事柄について外国政府から提供された機密情報も制限することができる。(原則9)


But governments should never withhold information concerning violations of international human rights and humanitarian law, including information about the circumstances and perpetrators of torture and crimes against humanity, and the location of secret prisons. This includes information about past abuses under previous regimes, and any information they hold regarding violations committed by their own agents or by others. (Principle 10A)しかし、政府は人権、人道に関する国際法の違反についての情報は決して制限してはいけない。これは、現政権より前の政権下における違反行為についての情報、また、自らの関係者あるいは他者により行われた違反行為について政府が所持する情報についても当てはまる。(原則10A)


The public has a right to know about systems of surveillance, and the procedures for authorizing them. (Principle 10E)公衆は監視システム、そしてそれらを認可する手続きについて知る権利がある。(原則10E)


No government entity may be exempt from disclosure requirements—including security sector and intelligence authorities. The public also has a right to know about the existence of all security sector entities, the laws and regulations that govern them, and their budgets. (Principles 5 and 10C)安全保障セクターや諜報機関を含め、いかなる政府機関も情報公開の必要性から免除されることはない。公衆はまた、安全保障セクターの機関の存在について知る権利を有し、それらの機関を統治するための法律や規則、そしてそれらの機関の予算についての情報も知る権利を有する。(原則5と10C)


Whistleblowers in the public sector should not face retaliation if the public interest in the information disclosed outweighs the public interest in secrecy. But they should have first made a reasonable effort to address the issue through official complaint mechanisms, provided that an effective mechanism exists. (Principles 40, 41, and 43)公共セクターにおける内部告発者は、公開された情報による公益が秘密保持における公益を上回る場合、報復措置を受けるべきではない。(原則40,41、と43)


Criminal action against those who leak information should be considered only if the information poses a “real and identifiable risk of causing significant harm” that overrides the public interest in disclosure. (Principles 43 and 46)情報を流出させる人を刑事裁判に持ち込むことは、その情報が公開されることによって生じる公益を上回るような「実在して確認可能な重大損害を引き起こすリスク」をもたらすときのみ検討されるべきである。(原則43と46)


Journalists and others who do not work for the government should not be prosecuted for receiving, possessing or disclosing classified information to the public, or for conspiracy or other crimes based on their seeking or accessing classified information. (Principle 47)ジャーナリストその他、政府に勤めていない人々は、機密情報を受け取ること、所有すること、公衆に公開することに対し、また機密情報を求めたり機密情報にアクセスすることに対して共謀その他の犯罪で訴追されるべきではない。(原則47)


Journalists and others who do not work for the government should not be forced to reveal a confidential source or other unpublished information in a leak investigation. (Principle 48)ジャーナリストその他、政府に勤めていない人々は、情報流出の調査において、秘密情報源や他の非公開情報を明かすことを強制されるべきではない。(原則48)


Public access to judicial processes is essential: “invocation of national security may not be relied upon to undermine the fundamental right of the public to access judicial processes.” Media and the public should be permitted to challenge any limitation on public access to judicial processes. (Principle 28)裁判手続き情報が一般公開可能であることは不可欠である:「裁判手続き情報に対する公衆の根本的な権利を弱めるために国家安全保障の発動に頼ることはならない」。(原則28)


Governments should not be permitted to keep state secrets or other information confidential that prevents victims of human rights violations from seeking or obtaining a remedy for their violation. (Principle 30)人権侵害の被害者がその侵害行為への対応策を求めたり得たりすることを阻害するような国家機密や他の情報を、政府が秘密のままにすることは許されない。(原則30)


There should be independent oversight bodies for the security sector, and the bodies should be able to access all information needed for effective oversight. (Principles 6, 31–33)安全保障セクターには独立した監視機関を設けるべきであり、それらの機関は効果的な監視のために必要な全ての情報にアクセス可能であるべきである。(原則6、31-33)


Information should be classified only as long as necessary, and never indefinitely. Laws should govern the maximum permissible period of classification. (Principle 16)情報が機密化される機関は必要な期間に限るべきであり、無期限であってはいけない。情報機密化が許される最長期間は法律で定めるべきである。(原則16)


There should be clear procedures for requesting declassification, with priority procedures for the declassification of information of public interest. (Principle 17)機密解除を要請する明確な手続きがなければいけない。その際、公益に与する情報を優先的に解除する手続きも定めるべきである。

以上、引用です。
日本はこれまでの国際的な知恵を生かさないのでしょうか。

秘密保護法 秘密は30年で情報公開が世界の流れ アメリカは25年で公開(K)

2013-11-19 | 特定秘密保護法
 今日の夕方、ラジオで秘密保護法の30年経っても秘密にできる規定について話していた。世界的には30年経てば秘密文書は通常公開されることが常識、それは1968年のマドリッドで合意されている、と紹介していた。
 インターネットで調べると、国立公文書館統括公文書専門官室公文書専門官の小原 由美子氏が2011年6月に「ICA30 年原則制定の背景」という論文を発表し、国立公文書館のホームページに掲載されていた。なぜ、30年で公開なのか、この論文に書かれている。

1.ICA30 年原則
 公開に関する「30 年原則」が広くアーカイブズの世界で基準として認められたのは、アーカイブズの国際機関International Council on Archives(以下、ICA)が、1968 年にマドリッドで開催された第6 回ICA 大会(International Congress onArchives)において採択した決議であった、とされている。ICA は、1948 年にユネスコの支援の下に設立された非政府組織で、パリに本部を置き、現在では国連加盟国のほとんどを含む約190 の国と地域が加盟している機関である。

