日記を書き始めて1年4ヶ月。
昨晩。初めてネット上で知り合った方と杯を交わした。
嫁などは怖いからやめろやめろと言ってはいたが
今では私と同様、普通の人たちが当たり前のように
ネットをする時代なのだからと内気で内向的な(嘘ばっかだ)
私の性格を奮い立たせてお会いしてきたのだった。
場所は勝どき。
初対面同士なので5分前には着かなければと
頭では理解していたのだが重い体の取扱いにまごつき
2分ばかし遅刻をしてしまった。
面目ない。
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私の野獣のような顔だけが目印だったのだが
迷うことなく落ち合ったのは
コメント覧でお馴染みのmymyzu氏だ。
何度か氏が催す喰い倒れの会にお呼ばれしていたのだが
タイミングが合わずここまできていたので
せっかくだからお酒でもとの話になった訳だ。
向かった先は「かねます」。
氏行きつけの立ち飲み屋なのだが
齢80は過ぎているであろう
ご主人の一品料理が絶品とのことで
話だけではもったいないとこの店を所望させていただいた。
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自己紹介やお互いの仕事の按配。
氏のお子様のお話などなど、
喰いしんぼが2人揃えば
酒の肴になるような話には事欠かなかった。
最初に頼んだのはたこぶつだ。
国産ダコがスーパーなんかでは買えなくなったなどと
ヨタ話などをしながらいただいたのだが、
素材の良いこと以上に驚いたのは
店のご主人の包丁だった。
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数十年前はおそらく普通の包丁だったのだろうが
我々のような飲ん兵衛を来る日も来る日も相手にしているうちに
研ぎ続けられた包丁は10cm程の小刀に
様変わりしてしまっていたのだ。
凄すぎる。
続いて頼んだのがマグロ。
素材の良さは蛸と同様で
解凍の具合も申し分ない。
本来ならば15分程ほっておいて
室温に馴染んだ位で食べると一番旨いのだが
空腹の喰いしんぼはひんやりを愉しみながらいただいた。
旨い。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/14/5b/0ba20a10f7f40bca0c7e78ec8075d7fb.jpg)
続いて白子。
柚子にゆば、なめたけと白子が
ご主人が西方出身ということもあるのだろうが
これぞ和の出汁だと思わせてくれるような
とろみがかった純朴な餡で食べさせてくれた。
旨すぎる。
手前味噌で恐縮だが
和食の達人の母の出汁に匹敵するほどの味だ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/33/70/c3ea679bb63b914ba6972ac9ab4d1b21.jpg)
続いてちりめんじゃこ。
四国産なのかは聞かなかったのだが
山椒の粒が入っていたのが特徴だった。
mymyzu氏曰く
西方ではこのように山椒の実を
落とした料理がいくつもあるそうなのだが、
東方では物珍しく感じながらも、
じゃこっぽさを山椒の実が弾けるたんびに
さぁーっと消してくれる妙を思う存分に愉しんだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/30/17/a2ae84be2dcbe720828fa48d47dac9e8.jpg)
河豚の煮こごりだ。
見た目の艶やかさも食欲をそそってくれるのだが
柔らかい煮こごりの味覚の中に
しっかりとした河豚の白身が凛と立った味わいは
この日一番の驚きだった。
ちょうど、数寄屋橋のお寿司の神様が
三ツ星をいただいたニュースが世の中を賑わしているのだが
星がどうした?と気にする素振りもない
純粋に自分の仕事をされていた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1e/17/e30142932a8a93edb669626edb3334ea.jpg)
火の入りにジッと睨みを利かすご主人の後姿。
かねますは以前
勝どきの交差点の角地にお店を構えていたのだが、
再開発で移転するということになった際には
ご主人が引退されるとの噂もあったそうで
最後の日には沢山の人がこの味を求めて押し寄せたそうだ。
今はそこから数十メートルの鼻先に
無事に新しい店舗を構えてくれたので
こうして私も噂に聞いていたお味に巡りあえた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/01/76/473b4820d8b00b5a4ee829305c69f7ea.jpg)
こちらのお店。
生ビールはエビスの黒で瓶ビールはエビスだ。
自分が出す料理に合うビールを選択されただけなのだろうが
エビスの黒生がぴったり合うなぁと感じさせてくれるあたりも
当たり前のことのようで当たり前には
なかなかしてくれないお店たちを思い起こさせてくれた。
2杯目以降はハイボールを4杯程いただいたのだが
まろ味を感じさせてくれるウイスキーは
いったい何と何をブレンドしたらこんなに角が取れるのかと
考えさせられてしまう。
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千枚漬け。
