ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

本と出会った

2011-02-01 22:17:32 | Weblog
恥ずかしながら、初めてトルストイの作品を読みました。
『イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ』(光文社古典新訳文庫)

こんなに面白い小説を、なぜいままで放置してきたのだろう。
ドストエフスキーとトルストイは、うちの母がずっと薦めていたのに、
いままでドストエフスキーしか読んだことがなかった。
なんたる不覚。
母の趣味は、「人」を描いていること。
人を描いている小説は私も好きだ。
そうなるとやはり、山本周五郎もちゃんと読み直すべきなのかなあ。
そうそう。あとはニーチェ。
『この人を見よ』を早めに読まなければ。

あと父が薦めていたのに、まだ読んだことがないのはスタンダールか。
父とあるときお酒を飲みながらバタイユの『眼球譚』で盛り上がって、
あまりにも盛り上がりすぎて、しらふに戻ったときに、
「父親と『眼球譚』の話で盛り上がるというのは、ちと自由すぎるのではないか」と思い、
それから少し遠ざかっていたのだけれど、
あまりくだらない反抗をしないで、読んでみるべきだな。

と、本との出会いで心のなかが盛り上がり、
今朝の通勤電車では、周囲がほとんど見えていない状態だった。
会社についてから、同じ部の人に、
「さっき、電車の中で、席を譲り合ったのに~」と言われ、
かなり時間が経ってから、そんなことがあったことは思い出したけれど、
相手の顔を見ていなかったことに気がついた。
よく事故に遭わず通勤しているものだ。

帰りの電車に乗る時、中国人のお嬢さんが2人、私を追い越して行った。
「洗濯をしないと、着る服がない~」という話から、
一般的なファッションの話で、キャッキャとかわいらしい話をしていた。
すると、隣の車両から、
「日本人のばっかやろー」と中国語で叫びながら、女性が1人歩いてきた。
そして、なにやらブツクサ文句を言いながら、そのまま歩き去って行った。

先にいた2人のお嬢さんは、その女性が通る瞬間に、ぴたり、と会話をやめた。
きっと、同じ中国語を話していることが、ちょっと恥ずかしかったのだろう。

私も似たような経験がある。
外国で、日本人の団体旅行客にばったり出くわして、
はずかしくて、日本語を話せなくなってしまったことが。
周りの現地の人は、同じ日本語を話しているかどうかすらわからないだろうに、
妙に意識してしまう。

中国人と日本人の違いを意識することが多いけれど、
こういうときは、同じ人間だなあ、と思う。