今まではあまり私が所属している会社の話は控えてきたが
今日はちょいとばかり職環境を垣間見ていただきたい。
私のチームには部下が3人いた。
2名は入社1・2年目の若手。
もう1名がおととい65歳の誕生日を迎え、
偶然にもその誕生日の日に40数年という長い長い
社会経験にピリオドを打った相談役的な爺様だ。
つまり、今日は爺様の最後のお見送りのお話という訳だ。
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爺様の出身は北海道の札幌と旭川の中間の豪雪地帯。
奥様は実家から数軒先の幼馴染で
北海道というだけあった魚貝には目が無い。
その中でも焼き牡蠣が好物なので
最後の餞に鱈腹喰わせてやろうということになった。
初等兵と二等兵を走らせ、
築地やら日本橋を見回ったところ
丁度、日本橋の高島屋で志摩の洗浄方法に特許を持つ
的矢の生牡蠣を海鮮旅館の橘という所が
売っているというので目利きは任せてそいつに決めた。
¥210という現地の倍の値段ではあるが
東京ではおまけを含めてこの値段の仕入れならばマシな方だろう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/14/f8/509fe2084c0cb6bd45cc6831c94cb7bd.jpg)
仕入れは済んだので、
どこで喰わせるのかという話なのだが、
持ち込みの牡蠣を焼いてくれなんて物騒な話を
気軽に引き受けてくれるお店が青山界隈という
つんつんした土地柄が受け入れてくれるのだろうか?
唯一お好み焼きの「さっちゃん」は
口約束で焼いてくれるなんて言っていたが
まさか本当に持ってくるなど予想していないだろう。
魚好きには魚屋で
ちゃんと喰わせてやりたいとの配慮もあり
1年程前に乃木坂の交差点に出現した、
タイの屋台のような魚屋の「魚真」に頼んで見ることにした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/20/17/878a2fb1fee19d2202452d99cc1919fc.jpg)
魚真は築地の仲買「鈴兼」が運営する魚尽くしのお店だ。
こういった交渉ごとも
営業部隊の我々にとっては訓練のようなもの。
初等兵には荷が重く、
失敗=説教部屋という監獄送りを二等兵が行うことになった。
爺様のお勤め最後の食事だという浪花節に
若干の焼き賃で快く快諾いただき、
仲買直営の店によその牡蠣を持ち込むという
失礼極まりない暴挙をお許しいただいた。
「魚真さん。ありがとうございました。」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/38/c6/608a4a2525a2d8896fd86b7b446f153d.jpg)
こちらのお店。相当に繁盛している。
入り口には立ち食いのカウンターがあり
数十あるテーブル席を魚を摘まみながら待つことができる。
カウンターの奥には
脇に魚屋のように氷の上に魚達が置かれた
食欲をそそるテーブル席があり、
そのまた奥にビニールハウスに大漁旗とコカコーラの
テーブル席で乃木坂という立地とは似つかわしくない
前述のアジアの屋台のような席が並ぶ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/55/17/83ef2516aab6647677ed06fc49a50268.jpg)
流石に持ち込んだものだけで
食事を済ますことはできないので
大間のマグロ¥1,380
毛がに ¥1,980
塩辛や雌のめざしやら摘まめるものを頼んで
焼き牡蠣を待つことにした。
こちらのお店の喰いモンは
次回改めてしっかりとレポートすることに
させていただくのだが、毛がには客を見られたのか
子供も子供の海に戻してやりたくなるほど
こじんまりとしたものだった。
それでも蟹の喰い方を知らない初等兵に
爪で穿るんだぞだとか蟹味噌を身に付けて食べると
最高だとか教授している爺様の姿は水を得た魚だった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4e/bd/6dc82d602e95c8a6af62c167e5be98ca.jpg)
そしてこの日のクライマックスがこれ。
的矢牡蠣だ。
よそのテーブルの視線が痛くて申し訳なかったが
爺様と私たちだけのスペシャルミールを堪能させていただく。
まずは、見た目にも焼き加減がすごく良い。
テント内全体に立ち昇る磯の香りは
写真なんか撮ってる場合じゃないぞ光線を
ビンビン発していた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6e/6d/d2abf3e27ec1c8eb2e6309b877a7e3aa.jpg)
爺様に続いてパクリと・・・
ふぅまぁい。
言葉にならないような旨さだ。
夏牡蠣のようなぷっくりとしたクリーミーさはないが
1粒1粒が体全体に海の恵を運んでくれた。
2個目は1滴だけレモンの雫を落としたのだが
牡蠣の味が引き立ってこれまた良い。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4a/2d/e1cffe5c862509141cd9de0eb8a0b964.jpg)
北海道の牡蠣とは随分と違うのだが
爺様も大はしゃぎでかぶりついていた。
爺様のサラリーマン最後の日はこんな風に幕を綴じたのだが
私は30年後にどのような最後を迎えるのだろうかと
爺様の姿と重ねながら考えてしまった。
随分と先のようであっという間にその日は来るのだろうが
今は考えるのは止めにしよう。
爺様お疲れ様でした。
魚真の皆様。感謝いたします。
ご馳走様でした。
魚真 乃木坂店
港区赤坂9-6
TEL03-3405-0411
17:00~24:00
不定休
橘
〒517-0204
三重県志摩市磯辺町的矢310
TEL0599-57-2731
旅館 橘の的矢牡蠣を魚真で喰らう
甚平満足度 ★★★★★
甚平満腹度 ★★★▲☆
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・・・ あっ、ありがとうございます。・・・
それでは明日もお会いしませう