見た目は普通の千枚漬けなのだが
一手間加えて技ありを取っていた。
中には粉山葵をはんなり塗りこんであり
表面に昆布の柔らかいトロ味を感じた後に
大根のしゃきっとした食感。
それから昆布と大根の調和をより引き立てる山葵の刺激が
箸を止めさせてくれなくしてしまうのだ。
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松茸は旬が過ぎたと土瓶蒸しは遠慮したのだが
これまでの仕事を見る限りでは
旬を回帰させるような調理の妙は味わっておけばよかったと
店を出てから後悔してしまった。
そうもボヤいてはいられないので続きを・・・
うにの牛肉巻き。
見るからに贅沢なこの食べ物。
お店にはごはんものが全くないのだが
それを苦にしないような腹の足しを用意してくれていたのだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/65/f3/2ca3f755efcfc746fcd7df715de77ab6.jpg)
肉を生で出す鮮度。
芳醇なうににとろけるようなサシ肉を合わせた料理は
素材に自信がなければすごく
野蛮な食べ物になってしまうのだが・・・
間違いないのだろう。
鼻腔に広がるミョウバン臭くないうにの香りで
マグロ同様に食べ頃を待てなくなってしまった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/70/6f/86592ac9afb147625b06f9205fefabc8.jpg)
一気にパクリとやると・・・
ぐぅぉっ!当たり前のように旨い。
甘い。甘~いうにが口の中にしっかりと広がった後に
4等級、5等級クラスの最上級の牛肉の甘さが
しつこくないサシのとろけ具合と相まって
さらに口の中を占拠する。
4文字で表現するのならば
し・あ・わ・せ
という平仮名が本当にしっくりと来る。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7b/6c/645e616463a16da6949d3337ef6b1f99.jpg)
下の写真が何だかお判りになるだろうか?
こいつは牡蠣だ。
肉厚な牡蠣に小麦粉をまぶして
甘辛く味付けした餡と焼き煮詰めて食す。
1番ごはんにぴったりなメニューなのだが
鳥料理なんかでよく出されるこの手法を
牡蠣にして食べさせられるとアイデアというものは
思いついたモン勝ちであることが身に染みて感じさせられた。
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最近、忙しさにカマけて
日記の更新が思うように捗ってはいないので、
書けるときにはとことん書こう。
〆さばだ。
見た目で判る大きな特徴は
その大ぶりな切り方。
まぐろの絵面の方が判り易いが
刺身のツマには大根だけでなく茗荷も使っている。
この茗荷。
真似たくなるほど魚との相性が良かった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/22/cb/640e04d9c7efcc0afd94e8d1624187c6.jpg)
鯖を口に入れると
酢の選択がとても良いこと。
そして過剰でないことを思い知らされる。
鼻にツンと悪態をつくような〆鯖なのではなく、
鯖の旨みを上手に引き出すように酢が用いられた
〆鯖なのだ。
鯖が苦手な人でも食べれそうだ。
〆鯖には最大限の餞の言葉だろう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/75/f1/a5dd3f7de10505331a573ecaf8514232.jpg)
湯葉しゃぶ。
大豆の甘い香りが私の顔に目掛けて飛んできた。
ポン酢と白胡麻のペーストが混ぜられた漬けダレが添えられたが
取りあえずぞのままパクリと・・・
甘い。
今まで湯葉に対してさほどの思い入れはなかったのだが
こいつは湯葉のありがたみを教えてくれる。
手間がかかって美味しくなるから
皆が重宝するのだと・・・
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1d/90/5713f5fbf0f7128a0b712a47fb37af3d.jpg)
こちらのお店。
立ち飲みというスタイルではあるが
もてなす料理。日本酒は純米吟醸1銘柄だったりだとか
端々にピンとした筋を感じさせてくれた。
お店を見る際に私はまずトイレを見るのだが
設備こそ必要最低限なれど広々と間取られたトイレに
営業開始の頃に1回だけ炊き上げられた香の匂い。
繊細な料理を出すだけ合って
何度も何度も炊き続けはしない力加減。
出汁に定評があるだけに
雑炊なんかで〆させてくれれば最高のお店だった。
mymyzu氏も思った以上に若造だったことに
さぞ驚かれたことだろうが、
虎の子をお教えいただき感謝したい。
美味しいごはんをご馳走様でした。
かねます
中央区勝どき1-8-3
TEL03-3531-8611
16:00~20:00
日曜・祝日定休
2人で和食尽くし諸々 ¥17,000
甚平満足度 ★★★★▲
甚平満腹度 ★★★▲☆
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・・・ あっ、ありがとうございます。・・・
それでは明日もお会いしませう