星を見ていた。

思っていることを、言葉にするのはむずかしい・・・。
良かったら読んでいってください。

「墨東綺譚」

2008-12-05 17:37:06 | 
今日は久しぶりの平日休み。子供は学校に行っていないのでひとりぶらぶらと出かけようと思っていましたが、風が強く、昼近くには雨が降り出しまるで嵐のようになってしまい、一日家に閉じこもっていました。

最近ほとんど人のブログは見ていないのですが、ふと、ずいぶん前にずっと訪れていた人のブログを思い出しそっと覗いてみました。その人の恋の行方が気になったのです。久しぶりにその方のページを読んだら涙が出てきてしまいました。私は簡単に感情移入してしまう。

やっと「濹東綺譚」読み終わりました。以前一度読んでいたはずなのに全く記憶に残っていない。それとも読んだと思っていたのに読んでいなかったのかもしれません。

大正から昭和にかけての東京の周辺の様子が実に細かく説明されています。方向音痴の私は文章を読んでいてもどっちがどっちだか分らなくなってくるのですが、当時の町の様子や生活の様子など細かく描写されているのです。主人公とお雪が初めて会う場面、雨が降り出した中、主人公の傘の中にいきなりお雪が入ってくるところなどは、私はその時代をまったく知らないのに情景がはっきりと目に浮かぶようでした。会話のやりとりもいい感じだなあと思いました。昔の言葉ってどうしていいのでしょうね。お雪の場合は娼婦なのでそういう世界の人の言葉なのかもしれないけれど、江戸の人の会話という感じです。

永井荷風は自分は明治生まれでやはり大正生まれの人間とは違うのだ、と時代の変わりようを憂いていますが、まったく今も昔も変わりがないのだなと思いました。粋、とか情緒、というものが今の日本は存在しないように思うし、そういうものがあった時代を私はうらやましく思っているのですが、だからなのか自分が知っている時代でもないのに、なぜか懐かしい、という気がしてきてしまうのでした。

最近小説を読むと、どこがどういう風に良かったのだろうかと少しは考えてみるのですが、いい小説とかいい書き方っていうのは全く分からないのですけれど、読んで情景が鮮やかに目に浮かぶもの、登場人物の微妙な感情や心の揺れのようなものが読んで感じることができるもの、というのが私は好きかもしれない。そしてそういう文章を書きたいと思っています。

薄いのに、やっと読み終わった。





コメント
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