趣味の日記

観劇・歴史・小説・漫画などなど、思いつくままの語り日記

カラマーゾフの兄弟

2008-12-20 23:57:52 | Weblog
雪組ドラマシティ公演を観てきました。
お隣の梅田芸術劇場ではTCAのクリスマススペシャルをやってましたけど、それを横目に・・・(笑)。

どっしりと重い、奥へ奥へと突っ込んでいくような文芸作品を期待したかったんですが、如何せん演出は齋藤先生(苦笑)。ある程度は覚悟して観劇に臨みました。
結果は、やっぱりというか予想範囲内というか、文芸作品というよりはエンターテイメント作品。
原作を読んだことはありませんけど、かなり長いお話だということは聞いてますので、まずそれを2時間ちょっとにまとめるために、脚本の大部分があらすじ説明に取られてる感じ。
ドバ~ッとあらすじを説明して、間にちょっと間延びする歌やダンスシーンが入り、いまひとつ個々のキャラの内面に深く突っ込めない、というもどかしさがありますね。
キャラの振り分け方は面白いだけに、あのキャストにもっともっと深い芝居をさせてあげて!と思ってしまう(汗)。
雪組でやるなら、やっぱり太田先生くらいのレベルがほしいなぁ。
齋藤先生なら、意外と星組のほうが合ったかも。型で見せれますし。
音楽が、「エル・アルコン」の時と同じ作曲家なので、旋律もそんな感じ。やたら壮大でカッコいい音楽です(笑)。

長男ドミートリーのミズさん。本来の持ち味は、知的で誠実って方向なので、粗暴で純朴さもある、って風にはあまり見えないかも(苦笑)。お芝居は「ベルばら」のアランみたいな雰囲気?
むしろ裁判で追い詰められて、ラストで悟ってからのほうが、包容力も出てミズさんらしい魅力が出てますね。
次男イワンのユミコさん。とにかく上手い。だからこそ、もっともっと突っ込んで、深く深く抉ったお芝居が観てみたい(爆)。とにかく脚本が物足りなすぎて・・・(汗)。
主人公はミズさんなのに、ユミコさんの役のほうに‘影’が付いてるってのも、脚本のアンバランスさを助長してる気がする・・・。
三男アレクセイはくらま君。真っ直ぐに、誠実に生きようと努力していながら、どこか危なっかしくて、いつキレるかわからない風情が、面白い。やっぱりくらま君のお芝居って、ツボを押さえてるよね。
確か、続編でアレクセイも堕ちていくことになるとどこかに書いてあったんですけど(歌劇だったかグラフだったか?)、その続編を観てみたくなるような、くらま君のアリョーシャでした。
キー・マンのスメルジャコフは、ひろみちゃん。これはオイシイ役ですね~!
幕開き、隅に居るのに、パッと目に入った。しかも、私の席からだとセットに半分隠れて見えにくかったというのに・・・。それだけ、一人でちょっと異様な雰囲気だったんだと思います。
原作でどういう風に描かれてるのか知らないので、何とも言えませんけど、とにかく周りから浮き上がった、異様さのある人物。周囲の人が、よくあれで避けていかないのね~と思うくらい普通じゃないので、屋敷の使用人としてあれでいいのかは謎(笑)。
ユミコさんと二人で(!)、ピンスポ浴びて掛け合いで歌うシーンとか、ギターを爪弾きながら歌ったりとか、かなりレベルの高いことを要求されてて、ひろみちゃん頑張れ~っ!と内心ではちょっとハラハラしました(爆)。

ヒロイン、グルーシェニカのとなみちゃん。色っぽい役ということで迫力がありましたが、その悪女っぷりとは裏腹な品の良さがやはりとなみちゃんにはあるので、そのバランスがちょうどいいかな、と。言うことなすこと結構過激なので、ほんとにそういう怖さの出ちゃう娘役がやると、かなりどひゃ~なことになりそうな気がする。
ラストのドミートリーとのシーンは、演出が不満(爆)。ミズさんが先に一人で歌って、あとからとなみちゃんが追っかけてきて、すんなり幕、のほうが余韻が残ると思うんだけど。二人で延々と、あの壮大な歌を歌われると、え、まだ続くの?と思っちゃう(苦笑)。
父親のハマコさんは、とにかく濃いです(笑)。暑苦しいくらいに(大爆)。
ドミートリーの婚約者カテリーナのさゆちゃんは、重要な役のはずなのに、書き込みがあまりに少なすぎるのでは?途切れ途切れで、カテリーナの人間性がいまひとつ見えてこない。
ちはや君が、くらま君アレクセイのお友達役で、ちょっとお得ですね。
目に付く位置にいるのは、大凪さんと、きら君、咲奈ちゃんかな。娘役では、愛加あゆちゃんがオイシイ役をもらってました。
いずるんが、すごく地味でびっくりしました。最初、いずるんだとは気づかなかった(汗)。
まゆみ姐さんが、ユミコさんイワンの‘影’で踊ってますが、台詞を語らせないほうがもっと怖さが出たんじゃないのかな。むしろ付きまとう‘影’を見つめながら、ユミコさんが自分の台詞で自問自答してるほうが面白かったかもしれない。

ともかく、これだけのメンバーを揃えたんだから、齋藤先生にはもっと深く切り込んだ作品を、頑張って作ってほしかったですね・・・。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする