ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

ある愛着

2011-02-04 23:33:45 | Weblog
本を手にとって、まず奥付を見る人に親近感を覚える。
別に奥付を見たからって、何がある、というわけではないし、
戦前の検閲制度の名残だと言う人もいて、なるほど、と思うこともあれば、
編集長、アシスタント、校正者の名前までずらずらと載っていて、
なんてウザイんだろう、と思うこともある。
それでも、奥付を見ると、
なんとなくその本が歩んできた歴史を知り、親しくなれたような気がする。

でも、電子書籍では、奥付を見ようという気にはならないなあ。
そして、奥付を見なくてもさびしく感じないのが、電子書籍だ。

さて、今日は、いま派遣で行っている会社の本を読み終わった。
最後にもう一度奥付を見て、
なんとなく感じていた違和感の理由がわかった。
発行者=社長の名前が違った。一代前の社長だ。
私はこのシリーズの本を何冊か読んでいたので、
一代前の社長の名前の方が、しっくりきている。
でも、仕事で書類に書くのは、いまの社長の名前。
いつも社長名を書きながら、なんだか居心地が悪かったのだけど、
その理由が、今日ようやくわかった。

こういうことって、よくある。
私にとっての世田谷区の区長さんは、いまでも大場啓二さんだ。
それは、私が小中学生だったころに、さんざん見慣れた名前なので、
お顔は知らないけど、世田谷区長という文字の後には、大場啓二と続いてほしい。
そして、機動戦士ガンダムのあとには、Zとか0とか、何も続いてほしくはない。
愛着とは、どうでもいいことにも感じていることがある。そんなものだろう。

自信を持っている人は、他人に引きずられないようだけれど、
自分の心の中の、自信という虚構に引きずられている。
こんな感じの、印象的な一文が書かれていた本だった。