2.1966 年ICA ワシントン大会における議論
 1968 年の大会に先立ち、実はその2 年前の1966年に、アーカイブズのアクセスに関するICA の臨時大会が米国のワシントンDC で開催されている。(その中で次のことが言われていた。かっこ内は筆者。)
⑶ 現代の歴史、経済、社会の各分野における必要性の見地から、大会は、アーカイブズ所管関係官庁に対し、可能であれば、公開制限期間を減らすこと、さらに、一部の特定分野の文書については、研究目的の利用に限り、予め定められた制限期間以前に公開することを通じ、アクセスルールの大幅な自由化に努めることを希望する。

4.1968 年ICA マドリッド大会決議
 そして、1966 年ワシントンDC におけるICA 臨時大会から2 年後の1968 年9 月3 ~ 7 日、スペインのマドリッドで第6 回ICA 大会が開催された。そこで、次の決議が採択された。

Ⅰ.自由化検討ワーキンググループの報告に基づく決議
⒜ 公開制限と公開時期の延期について
1.大会は、各国のアーカイブ関係機関が、文書の公開をコントロールする規定について徹底した調査を行い、所管機関に対して、学術研究のニーズにかなったアーカイブ記録の公開制度とするため、全ての不当な制限の解除を提案するよう、勧告する。
この目的を達成するため、大会は、以下のような公開規則の緩和を勧告する。
a)公開制限期間を定めている各国においては、一般的な制限期間について、文書の作成から公開までの間が30 年を超えないものとし、必要な場合は留保事項を設けること。
b)特別の事例について更に長い期間制限する場合は、現実に必要がある場合に限ることとし、その制限期間は80 年を超えないものとすること。
c)最大限可能な限り、特定の分野、資料群、又はシリーズについて、通常の制限期間が過ぎる前に、自由な利用を可能にするよう検討すること。
・・・・
おわりに
 今から40 年以上前の30 年原則確立の時期の議論を見てきたが、我々にとっては、議論の内容は本質的にはそれほど陳腐化しているとは思えない。ICA30 年原則の制定当時は、30 年という年限は、そこで初めて公開される時点である場合が多かったが、その後の情報公開の流れにより、30 年を経過するまで利用が制限される事項が徐々に減じていき、現在では、30 年という年は、利用制限が、公開することにより個人・団体や国家が重大な不利益をこうむる恐れのある最小限の情報に限られる時点となり、しかもその時点までの期間は、30年よりさらに短くなる傾向にある。
 Wilson が言ったように、ある事実や事件についての記録は、生きた証人がいる間に公開されることによって、その価値に息吹が与えられる。記録が公開されず利用されなければ、その記録が持っている知恵や警鐘も活かされることはない。公開により人権や国家の安全等が脅かされることはもちろん避けなければならないが、公開することにより市民や社会が享受できる利益についても考慮しつつ、利用制限の解除の時期について、今後も議論を重ねていくべきであろう。


 以上が30年原則に至った経緯、と紹介されていた。
 日本軍慰安婦問題、「X年後」のようなビキニ環境での被爆体験、731部隊の実態など、体験者が生きている時だからこそ、より確かなものになる。それは子どもたちの時代の正確な教訓になっていく。「ある事実や事件についての記録は、生きた証人がいる間に公開されることによって、その価値に息吹が与えられる。記録が公開されず利用されなければ、その記録が持っている知恵や警鐘も活かされることはない。」とは人類の進歩のための重い言葉である。

 ちなみに、アメリカでは通常は25年で情報が公開されることも、ラジオで紹介されていた。
「機密情報は、原則として、原機密指定から25 年経過した年の12月31 日までには機密解除されなければならない」(大統領令3.3 条(a)項)

情報保全隊の監視活動も秘密 特定秘密保護法 国会で明らかになったこと 新聞記事などから その7(K)

2013-11-19 | 特定秘密保護法
国会質疑によって秘密保護法の実態が明らかになってきています。その新聞記事を紹介します。

国会議員・記者も対象 情報保全隊の監視活動 秘密保護法で隠ぺい 
笠井議員追及に 防衛相認める
(しんぶん赤旗11月15日)
 小野寺五典防衛相は14日の衆院国家安全保障特別委員会で、自衛隊情報保全隊が収集した情報について、「特定秘密の要件に該当する情報を入手し、指定することはありうる」と述べ、秘密保護法案の対象となる可能性を認めました。日本共産党の笠井亮議員の追及に対する答弁。情報保全隊による違法な国民監視と、広範な個人情報収集活動の実態が隠ぺいされる危険が明らかになりました。
 笠井氏は、防衛省が「部外者からの不自然な働きかけへの対応要領」にもとづいて記者や国会議員の取材・調査活動を情報保全隊が監視対象としていた問題(本紙7日付既報)を追及。小野寺防衛相は「記者、国会議員も『部外者』に含まれる」と述べ、対象であることを認めました。
 笠井氏は、同省が「対応要領」にもとづき、議員や記者から取材・調査を受けた場合、職員・隊員に逐一報告を求め、情報保全隊と連携しながら監視対象に置いていたと指摘。防衛相は「『不自然な働きかけ』とは正当な理由のない情報提供依頼などだ」とはぐらかしました。
 笠井氏は、「対応要領」の文書に「再三にわたる電話、メール」など通常の取材行為も「不自然な働きかけ」として記されていることを指摘。「秘密保護法案を先取りした動きであり、これらも監視しているとは重大だ」と批判しました。
 さらに笠井氏は、保全隊の活動について定めた内部文書「情報保全業務規則」(2005年)が、「秘」指定解除の文書ながら表紙以外がすべて黒塗りになっていることを示し、「なぜ隠すのか」とただしました。
 防衛相は「(保全隊の)活動内容や関心が明らかになり、国の安全が害される」と詳細な説明を拒否。笠井氏は、「秘密保護法がなくても明らかにしない。法律ができれば一切が秘密になる危険は明らかだ」と批判しました。