銀座の甚平喰い倒れ日記

甚平を愛するサラリーマンの食生活を綴った日記。銀座界隈を中心に東京の美味しいお店をご紹介。

五箇山 与茂四郎にて「鯉のつくり」をいただきます

2008-12-16 19:00:27 | 旅歩き(国内・海外で食べる)

秋の北陸一人旅日記も今日が最終回。

なぜ、北陸だったかの答えを今日はお話するのだが、
端的に言えばテレビで見ることが増えた
岐阜県白川郷のような合掌造りに泊まってみたい。

以上。

なのだが、与太話にお付き合いいただけるのならば
そのまま読み進めていただきたい。

福井を経ち往路をなぞるように
特急はくたかで新潟方面に歩を進めた。

目指す先はタイトルの通り
富山県五箇山。

合掌造りと言うと
先の岐阜県白川郷がユネスコに認定されていることは
多くの方がご存知なのだろうが、
実は岐阜から富山に山を越えた
相倉と菅沼の集落は同じ時期に
世界遺産に認定されているのだ。



「霧が立ち昇る菅沼」



私の嫁の実家は
合掌造りでこそないのだが
田舎を満喫するのには十二分。

それでも昔話のような場所で
一晩過ごしてみたいと思うようになったのは
年なんだなぁとつくづく感じさせられてしまう。

相倉と菅沼がある五箇山は
高岡から日に3、4本バスが出ているので
中継地の高岡で一泊をし、
次の日の朝。2時間半のバスの旅を経て
ようやく辿り着いたのだ。



「菅沼の集落」


せっかくなので
高岡の話をさせていただくと
前田利長公が作った瑞龍寺こそ
素晴らしいものだったが、
日本3大大仏と呼ばれる高岡の大仏は
奈良や鎌倉のものに比べると大人と子供ほどの差が・・・

高岡の鋳物発祥の地の金屋町の千本格子の家並みとは
表づらこそ美しくは作られているのだが、
誰も見ないであろうと側面の興の冷め具合は
作り物であることしか語ってはくれなかった。

日に何本のバスを考えて
寒ぶりには少し早かった氷見ではなく
高岡に泊まったものの、
この旅で唯一後悔した場所が高岡だったのだ。



「雨にさらされても下へ下へ落ちる水滴を見ると
合掌造りの合理性がよく判る」


唯一、高岡に来た甲斐を感じたのは
東京でも買える「源のます寿司」。

よく見かける箱に入ったものは
外国産のますを使っているのだが、
竹筒につめられた¥3,000のものは
国産の肉厚品。

芳醇な身に絡む酢飯が
幸せな気分にさせてくれるものだった。



「菅沼 与八の天麩羅そば」
地の山菜の揚げたては不味い訳がない


相倉と菅沼は車で20分程。

とは言えタクシーなんてものには無縁な場所では
日に数本のバスをやりくりするか
ヒッチハイクをするしか手段がない。

菅沼にはバスに合わせて2時間程滞在し、
宿を取った相倉に引き返した。



「こちらが相倉の集落」
相倉と書いてあいのくらと読む。


この相倉に向かうバス内には
ロシア語を話す6名の50代
熟年女性グーループがいたのだが、
ユネスコの影響があるとは言え
日本人の多くが知らない
昔の日本を垣間見れる場所にやってくるとは
海外版のガイドブックでいったいどのように
紹介されているのか知りたくなってしまう。



