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デンマーク、スウェーデン視察報告第6日目と最終日 エピローグ(K)

2014-08-21 | 企画・行事
忘れてはいけないと思ったこと 

 デンマークの学校では学童が素晴らしかった。国家資格を持った教育者の下で、子どもたちは何をしたいのか、何ができるのか、共同でやることの大切さを身に着けていく。そのための設備は、社会の縮図のようにほとんどのものが揃っている。その中で、子どもたちは楽しみながら、みんなと一緒に自分探しをしている。自分を失わずに社会へはばたくために学童がある。

 デンマークでもスウェーデンでも、高齢者も生きている瞬間は最後まで人間として尊敬され、暮らせることが保障されている。認知症になっても、障がい者であっても、等級に分類され画一的に扱われるのではなく、自分が人間らしく暮らせるために何が必要かで支援される。人間らしく生きることが基本になっている。

 スウェーデンの民営化。人として大切にされることは民営化についても同じで、これは日本と大きな違いだ。デンマークやスウェーデンでは同一労働であれば同一賃金である。「え!民間だと賃金が違うんですか」スウェーデンの施設長は驚いていたくらい、当然のことと考えられている。労働者の人としての暮らしを犠牲にしてまで、利潤を生むことは考えられないことなのだ。利益を生むことよりも人が尊重されることが優先されるのは当たり前の国なのだ。
 そして、それを保障した上で自由に仕事をやってより効率的に、より質の高いものにするということが民営化のメリット、という考え方なのだ。正々堂々と競争する、それがデンマーク・スウェーデンの民営化なのだ。

 再生可能エネルギーの話は、粘り強い取り組みをw感じた。今起こっている温暖化の問題を真正面から議論し、新しい法律や計画がつくられて、デンマークでは再生可能エネルギーが確実に広がっている。スウェーデンのマルメ市はヨーロッパの国との制度に違いや、見込み違いによる失敗などがありながらも、将来を見据えてあきらめずに、周辺自治体や国の支援によって、「環境都市」を確立した。将来、どんなことが必要とされるのかを合理的に考えれば当然の結果といえる。要は、きちんと科学的に考え実践しているだけなのかもしれない。

 今回の特徴は、北欧モデルがどうして出来上がったか、に迫れた点だ。なぜ、こんなことが行われているのか。その疑問に、レクチャーや労働組合との懇談に答えを得た思いだ。それは、労働組合の存在と国民の政治への参加が大きいに違いない。デンマークの労働組合の組織率は68.5%、スウェーデンは67.5%(2011年)、国政への投票率はそれぞれ約90%。デンマークでは労働組合ができる前は苛酷な労働者の歴史がある。団結し、たたかい、今の福祉国家を作ってきた。

 高福祉を支えるには高負担が必要だが、高負担するには高所得が必要になる。高所得を得るために労働組合は団結し、交渉してきた。交渉には経営状況を公開されなければならず、それを実現してきた。経営者も労働者を利益を上げるためにはいい人材が必要と大切にするようになり、賃上げが労使の合意の下に進められてきた。その結果、GDPを押し上げ、EUやOECDの水準を上回るようになった。働く者を大切にして成果を上げる、これがデンマーク・スウェーデンのやり方なのだ。




 そして、もう一つ、そのデンマークもスウェーデンも今、経済のグローバリズムと高齢化の中で模索をしている。しかし、高福祉からの削減と、低福祉でも削減では大きな違いだ。やはり、日本は福祉削減の前に、人間中心社会への民主化と、相手を尊重するという人権意識の確立という基本を築かなければならない。そして、同時並行的に、暮らしを守る制度=法律を作らなければならない。デンマークでは行く先々で「法律でそうなっています」と説明していた。身近なことを法律で決める、それをみんなが知って守る、という法律の力で一つ一つ暮らしを守っていくことが大切ではないだろうか。


おまけ
スウェーデンの労働組合の作り方
スウェーデンでは最も大きい全国組織LOは産業別組織で150万人、次に大きな全国組織は専門職の職種別労働組合TCO(スウェーデン俸給従業員中央労働組合連盟)で120万人、そしてSACO(スェーデン専門職連盟)は大学の学位を持つ大学卒業または専門家で60万人である。産業別と専門家、職種別が並列して存在している。


マルメ市に最初に来たとき、大きな広場とつながっていた小さな広場で少し案内をしてもらって、ガイドの富山さんともお別れ。こんな古い建物もあったんです。





ここで、自力で注文してみんなでお昼を食べました。厚い豚肉が2つものったステーキを


出発当日の午前 マルメ城手前の公園 スウェーデンでは本当にいい天気に恵まれました


マルメ城の要塞 1434年に作られた。デンマークに攻められても陥落しなかった要塞


コクマルガラス 魔女の宅急便に出てくるからす


こんなところにもセブンイレブン


火山の噴火で土に埋まった彫刻 調べてみてください 200年ごろ前の噴火みたいです


土曜の午前 カヌーが趣味なんて


マルメ市の市立図書館


図書館の中


図書館はこちらが新館


新館の図書館の入り口 さすが知の倉庫 日本語も


図書館の向かいにあるリサイクルボックスの横 たばこの吸い殻入れ


ピルダムス公園と古い貯水塔
急いで歩いてやっと着き
急いで公園の入り口近辺を回って
急いで帰りました。
出発時間に間に合うように


まちの風景


マルメ中央駅は地下にホームがある
そして、オレスン橋を渡って、コペンハーゲン空港駅で降り一路日本へ

私の旅に付き合っていただいてありがとうございました。
何度も書くうちに、その度に情景が思い浮かんで、何度も旅をしているようでした。
楽しく、新しいものに触れた、思いでした。(K)

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