銀座の甚平喰い倒れ日記

甚平を愛するサラリーマンの食生活を綴った日記。銀座界隈を中心に東京の美味しいお店をご紹介。

勝どき かねますにて「ふぐの煮こごり」をいただきます

2007-11-20 21:22:59 | 銀座・築地 和食・寿司・海鮮

日記を書き始めて1年4ヶ月。

昨晩。初めてネット上で知り合った方と杯を交わした。

嫁などは怖いからやめろやめろと言ってはいたが
今では私と同様、普通の人たちが当たり前のように
ネットをする時代なのだからと内気で内向的な(嘘ばっかだ)
私の性格を奮い立たせてお会いしてきたのだった。

場所は勝どき。

初対面同士なので5分前には着かなければと
頭では理解していたのだが重い体の取扱いにまごつき
2分ばかし遅刻をしてしまった。

面目ない。



私の野獣のような顔だけが目印だったのだが
迷うことなく落ち合ったのは
コメント覧でお馴染みのmymyzu氏だ。

何度か氏が催す喰い倒れの会にお呼ばれしていたのだが
タイミングが合わずここまできていたので
せっかくだからお酒でもとの話になった訳だ。

向かった先は「かねます」。

氏行きつけの立ち飲み屋なのだが
齢80は過ぎているであろう
ご主人の一品料理が絶品とのことで
話だけではもったいないとこの店を所望させていただいた。



自己紹介やお互いの仕事の按配。
氏のお子様のお話などなど、
喰いしんぼが2人揃えば
酒の肴になるような話には事欠かなかった。

最初に頼んだのはたこぶつだ。

国産ダコがスーパーなんかでは買えなくなったなどと
ヨタ話などをしながらいただいたのだが、
素材の良いこと以上に驚いたのは
店のご主人の包丁だった。



数十年前はおそらく普通の包丁だったのだろうが
我々のような飲ん兵衛を来る日も来る日も相手にしているうちに
研ぎ続けられた包丁は10cm程の小刀に
様変わりしてしまっていたのだ。

凄すぎる。

続いて頼んだのがマグロ。

素材の良さは蛸と同様で
解凍の具合も申し分ない。

本来ならば15分程ほっておいて
室温に馴染んだ位で食べると一番旨いのだが
空腹の喰いしんぼはひんやりを愉しみながらいただいた。

旨い。



続いて白子。

柚子にゆば、なめたけと白子が
ご主人が西方出身ということもあるのだろうが
これぞ和の出汁だと思わせてくれるような
とろみがかった純朴な餡で食べさせてくれた。

旨すぎる。

手前味噌で恐縮だが
和食の達人の母の出汁に匹敵するほどの味だ。



続いてちりめんじゃこ。

四国産なのかは聞かなかったのだが
山椒の粒が入っていたのが特徴だった。

mymyzu氏曰く
西方ではこのように山椒の実を
落とした料理がいくつもあるそうなのだが、
東方では物珍しく感じながらも、
じゃこっぽさを山椒の実が弾けるたんびに
さぁーっと消してくれる妙を思う存分に愉しんだ。



河豚の煮こごりだ。

見た目の艶やかさも食欲をそそってくれるのだが
柔らかい煮こごりの味覚の中に
しっかりとした河豚の白身が凛と立った味わいは
この日一番の驚きだった。

ちょうど、数寄屋橋のお寿司の神様が
三ツ星をいただいたニュースが世の中を賑わしているのだが
星がどうした?と気にする素振りもない
純粋に自分の仕事をされていた。



火の入りにジッと睨みを利かすご主人の後姿。

かねますは以前
勝どきの交差点の角地にお店を構えていたのだが、
再開発で移転するということになった際には
ご主人が引退されるとの噂もあったそうで
最後の日には沢山の人がこの味を求めて押し寄せたそうだ。

今はそこから数十メートルの鼻先に
無事に新しい店舗を構えてくれたので
こうして私も噂に聞いていたお味に巡りあえた。



こちらのお店。

生ビールはエビスの黒で瓶ビールはエビスだ。

自分が出す料理に合うビールを選択されただけなのだろうが
エビスの黒生がぴったり合うなぁと感じさせてくれるあたりも
当たり前のことのようで当たり前には
なかなかしてくれないお店たちを思い起こさせてくれた。