「こちらが今回お世話になった与茂四郎さんだ」

宿に着いたのは16時すぎ。

すっかり暗くなってしまい
自分が泊まるべき場所を探すのに手間取ってしまったが
敷居をまたぐと威勢のいいお出迎えをしてくれた。

こちらの与茂四郎。

玄関を進み襖を開けると
囲炉裏がある座敷が広がっている。

その奥に六畳間が4っつあり
襖を隔てて知らないもの同士が
宿を共にする民宿だった。

私が泊まった日は
私を含めて3組5名が寝食を共にしたのだが
4部屋あっても出入りを考えると1部屋は使用できない。

3組しか泊まれないのだ。



荷物を降ろし
囲炉裏に向かうと
名古屋からやってきたという
20代の社会人カップルがお茶をすすっていた。

白川郷~菅沼~相倉と
車で3つの世界遺産を見てきたそうだが
白川郷は人が多すぎてこの相倉が
1番落ち着いていられると話してくれた。

10分ほどして
もう1組の50代の幼馴染同士だという
おばちゃんが2名が入ってきた。

大阪と名古屋で今は離れているそうなのだが
2人でちょくちょく旅をして回っているそうだ。

お風呂を順番で入っている間に
岩魚の番を私がさせていただいた。



こちらが与茂四郎の晩飯だ。

たんぱく質の岩魚と鯉のあらいを除いて、
他は全てが山の幸。

1ヶ月滞在したら20㎏は減量できそうだ。

もちろんごはんと味噌汁が付くのだが
3組だけの夕食となると自ずと知らないもの同士で
会話をしながら食事をする。

養殖の岩魚云々よりも
これこそ民宿の醍醐味なのだろう。

先の名古屋から来たカップル。
下戸だという男方は私の酒は断わったが
相方と話をしていてもおばちゃんと私の会話は
しっかりと聞いている。

時には我々が空気を吸うタイミングで
上手に会話に入り込み、
野暮だと思えば食事に没頭する。



「鯉のつくり」
こいつも養殖だろうが鯉ヘルペス以来、
中々都会じゃ食べさせてくれなかったものを
久しぶりに食べてみたのだが、
思いのほか臭味も少なく、
できれば洗いでも食べてみたかった。


物静かな内向的な理系人な印象だったのだが
なかなかに出来る男だった。

もし、今付き合っている男性と
結婚しようかどうか迷っているのならば
こういった民宿で行動力や社交性、協調性の
テストをしてやるというのも良いだろう。

名古屋から来た男の子。
あんたは相方が合格だと言っているよと思いながら
五箇山の香りにはちょいと乏しい地酒をすすりながら
ちびり、ちびりとやらせていただいた。



「五箇山豆腐」
写真で見てその片鱗は伝わるのだろうが
どにかくどっしりとした固めの豆腐だ。
芳醇とはいえなかったがどっしりとした食べ応えは
田楽で食べてみたかった。


客同士の社交性や協調性の話はさておき、
こちらの宿の良いところは、
旦那さんにしろ女将さんにしろ
わが家のようにくつろいで欲しいという気持ちが
言葉や仕草の端々から感じられることなのであろう。

こういったおもてなしが
初顔同士の食卓を自然と柔ら穴ものにしてくれるのだ。



「与茂四郎の朝食」
今回、食事の云々には細かく触れていないが
良いおもてなしと偶然がもたらした気さくなお客同士で
食べる朝食は及第点以上に美味しいものだ。


五箇山に向かった日は生憎の雨だったのだが
夜には都会よりも宇宙が3倍近いような
綺麗な星空が顔を覗かせてくれた。

みんなで静まり返った村に恐る恐る
星を見に散歩に出てみたり、
仕事の話。夫婦の話。これからの話。
それとなく場が掃けるまで
初めてモン同士の会話が続いた。



「相倉 まつやのきのこそば」
太い田舎そばは力強いきのこと抜群の相性だった。
しょうゆが強めだったが寒風が吹き始めた
田舎の寒さにはこの位強い暖の取り方が
必要なのだと思った。


夜が明けて朝食の囲炉裏で
関西のおばちゃんが一言。

「あんた。ウチの旦那のいびきも
凄いけど大したモンやわ・・・」

良かった。

酒を飲めばジェット機のエンジン音なみと
冗談のような本当の騒音を撒き散らす私のような輩は
襖一枚の民宿に泊まっては大迷惑な話なのだが
なんとか笑い話にしてくれたのだ。

相倉にはいくつか民宿があり
知らなかった日本の姿を見に
皇太子様も泊まりに来たそうなのだが
日本人にこそどんどん泊まって欲しいと
旅を終えて感じさせられた。

五箇山には他にも
和紙や赤カブなどの名産品があるのだが、
時間が止まるような錯覚を
皆さんも感じてみてはいかがだろうか。

素晴らしいおもてなしをご馳走様でした。

民宿 与茂四郎
富山県南砺市相倉395
TEL0763‐66-2377

一泊 ¥7,875

甚平満足度 ★★★★★
甚平満腹度 ★★★☆☆

・・・おっ、お代官様ぁ!甚平に愛のムチを・・・

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・・・ あっ、ありがとうございます。・・・
   それでは明日もお会いしませう


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