2杯目以降はハイボールを4杯程いただいたのだが
まろ味を感じさせてくれるウイスキーは
いったい何と何をブレンドしたらこんなに角が取れるのかと
考えさせられてしまう。



千枚漬け。

見た目は普通の千枚漬けなのだが
一手間加えて技ありを取っていた。

中には粉山葵をはんなり塗りこんであり
表面に昆布の柔らかいトロ味を感じた後に
大根のしゃきっとした食感。
それから昆布と大根の調和をより引き立てる山葵の刺激が
箸を止めさせてくれなくしてしまうのだ。



松茸は旬が過ぎたと土瓶蒸しは遠慮したのだが
これまでの仕事を見る限りでは
旬を回帰させるような調理の妙は味わっておけばよかったと
店を出てから後悔してしまった。

そうもボヤいてはいられないので続きを・・・

うにの牛肉巻き。

見るからに贅沢なこの食べ物。
お店にはごはんものが全くないのだが
それを苦にしないような腹の足しを用意してくれていたのだ。



肉を生で出す鮮度。
芳醇なうににとろけるようなサシ肉を合わせた料理は
素材に自信がなければすごく
野蛮な食べ物になってしまうのだが・・・

間違いないのだろう。

鼻腔に広がるミョウバン臭くないうにの香りで
マグロ同様に食べ頃を待てなくなってしまった。



一気にパクリとやると・・・

ぐぅぉっ!当たり前のように旨い。

甘い。甘~いうにが口の中にしっかりと広がった後に
4等級、5等級クラスの最上級の牛肉の甘さが
しつこくないサシのとろけ具合と相まって
さらに口の中を占拠する。

4文字で表現するのならば

し・あ・わ・せ

という平仮名が本当にしっくりと来る。



下の写真が何だかお判りになるだろうか?

こいつは牡蠣だ。

肉厚な牡蠣に小麦粉をまぶして
甘辛く味付けした餡と焼き煮詰めて食す。

1番ごはんにぴったりなメニューなのだが
鳥料理なんかでよく出されるこの手法を
牡蠣にして食べさせられるとアイデアというものは
思いついたモン勝ちであることが身に染みて感じさせられた。



最近、忙しさにカマけて
日記の更新が思うように捗ってはいないので、
書けるときにはとことん書こう。

〆さばだ。

見た目で判る大きな特徴は
その大ぶりな切り方。

まぐろの絵面の方が判り易いが
刺身のツマには大根だけでなく茗荷も使っている。

この茗荷。

真似たくなるほど魚との相性が良かった。



鯖を口に入れると
酢の選択がとても良いこと。
そして過剰でないことを思い知らされる。

鼻にツンと悪態をつくような〆鯖なのではなく、
鯖の旨みを上手に引き出すように酢が用いられた
〆鯖なのだ。

鯖が苦手な人でも食べれそうだ。

〆鯖には最大限の餞の言葉だろう。



湯葉しゃぶ。

大豆の甘い香りが私の顔に目掛けて飛んできた。

ポン酢と白胡麻のペーストが混ぜられた漬けダレが添えられたが
取りあえずぞのままパクリと・・・

甘い。

今まで湯葉に対してさほどの思い入れはなかったのだが
こいつは湯葉のありがたみを教えてくれる。

手間がかかって美味しくなるから
皆が重宝するのだと・・・



こちらのお店。

立ち飲みというスタイルではあるが
もてなす料理。日本酒は純米吟醸1銘柄だったりだとか
端々にピンとした筋を感じさせてくれた。

お店を見る際に私はまずトイレを見るのだが
設備こそ必要最低限なれど広々と間取られたトイレに
営業開始の頃に1回だけ炊き上げられた香の匂い。

繊細な料理を出すだけ合って
何度も何度も炊き続けはしない力加減。

出汁に定評があるだけに
雑炊なんかで〆させてくれれば最高のお店だった。

mymyzu氏も思った以上に若造だったことに
さぞ驚かれたことだろうが、
虎の子をお教えいただき感謝したい。

美味しいごはんをご馳走様でした。

かねます
中央区勝どき1-8-3
TEL03-3531-8611
16:00~20:00
日曜・祝日定休

2人で和食尽くし諸々 ¥17,000

甚平満足度 ★★★★▲
甚平満腹度 ★★★▲☆

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・・・ あっ、ありがとうございます。・・・
   それでは明日もお会いしませう